みらい(新人医療事務)
精神科のクリニックで働き始めたばかりなんですが、「精神科継続外来支援・指導料」ってレセプトによく出てくるのに、何のための点数なのかいまいちわかっていなくて…。教えてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。精神科継続外来支援・指導料(I002-2)は、通院している精神疾患の患者さんに対して、精神科の医師が病状や服薬状況、副作用の有無などを継続的に確認する支援を評価した点数です。令和8年度(2026年度)の医科点数表でも、55点(1日につき)として設けられています。
みらい(新人医療事務)
「継続」って名前についているのが気になります。初診の患者さんにも使えるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要なところです。厚生労働省の留意事項通知には「精神科継続外来支援・指導料は、初診時(「A000」初診料の「注5」のただし書に規定する初診を含む。)は算定できないものとする」と明記されています。つまり初診の日には算定候補になりません。通院を継続している患者さんが対象になる点数、という理解でよさそうですね。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関の、どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトの整理では診療所・病院どちらの外来でも対象になり得ますが、大前提として「精神科を標榜する保険医療機関」であることが必要です。留意事項通知の表現をそのまま引くと、次のようになっています。
対象患者の定義(留意事項通知より)
「精神科継続外来支援・指導料とは、入院中の患者以外の患者であって、精神疾患を有するものに対して、精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が、精神障害者の地域生活の維持や社会復帰に向けた支援のため、患者又はその家族等の患者の看護や相談に当たる者に対して、病状、服薬状況及び副作用の有無等の確認を主とした支援を継続して行う場合を評価したものである」
みらい(新人医療事務)
入院中の患者さんは対象外なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。「入院中の患者以外の患者について」という前提が告示の注1にも留意事項にも繰り返し出てきます。外来で通院している患者さんが対象で、精神科を担当する医師が病状・服薬状況・副作用の有無等の確認を主とした支援を行った場合に、患者1人につき1日1回に限り算定する、という構成です。
点数の組み立て(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数は55点だけなんですか? それとも加算みたいなものもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
基本の55点に加えて、条件を満たせば上乗せできる加算が2種類あります。まとめると次のようになります。
| 項目 | 点数 | 算定単位・条件 |
|---|---|---|
| 精神科継続外来支援・指導料(基本点数) | 55点 | 1日につき、患者1人1日1回に限る |
| 療養生活環境整備支援加算(注3) | +40点 | 医師の指示の下、保健師・看護師・作業療法士・精神保健福祉士が療養生活環境整備の支援を行った場合 |
| 特定薬剤副作用評価加算(注4) | +25点 | 抗精神病薬服用中の患者に定量的な副作用評価を行った場合、月1回に限る |
みらい(新人医療事務)
この表、令和8年度の内容ってことでいいんですよね?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。この表は令和8年度(2026年度)の医科点数表告示の内容を整理したものです。年度が変わると点数や算定要件が変わる可能性があるため、必ず最新の告示・通知でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
療養生活環境整備支援加算は、医師じゃなくて保健師さんとかがやってもいいんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。告示の注3には「医師による支援と併せて、精神科を担当する医師の指示の下、保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士が、患者又はその家族等に対して、療養生活環境を整備するための支援を行った場合は、40点を所定点数に加算する」とあります。医師の指示のもとで行うことが条件になっている点は見落としやすいので、自院での運用フローに指示の記録が組み込まれているか確認しておきたいところです。
特定薬剤副作用評価加算の注意点
みらい(新人医療事務)
特定薬剤副作用評価加算は月1回って書いてありますけど、何か細かい条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。留意事項通知(5)には、抗精神病薬を服用中の患者について、精神保健指定医又はこれに準ずる者が薬原性錐体外路症状評価尺度を用いて定量的かつ客観的な評価を行った上で薬物療法の治療方針を決定し、その結果と決定した治療方針を診療録に記載した場合に月1回に限り算定する、という条件が明記されています。さらに、同じ月に「I002」通院・在宅精神療法の注5に規定する特定薬剤副作用評価加算を算定している患者については、この加算は算定できないとも明記されています。
特定薬剤副作用評価加算の算定条件(留意事項通知より)
「「注4」に定める特定薬剤副作用評価加算は、抗精神病薬を服用中の患者について、精神保健指定医又はこれに準ずる者が、通常行うべき薬剤の副作用の有無等の確認に加え、更に薬原性錐体外路症状評価尺度を用いて定量的かつ客観的に薬原性錐体外路症状の評価を行った上で、薬物療法の治療方針を決定した場合に、月1回に限り算定する。この際、別紙様式33に準じて評価を行い、その結果と決定した治療方針について、診療録に記載すること」
重複算定に関する注意
留意事項通知には「同一月に「I002」通院・在宅精神療法の「注5」に規定する特定薬剤副作用評価加算を算定している患者については、当該加算は算定できない」と明記されています。同月内で通院・在宅精神療法(I002)の特定薬剤副作用評価加算をすでに算定している患者では、こちらの加算は算定候補になりません。レセプト作成時に同月の算定状況を必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
抗うつ薬や抗精神病薬をたくさん出す場合にも、何か注意点があると聞きました。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。告示の注2・注5に多剤投与に関する規定があります。
多剤投与に関する算定制限(告示より)
注2「当該患者に対して、1回の処方において、3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬を投与した場合(臨時の投薬等のもの及び3種類の抗うつ薬又は3種類の抗精神病薬を患者の病状等によりやむを得ず投与するものを除く。)には、算定しない」
注5「当該患者に対して、1回の処方において、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬を投与した場合(注2に規定する場合を除く。)であって、別に厚生労働大臣が定める要件を満たさない場合、所定点数の100分の50に相当する点数により算定する」
みらい(新人医療事務)
難しいですね…つまりどう考えればいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
