みらい(新人医療事務)
先生、「調剤技術基本料」って、処方箋を出さないクリニックだと関係あるんですか? うちは院内投薬もしているので、気になっています。
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。調剤技術基本料(区分F500)は、薬剤師が常時勤務している保険医療機関で、院内投薬を行ったときに算定候補になる点数です。処方箋を交付した場合は対象外なので、院外処方が中心のクリニックとは関係が薄い点数ですよ。
みらい(新人医療事務)
院内投薬をしていれば、どこの医療機関でも対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、「薬剤師が常時勤務している」ことが前提です。薬剤師が常時勤務していない医療機関では、院内投薬をしていても調剤技術基本料の対象にはなりません。まずはこの前提条件から確認しましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな場面で算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の一次資料をもとにすると、次のような場面が対象になります。
対象になりうる場面
薬剤師が常時勤務する医療機関での院内投薬: 診療所・病院を問わず、薬剤師が常時勤務し、その管理のもとで調剤が行われた場合が対象です 処方箋を交付していないこと: 院外処方箋を交付した場合は、処方箋料(区分F400)の対象になり、調剤技術基本料は対象外になります 入院・外来いずれも対象: 入院中の患者と、その他の患者(主に外来)で点数区分が分かれます
みらい(新人医療事務)
処方箋料とは、どちらか一方しか算定できない関係なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。表で対比すると分かりやすいので、まとめておきますね。
| 点数区分 | 対象になる場面 | 令和8年度点数の目安 |
|---|---|---|
| F400処方箋料 | 院外処方箋を交付した場合 | 20点・32点・60点(区分による) |
| F500調剤技術基本料 | 院内投薬を行い、処方箋を交付しなかった場合 | 14点・42点(区分による) |
点数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
調剤技術基本料の点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、入院中か外来かで点数が分かれています。表にまとめました。
| 区分 | 対象 | 点数 |
|---|---|---|
| 1 | 入院中の患者に投薬を行った場合 | 42点 |
| 2 | その他の患者(主に外来)に投薬を行った場合 | 14点 |
| 加算 | 院内製剤の上で調剤した場合(院内製剤加算) | +10点 |

みらい(新人医療事務)
院内製剤加算というのは何ですか?
あおい(元・医療事務)
薬価基準に収載されている医薬品に、溶媒や基剤などの賦形剤を加えて、元の医薬品とは異なる剤形に院内製剤した場合に、10点を所定点数に加算できる仕組みです。ただし、同一規格の医薬品がすでに薬価基準に収載されている場合や、散剤を調剤しただけの場合など、対象外になるケースも細かく定められています。
院内製剤加算は除外要件が多い
院内製剤加算は「剤形を変えて院内製剤した場合」が基本ですが、既収載の同一規格医薬品がある場合や、単に散剤を調剤した場合などは対象外です。個別のケースは一次資料(留意事項通知)で確認が必要です。
算定要件
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつける要件はありますか?
あおい(元・医療事務)
告示の注に定められている要件は、次の4点です。
自院で確認する順番
- 薬剤師が常時勤務する保険医療機関であること — 処方箋を交付した場合を除き、投薬を行ったときに算定候補になります
- 月1回限りの算定 — 同一患者に同一月内で調剤技術基本料の対象になる投薬を2回以上行っても、月1回のみの算定候補です
- 院内製剤加算は該当時のみ — 院内製剤の上で調剤した場合に限り、10点の加算候補になります
- 薬剤管理指導料等との重複不可 — 区分B008の薬剤管理指導料、または区分C008の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者には、調剤技術基本料は算定しません
みらい(新人医療事務)
薬剤管理指導料や在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者は対象外になるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。同じ患者に対して薬剤師の関与を評価する点数が重複しないような整理になっています。該当する患者がいないか、月次でのチェックをおすすめします。
| ケース | 扱い |
|---|---|
| 処方箋を交付した場合 | 調剤技術基本料は対象外(処方箋料の対象) |
| 同一医療機関で同一月内に処方箋の交付がある場合 | その月の調剤技術基本料は算定できないとされています |
| B008薬剤管理指導料を算定している患者 | 調剤技術基本料は算定しません |
| C008在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者 | 調剤技術基本料は算定しません |
施設基準・届出について
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、調剤技術基本料について地方厚生局への個別の届出は規定されていません。薬剤師が常時勤務している体制そのものが算定の前提になっているので、届出の要否よりも「その体制が実際に整っているか」の確認が重要です。
届出書式の有無は自院での確認が必要
届出様式の要否は一次資料の記載内容をもとに判断していますが、最終的な届出要否は自院の状況をふまえ、地方厚生局または審査支払機関に確認することをおすすめします。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで注意することはありますか?
