みらい(新人医療事務)
院外処方箋を出している患者さんのカルテを見ていたら「処方料」って項目があったんですが、これって院外処方でも算定するものなんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、処方料(区分番号F100)は、入院中の患者以外の患者に対して医師が処方を行った場合に算定する点数です。院外処方箋を交付する場合は、処方料に加えて処方箋料(区分番号F400)を別に算定する形になります。院内で薬を渡す場合は、処方料と調剤料を算定します。
みらい(新人医療事務)
なるほど、院外処方でも「処方した」こと自体への点数なんですね。点数は全部一律なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、処方料は内容によって3段階の区分に分かれています。まずはそこから確認していきましょう。
処方料の点数区分(令和8年度)
あおい(元・医療事務)
令和8年度の処方料は、処方の内容によって次の3区分に分かれます。当サイトが収録している厚生労働省の医科点数表(令和8年度)の範囲では、点数は以下のとおりです。
| 区分 | 該当する処方の内容 | 点数 |
|---|---|---|
| 1 | 向精神薬多剤投与に該当する場合(抗不安薬3種類以上、睡眠薬3種類以上、抗うつ薬3種類以上、抗精神病薬3種類以上、または抗不安薬と睡眠薬を合わせて4種類以上。臨時投与等の除外あり) | 18点 |
| 2 | 1以外で、7種類以上の内服薬を投薬した場合、または不安・不眠の症状に対して1年以上継続して特定の薬剤を投薬した場合(向精神薬長期処方) | 29点 |
| 3 | 1・2以外の場合 | 42点 |

みらい(新人医療事務)
3(42点)が基本形で、多剤投与や長期処方に該当すると点数が下がる、というイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。厳密には「区分1・2に該当すると本来より低い点数になる」という設計です。向精神薬の多剤投与や、抗不安薬・睡眠薬の長期処方を減らす方向に誘導する仕組みとして設けられています。自院がどの区分に当たるかは、処方内容(薬剤の種類数・投薬期間)を実際に確認しないと分かりません。
対象・算定できる場面
みらい(新人医療事務)
処方料が算定候補になるのは、どんな場面ですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年度医科点数表)では、「入院中の患者以外の患者に対する1回の処方について算定する」とされています。つまり外来・在宅など、入院中でない患者への処方が対象です。入院中の患者への処方の費用は、入院基本料に含まれるため、処方料としては別に算定しません。
みらい(新人医療事務)
同じ患者さんが複数の診療科にかかっている場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
複数の診療科を標榜する保険医療機関で、2以上の診療科の異なる医師がそれぞれ処方した場合は、それぞれの処方につき処方料を算定できるとされています。同じ日に内科と皮膚科でそれぞれ処方が出た、というようなケースが該当し得ます。
入院中の患者への処方は対象外
入院中の患者に対する処方の費用は、第1章第2部第1節の入院基本料に含まれるものとされています。入院中の患者に処方料を別立てで算定することは想定されていません。
よくある加算のパターン
みらい(新人医療事務)
処方料には加算もあるんですよね? どんな加算がよく出てきますか?
あおい(元・医療事務)
代表的なものをいくつか挙げますね。いずれも処方料本体とは別に、要件を満たした場合に上乗せで算定候補になるものです。
| 加算 | どんな処方が対象か | 点数の目安 |
|---|---|---|
| 麻薬等加算 | 麻薬、向精神薬、覚醒剤原料または毒薬を処方した場合 | 1処方につき1点 |
| 乳幼児加算 | 3歳未満の乳幼児に処方を行った場合 | 1処方につき3点 |
| 特定疾患処方管理加算 | 診療所または許可病床数200床未満の病院で、特定の疾患を主病とする患者に28日以上の処方を行った場合 | 月1回、1処方につき56点 |
| 抗悪性腫瘍剤処方管理加算 | 届出医療機関(許可病床数200床以上)で抗悪性腫瘍剤を処方した場合 | 月1回、1処方につき70点 |
| 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算 | 施設基準の届出医療機関で投薬を行った場合(区分1〜3) | 1処方につき5点から8点 |
| 向精神薬調整連携加算 | 向精神薬多剤投与または向精神薬長期処方に該当していた患者の処方内容を見直し、種類数や用量を減らした場合 | 月1回、1処方につき12点 |
みらい(新人医療事務)
けっこう種類が多いんですね……。全部同時に算定候補になったりもするんですか?
