みらい(新人医療事務)
先輩、リハビリの算定を確認していたら「摂食嚥下機能回復体制加算」という項目を見つけたんですけど、これってどういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
摂食機能療法(H004)の注3に規定されている加算ですよ。摂食機能または嚥下機能の回復に必要な指導管理を、施設基準に適合した体制で行った場合に、区分に応じて上乗せできる加算です。令和8年度(2026年度)の診療報酬でも、この位置づけは変わっていません。
みらい(新人医療事務)
「摂食機能療法」の中の加算なんですね。単独の項目じゃないんだ。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。摂食機能療法という基本の項目があって、その中で施設基準を満たして届出をしている医療機関だけが、追加で算定候補になる加算という位置づけです。まずは摂食機能療法そのものを算定できる体制があることが前提になります。
摂食嚥下機能回復体制加算とは
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
摂食機能療法の対象患者は、発達遅滞、顎切除及び舌切除の手術または脳卒中等による後遺症により摂食機能に障害がある患者、あるいは内視鏡下嚥下機能検査または嚥下造影によって嚥下機能の低下が確認できる患者とされています。摂食嚥下機能回復体制加算は、この摂食機能療法を担う体制のうち、より手厚い多職種連携の体制を評価する加算という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
「多職種連携」というのがポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。厚労省の留意事項通知では、摂食嚥下支援チーム等による対応を開始する際に、当該患者の診療を担う医師、看護師等と共同のうえ、内視鏡下嚥下機能検査または嚥下造影の結果に基づいて摂食嚥下支援計画書を作成することが求められています。すでに摂食機能療法を実施中で計画書が作成されている場合は、そのチーム等による見直しでも差し支えないとされています。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
診療所でも病院でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、診療所・病院いずれも算定候補となり得る加算として整理されています。入院・外来のどちらでも対象になり得ますが、区分「ハ」の摂食嚥下機能回復体制加算3については、療養病棟入院料1または療養病棟入院料2を現に算定している患者に限る、という限定がある点に注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
区分によって対象患者の範囲が違うんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。区分1・2は入院・外来を問わず摂食機能療法を担う体制全般を想定していますが、区分3だけは療養病棟の患者に限定されています。自院がどの病棟・診療形態でこの加算を検討しているかによって、確認すべき区分が変わってきます。
点数・区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
厚労省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では、区分ごとに次のとおり定められています。
| 区分 | 名称 | 点数 |
|---|---|---|
| イ | 摂食嚥下機能回復体制加算1 | 210点 |
| ロ | 摂食嚥下機能回復体制加算2 | 190点 |
| ハ | 摂食嚥下機能回復体制加算3 | 120点 |

みらい(新人医療事務)
同じ加算なのに3段階もあるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。告示の原文では「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、摂食機能又は嚥下機能の回復に必要な指導管理を行った場合は、摂食嚥下機能回復体制加算として、当該基準に係る区分に従い、患者(ハについては、療養病棟入院料1又は療養病棟入院料2を現に算定しているものに限る。)」算定するとされています。体制の充実度に応じて区分1から3まで分かれていて、点数もそれに応じて異なる構造です。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準はどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料で確認できる範囲では、摂食嚥下支援チーム等の設置とその運用が中心になります。令和8年度の疑義解釈では「H004摂食機能療法の注3に規定する摂食嚥下機能回復体制加算1及び2の施設基準における、摂食嚥下支援チームの言語聴覚士が『専従』から『専任』とされた」と説明されています。つまり、体制を構成する言語聴覚士の関わり方についての基準が令和8年度改定で変わっています。
みらい(新人医療事務)
専従と専任って、何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料が明示している範囲では、専任は他の業務(たとえば疾患別リハビリテーションの専従・専任業務)と兼務できる余地がある区分です。実際に令和8年度の疑義解釈でも「摂食嚥下支援チームの業務に支障がない範囲であれば差し支えない」と、他の業務との兼務が認められています。ただし兼務の可否や範囲は個別事情によって変わり得るので、詳細な線引きは自院の状況をもとに公式資料で確認したほうが確実です。
みらい(新人医療事務)
検査やカンファレンスの頻度についても決まりがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知では「アを実施した患者について、月に1回以上、内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影を実施すること。当該検査結果等を踏まえて、摂食嚥下支援チーム等により、摂食嚥下支援計画書等の見直しに係るカンファレンスを週に1回以上行うこと」とされています。月1回以上の検査と週1回以上のカンファレンスが、体制として求められる要件です。
みらい(新人医療事務)
記録面でも何か求められていますか?
