摂食機能療法ってどんなときに算定する加算?
みらい(新人医療事務)
先輩、うちの病棟で「摂食機能療法」っていう項目を見かけたんですけど、これってどんなときに算定する加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
摂食機能療法(区分H004)は、食べたり飲み込んだりする機能=摂食・嚥下の機能に障害がある患者さんに対して、訓練や指導を行ったときに算定する項目ですよ。令和8年度(2026年度)でも、リハビリテーション料のなかに位置づけられています。
みらい(新人医療事務)
嚥下って、飲み込みのことですよね。誤嚥性肺炎とかにつながる、あの?
あおい(元・医療事務)
そうです。加齢や脳卒中の後遺症などで飲み込みがうまくいかなくなると、誤嚥のリスクが高まります。そこを言語聴覚士さんや看護師さんなどが訓練で支えていく、その行為を評価するのが摂食機能療法だと考えるとわかりやすいですね。
みらい(新人医療事務)
なるほど。じゃあ、どんな患者さんが対象になるのか、もう少し詳しく知りたいです。
どんな患者さんが対象になるの?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、摂食機能障害者を大きく2つに分けています。ひとつは「発達遅滞、顎切除及び舌切除の手術又は脳卒中等による後遺症により摂食機能に障害があるもの」。もうひとつは「内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影によって他覚的に嚥下機能の低下が確認できるものであって、医学的に摂食機能療法の有効性が期待できるもの」です。
みらい(新人医療事務)
つまり、後遺症で障害がある人か、検査で嚥下機能の低下が客観的に確認できる人、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ここでポイントになるのは「他覚的に確認できる」という部分です。内視鏡下嚥下機能検査や嚥下造影といった検査で裏づけがあることが前提になっているので、なんとなく飲み込みが悪そう、というだけでは対象を判断できません。
みらい(新人医療事務)
検査の根拠が要るんですね。実施するのはお医者さんですか?
あおい(元・医療事務)
実施できる職種も決まっています。留意事項では、医師、歯科医師、または医師・歯科医師の指示のもとで言語聴覚士、看護師、准看護師、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士が、1回につき30分以上の訓練指導を行った場合に限り算定する、とされています。診療計画書に基づいて行うことも条件です。
みらい(新人医療事務)
30分以上、というのが大事なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。この「30分」が点数区分にも関わってきます。次で見てみましょう。
点数はどう分かれているの?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の摂食機能療法は、1日につきの点数で、訓練時間によって2区分に分かれています。

| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1 | 30分以上の場合 | 185点 |
| 2 | 30分未満の場合 | 130点 |
みらい(新人医療事務)
シンプルですね。30分を境に185点か130点か、と。
あおい(元・医療事務)
そうです。さらに、注3として「摂食嚥下機能回復体制加算」という上乗せがあります。こちらは施設基準を満たして届け出た保険医療機関で算定候補になるもので、区分に応じて点数が変わります。
| 摂食嚥下機能回復体制加算 | 点数(令和8年度) |
|---|---|
| 加算1(イ) | 210点 |
| 加算2(ロ) | 190点 |
| 加算3(ハ) | 120点 |
みらい(新人医療事務)
体制加算のほうが本体より高いんですね。
あおい(元・医療事務)
区分によってはそうなりますね。ただし、この体制加算は誰でも上乗せできるわけではありません。届出が前提ですし、加算3(ハ)については「療養病棟入院料1又は療養病棟入院料2を現に算定しているもの」に限る、という条件も告示に書かれています。ここは自院の状況とあわせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
本体の185点・130点のほうは、届出は要らないんですか?
あおい(元・医療事務)
本体の算定については、告示・留意事項の範囲では届出の要件は示されていません。一方で摂食嚥下機能回復体制加算のほうは、施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関で算定する、と明記されています。届出が要るのは体制加算のほう、と整理して考えるとわかりやすいですね。
算定回数や日数の決まりは?
みらい(新人医療事務)
1日につきの点数ということは、毎日算定してもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
ここが摂食機能療法の少しややこしいところで、患者さんの状態によって扱いが変わります。まず区分1・2の一般的な算定として、告示の注1では「1については、摂食機能障害を有する患者に対して、1月に4回に限り算定する。ただし、治療開始日から起算して3月以内の患者については、1日につき算定できる」とされています。
みらい(新人医療事務)
原則は月4回まで。でも治療開始から3か月以内なら毎日いける、ということですか?
あおい(元・医療事務)
そういう整理になりますね。治療開始日から3月以内という期間の患者さんは1日につき算定できる扱いです。3月を過ぎると月4回が上限、という考え方です。
脳卒中の患者さんは扱いが別
告示の注2では、区分「2」について「脳卒中の患者であって、摂食機能障害を有するものに対して、脳卒中の発症から14日以内に限り、1日につき算定できる」とされています。さらに留意事項では、脳卒中の発症後14日以内の患者に対し15分以上の摂食機能療法を行った場合に算定でき、同じ14日以内でも30分以上行った場合には「1」を算定できる、と示されています。時間と発症からの日数の両方を確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
脳卒中の場合は「14日以内」「15分以上でも可」という特別ルールがあるんですね。うっかり見落としそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。だからこそ、治療開始日や脳卒中の発症日を診療録できちんと押さえておくことが大切になります。留意事項でも、治療開始日や毎回の訓練内容、訓練の開始時間・終了時間を診療録等に記載することが求められていますよ。
みらい(新人医療事務)
記録も算定の前提なんですね。脳卒中のリハビリだと、脳血管疾患等リハビリテーション料とも関わってきそうですけど…。
あおい(元・医療事務)
関連する項目として 脳血管疾患等リハビリテーション料 もありますね。摂食機能療法とは別の区分ですが、脳卒中後の患者さんではどちらの視点も出てきます。それぞれ算定要件が異なるので、どの行為をどの項目で算定するかは切り分けて確認するのが安心です。
施設基準・届出はどうなっているの?
