みらい(新人医療事務)
先輩、心身症の患者さんに心理療法をしているとき、「心身医学療法」って算定候補になるんでしょうか?受付で聞かれて答えられませんでした。
あおい(元・医療事務)
心身医学療法は診療報酬の区分I004にあたる項目で、心身症の患者さんに対して心理的なアプローチで症状の改善を図る治療を評価するものです。算定候補になるかどうかは、対象患者や算定回数のルールを一つずつ確認する必要がありますよ。今日は令和8年度(2026年度)の告示・留意事項通知をもとに整理していきましょう。
みらい(新人医療事務)
お願いします!そもそも心身医学療法って、具体的にはどんな治療のことを指すんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、心身症の患者について一定の治療計画に基づいて身体的傷病と心理・社会的要因との関連を明らかにし、当該患者に心理的影響を与えることで症状の改善又は傷病からの回復を図る治療方法、と定義されています。自律訓練法、カウンセリング、行動療法、催眠療法、バイオフィードバック療法、交流分析、ゲシュタルト療法、生体エネルギー療法、森田療法、絶食療法、一般心理療法及び簡便型精神分析療法が含まれると明記されています。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
精神科のクリニックじゃないと算定できないイメージがあるんですが、違うんですか?
あおい(元・医療事務)
それが心身医学療法の特徴のひとつです。告示の注1に「精神科を標榜する保険医療機関以外の保険医療機関においても算定できるものとする」と明記されています。つまり内科や心療内科など、精神科を標榜していない医療機関でも算定候補になりえます。ただし、後で説明する「習熟した医師」という要件は別途確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんはどんな人なんですか?
あおい(元・医療事務)
定義のとおり「心身症の患者」が対象です。心身症は、身体的な傷病があり、その発症や経過に心理・社会的な要因が関わっている状態を指します。留意事項通知では、心身医学療法を算定する場合、診療報酬明細書の傷病名欄において心身症による当該身体的傷病の傷病名の次に「(心身症)」と記載する、と定められています。例として「胃潰瘍(心身症)」が挙げられています。単に精神疾患の診断があるだけでは対象にならない点に注意が必要です。
点数・区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では、患者の状態によって区分が分かれています。まとめると次の表のとおりです。
| 区分 | 対象患者 | 点数 |
|---|---|---|
| 1 | 入院中の患者 | 150点 |
| 2-イ | 入院中の患者以外・初診時 | 110点 |
| 2-ロ | 入院中の患者以外・再診時 | 80点 |
| 加算 | 20歳未満の患者 | 所定点数に所定点数の100分の200に相当する点数を加算 |

みらい(新人医療事務)
20歳未満だとかなり点数が増えるんですね。
あおい(元・医療事務)
告示の注5には「20歳未満の患者に対して心身医学療法を行った場合は、所定点数に所定点数の100分の200に相当する点数を加算する」と明記されています。留意事項通知では、この加算は必要に応じて児童相談所等と連携し、保護者等へ適切な指導を行った上で、20歳未満の患者に心身医学療法を行った場合に算定する、とされています。単に年齢要件を満たすだけでなく、運用面の記録も確認しておく必要がありますね。
施設基準・要件
みらい(新人医療事務)
届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集した一次資料の範囲では、心身医学療法について地方厚生局への施設基準の届出は確認できていません。ただし留意事項通知には「心身医学療法は、当該療法に習熟した医師によって行われた場合に算定する」と明記されています。届出という形の要件ではなく、実施する医師の習熟度という個別の要件がある点を押さえておいてください。
みらい(新人医療事務)
「習熟した医師」って、具体的にはどう確認すればいいんでしょう?