あおい(元・医療事務)
同一医療機関で同一月内に処方箋の交付がある場合は、その月の調剤技術基本料は算定できないとされています。院内投薬と院外処方が同じ月に混在するケースでは、月単位での確認が必要です。
同一月内の処方箋交付に注意
同一医療機関において同一月内に処方箋の交付がある場合は、調剤技術基本料は算定できないとされています(留意事項通知)。院内投薬と院外処方が混在する月は、算定の可否を個別に確認してください。

みらい(新人医療事務)
フローに沿って確認していけばいいんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。薬剤師の勤務体制から順番に、処方箋交付の有無、同一月内の算定状況、他の点数との重複がないか、という順で見ていくのがおすすめです。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、調剤技術基本料は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、調剤技術基本料(区分F500)の点数・算定要件そのものについて、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(2026年8月確認・厚労省一次情報ベース)。ただし、令和6年度改定期間中には、院内製剤加算の適用に関する疑義解釈(医薬品の供給不足時の取り扱い)が示されており、こうした個別の運用解釈は随時更新される可能性があります。
疑義解釈の一例(令和6年度・2025年1月)
特定の医薬品の供給が不足し、通常と異なる剤形で院内製剤せざるを得なかった場合について、院内製剤加算の算定が認められる旨の疑義解釈が示されています。レセプトの摘要欄への記載が前提とされているため、該当するケースがあれば一次資料での確認をおすすめします。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れやすいポイントを教えてください。
あおい(元・医療事務)
実務でよく見られる確認不足のポイントをまとめました。
取り漏れ・確認不足になりやすいポイント
同一月2回目以降の投薬での重複算定: 同一月内に対象の投薬を複数回行っても、調剤技術基本料は月1回までです。レセプトチェックで重複がないか確認しましょう 薬剤管理指導料との併算定チェック漏れ: 同一患者が薬剤管理指導料(B008)や在宅患者訪問薬剤管理指導料(C008)を算定している月は対象外です。算定前に他の点数との重複を確認してください 院内製剤加算の要件確認不足: 単に散剤を調剤しただけのケースなど、院内製剤加算の対象外になる条件が細かく定められています。加算前に要件を個別に確認しましょう
公式資料の根拠
みらい(新人医療事務)
今回の内容はどこの資料をもとにしているんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省が公表している令和8年度診療報酬改定の医科点数表と留意事項通知をもとにしています。
参照した公式資料
令和8年度診療報酬改定 医科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号): 点数・算定要件(注1〜4)の一次資料です 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定について: 留意事項通知を含む改定関連資料の一覧ページです
調剤技術基本料と関係する加算
みらい(新人医療事務)
関係する加算も教えてください。
あおい(元・医療事務)
処方箋料(F400)は、調剤技術基本料と対になる点数です。院外処方箋を交付した場合はこちらの対象になり、調剤技術基本料とは同時に算定候補になりません。また、薬剤管理指導料(B008)や在宅患者訪問薬剤管理指導料(C008)を算定している患者は、調剤技術基本料の対象から外れる点にも注意してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。薬剤師の勤務体制や処方箋交付の状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。