みらい(新人医療事務)
精神科の先生から「抗精神病特定薬剤治療指導管理料」を算定したいと言われたんですが、正直よくわかっていなくて…。これってどういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
統合失調症の患者さんに、持続性抗精神病注射薬剤(いわゆるLAI)や治療抵抗性統合失調症治療薬を投与しながら、計画的な医学管理と療養上必要な指導を行った場合に算定候補になる管理料です。令和8年度(2026年度)の医科点数表では「I013 抗精神病特定薬剤治療指導管理料」として、区分1と区分2の2階建てで整理されています。
みらい(新人医療事務)
2階建てってどういうことですか?
あおい(元・医療事務)
区分1は「持続性抗精神病注射薬剤治療指導管理料」、区分2は「治療抵抗性統合失調症治療指導管理料」です。同じ「I013」という番号の中に、性質の異なる2つの管理料が入っている構造になっています。それぞれ対象になる薬剤も要件も違うので、混同しないことが大切です。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
まず、どんな医療機関・患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、精神科を標榜する保険医療機関において、精神科を担当する医師が実施することが前提になっています。対象患者は、区分1が持続性抗精神病注射薬剤を投与している統合失調症患者、区分2が治療抵抗性統合失調症治療薬を投与している治療抵抗性統合失調症患者です。
区分1と区分2の対象の違い
- 区分1(持続性抗精神病注射薬剤治療指導管理料): 持続性抗精神病注射薬剤(LAI)を投与している統合失調症患者が対象
- 区分2(治療抵抗性統合失調症治療指導管理料): 治療抵抗性統合失調症治療薬を投与している治療抵抗性統合失調症患者が対象
みらい(新人医療事務)
「治療抵抗性統合失調症治療薬」って具体的に何を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
厚労省の留意事項通知に明記されていて、治療抵抗性統合失調症治療薬とはクロザピンをいう、とされています。区分2はクロザピンを投与している患者さんが対象という理解でよいと思います。ちなみに区分1で対象になる持続性抗精神病注射薬剤の具体的な種類については、留意事項通知で「別紙様式36を参考にすること」とされていますので、対象薬剤の判断に迷う場合は別紙様式36で確認するのが確実です。
みらい(新人医療事務)
入院患者と外来患者、両方対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
区分1のイは入院中の患者、区分1のロは入院中の患者以外の患者が対象になっていて、外来通院中の患者さんでも算定候補です。区分2については、留意事項通知の記載上「入院・外来」で分けた規定は見当たらず、治療抵抗性統合失調症治療薬を投与している患者であることが要件の中心になっています。個別のケースで入院・外来どちらに該当するかは、自院の運用と公式資料で確認してください。
点数・算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では、次のように整理されています。
| 区分 | 名称 | 対象 | 点数 |
|---|---|---|---|
| 1のイ | 持続性抗精神病注射薬剤治療指導管理料 | 入院中の患者 | 250点 |
| 1のロ | 持続性抗精神病注射薬剤治療指導管理料 | 入院中の患者以外の患者 | 250点 |
| 2 | 治療抵抗性統合失調症治療指導管理料 | 治療抵抗性統合失調症患者(要届出) | 500点 |

みらい(新人医療事務)
区分1のイとロは同じ250点なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。入院か入院外かで名称と算定できる回数の考え方は変わりますが、1回あたりの点数は同じ250点です。区分2の治療抵抗性統合失調症治療指導管理料は500点で、区分1より高い点数設定になっていますが、その分、施設基準の届出が要件になっています。
算定タイミング・回数制限
みらい(新人医療事務)
月に何回でも算定できるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、それぞれ回数の上限が決まっています。告示の注書きに具体的に記載されています。
回数制限(区分ごとに異なる・要確認)
- 区分1のイ(入院中の患者): 持続性抗精神病注射薬剤の投与開始日の属する月及びその翌月にそれぞれ1回に限り、当該薬剤を投与したときに算定
- 区分1のロ(入院中の患者以外): 月1回に限り、当該薬剤を投与したときに算定
- 区分2(治療抵抗性統合失調症治療指導管理料): 月1回に限り、当該薬剤を投与したときに算定
区分1のイは「投与開始月とその翌月にそれぞれ1回」という数え方なので、3か月目以降は同じ入院での区分1のイの算定はできない可能性があります。自院のレセプトで実際の算定パターンと照らし合わせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
