みらい(新人医療事務)
あおいさん、「調剤料」ってレセプトでよく見る項目ですけど、これって何のための点数なんですか?
あおい(元・医療事務)
調剤料は、医師が処方したお薬を院内で調剤したときに算定する基本的な診療報酬項目です。区分番号はF000で、投薬の項目の中に入っています。令和8年度(2026年度)も区分の枠組み自体は継続していますよ。
みらい(新人医療事務)
「調剤」っていうと薬局のイメージがあるんですが、病院やクリニックでも算定するんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、院内で薬を調剤して患者さんに渡す場合に算定します。院外処方箋を交付するだけの場合は、また別の項目(処方箋料)の話になりますので、まずそこを区別して確認しておきたいですね。
対象になる場面と点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的に何点になるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(区分番号F000)では、入院中かどうか、内服薬か外用薬かで点数が分かれています。表にすると次のようになりますよ。
| 区分 | 対象 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1 イ | 入院中の患者以外・内服薬、浸煎薬及び屯服薬(1回の処方に係る調剤につき) | 11点 |
| 1 ロ | 入院中の患者以外・外用薬(1回の処方に係る調剤につき) | 8点 |
| 2 | 入院中の患者(1日につき) | 7点 |

みらい(新人医療事務)
外来と入院で数え方の単位が違うんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。入院中の患者以外(外来)は「1回の処方」単位、入院中の患者は「1日」単位で数えます。ここを取り違えると算定候補の判断がずれやすいので、まず外来か入院かを確認するところから始めるとよいと思います。
算定要件の細かいルール
みらい(新人医療事務)
点数の区分はわかりましたが、算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知にいくつか細かいルールが書かれています。まず、入院中の患者以外の調剤料は、1回の処方に係る調剤料として、剤数・日数や調剤した量にかかわらず「1」の所定点数を処方料算定時にまとめて算定するとされています。ただし、2以上の診療科で異なる医師が処方した場合は、それぞれの処方につき調剤料を算定候補とすることができるとされています。
みらい(新人医療事務)
同じ患者さんでも診療科が複数だったら、それぞれ数えていいんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。あと、トローチ剤や亜硝酸アミルなどの嗅薬、噴霧吸入剤は外用薬として投薬に係る費用を算定する取り扱いになっています。留意事項通知には、トローチ剤の1日量6錠3日分は18錠分を1調剤の薬剤料として算定する、という例も示されています。
みらい(新人医療事務)
外泊のときとかはどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
外泊期間中や入院実日数を超えた部分については、調剤料は算定できないとされています。入院日数のカウントと調剤料の算定日数がずれていないか、レセプト作成のときに確認したいポイントですね。
麻薬等加算の注意点
みらい(新人医療事務)
「注」のところに麻薬等加算というのがありますが、これは何ですか?
あおい(元・医療事務)
麻薬、向精神薬、覚醒剤原料又は毒薬を調剤した場合に、麻薬等加算として、区分1に係る場合は1処方につき1点、区分2に係る場合は1日につき1点を、それぞれ所定点数に加算するというルールです。告示の「注」に明記されています。
みらい(新人医療事務)
内服薬でも外用薬でも、麻薬等に該当すれば加算候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知では、内服薬、浸煎薬及び屯服薬、外用薬等の区分、剤数、用法用量等にかかわらず、入院中の患者以外に投薬を行う場合は1処方につき1点、入院中の患者に投薬を行う場合は1日につき1点を所定点数に加算する、とされています。
みらい(新人医療事務)
麻薬とか向精神薬って、具体的にどういう基準で決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、毒薬は医薬品医療機器等法第44条第1項の規定による毒薬、向精神薬は麻薬及び向精神薬取締法第2条第6号の規定による向精神薬、とそれぞれ法令の条文が引用されています。また、コデインリン酸塩散1%のように、薬剤の基剤が麻薬等に属していても、稀釈度により麻薬等の取扱いを受けていないものを調剤・処方した場合は対象にならない、という注意書きもあります。
麻薬等加算の判断は薬剤ごとに確認
麻薬等加算の対象になるかどうかは、薬剤の基剤だけでなく稀釈度による取扱い区分によっても変わります。個別の薬剤が対象になるかは、留意事項通知の記載と院内の薬剤管理台帳をあわせて確認することをおすすめします。
処方箋料との関係で気をつけたいこと
みらい(新人医療事務)
院外処方箋を出すときは、調剤料は算定しないんですよね?
