精神科退院前訪問指導料とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「精神科退院前訪問指導料」って初めて見たんですけど、どんな加算ですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬で、精神科を標榜する保険医療機関に入院している精神疾患の患者さんの退院を円滑にするための加算です。患家や精神障害者施設、小規模作業所等を訪問して、患者さんの病状・生活環境・家族関係等を踏まえながら、退院後の療養上の指導や在宅療養に向けた調整を行った場合に算定します。
みらい(新人医療事務)
「精神科退院指導料」という似た名前の加算もありますよね?別物ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、別物です。精神科退院指導料は院内で退院に向けた指導を行う加算で、こちらの精神科退院前訪問指導料は実際に患家等へ訪問して指導する点が違います。名前が似ているので混同しないよう注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
訪問して指導するのは誰でもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
医師の指示を受けた保険医療機関の保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士が訪問して指導を行った場合にも算定できるとされています。医師自身が訪問する場合に限定されていません。
対象患者の確認(誰に算定できますか?)
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
確認できた留意事項通知では、退院して患家に復帰する患者、または精神障害者施設に入所する患者が対象とされています。一方で、次のようなケースは対象外と明記されています。
対象外に明記されているケース(要確認)
留意事項通知には「医師又は看護師、作業療法士若しくは精神保健福祉士が配置されている施設に入所予定の患者は算定の対象としない」と記載されています。退院先が医療・福祉専門職の配置されたグループホームや施設である場合は、対象外となる可能性が高いため、退院先の体制を必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
退院先の情報は退院支援担当者に確認すればいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。退院先の施設にどんな職種が配置されているかまで確認しないと、算定候補かどうかの判断がつかないケースがあります。ここは自院の退院支援部門との連携が重要なポイントです。
点数・算定単位の確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点で確認できる点数はこちらです。
| 区分 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 精神科退院前訪問指導料(基本) | 380点 | 1回の訪問指導につき |
| 注2加算(複数職種が共同して訪問指導) | +320点 | 複数職種共同訪問時に所定点数へ加算 |

みらい(新人医療事務)
「複数職種が共同して」というのは、看護師と作業療法士が一緒に訪問するようなイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのイメージで合っています。ただし留意事項通知には「患者の社会復帰に向けた調整等を行うに当たり、必要があって複数の職種が共同して指導を行った場合に算定するものであり、単一の職種の複数名による訪問の場合は対象としない」とあります。同じ職種の人が2人で訪問しても、この加算は対象になりません。
みらい(新人医療事務)
交通費はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の注3に「指導に要した交通費は、患家の負担とする」と明記されています。患家に費用負担が生じる点は、事前に説明しておいたほうがよさそうです。
算定回数・算定タイミングの注意
みらい(新人医療事務)
何回でも算定できるわけではないんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。当該入院中3回(入院期間が6月を超えると見込まれる患者の場合は6回)に限るとされています。
算定タイミングは「退院日」に注意
留意事項通知には「指導を行ったもの及び指導の対象が患者又はその家族等であるか等の如何を問わず、1回の入院につき3回(当該入院期間が6月を超えると見込まれる患者にあっては、6回)に限り指導の実施日にかかわらず退院日に算定する」と記載されています。実際に訪問指導を行った日ではなく、退院日にまとめて算定する運用になっている点を見落とさないよう注意してください。
みらい(新人医療事務)
実施日と算定日がずれるのは、レセプト作成のときに混乱しそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。訪問記録は実施日ベースで残しつつ、レセプトの算定日は退院日に揃える、という運用ルールを事務局内で共有しておくと安心です。
施設基準・届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
この加算は施設基準の届出が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
確認できた留意事項通知の範囲では、精神科退院前訪問指導料に特有の施設基準や届出様式についての記載は見当たりませんでした。ただし、これは「届出不要と断定できる」という意味ではありません。念のため、自院が地方厚生局に提出している届出一覧の中に本加算に関する届出項目が含まれていないか、確認しておくことをおすすめします。
施設基準・届出は自院で最終確認を
一次資料で確認できた範囲に施設基準の記載がなくても、地方厚生局の運用や自院の届出状況によって取り扱いが異なる可能性があります。最終的な届出要否は、自院の届出書類・地方厚生局への確認で判断してください。
併算定の注意点(退院前訪問指導料との関係)
みらい(新人医療事務)
他の指導料と一緒に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
注意が必要な組み合わせがあります。留意事項通知には「退院前訪問指導料を算定した場合は、精神科退院前訪問指導料は算定できない」と明記されています。退院前訪問指導料は精神科に限らない一般の退院前訪問指導の加算ですが、同一入院で両方を算定することはできません。
みらい(新人医療事務)
どちらを算定するかは、何で決まるんですか?