併算定、つまり他の管理料と一緒に算定できるかどうかも気になります。
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えすると、当サイトが収集している一次資料の範囲では、他の医学管理料等との併算定可否について明示した記載は確認できていません。診療報酬は算定ルール上、同一月・同一患者に対する他の管理料との組み合わせに個別の制限がかかっていることが多い領域なので、断定はできません。併算定を検討する場合は、対象となる他の管理料の算定要件と合わせて、審査支払機関や地方厚生局に確認することをおすすめします。
施設基準・届出の要否
みらい(新人医療事務)
届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは区分1と区分2で扱いが異なるので、分けて説明しますね。
届出の要否(区分ごとに異なる)
- 区分1(持続性抗精神病注射薬剤治療指導管理料): 告示・留意事項通知を確認した範囲では、区分1に地方厚生局長等への届出を必須とする文言は見当たりません。ただし、精神科を標榜する保険医療機関で精神科担当医師が行うことが前提になっているため、自院が精神科標榜医療機関であるかは確認が必要です。
- 区分2(治療抵抗性統合失調症治療指導管理料): 告示の注書きに「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」において算定する、と明記されており、届出が要件になっています。
みらい(新人医療事務)
区分2の施設基準の中身、つまり人員配置とか具体的な条件はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直に言うと、当サイトが収集している一次資料の中には、区分2の施設基準の具体的な人員配置基準・体制要件までを記載した通知文は含まれていません。告示・留意事項通知で確認できるのは「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」という要件文言までです。施設基準の詳細な内容は、施設基準の届出様式や地方厚生局への確認が必要な未確認事項として扱ってください。
みらい(新人医療事務)
届出済みであれば、区分2は算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
届出済みで、かつ治療抵抗性統合失調症治療薬(クロザピン)を投与している患者さんに計画的な医学管理と療養上必要な指導を行った場合は、算定候補になります。ただし「届出済みであれば自動的に算定できる」という意味ではなく、対象患者の要件や指導内容の充足など、個別の要件を満たしているかの確認が別途必要です。
診療録への記載・レセプトの実務
みらい(新人医療事務)
算定する上で、記録面で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に、抗精神病特定薬剤治療指導管理料を算定する場合は、治療計画及び治療内容の要点を診療録に記載する、と明記されています。区分1・区分2どちらを算定する場合も、計画と指導内容を診療録に残しておくことが前提になります。
みらい(新人医療事務)
レセプトの摘要欄には何か書く必要がありますか?
あおい(元・医療事務)
厚労省が公表しているレセプト摘要欄記載事項の一覧に、区分ごとのコードが示されています。区分1(持続性抗精神病注射薬剤治療指導管理料)を算定した場合は「持精」、区分2(治療抵抗性統合失調症治療指導管理料)を算定した場合は「治統」というコードで摘要欄に記載する扱いになっています。レセプト担当の方は、どちらの区分を算定したかによってコードが変わる点を押さえておくとよいと思います。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定、つまり令和6年度からは何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの主な変更は、当サイトが収集している一次資料の範囲では確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省の告示・留意事項通知ベース)。点数区分(区分1が250点、区分2が500点)や算定要件の骨格に変更を示す一次資料は見当たりませんでした。
改定差分の確認範囲(令和6年度→令和8年度)
今回確認できたのは、令和8年度の告示・留意事項通知に記載された現行の点数・算定要件・施設基準要件のみです。前回改定(令和6年度)時点の該当条文との文言単位の突き合わせまでは、当サイトの収集資料の範囲では完了していません。改定による変更点を厳密に確認したい場合は、厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定の概要」等の一次資料もあわせてご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院で何をどの順番で確認すればいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で整理してみるとわかりやすいと思います。