あおい(元・医療事務)
基本的にはそうですね。ただし、厚生労働省の疑義解釈資料では、同一の患者に対して同一診療日に、一部の薬剤を院内投薬し、他の薬剤を院外処方箋で投薬することは原則として認められないとした上で、緊急やむを得ない事態でそのような投薬を行った場合の取り扱いが示されています。
みらい(新人医療事務)
どんな取り扱いになるんですか?
あおい(元・医療事務)
その疑義解釈資料によると、その場合は区分番号F000調剤料及びF100処方料は算定せず、院内投薬に係るF200薬剤及び処方箋料を算定し、診療報酬明細書の摘要欄にその日付と理由を記載することとされています。緊急時の例外的な取り扱いなので、通常の運用とは区別して覚えておきたいですね。
投薬の他の項目との違いも整理しておきたい
みらい(新人医療事務)
投薬まわりって、調剤料のほかにも似たような名前の項目がありますよね。混同しそうで不安です。
あおい(元・医療事務)
そうですね。投薬の節には、調剤料(区分F000)のほかに、処方料(区分F100)、薬剤(区分F200)、処方箋料(区分F400)、調剤技術基本料(区分F500)といった項目が並んでいます。調剤料は「院内で薬を調剤する技術」に対する点数、処方料は「処方箋や処方を作成する行為」に対する点数、薬剤はお薬そのものの薬価に基づく点数、というように、それぞれ性質が異なります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、名前は似ていても評価している中身が違うんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。院外処方箋を交付する場合は調剤料の対象にならず、処方箋料の確認が中心になります。院内で投薬まで完結する場合は、調剤料・処方料・薬剤をあわせて確認する形になりますね。どの場面かによって見るべき区分番号が変わるので、レセプトを作る前に「この患者さんは院内投薬か、院外処方箋か」を最初に切り分けておくと、項目の取り違えを防ぎやすいと思います。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
調剤料って、前の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和8年度の告示・留意事項通知にある調剤料の点数区分(11点・8点・7点)や算定ルールについて、前回改定からの変更は確認されていません(確認日: 2026年8月)。基本的な投薬の項目として、区分の考え方自体は継続していると見てよさそうです。
みらい(新人医療事務)
変わっていないなら、逆に安心して見られますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし「変更が確認されていない」というのは今回調べられた資料の範囲での話なので、最終的には自院で使っている最新のマスターや告示原文でも突き合わせておくと安心だと思います。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの医院だと、どこから確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
順を追って見ていくとわかりやすいですよ。
自院で確認する順番
- 投薬を行った場面が院内調剤かどうかを確認する
- 患者が入院中か、入院中以外かを確認する
- 内服薬・浸煎薬・屯服薬か、外用薬かで区分を確認する
- 同一診療日に複数の診療科で異なる医師が処方していないか確認する
- 麻薬・向精神薬・毒薬に該当する薬剤を調剤していないか確認する

みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、算定候補になるかどうか整理できそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。特に外泊期間や入院実日数を超えた部分は算定できないとされているので、入院日数のカウントとあわせて確認しておくと取りこぼしや誤請求を防ぎやすいと思います。
よくある取り漏れ
診療科をまたぐ処方の数え漏れ
2以上の診療科で異なる医師が処方した場合は、それぞれの処方につき調剤料を算定候補とできるとされています。1患者につき1回とまとめて数えてしまうと、算定できるはずの調剤料を取りこぼす可能性があります。
麻薬等加算の対象薬剤の見落とし
麻薬等加算は、内服薬・外用薬などの区分にかかわらず対象になります。処方の中に麻薬・向精神薬・毒薬に該当する薬剤が含まれていないか、薬剤台帳と突き合わせて確認したいポイントです。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する 処方箋料(F400) もあわせて確認しておくと、投薬まわりの算定を一連の流れで見ていきやすいと思います。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。