みらい(新人医療事務)
先生、今日は「児童思春期精神科専門管理加算」について教えてください。名前だけ聞くと難しそうです…。
あおい(元・医療事務)
そうですね。まずは基本から整理しましょう。これは通院・在宅精神療法(区分番号I002)の「注4」に規定されている加算で、20歳未満の患者さんに専門的な精神療法を行った場合に、所定点数に上乗せする形で算定候補になるものです。令和8年度(2026年度)の医科点数表でも同じ位置づけで規定されています。
みらい(新人医療事務)
「うちのクリニックでも算定候補になりますか?」ってよく聞かれるんですけど、答えに困っちゃって…。
あおい(元・医療事務)
それはまず対象医療機関の要件から確認する必要がありますね。順番に見ていきましょう。
児童思春期精神科専門管理加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算はどんな場面のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では、対象となる保険医療機関において通院・在宅精神療法を行った場合に、区分に従って所定点数に加算すると定められています。原文を見てみましょう。
告示の原文(区分番号I002 注4)
「特定機能病院若しくは区分番号A311-4に掲げる児童・思春期精神科入院医療管理料に係る届出を行った保険医療機関又は当該保険医療機関以外の保険医療機関であって別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、通院・在宅精神療法を行った場合は、児童思春期精神科専門管理加算として、次に掲げる区分に従い、いずれかを所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
つまり、対象になるかどうかは「どの医療機関か」がまず関わってくるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。読み解くと、対象医療機関は次の3パターンのいずれかに当てはまる保険医療機関です。
自院で確認する順番
- 特定機能病院である
- 区分番号A311-4「児童・思春期精神科入院医療管理料」に係る届出を行っている保険医療機関である
- 上記以外の保険医療機関で、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届出を行っている保険医療機関である
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックは病院ではないので、1番と2番には当てはまらなそうです。3番の「別に厚生労働大臣が定める施設基準」に適合して届出をしていれば、診療所でも算定候補になり得るということですか?
あおい(元・医療事務)
可能性としてはそうなりますが、施設基準の具体的な内容(人員配置や研修要件など)まで一次資料で細かく確認できていない部分もあります。断定はできないので、「届出済みかどうか」「施設基準に適合しているかどうか」は、自院の届出状況と地方厚生局への確認が欠かせません。
対象になる患者さん
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんの年齢にも決まりがあるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知(令和8年保医発0305第6号)にはこう書かれています。
留意事項通知の原文(17)
「『注4』に規定する児童思春期精神科専門管理加算は、児童思春期精神科の専門の医師(精神保健指定医に指定されてから5年以上にわたって主に20歳未満の患者に対する精神医療に従事した医師であって、現に精神保健指定医である医師をいう。)又は当該専門の医師の指導の下、精神療法を実施する医師が、20歳未満の患者(イについては16歳未満の患者に限る。)に対し、専門的な精神療法を実施した場合に算定する。」
みらい(新人医療事務)
「イ」と「ロ」で対象年齢が違うんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。区分「イ」は16歳未満の患者さんが対象、区分「ロ」は20歳未満の患者さんが対象になります。年齢だけでなく、実施する医師の要件も細かく決められているので、次で詳しく見ていきましょう。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の原文には、区分ごとに次のように点数が示されています。
| 区分 | 対象・条件 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| イ(1) | 16歳未満の患者。精神科を最初に受診した日から2年以内 | 500点 |
| イ(2) | 16歳未満の患者。(1)以外の場合 | 300点 |
| ロ | 20歳未満の患者。60分以上の通院・在宅精神療法(精神科を最初に受診した日から3月以内の期間に限る) | 1,200点 |

みらい(新人医療事務)
ロだけずいぶん点数が高いんですね。何か違いがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
ロは60分以上の専門的な精神療法という、より手厚い対応が前提になっているんです。ただし告示には「ロについては、1回に限り算定する」と明記されています。1人の患者さんに対して繰り返し算定できるものではない点に注意してください。
併算定の制限
告示の原文には「また、注3又は注10に規定する加算を算定した場合は、算定しない。」とあります。通院・在宅精神療法の他の年齢加算(注3・注10)とは同時に算定できない関係にあるため、レセプト作成時に確認が必要です。
ロ区分(60分以上の専門的な精神療法)の実施要件
みらい(新人医療事務)
ロの1,200点は要件が特に細かそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。留意事項通知の(18)に具体的な内容が書かれています。
留意事項通知の原文(18)
「『注4』のロについては、発達障害や虐待の有無等を含む精神状態の総合的な評価、鑑別診断及び療育方針の検討等が必要な者に対し、発達歴や日常生活の状況の聴取・行動観察等に基づく、60分以上の専門的な精神療法を実施すること。なお、実施に当たっては、以下の要件をいずれも満たすこと。ア 発達障害の評価に当たっては、ADI-R(Autism Diagnostic Interview‒Revised)やDISCO(The Diagnostic Interview for Social and Communication Disorders)等で採用されている診断項目を考慮すること。イ 患者及び患者の家族に、今後の診療計画について文書及び口頭で説明すること。」
みらい(新人医療事務)
ADI-RとかDISCOって、初めて聞く言葉です。
あおい(元・医療事務)
発達障害の評価に使われる診断面接法の名称ですね。厚生労働省の疑義解釈(疑義解釈資料の送付について(その4)医科 問24、平成28年度)でも補足があり、「ADI-R及びDISCOの他、ADOS(Autism Diagnostic Observation Schedule)及びCAADID(Conners' Adult ADHD Diagnostic Interview for DSM-Ⅳ)」等、患者の状態に応じたツールを考慮してよいとされています。評価に使うツールと、診療計画を文書・口頭で説明した記録が診療録に残っているかどうかが、確認のポイントになります。