あおい(元・医療事務)
そこは告示・留意事項通知に数値基準までは示されていません。自院で対応する場合は、実施する医師の心身医学療法に関する研修歴や診療経験を院内で整理しておき、疑義が生じたときに説明できる状態にしておくことをおすすめします。最終的な該当性の判断は、審査支払機関への確認が必要です。
算定のタイミング・回数制限
みらい(新人医療事務)
何回でも算定していいわけじゃないですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、告示の注3・注4に回数制限が定められています。入院中の患者については、入院の日から起算して4週間以内の期間は週2回、4週間を超える期間は週1回に限り算定します。入院中の患者以外については、初診日から起算して4週間以内の期間は週2回、4週間を超える期間は週1回に限り算定するとされています。
みらい(新人医療事務)
初診の日にいきなり心身医学療法をやった場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注2に「区分番号A000に掲げる初診料を算定する初診の日において心身医学療法を行った場合は、診療に要した時間が30分を超えたときに限り算定する」とあります。留意事項通知ではこの診療時間について、医師自らが患者に対して行う問診、理学的所見(視診、聴診、打診及び触診)及び当該心身医学療法に要する時間をいい、これら以外の診療に要する時間は含まない、と説明されています。初診時に心身医学療法を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に診療に要した時間を記載することも求められています。
併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
他の精神療法と一緒に算定できたりしますか?
みらい(新人医療事務)
医学管理料とかとの関係はどうですか?
あおい(元・医療事務)
通則には、特定疾患療養管理料など一部の医学管理料・在宅療養指導管理料と心身医学療法は、特に規定する場合を除いて同一月に算定できないという定めがあります。同じ月に複数の管理料を算定している患者さんについては、あわせて確認しておく必要がありますね。
併算定は個別に確認
心身医学療法とほかの精神療法・医学管理料の組み合わせは、除外規定に該当するかどうかを患者ごとに確認する必要があります。「算定できる」と決めつけず、対象患者の算定状況を告示・留意事項通知と照らし合わせてください。
みらい(新人医療事務)
同じ精神科専門療法の区分だと、ほかにどんな加算があるんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科専門療法の区分には、救急患者精神科継続支援料 や 精神科継続外来支援・指導料 なども並んでいます。心身医学療法とは対象患者や算定要件が異なりますので、区分番号ごとに要件を分けて確認する習慣をつけておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定との比較)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの主な変更は、当サイトが収集した一次資料の範囲では確認されていません(確認日: 2026年8月)。点数区分(入院中150点・入院中の患者以外の初診時110点・再診時80点)と20歳未満加算(所定点数に所定点数の100分の200に相当する点数を加算)は、令和8年度の告示でも同じ内容で示されています。
みらい(新人医療事務)
変わっていないなら安心ですね。
あおい(元・医療事務)
変更が確認されないことも、ひとつの確認結果として記録しておく意味があります。ただし今後の官報告示や疑義解釈で追加の解釈が示される可能性はありますので、算定の都度、最新の一次資料を確認する姿勢は変えないでくださいね。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 対象患者かを確認 — 心身症の診断があり、身体的傷病と心理・社会的要因との関連を明らかにする治療計画があるか
- 実施医師を確認 — 心身医学療法に習熟した医師が実施しているか
- 初診時の時間要件を確認 — 初診の日に行う場合は、問診・理学的所見・療法に要した時間の合計が30分を超えているか
- 併算定の除外規定を確認 — 入院精神療法・通院在宅精神療法・標準型精神分析療法を算定していないか、同一月に対象外の医学管理料を算定していないか
- 回数制限を確認 — 入院・入院外それぞれで週1回または週2回の上限を超えていないか
- 20歳未満加算の運用を確認 — 該当する場合、必要に応じて児童相談所等との連携や保護者等への指導記録が残っているか
- レセプト記載を確認 — 傷病名欄への「(心身症)」の付記と、診療録への要点記載ができているか

よくある取り漏れ
見落としやすいポイント
- 傷病名欄の記載漏れ: 「(心身症)」の付記を忘れると、算定要件を満たしていても事務的な不備につながります
- 初診時の時間記録漏れ: 30分を超えたことをカルテや摘要欄に残していないと、後から時間要件を説明できなくなります
- 他の精神療法との重複算定: 入院精神療法・通院在宅精神療法・標準型精神分析療法を算定している月に、心身医学療法も算定してしまうケース
- 回数制限の見落とし: 4週間の起算日を初診日・入院日で管理せず、週の上限回数を超えて算定してしまうケース
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の状態や算定回数の状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)区分I004心身医学療法 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 令和8年度診療報酬改定 厚生労働省特設ページ(診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 保医発0305第6号 等の関連通知を掲載) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の対象患者の状態・実施医師の要件充足・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。