あおい(元・医療事務)
どちらの要件に沿って訪問指導を行ったかで決まりますが、算定できるのはどちらか一方です。自院でレセプトを起こす際に、精神科の要件(患家等訪問・精神疾患患者の退院支援)に沿っているかを確認したうえで選択する必要があります。判断に迷う場合は、審査支払機関へ確認するのが確実です。
記録・運用上の留意点
みらい(新人医療事務)
訪問したら、何か記録しておく必要がありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知には「精神科退院前訪問指導を行った場合は、指導内容の要点を診療録等に記載する」とあります。訪問した日時・対応した職種・指導した内容の要点を、診療録に残しておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
他に気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「精神科退院前訪問指導に当たっては、当該保険医療機関における看護業務等に支障を来すことのないよう留意する」こと、また「保険医療機関は、精神科退院前訪問指導の実施に当たっては、保健所等の実施する訪問指導事業等関連事業との連携に十分配慮する」ことが記載されています。院内の人員配置や地域の保健所との連携体制も、運用面で意識しておくとよいポイントです。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)から何か変わった点はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた令和8年度の一次資料(告示・留意事項通知)の範囲では、精神科退院前訪問指導料そのものの点数・算定要件・算定回数の変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
精神科領域全体の見直しには要注意
令和8年度改定では精神科の退院支援・入退院に関する制度全体で見直しが行われているという情報もありますが、精神科退院前訪問指導料そのものの点数・算定要件が変わったという記載は、当サイトが確認した一次資料の範囲では見つかっていません。関連する加算の届出状況に変更がないか、念のため自院でも公式資料を確認しておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで算定候補になるか、どう確認していけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点でおすすめする確認の順番はこちらです。
自院で確認する順番
- 対象患者が、精神科に入院している精神疾患の患者であるかを確認する
- 退院先が「患家」または「医療・福祉専門職が配置されていない施設」であるかを確認する(配置がある施設入所予定なら対象外の可能性)
- 医師の指示のもと、保健師・看護師・作業療法士・精神保健福祉士等が実際に患家等を訪問して療養上の指導を行ったかを確認する
- 当該入院での算定回数が上限(3回、長期入院見込みは6回)を超えていないかを確認する
- 同一入院で退院前訪問指導料をすでに算定していないかを確認する
- 指導内容の要点を診療録に記載し、退院日に算定する

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に並べてもらえると、抜け漏れがないか確認しやすいです。
あおい(元・医療事務)
特に精神科の入院部門は退院支援担当者・地域連携室が情報を持っていることが多いので、事務だけで判断せず連携して確認するのがおすすめです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
よくある取り漏れ①: 算定日を実施日にしてしまう
訪問指導を行った日をそのまま算定日にしてしまうケースです。留意事項通知では「指導の実施日にかかわらず退院日に算定する」とされているため、複数回訪問していても算定日は退院日にまとめる必要があります。
よくある取り漏れ②: 退院前訪問指導料との重複算定
一般の退院前訪問指導料(b007)と精神科退院前訪問指導料は同一入院で併算定できません。どちらの要件で訪問したかを整理しないまま、両方をレセプトに載せてしまう取り漏れ・請求誤りが起こりやすいポイントです。
あおい(元・医療事務)
どちらも「後で気づいて修正が大変になる」パターンなので、退院支援のタイミングでチェックリスト化しておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
外来患者にも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
対象は「入院している」精神疾患の患者さんです。確認できた資料の範囲では、外来患者への適用は想定されていません。
みらい(新人医療事務)
同じ入院で3回より多く訪問した場合、4回目以降は算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
入院期間が6月を超えると見込まれる患者でなければ、当該入院中3回が上限です。4回目以降の訪問自体は行えますが、算定できる回数の上限には注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
家族だけに指導した場合でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「指導の対象が患者又はその家族等であるか等の如何を問わず」算定するとされているため、家族のみへの指導であっても回数の対象になります。ただし対象患者そのものの要件(退院先が患家または職員配置のない施設)は別途確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。