自院で確認する順番
-
精神科標榜医療機関かどうか確認 — 留意事項通知では、精神科を標榜する保険医療機関において精神科担当医師が実施することが前提になっている
-
対象患者・対象薬剤の確認 — 持続性抗精神病注射薬剤(LAI)投与中の統合失調症患者か、クロザピン投与中の治療抵抗性統合失調症患者かを区別する(薬剤の具体的な種類は別紙様式36を参照)
-
区分1か区分2かの判定 — 入院中か入院外か、投与している薬剤の種類によって、算定する区分(1のイ・1のロ・2)を確認する
-
区分2の場合は届出状況を確認 — 治療抵抗性統合失調症治療指導管理料は地方厚生局長等への届出が要件。届出が受理されているかを確認する
-
計画的な医学管理と指導の実施記録を確認 — 治療計画及び治療内容の要点が診療録に記載されているか確認する
-
算定回数のカウントを確認 — 区分1のイは投与開始月とその翌月の各1回、区分1のロ・区分2は月1回が上限。レセプト上の算定履歴と照らし合わせる
-
レセプト摘要欄のコードを確認 — 区分1は「持精」、区分2は「治統」を摘要欄に記載する運用になっているか確認する

みらい(新人医療事務)
こうして順番に見ていくと、区分1と区分2をまず区別することが出発点なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。同じ「I013」でも中身が2つに分かれているので、どちらの話をしているのかを最初にはっきりさせると、その後の確認がぐっとスムーズになります。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場で見落としがちなポイントってありますか?
取り漏れが起きやすいポイント
- 区分1のイ(入院中)を、投与開始月とその翌月の2回だけでなく、3か月目以降も算定してしまっているケース
- 区分2(治療抵抗性統合失調症治療指導管理料)を、施設基準の届出が済んでいない状態で算定候補として扱ってしまうケース
- 治療計画・治療内容の要点を診療録に記載せずに算定してしまい、後から確認できなくなるケース
- レセプト摘要欄のコード(持精・治統)の記載漏れ
みらい(新人医療事務)
どれも、うっかりやってしまいそうです…。
あおい(元・医療事務)
特に区分1のイの回数管理と、区分2の届出状況の2つは優先して確認してほしいポイントです。どちらも公式資料に具体的な要件として明記されている部分なので、確認すれば判断がつきやすいところでもあります。
関連する加算もあわせて確認
みらい(新人医療事務)
他にも似たような精神科の管理料はありますか?
あおい(元・医療事務)
同じ精神科領域の管理料として、精神科在宅患者支援管理料や精神科退院指導料もあります。対象患者や算定場面は異なりますが、精神科の患者さんの医学管理という点では関連が深い加算です。自院で精神科の患者さんに関わる管理料を整理する際は、あわせて確認しておくとよいと思います。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな質問もまとめて聞いておきたいです。区分1と区分2を同じ月に両方算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
区分1(持続性抗精神病注射薬剤治療指導管理料)と区分2(治療抵抗性統合失調症治療指導管理料)は、対象になる薬剤・対象患者の要件がそれぞれ異なります。同一患者が同一月に両方の要件を同時に満たすケース自体が想定しにくく、また当サイトが収集している資料の範囲では、両区分の同時算定に関する明示の記載は確認できていません。個別のケースは審査支払機関や地方厚生局への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定できますか、それとも病院だけですか?
あおい(元・医療事務)
告示・留意事項通知の文言上、「診療所に限る」「病院に限る」といった医療機関種別の限定は見当たりません。精神科を標榜する保険医療機関であることが前提になっているので、診療所・病院いずれも、精神科標榜の有無と各区分の要件を満たすかどうかで判断することになります。
みらい(新人医療事務)
クロザピン以外の抗精神病薬を使っている場合、区分2の対象にはならないんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、治療抵抗性統合失調症治療薬とはクロザピンをいう、と明記されています。この記載を踏まえると、区分2はクロザピンを投与している患者さんが対象という理解になります。クロザピン以外の薬剤の場合は、区分1(持続性抗精神病注射薬剤の対象であれば)の対象になるかどうかを確認することになります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や対象患者・投与薬剤の状況を入力すると、確認すべきポイントが見えてきます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。