みらい(新人医療事務)
先輩、入院中のがん患者さんのリハビリで「がん患者リハビリテーション料」という名前を初めて聞いたんですが、これってどういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表で区分番号H007-2として定められている加算ですね。がんの治療に伴って生じる痛みや筋力低下、身体機能の低下を防いだり改善したりする目的で、入院中のがん患者さんに個別のリハビリテーションを行った場合に算定候補になるものです。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者さんが対象なんですね。外来でリハビリを受けているがん患者さんには使えないんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、告示の留意事項では対象患者を「入院中のがん患者」と明確に規定していますので、外来のがん患者さんは対象になりません。届出の有無だけでなく、対象患者の要件も含めて自院で確認する必要がありますよ。
がん患者リハビリテーション料とは(対象医療機関・対象患者)
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、入院中のがん患者であって、次のいずれかに該当する患者を対象としています。
対象患者の2パターン(令和8年度・留意事項通知)
- パターンア: 当該入院中にがんの治療のための手術、骨髄抑制を来しうる化学療法、放射線治療若しくは造血幹細胞移植が行われる予定の患者又は行われた患者
- パターンイ: 在宅において緩和ケア主体で治療を行っている進行がん又は末期がんの患者であって、症状増悪のため一時的に入院加療を行っており、在宅復帰を目的としたリハビリテーションが必要なもの
みらい(新人医療事務)
どちらのパターンも「入院」がキーワードなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。加えて、医師が個別にがん患者リハビリテーションが必要であると認めていることも要件です。カルテ上で対象患者に該当するかどうかを医師が判断した記録を残しておくことも、確認のポイントになります。
| パターン | 対象患者像 |
|---|---|
| ア | 入院中にがん治療のための手術・化学療法・放射線治療・造血幹細胞移植が予定または実施された患者 |
| イ | 在宅緩和ケア中の進行がん・末期がん患者で、症状増悪により一時入院し、在宅復帰を目的としたリハビリが必要な患者 |
点数と算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、区分番号H007-2として205点(1単位)と定められています。そして「患者1人につき1日6単位まで」という上限があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分番号 | H007-2 |
| 名称 | がん患者リハビリテーション料 |
| 点数 | 205点(1単位) |
| 算定単位の上限 | 1日につき6単位まで |
みらい(新人医療事務)
1単位ってどのくらいの時間なんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、がん患者リハビリテーションに関する適切な研修を修了した理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が個別に20分以上のリハビリテーションを行った場合を1単位とする、とされています。専任の医師が直接訓練を実施した場合も、理学療法士等が実施した場合と同様に算定候補になる、という定めもありますよ。
みらい(新人医療事務)
なるほど。じゃあマッサージや温熱療法だけを行った場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
それは注意が必要なところです。マッサージや温熱療法などの物理療法のみを行った場合は、がん患者リハビリテーション料ではなく、処置の項で算定することになっています。この加算は運動療法や実用歩行訓練、日常生活活動訓練、応用的動作能力・社会的適応能力の回復などを組み合わせて行うことが前提です。
施設基準(人員配置・体制)
みらい(新人医療事務)
届出のための施設基準は、どんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年厚生労働省告示第71号(特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件)で、がん患者リハビリテーション料の施設基準として5つの項目が定められています。
施設基準の5項目(令和8年厚生労働省告示第71号)
- 専任常勤医師: がん患者に対するリハビリテーションを行うにつき十分な経験を有する専任の常勤医師が1名以上配置されていること
- 専従常勤PT/OT/ST: 同様に十分な経験を有する専従の常勤理学療法士、常勤作業療法士又は常勤言語聴覚士が2名以上配置されていること
- リハビリテーション計画: 対象患者についてリハビリテーション総合計画評価料に規定するリハビリテーション計画を月1回以上作成していること
- 専用施設: がん患者に対するリハビリテーションを行うにつき十分な専用施設を有していること
- 器械・器具: がん患者に対するリハビリテーションを行うにつき必要な器械・器具が具備されていること
| 職種 | 配置要件 |
|---|---|
| 専任の常勤医師 | 十分な経験を有する者が1名以上 |
| 専従の常勤理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | 十分な経験を有する者が合計2名以上 |
みらい(新人医療事務)
「十分な経験」って、具体的にどういう基準なんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項の別紙(施設基準通知)では、リハビリテーションに関して十分な経験を有すること、かつがん患者のリハビリテーションに関して適切な研修を修了していることの両方を満たす必要があるとされています。研修は医療関係団体等が主催し、通算14時間程度で、周術期リハビリテーションや化学療法・放射線療法中のリハビリテーション、摂食・嚥下・コミュニケーション障害への対応など複数のテーマを含むものと定められています。研修を修了した記録が保管されているかどうかも、届出の前に確認しておきたいポイントです。
みらい(新人医療事務)
常勤の先生じゃないとダメなんですか?