みらい(新人医療事務)
さっき出てきた摂食嚥下機能回復体制加算の施設基準って、具体的にはどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項では、この体制加算は「摂食機能及び嚥下機能の回復の支援に係る専門知識を有した多職種により構成されたチーム」=摂食嚥下支援チームなどによる対応で、摂食機能または嚥下機能の回復が見込まれる患者さんに、多職種が共同して指導管理を行った場合に算定できるとされています。
みらい(新人医療事務)
チームでの対応が前提なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項では、内視鏡下嚥下機能検査または嚥下造影の結果に基づいて摂食嚥下支援計画書を作成すること、実施した患者について月に1回以上そうした検査を実施すること、週に1回以上カンファレンスを行うこと、といった要件が挙げられています。さらに、算定に当たってはFIMおよびFOIS(Function Oral Intake Scale)を測定することも求められています。
体制加算で確認したいポイント
多職種チーム: 専門知識を有した多職種で構成された摂食嚥下支援チーム等による対応か 検査: 内視鏡下嚥下機能検査または嚥下造影の結果に基づく計画書を作成しているか 頻度: 月1回以上の検査、週1回以上のカンファレンスを行っているか 評価指標: FIM・FOISを測定しているか 届出: 施設基準に適合したものとして届出済みか
みらい(新人医療事務)
けっこう作り込まれた体制が要るんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ですから体制加算は、届出状況と実際の運用体制の両方を確認したうえで、算定候補になるかを判断することになります。具体的な区分ごとの施設基準は厚生労働省の施設基準通知に定められているので、そちらの原文とあわせて確認するのが確実です。
令和8年度改定での変更点は?
みらい(新人医療事務)
令和8年度(2026年度)の改定で、摂食機能療法は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)との対比について、当サイトが確認した令和8年度の告示・留意事項通知の範囲では、点数区分(30分以上185点・30分未満130点)と摂食嚥下機能回復体制加算(加算1=210点・加算2=190点・加算3=120点)の枠組みについて、大きな変更は確認できていません。
みらい(新人医療事務)
つまり、いまのところ大きく形は変わっていない、ということですか?
あおい(元・医療事務)
あくまで当サイトが参照した一次資料の範囲での話です、と付け加えておきますね。改定では点数だけでなく、施設基準や記録要件などが見直されることもあります。正確な新旧の対比は、厚生労働省が公表している令和8年度改定の資料でご確認いただくのが確実です。ここでは「令和8年度時点の要件はこうなっている」という前提で読み進めてください。
みらい(新人医療事務)
中立に確認する、ということですね。承知しました。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
いろいろな条件が出てきて、どこから確認すればいいか迷ってきました…。
あおい(元・医療事務)
それでは、自院で確認するときの順番を整理してみましょう。

自院で確認する順番
- 対象患者かを確認する。発達遅滞・顎切除・舌切除の手術・脳卒中等による後遺症で摂食機能に障害があるか、または内視鏡下嚥下機能検査・嚥下造影で嚥下機能の低下が他覚的に確認できているか。
- 診療計画書に基づいて、医師・歯科医師、またはその指示のもとで対象職種が1回30分以上の訓練指導を行ったかを確認する。
- 治療開始日・毎回の訓練内容・開始/終了時間を診療録に記載し、明細書の摘要欄に疾患名と治療開始日を記載しているかを確認する。
- 回数の扱いを確認する。原則は月4回、治療開始日から3月以内は1日につき、脳卒中で発症14日以内は別扱い(15分以上でも「2」を算定候補)。
- 摂食嚥下機能回復体制加算を検討する場合は、届出状況とチーム体制・検査・カンファレンスの実施状況を確認する。
みらい(新人医療事務)
こうして順番にすると、確認すべきことがはっきりしますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に「対象患者かどうか」と「時間・回数・記録」を先に固めておくと、判断がぶれにくくなりますよ。
よくある取り漏れ・注意したい点
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなところですか?
取り漏れ・注意したいポイント
時間の記録漏れ: 訓練の開始時間・終了時間の記載がないと、30分以上か未満かの判断ができず区分の裏づけが弱くなります。 摘要欄の記載漏れ: 疾患名と治療開始日の摘要欄記載が求められています。ここが抜けると算定の要件を満たさない可能性があります。 脳卒中の日数管理: 発症からの日数で扱いが変わるため、発症日の把握があいまいだと判断を誤るおそれがあります。 口腔ケアのみの扱い: 留意事項では、間接訓練は個別に実施する場合に限り、口腔ケアのみの場合は除くとされています。行為の内容の切り分けが必要です。
みらい(新人医療事務)
口腔ケアだけだと摂食機能療法には含まれない場合があるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項では、嚥下訓練(間接訓練)や嚥下訓練(直接訓練)、摂食の際の体位設定・自助具の評価設定などが摂食機能療法に含まれるとされていますが、専ら食事介助または食事観察を行うものは除く、といった線引きもあります。実際に行った行為の内容を確認して切り分けることが大切です。
みらい(新人医療事務)
「やったこと」をていねいに見ていく必要があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。摂食機能療法は、対象患者・時間・記録・行為の内容がそろってはじめて算定候補になります。ひとつずつ確認していきましょう。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちの状況で算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者や訓練時間、記録の状況、体制加算の届出状況などを入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。本記事は令和8年度(2026年度)時点の厚生労働省の告示・留意事項通知等をもとに整理したものです。