精神科退院指導料とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「精神科退院指導料」って初めて聞いたんですけど、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)現在の診療報酬では、精神科に入院している患者さんの退院に向けて、多職種で退院後の生活を支える計画を作り、説明する取り組みを評価する項目です。対象は精神科病棟に入院している患者さんで、外来では算定できません。厚労省の告示には「入院期間が1月を超える精神障害者である患者又はその家族等に対して、精神科の医師、看護師、作業療法士及び精神保健福祉士が共同して、退院後に必要となる保健医療サービス又は福祉サービス等に関する計画を策定し、当該計画に基づき必要な指導を行った場合に、当該入院中1回に限り算定する」と定められています。
みらい(新人医療事務)
「入院期間が1月を超える」というのがまず条件になるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。入院してすぐの患者さんは対象になりません。1か月を超えて入院している精神障害者の患者さん、またはその家族等が対象です。退院後の治療計画や療養上の注意点を、多職種チームでまとめて説明する、という一連のプロセスに対する評価だとイメージしてください。
みらい(新人医療事務)
診療所でも病院でも算定できる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、精神科を標榜している保険医療機関であれば、診療所・病院のどちらでも算定候補になります。ただし入院中の患者さんが対象なので、実際には精神科病棟を持つ医療機関での算定が中心になります。外来・在宅の患者さんは対象外です。
対象医療機関・対象患者を確認する
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関や患者さんの範囲を、もう少し詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
対象医療機関の要件は、要件データベースにこう整理されています。「精神科退院指導料は、精神科を標榜する保険医療機関において、1月を超えて入院している精神疾患を有する者又はその家族等退院後の患者の看護に当たる者に対して算定する」とされています。つまり、①精神科を標榜していること、②対象患者が1か月を超えて入院していること、③指導の相手が患者本人か、退院後にその患者の看護に当たる家族等であること、の3点が軸になります。
みらい(新人医療事務)
「その家族等」というのは、必ずしも患者さん本人じゃなくてもいいということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。留意事項通知では「指導を行ったもの及び指導の対象が患者又はその家族等であるか等の如何を問わず」算定できるとされています。患者さん本人への説明でも、退院後に患者さんの看護に当たるご家族への説明でも、算定候補になり得るという整理です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、患者さんの状態によっては、ご家族への説明が中心になるケースもありそうですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。精神科の入院では、患者さん本人だけでなくご家族の理解・協力が退院後の生活に直結することが多いので、そうした運用実態を踏まえた要件になっていると考えられます。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数とコードを具体的に確認したいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点の告示(区分番号I011)の内容は、こちらの表のようになります。
| 算定場面 | コード | 名称 | 点数 | 算定回数 |
|---|---|---|---|---|
| 退院指導 | I011 | 精神科退院指導料 | 320点 | 入院中1回限り |
| 退院時加算(1年超入院) | I011 注2 | 精神科地域移行支援加算 | +200点 | 退院時1回限り |

みらい(新人医療事務)
320点が基本で、さらに200点の加算があるということですね。この200点はどんな時につくんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注2にこう規定されています。「入院期間が1年を超える精神障害者である患者又はその家族等に対して、精神科の医師、看護師、作業療法士及び精神保健福祉士が共同して、退院後に必要となる保健医療サービス又は福祉サービス等に関する計画を策定し、当該計画に基づき必要な指導を行った場合であって、当該患者が退院したときに、精神科地域移行支援加算として、退院時に1回に限り200点を所定点数に加算する」。つまり、入院が1年を超えている患者さんが実際に退院したタイミングで、追加の200点が算定候補になるという整理です。
みらい(新人医療事務)
1か月超で320点、1年超でさらに200点、という2段階になっているんですね。
あおい(元・医療事務)
イメージとしてはそうですね。ただし精神科地域移行支援加算は「退院したとき」が条件なので、退院に至っていない段階では算定候補になりません。この点は自院のケースごとに確認が必要です。
施設基準・届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
この加算、届出とか施設基準ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
現時点で確認できる厚生労働省の一次資料(告示・通知)の範囲では、精神科退院指導料は特別な施設基準の届出は求められていません。届出が不要な区分として扱われています。ただし、これは「施設基準の届出」が不要という意味であって、算定要件(多職種の共同・文書作成・記録等)を満たしているかどうかは別途確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