あおい(元・医療事務)
原則は専任の常勤医師ですが、留意事項では週3日以上常態として勤務し、所定労働時間が週22時間以上の専任の非常勤医師(がん患者リハビリテーションに十分な経験を有する医師に限る)を、常勤医師数に算入できる取扱いもあります。この点は施設基準通知の具体的な計算方法まで踏み込んで確認する必要があります。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、そのまま算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは断定できません。留意事項通知では「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において算定する」と明記されています。施設基準を満たしているだけでなく、地方厚生(支)局への届出が受理されていることが前提です。
届出なしでの算定は避けてください
施設基準を満たしていても、地方厚生(支)局への届出が受理されていなければ、がん患者リハビリテーション料の算定候補にはなりません。届出の受理年月日を院内で必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
届出の様式はどこで確認すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
届出の手続き自体は、厚生労働省の施設基準の届出に関する通知(基本診療料・特掲診療料それぞれの手続き通知)に様式が示されています。自院がすでに他の施設基準を届け出ている場合でも、がん患者リハビリテーション料は別途の届出が必要になりますので、既存の届出一覧と照らし合わせて確認しておくと安心です。
算定要件・注意点(併算定制限など)
みらい(新人医療事務)
算定するときに、他に気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかありますよ。まず、がん患者リハビリテーションを行う際には、医師の診察結果に基づき、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・社会福祉士等の多職種が共同してリハビリテーション計画を作成し、「H003-2」リハビリテーション総合計画評価料1を算定していることが前提になります。
併算定できない項目に注意
がん患者リハビリテーション料を算定している患者については、疾患別リハビリテーション料及び「H007」障害児(者)リハビリテーション料は別に算定できません。レセプト作成時に重複算定していないか確認してください。
みらい(新人医療事務)
計画の説明はどのタイミングで必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
がん患者リハビリテーションの開始時、そしてその後3か月に1回以上、患者又はその家族等に実施計画の内容を説明し、その要点を診療録等に記載することとされています。説明した日付と内容がカルテに残っているかどうかは、レセプト確認の際にチェックしておきたい項目です。
みらい(新人医療事務)
キャンサーボードへの参加も必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項では「がんのリハビリテーションに従事する者は、積極的にキャンサーボードに参加することが望ましい」とされています。「望ましい」という表現なので、算定の必須要件ではありませんが、体制として推奨されている内容ですね。
みらい(新人医療事務)
一連のがん治療の途中で再入院したり、手術後にまたリハビリテーション総合計画評価料1を算定する場面もあると思うんですが、その場合はどう扱えばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年9月2日の疑義解釈資料の送付について(その12)の問11・問12で示されている内容ですね。一連のがん治療を行っている期間中に、同一医療機関で再入院時又は手術後等にリハビリテーション総合計画評価料1を再度算定する場合は、「2回目以降の場合」として算定するとされています。
みらい(新人医療事務)
「初回の場合」ではなく「2回目以降の場合」になるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和8年3月23日事務連絡)別添1の問42では、リハビリテーション起算日が再設定され、改めてリハビリテーション総合実施計画書を作成・評価等を行った場合には「初回の場合」を算定するとされていましたが、がん患者リハビリテーション料に関しては、一連のがん治療を行っている期間中の再算定は「2回目以降の場合」として整理する、と疑義解釈資料(その12)で明確にされています。
みらい(新人医療事務)
では、がん患者リハビリテーション料そのものの算定要件としては、リハビリテーション総合計画評価料1を再入院のたびに算定し直す必要があるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、疑義解釈資料(その12)の問12では、一連のがん治療に係るがん患者リハビリテーション料について、同一医療機関でリハビリテーション総合計画評価料1を一度算定していれば、その要件を満たすとされています。つまり、再入院時や手術後等に改めてリハビリテーション総合計画評価料1を算定し直す必要はない、という整理です。
疑義解釈資料の送付について(その12)問11・問12(令和8年9月2日 保険局医療課事務連絡)
- 問11: 一連のがん治療を行っている期間において、同一医療機関で再入院時又は手術後等にリハビリテーション総合計画評価料1を再度算定する場合は「2回目以降の場合」として算定する