算定できる医師の要件
みらい(新人医療事務)
どんな医師でも算定できるわけではないんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。先ほどの留意事項通知(17)にあったとおり、「児童思春期精神科の専門の医師」または「当該専門の医師の指導の下、精神療法を実施する医師」であることが条件です。
みらい(新人医療事務)
「専門の医師」の定義も決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
決まっています。「精神保健指定医に指定されてから5年以上にわたって主に20歳未満の患者に対する精神医療に従事した医師であって、現に精神保健指定医である医師」と定義されています。単に精神保健指定医であるだけでなく、指定からの年数と、主な診療対象が20歳未満の患者であった実績の両方が問われる点に注意が必要です。
断定できないポイント
医師個人の経歴(指定医歴・診療実績)が要件を満たしているかどうかは、当サイトが収録している一次資料の範囲では判定できません。該当する医師の経歴を自院で確認し、必要に応じて地方厚生局にも相談することをおすすめします。
施設基準の届出
みらい(新人医療事務)
届出はどうやって確認すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生局への届出様式の一覧を示す通知の中に、この加算の届出区分が明記されています。
施設基準の届出様式一覧(訂正通知より)
「47の7 児童思春期精神科専門管理加算(通院・在宅精神療法)」として、施設基準に係る届出書の様式番号が示されています(届出必要の欄に「□」があり、届出が求められる加算であることが確認できます)。
みらい(新人医療事務)
つまり、届出をしていないと算定候補にすらならないということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。すでに児童・思春期精神科入院医療管理料の届出をしている病院であれば対象医療機関の要件は満たしますが、この加算自体の届出をあらためて行っているかどうかは別に確認が必要です。届出をしていない状態で算定してしまうと後で問題になりますので、届出済みかどうかは必ず自院の総務・医事担当と一緒に確認してください。
よくある取り漏れ・確認ポイント
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな見落としってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
確認しておきたいポイント
対象年齢の区分間違い: イは16歳未満、ロは20歳未満と対象年齢が異なります。カルテの生年月日から年齢区分を都度確認しましょう。
初診日からの経過期間: イ(1)は精神科初診から2年以内、ロは精神科初診から3月以内という期間制限があります。初診日の記録が診療録に残っているかがポイントです。
ロの算定回数: 告示上「1回に限り算定する」とされているため、同一患者に複数回算定していないか確認が必要です。
併算定の重複: 注3または注10の加算とは同時算定できません。レセプトチェックの際に見落としやすいポイントです。
みらい(新人医療事務)
のべ患者数と実患者数の違いも聞いたことがあります。
あおい(元・医療事務)
それは施設基準に関する疑義解釈(疑義解釈資料の送付について(その2)医科 問9、平成28年度)で示されている内容ですね。「児童思春期精神科専門管理加算の施設基準における、16歳未満の患者の数について、のべ患者数と実患者数のいずれをいうのか」という質問に対して、「のべ患者数をいう。」と回答されています。施設基準の患者数要件を確認する際は、実人数ではなく延べ人数でカウントする点に注意してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号、令和8年保医発0305第6号)の範囲では、この加算の点数区分・対象年齢・医師要件について、前回改定(令和6年度)からの変更点を示す一次資料は確認できていません。区分イ(500点・300点)と区分ロ(1,200点)という点数構成、対象医療機関の3パターン、医師要件の内容は、平成28年度の疑義解釈が今も参照される内容と整合しています。
確認範囲について
「変更なし」と断定しているわけではなく、当サイトが確認できた一次資料の範囲内では変更点の記載が見当たらない、という意味です。正確な改定履歴は厚生労働省の公式資料でご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
最後に、自院がこの加算の対象になるかを確認する流れを整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
順を追って見ていきましょう。
自院で確認する順番
- 自院が「特定機能病院」「児童・思春期精神科入院医療管理料の届出病院」「別途施設基準の届出病院」のいずれかに該当するか確認する
- 対象患者が20歳未満か(イの区分は16歳未満か)を確認する
- 精神科の初診日からの経過期間(2年以内・3月以内)を確認する
- 実施する医師が「児童思春期精神科の専門の医師」の定義、またはその指導下にある医師の要件を満たすか確認する
- 地方厚生局への施設基準の届出(様式47の7)が済んでいるか確認する
- 併算定制限(注3・注10)に抵触していないか確認する

みらい(新人医療事務)
これだけ順番に見ていけば、うちが対象になりそうかどうか、少しずつ整理できそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。特に3番目の医師要件と5番目の届出は見落としやすいので、事務担当だけでなく、実際に精神療法を担当する医師とも情報をすり合わせておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
クリニック(診療所)でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
特定機能病院でも児童・思春期精神科入院医療管理料の届出病院でもない診療所の場合、「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」に該当すれば、対象医療機関としての要件は満たす可能性があります。ただし施設基準の具体的な内容までは一次資料で細部を確認しきれていないため、地方厚生局への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
イとロは同じ患者さんに両方算定できますか?
あおい(元・医療事務)
告示の原文では「次に掲げる区分に従い、いずれかを所定点数に加算する」とされており、区分の中からいずれか一つを選んで加算する構成になっています。同一の診療行為で複数区分を同時に算定できるかどうかは、個別のケースで審査支払機関の判断が関わる可能性があるため、迷った場合は確認するようにしてください。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出をしていない場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
届出をしていない状態では、対象医療機関としての要件を満たさない可能性があります。算定候補にするためには、まず地方厚生局への届出状況を確認することが出発点になります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。