届出がいらないなら、対象患者にはいつでも算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要です。届出は不要でも、精神科を標榜する保険医療機関であること、多職種(精神科の医師・看護師・作業療法士・精神保健福祉士)が実際に共同して計画を策定し、指導を行っていること、文書で記録が残っていることなど、算定要件そのものは満たす必要があります。「届出不要=無条件で算定できる」ではなく、「毎回の算定要件充足の確認が必要」という理解が安全です。
届出不要でも要件確認は必須
精神科退院指導料は施設基準の届出は求められていませんが、多職種共同・文書作成・交付・診療録添付などの算定要件は毎回満たす必要があります。届出が不要だからといって、要件確認を省略しないようにしましょう。
算定タイミング・回数制限・注意点
みらい(新人医療事務)
算定できる回数やタイミングについて、もう少し詳しく知りたいです。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知にはこう書かれています。「精神科退院指導料は、指導を行ったもの及び指導の対象が患者又はその家族等であるか等の如何を問わず、算定の基礎となる退院につき、1回に限り当該患者の入院中に算定する」。つまり、1回の入院・1回の退院につき、精神科退院指導料は1回だけが算定候補になるということです。
みらい(新人医療事務)
同じ入院中に何度も指導をしても、算定できるのは1回だけなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。複数回にわたって指導を行ったとしても、算定の基礎となる退院につき1回が上限です。また、留意事項通知では「入院の日及び入院期間の取扱いについては、入院基本料における取扱いと同様である」とも定められています。入院期間のカウント方法に迷ったときは、入院基本料の取扱いと同じルールで確認するとよいでしょう。
みらい(新人医療事務)
退院の形によって、算定できないケースもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には、死亡退院の場合や、他の病院・診療所へ入院するために転院した場合についての個別の取扱いも規定されています。この部分は資料の記載が細かいため、該当するケースがある場合は必ず留意事項通知の原文で確認することをおすすめします。
算定タイミングの注意点
- 精神科退院指導料は1回の退院につき1回限りの算定候補です(入院中に複数回指導しても回数は増えません)
- 精神科地域移行支援加算(+200点)は入院期間が1年を超え、かつ実際に退院したときに限り、退院時1回の算定候補になります
- 死亡退院・転院の場合の取扱いは個別規定があるため、該当時は留意事項通知の原文を確認してください
精神科地域移行支援加算とのセット確認
みらい(新人医療事務)
さっきの200点の加算、精神科退院指導料とはどういう関係になるんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科地域移行支援加算は、精神科退院指導料の「注2」として規定されている加算です。ベースとなる精神科退院指導料(320点)の算定要件を満たした上で、対象患者の入院期間が1年を超えており、多職種共同で作成した計画に基づく指導を行い、実際に退院した場合に、退院時1回限りで200点が上乗せの算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
つまり、精神科退院指導料と精神科地域移行支援加算はセットで確認するのがいいんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。入院期間が1か月超1年以内であれば精神科退院指導料(320点)のみが算定候補、1年を超えて実際に退院した場合は精神科退院指導料に加えて精神科地域移行支援加算(+200点)も算定候補になり得る、という整理で確認するとわかりやすいです。いずれも多職種共同での計画策定・指導という実施内容の要件充足が前提になります。
入院期間別の算定候補の整理(令和8年度)
入院期間が1か月超1年以内: 精神科退院指導料(320点)が算定候補 入院期間が1年超・かつ退院時: 精神科退院指導料(320点)+ 精神科地域移行支援加算(200点)が算定候補 入院期間が1か月以内: どちらも対象外の可能性
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この加算って何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
本記事で参照した令和8年度の一次資料(告示第69号、留意事項通知)の確認範囲では、精神科退院指導料そのものの点数(320点)や算定要件の記載内容に関する変更は確認されていません(確認日: 2026-07・厚労省一次情報ベース)。令和8年度の精神科領域の改定では、病棟類型の見直しなど他の項目で大きな動きがありましたが、精神科退院指導料の点数・算定要件自体が変更されたという情報は、参照した一次資料の範囲では見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
他の精神科の項目では変更があったんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度改定では精神科領域全体で見直しが行われていますが、それは精神科退院指導料とは別の区分(病棟の入院料や関連加算など)に関するものです。精神科退院指導料自体に固有の変更点があるかどうかは、今後の疑義解釈や訂正通知も含めて、厚労省の一次資料を継続的に確認する必要があります。
改定差分まとめ(令和8年度・確認範囲)
| 項目 | 確認結果(令和8年度) |
|---|---|
| 点数(320点) | 参照した告示・留意事項通知の範囲で変更は確認されていません |