- 問12: 一連のがん治療に係るがん患者リハビリテーション料については、同一医療機関において、リハビリテーション総合計画評価料1を一度算定していれば、当該要件を満たす(再入院・手術後等での再算定は不要)
みらい(新人医療事務)
一連のがん治療を続けている患者さんが多い病院ほど、この整理は確認しておいた方がよさそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし「一連のがん治療」に該当するかどうかは個別のケースで判断が分かれることもありますので、判断に迷う場合は審査支払機関や地方厚生(支)局にも確認しておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わった点はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度診療報酬改定の全体概要資料や個別改定項目の公開資料を確認しましたが、がん患者リハビリテーション料そのものの点数・算定要件・施設基準について、明示的な変更点の記載は見当たりませんでした。前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省の令和8年度改定概要資料および告示・留意事項通知の範囲内)。
改定確認の範囲(令和8年度)
今回確認したのは、厚生労働省が公開している令和8年度診療報酬改定の全体概要資料と、区分番号H007-2に関する告示・留意事項通知の記載内容です。今後、疑義解釈や訂正通知が出た場合は内容が更新される可能性がありますので、最新の公式資料も併せてご確認ください。
みらい(新人医療事務)
変更がないなら、今まで通りの理解で大丈夫そうですね。
あおい(元・医療事務)
現時点で確認できる一次資料の範囲ではそうですね。ただし、施設基準の届出状況や人員配置は医療機関ごとに変わりますので、点数や要件が変わっていないからといって、自院が算定候補であるとは限りません。そこは別途の確認が必要です。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院がこの加算の算定候補になるかどうかは、何をどの順番で確認すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
私だったら、次の順番で確認しますね。
自院で確認する順番
-
対象患者の該当性を確認 — 入院中のがん患者で、手術・化学療法・放射線治療・造血幹細胞移植の予定/実施、または在宅緩和ケア中の症状増悪による一時入院・在宅復帰目的のリハビリのいずれかに該当するか
-
専任常勤医師の配置を確認 — がん患者リハビリテーションに十分な経験を有する専任の常勤医師が1名以上おり、必要な研修(通算14時間程度)を修了しているか
-
専従常勤PT/OT/STの配置を確認 — 十分な経験を有する専従の常勤理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が合計2名以上配置されているか
-
専用施設・器械器具を確認 — がん患者リハビリテーション専用の施設と、必要な器械・器具が具備されているか
-
届出状況を確認 — 地方厚生(支)局への施設基準届出が受理されているか、受理年月日はいつか
-
算定運用を確認 — リハビリテーション総合計画評価料1の算定、計画の説明・診療録記載、1日6単位の上限、疾患別リハ・H007との併算定制限が運用に反映されているか

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
よくある取り漏れのパターンってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
いくつか代表的なものがありますね。
よくある取り漏れ(令和8年度)
- リハビリテーション総合計画評価料1を算定せずに、がん患者リハビリテーション料だけを算定してしまう
- 対象患者の該当パターン(手術・化学療法等の予定/実施、または在宅緩和ケアからの一時入院)をカルテで明確にしないまま算定している
- 疾患別リハビリテーション料や「H007」障害児(者)リハビリテーション料と重複して算定してしまう
- 非常勤医師の常勤換算要件(週3日以上・週22時間以上等)を満たさないまま常勤医師数に算入してしまう
みらい(新人医療事務)
逆に、対象外の可能性が高いケースもありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。外来だけで完結しているがん患者さんへのリハビリや、マッサージ・温熱療法などの物理療法のみを行っているケースは、がん患者リハビリテーション料の対象外の可能性が高いです。この場合は別の区分(処置等)での算定を検討することになります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の該当パターンや人員配置、届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第71号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001675855.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/000433602.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その12)(令和8年9月2日 保険局医療課事務連絡) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001744953.pdf
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。加算の算定に際しては、施設基準の充足と届出の有効性を必ず自院で確認してください。