順番に見ていきましょう。原則の多剤投与(抗不安薬・睡眠薬含む3種類以上等)に該当すると注2でそもそも算定しない扱いになり、注2の除外要件に当てはまる一部のケース(3種類の抗うつ薬・抗精神病薬をやむを得ず投与する場合等)では、別に定める要件を満たすかどうかで100分の50に減算されるかどうかが変わってきます。処方内容によって算定の可否や点数が変わる可能性があるため、多剤処方をしている患者さんについては個別に確認が必要です。

施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この点数を算定するのに、施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した留意事項通知の範囲では、精神科継続外来支援・指導料の基本点数そのものについて、個別の施設基準届出を求める記載は見当たりません。当サイトの整理でも「届出: 不要」として扱っています。ただし、これはあくまで当サイトが収集した資料の範囲での整理であり、届出の要否は保険医療機関ごとの状況によって変わり得るため、最終的には自院の届出状況を審査支払機関等に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
施設基準っぽいものが全く出てこないわけではないんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。留意事項通知(9)には、「「注5」に定める別に厚生労働大臣が定める要件は、特掲診療料の施設基準等別表十の二の四に掲げるものを全て満たすものをいう」とあります。これは注5の100分の50減算を避けるための要件であって、精神科継続外来支援・指導料そのものを算定するための施設基準ではありません。3種類以上の抗うつ薬・抗精神病薬を投与する患者さんがいる医療機関では、この要件を満たしているかどうかは確認が必要な論点になります。
施設基準・届出は自院での確認が必要です
基本点数に関する届出は当サイトが収集した資料の範囲では不要と整理していますが、注5の減算除外要件(特掲診療料の施設基準等別表十の二の四)を満たしているかどうかまでは、当サイトの一次資料の範囲では個別の充足状況を判定できません。自院の体制がこの要件に該当するかは、必ず自院・審査支払機関でご確認ください。
算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
同じ日に他の精神科の治療をした場合、この点数も一緒に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこも整理しておきたいポイントです。留意事項通知(6)には「他の精神科専門療法と同一日に行う精神科継続外来支援・指導に係る費用は、他の精神科専門療法の所定点数に含まれるものとする」とあります。つまり同日に他の精神科専門療法を行った場合は、精神科継続外来支援・指導料は別立てで算定候補にはならず、その専門療法の点数に含まれる整理です。
みらい(新人医療事務)
診療録への記載についても何かルールがありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。留意事項通知(8)には「精神科継続外来支援・指導を行った場合は、その要点を診療録に記載する」とされています。支援の内容を記録に残しておくことは、算定の裏付けとしても重要になります。

自院で確認する順番
自院で確認する順番(令和8年度)
- 対象の患者さんが入院中ではなく、通院で精神疾患の治療を継続しているか確認する
- 精神科を担当する医師が、病状・服薬状況・副作用の有無等の確認を主とした支援を行っているか確認する
- その日が初診の日ではないかを確認する
- 同じ日に他の精神科専門療法を算定していないか確認する
- 抗うつ薬・抗精神病薬等の処方内容が3種類以上に該当しないか、該当する場合は注2・注5の取扱いを確認する
- 保健師等による療養生活環境整備支援や、特定薬剤副作用評価加算の対象になり得るかを確認する
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、この点数に変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収集している一次資料の範囲では、精神科継続外来支援・指導料について令和6年度(2024年度)改定時の一次資料が確認できておらず、前回改定からの変更点は確認できていません(確認日: 2026年7月)。「変更がなかった」と断定するのではなく、「当サイトの確認範囲では変更点を確認できていない」という状態としてご理解ください。
改定差分の確認について
令和6年度(2024年度)改定時点の資料が当サイトのデータベースに存在しないため、点数・算定要件・施設基準のいずれについても前回改定との比較ができていません。前回改定からの変更の有無を確認したい場合は、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定に関する公式資料(個別改定項目について等)を直接ご確認ください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取りこぼしってどんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか整理してみますね。
取り漏れが起きやすいポイント
療養生活環境整備支援加算(注3)は、医師の指示のもとで保健師等が支援した場合にしか算定候補になりませんが、指示の記録が残っていないと後から算定根拠を示しにくくなります。特定薬剤副作用評価加算(注4)は月1回という回数制限に加えて、通院・在宅精神療法(I002)側の同種加算との重複算定不可のルールがあるため、同月内の算定状況の確認が抜けやすいところです。また、同日に他の精神科専門療法を行った場合はこの点数が別立てで算定候補にならない点も、レセプト作成時に見落としやすいポイントです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか気になる点を質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番に答えていきますね。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者さんには、この点数はまったく関係ないんですか?
あおい(元・医療事務)
告示・留意事項ともに「入院中の患者以外の患者について」と明記されているため、入院中の患者さんは対象になりません。外来通院中の患者さんが対象になる点数です。
みらい(新人医療事務)
医師以外が支援を行った場合は、基本の55点自体が算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
基本点数の55点は「精神科を担当する医師」が支援を行った場合の点数です。保健師等による支援は、医師の指示のもとで行われた場合に限り、別枠の療養生活環境整備支援加算(+40点)の対象になり得るという整理です。基本点数と加算の主体が異なる点を混同しないようにしたいですね。
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)と比べて点数は変わっていますか?
あおい(元・医療事務)
そこは先ほどお伝えしたとおり、当サイトが収集している一次資料の範囲では令和6年度(2024年度)改定時点の資料が確認できておらず、比較ができていません。正確な前回改定との異同を確認したい場合は、厚生労働省の公式資料を直接ご参照ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。