| 算定要件(多職種共同・文書作成等) | 参照した告示・留意事項通知の範囲で変更は確認されていません |
| 施設基準・届出 | 引き続き届出不要の扱い(確認範囲内) |
算定上の注意点・よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でつまずきやすいポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。特に多いのはこちらです。
算定上の注意点
- 入院期間が1月を超えているかの確認が抜けやすいです。入院直後の指導は対象外の可能性があります
- 多職種共同が要件です。医師・看護師・作業療法士・精神保健福祉士のいずれかが欠けた形での実施は、要件充足の確認が必要です
- 文書の作成・交付・診療録への添付が必要です。口頭のみの説明では要件を満たさない可能性があります
- 精神科地域移行支援加算は「退院時」が条件です。入院期間が1年を超えていても、退院していなければ加算の対象外の可能性があります
- 算定は退院につき1回限りです。同一入院中に複数回指導しても、回数は増えません
よくある取り漏れポイント
- 入院期間1か月超の患者さんへの指導実施を見落としているケース
- 文書(別紙様式24を参考とした様式)の作成・患者やご家族への交付・診療録への写しの添付が徹底されていないケース
- 入院期間が1年を超えていることに気づかず、精神科地域移行支援加算の算定候補を見落としているケース
- 多職種のうち一部の職種のみで計画を策定し、共同要件の確認が不十分なケース
自院での確認手順
みらい(新人医療事務)
うちの病棟で算定候補になるか確認するには、どんな順番で見ればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
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精神科を標榜する保険医療機関か確認 — 精神科退院指導料は精神科標榜の医療機関が対象です
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対象患者の入院期間を確認 — 1か月を超えて入院している精神障害者の患者さんかどうかを確認します
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多職種チームの体制を確認 — 精神科の医師・看護師・作業療法士・精神保健福祉士が共同で計画策定・指導に関われる体制かを確認します
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文書の作成・交付・記録を確認 — 別紙様式24等を参考にした文書で説明し、患者又は家族等に交付、写しを診療録に添付しているかを確認します
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算定回数を確認 — 同一の退院につき、精神科退院指導料が1回のみ算定されているかを確認します
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入院期間1年超・退院の有無を確認 — 精神科地域移行支援加算(+200点)の算定候補になるケースがないか、退院時に確認します

みらい(新人医療事務)
これだけ確認すればよさそうですね。もっと手軽に、うちの状況で確認できたらいいのに。
あおい(元・医療事務)
そんなときは、加算チェッカーが便利ですよ。自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できます。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する 精神科入退院支援加算 や 精神科地域移行実施加算 も同じ精神科領域の加算として合わせて確認しておくと、届出や体制の確認漏れを見つけやすくなります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問も聞いておきたいです。外来の患者さんには算定できないんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、精神科退院指導料は入院中の患者さんが対象です。告示・留意事項通知のいずれにも、外来患者を対象とする記載はありません。外来での退院後フォローについては、別の項目(精神科訪問看護・指導料など)の確認が必要になります。
みらい(新人医療事務)
「その家族等」に指導した場合と、患者さん本人に指導した場合で、点数は変わりますか?
あおい(元・医療事務)
変わりません。留意事項通知では「指導を行ったもの及び指導の対象が患者又はその家族等であるか等の如何を問わず」算定するとされており、指導の相手が患者本人か家族等かによって点数区分が変わる規定は確認できません。
みらい(新人医療事務)
精神科地域移行支援加算だけを、精神科退院指導料と別に単独で算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
告示上は精神科退院指導料の「注2」として規定されている加算ですので、精神科退院指導料の算定要件を満たした上での加算という位置づけです。単独での算定候補になるかどうかは、告示・留意事項通知の原文と自院の状況を照らし合わせて確認することをおすすめします。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)区分番号I011 精神科退院指導料 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号・医科点数表・0619訂正後版)I011 精神科退院指導料 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713882.pdf
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。多職種共同の実施体制と文書作成・記録が要件を満たしているかを必ず自院で確認してください。