あおい(元・医療事務)
「注3」に掲げる摂食嚥下機能回復体制加算を算定するに当たっては、FIM(機能的自立度評価法)及びFOIS(Function Oral Intake Scale)を測定することが留意事項通知に明記されています。摂食嚥下支援計画書についても、その内容を患者またはその家族等に説明のうえ交付し、写しを診療録等に添付することが求められます。この記録・測定の運用が自院で回せるかどうかが、施設基準の確認ポイントの一つになります。
施設基準は区分ごとに要確認
摂食嚥下機能回復体制加算1・2・3は、それぞれ求められる体制の水準が異なります。当サイトが収録している一次資料の範囲では、専任配置・検査頻度・カンファレンス頻度・記録要件の骨格までは確認できますが、区分間の詳細な差(経口摂取回復率などの実績要件を含む)は個別の告示・通知の該当箇所で確認が必要です。資料に明記のない数値要件を推測で当てはめないよう注意してください。
届出
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、自動的に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは誤解しやすいところです。摂食嚥下機能回復体制加算は「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが前提になっています。体制が整っていても、地方厚生局への届出が受理されていなければ、算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
届出が受理されているかどうかは、どこで確認すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
自院が地方厚生局に提出した届出書類の控えと、受理された基準の区分(1・2・3のどれか)を確認するのが基本です。摂食機能療法自体を実施している医療機関でも、この加算の届出をしていなければ、摂食嚥下機能回復体制加算としては算定候補になりません。届出済みであれば候補になりますが、届出の有無は必ず自院で確認してください。
算定タイミング・回数制限・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングや回数の制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
摂食嚥下機能回復体制加算は、摂食機能療法(1日につき算定する項目)の注3として、当該基準に係る区分に従って算定するものです。摂食機能療法自体は、1については1月に4回に限り算定するなどの回数制限が定められています。摂食嚥下機能回復体制加算の算定タイミングも、この摂食機能療法の算定日と連動する構造になっています。
対象外の可能性がある点に注意
区分「ハ」の摂食嚥下機能回復体制加算3は、療養病棟入院料1または療養病棟入院料2を現に算定している患者に限られています。それ以外の病棟・診療形態の患者については、区分3は対象外の可能性があります。また、摂食嚥下支援チームの職種構成や検査・カンファレンスの頻度を満たしていない場合も、要確認の状態にとどまります。自院の体制がどの区分の要件を満たしているかは、一次資料と自院の実態を照らし合わせて個別に確認してください。
みらい(新人医療事務)
併算定については何か決まりがありますか?