あおい(元・医療事務)
加算ごとに要件が異なりますし、同一月に他の類似加算(薬剤総合評価調整加算など)と併算定できない組み合わせもあります。1つずつ、この患者・この処方でどの加算の要件に当てはまるかを確認する必要があります。どれか1つの名称だけを見て判断せず、それぞれの加算ページで施設基準・算定要件を確認することをおすすめします。
30日以上の処方をしたときの注意点
みらい(新人医療事務)
「30日分お願いします」と言われることも多いんですが、長期処方には何か注意点があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。当サイトが収録している留意事項の範囲では、医師が処方する投薬量は、予見できる必要期間に沿ったものでなければならず、30日を超える長期投薬を行うときは、長期投薬が可能な程度に病状が安定していること、服薬管理が可能であることを医師が確認し、病状変化時の対応方法や医療機関の連絡先を患者に周知するとされています。
あおい(元・医療事務)
この要件を満たさない場合は、原則として次のいずれかの対応を行うこととされています。30日以内に再診を行う、200床以上の病院であれば200床未満の病院・診療所への文書による紹介の申出を行う、病状は安定しているが服薬管理が難しい場合は分割指示の処方箋を交付する、のいずれかです。
長期処方は点数計算にも影響
初診料の注2・注3または外来診療料の注2・注3を算定する保険医療機関で、対象となる薬剤を除き投与期間30日以上の投薬を行った場合は、所定点数の100分の40に相当する点数で算定するとされています。長期処方かどうかは、点数区分だけでなく計算方法にも関わるため確認が必要です。
施設基準・届出の確認ポイント
みらい(新人医療事務)
処方料そのものを算定するのに、施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
処方料本体(区分1・2・3の点数)については、当サイトが収録している一次資料の範囲では、届出を前提とする記載は確認できていません。一方で、上で挙げた加算のうち、抗悪性腫瘍剤処方管理加算や地域支援・外来医薬品供給対応体制加算などは、地方厚生局長等への届出が要件になっています。
みらい(新人医療事務)
つまり「処方料は取れるけど、上乗せの加算は届出がないと取れない」ということもあるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。処方料本体と各加算は別々に確認する必要があります。届出の有無・様式・実際の運用体制は、自院の届出書類と地方厚生局への提出状況で確認してください。この記事だけで届出の充足を判断することはできません。
取り漏れやすいポイント
特定疾患処方管理加算や地域支援・外来医薬品供給対応体制加算は、処方料の陰に隠れて見落とされやすい加算です。処方料を算定した処方の内容を月次で振り返り、対象疾患・処方期間・届出状況を確認する運用にしておくと、取り漏れに気づきやすくなります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、処方料は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの主な変更点について、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認されていません。区分1から3の点数構成や、麻薬等加算・乳幼児加算・特定疾患処方管理加算といった主要な加算の枠組みは、令和8年度時点の一次資料で確認できる内容としては大きな変更が見当たりませんでした。
あおい(元・医療事務)
ただし、これは「当サイトが確認できた範囲で変更が見当たらない」という意味です。個別の加算(向精神薬調整連携加算など)や、対象薬剤の指定(厚生労働大臣が定める薬剤など)は改定のたびに細かく見直されることがあるため、最新の告示・通知は都度確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 対象の処方が入院中の患者以外への処方かどうかを確認する
- 処方内容(薬剤の種類数・投薬期間)から区分1・2・3のどれに該当するかを確認する
- 麻薬等加算・乳幼児加算など、該当しそうな加算がないか処方内容を確認する
- 特定疾患処方管理加算・地域支援・外来医薬品供給対応体制加算など、届出が必要な加算については自院の届出状況を確認する
- 30日以上の処方の場合は、長期投薬の要件(病状安定・服薬管理・周知)を満たしているか確認する

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に見ていくと、処方料自体はシンプルでも、加算まで含めると確認事項が結構ありますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。処方料は算定頻度が高い分、区分の判定ミスや加算の取り漏れが積み重なりやすい点数でもあります。1件ずつ丁寧に確認する仕組みを作っておくと安心です。
よくある取り漏れ
複数診療科での処方
複数の診療科を標榜する医療機関で、異なる医師がそれぞれ処方した場合は、それぞれの処方につき処方料を算定できるとされています。1患者1回とまとめて処理してしまうと、算定候補を取り漏らす可能性があります。
向精神薬長期処方の該当判定
不安・不眠の症状に対する薬剤を1年以上継続して同一成分・同一用量で処方している場合は、区分2(向精神薬長期処方)に該当し得ます。区分3(42点)のまま処理していないか、処方期間・成分の継続状況を確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。処方内容や届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。