あおい(元・医療事務)
摂食嚥下機能回復体制加算は摂食機能療法の注加算という位置づけなので、摂食機能療法そのものを算定していることが前提になります。他の入院料や加算との組み合わせの可否については、告示・通知の該当箇所で個別に規定されている場合があるため、資料に明記のない組み合わせを自己判断で決めつけないことが大切です。判断に迷う組み合わせがあれば、公式資料または審査支払機関に確認することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、令和8年度の疑義解釈で明確に示されている変更点があります。摂食嚥下機能回復体制加算1及び2の施設基準における摂食嚥下支援チームの言語聴覚士の位置づけが「専従」から「専任」に変更されました。これに伴い、令和4年7月13日事務連絡(疑義解釈その18)の該当する問1は廃止されています。
みらい(新人医療事務)
専従から専任に変わったことで、現場にはどんな影響があるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料が明示している範囲では、専任の常勤言語聴覚士は、疾患別リハビリテーションの専従または専任の言語聴覚士を兼ねることが、摂食嚥下支援チームの業務に支障がない範囲で認められるようになりました。これが負担軽減につながるかどうかは医療機関ごとの体制によって異なるため、この記事では「兼務の余地が制度上示された」という事実の範囲にとどめてお伝えします。
改定前後の位置づけ(令和8年度改定)
- 令和8年度改定前: 摂食嚥下支援チームの言語聴覚士は「専従」の位置づけ
- 令和8年度改定後: 摂食嚥下支援チームの言語聴覚士は「専任」の位置づけに変更(令和8年3月23日付疑義解釈で明示)
みらい(新人医療事務)
点数自体は変わっていないんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和8年度告示の点数(1が210点、2が190点、3が120点)について、前回改定からの変更を示す記載は確認されていません。施設基準の人員配置の考え方に変更があった一方で、点数区分そのものの見直しは、この記事の確認範囲では見つかっていません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の要件を踏まえると、次の順番で確認するのが分かりやすいと思います。
自院で確認する順番
- 対象患者の確認 — 摂食機能に障害がある患者、または内視鏡下嚥下機能検査・嚥下造影で嚥下機能の低下が確認できる患者が、自院に該当するか確認する
- 摂食嚥下支援チームの体制を確認 — 医師・看護師等と共同で対応する体制があるか、専任の言語聴覚士等の配置ができているかを確認する
- 検査・カンファレンス体制を確認 — 月1回以上の内視鏡下嚥下機能検査または嚥下造影、週1回以上のカンファレンスを継続して実施できる体制があるか確認する
- 記録・計画書の運用を確認 — 摂食嚥下支援計画書の作成・説明・交付、FIM及びFOISの測定を診療録等に記録できる運用になっているか確認する
- 区分(1・2・3)の該当を確認 — 自院の体制がどの区分の要件を満たすか、療養病棟の患者に限定される区分3に該当するかを確認する
- 届出状況を確認 — 地方厚生局への届出が受理されているか、届出書類の控えで確認する

みらい(新人医療事務)
体制面の確認と届出の確認、両方必要なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。体制が整っていても届出をしていなければ算定候補にはなりませんし、逆に届出をしていても実際の運用(検査頻度やカンファレンス頻度、記録)が伴っていなければ、審査で確認が求められることもあり得ます。両方をセットで確認する意識が大切です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある取り漏れってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかパターンがあります。整理してみますね。
よくある取り漏れ
- 区分の思い込み: 「摂食嚥下機能回復体制加算を届け出ている」というだけで、実際にどの区分(1・2・3)で届出しているかを確認せずに算定してしまうケース
- 区分3の対象患者の誤認: 療養病棟入院料1・2を現に算定していない患者に区分3を当てはめてしまうケース
- 検査・カンファレンス頻度の未達: 月1回以上の内視鏡下嚥下機能検査・嚥下造影や、週1回以上のカンファレンスが、体制はあっても実運用で継続できていないケース
- 記録の抜け漏れ: 摂食嚥下支援計画書の患者・家族への説明記録、FIM及びFOISの測定記録が診療録等に残っていないケース
みらい(新人医療事務)
どれも「体制はあるけど運用が伴っていない」パターンが多いですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。施設基準は届出の時点だけでなく、日々の運用が要件を満たし続けているかどうかも重要です。定期的に自院でチェックする仕組みを作っておくと、取り漏れや逆に要件未達のまま算定してしまうリスクの両方を防ぎやすくなります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。摂食嚥下支援チームの体制や検査・カンファレンスの実施状況、届出の有無を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連するリハビリテーション総合計画評価料や胃瘻造設時嚥下機能評価加算を届け出ている医療機関では、あわせて確認しておくと体制の全体像を把握しやすくなります。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚労省公式資料(いずれも令和8年度)を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは、必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)は、令和8年度診療報酬改定に関する厚生労働省の特設ページから確認できます: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 疑義解釈資料の送付について(その1)(令和8年3月23日 事務連絡): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001678310.pdf
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。