みらい(新人医療事務)
精神科ショート・ケアって名前は聞いたことがあるんですけど、精神科デイ・ケアと何が違うんですか?うちのクリニックでも算定候補になるのか気になります。
あおい(元・医療事務)
精神科ショート・ケアは、区分番号I008-2の精神科専門療法です。精神疾患のある方の地域への復帰を支援するため、社会生活機能の回復を目的に、個々の患者さんに応じたプログラムをグループで行う治療です。デイ・ケアより実施時間が短いのが特徴で、令和8年度(2026年度)の点数表でも継続して設けられています。
みらい(新人医療事務)
短いってどれくらいの時間なんですか?
あおい(元・医療事務)
実施時間は、内容の種類にかかわらず患者さん1人当たり1日につき3時間を標準とすると定められています。治療上必要であれば、専用の施設以外(病棟や屋外など)で実施することも可能です。まずは「対象になるのはどんな患者さんか」から確認していきましょう。
対象医療機関・対象患者を確認する
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関や患者さんの条件はありますか?
あおい(元・医療事務)
精神科ショート・ケアは、入院中の患者さん以外に限り算定するのが原則です。精神科を標榜する診療所・病院で、後述する施設基準の届出を行った保険医療機関が対象になります。ただし例外として、退院を予定している入院患者さんに対して行う場合に限り、入院中1回だけ算定候補になる取り扱いがあります。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者さんでも算定候補になることがあるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、ただし自院に入院中の患者さんか、他の医療機関に入院中の患者さんかで扱いが分かれるので整理が必要です。1つ目は、自院(当該保険医療機関)に入院中で退院を予定している患者さんが対象で、区分番号I011の精神科退院指導料を算定した方に限られます。この場合は入院中1回に限り、所定点数の100分の50に相当する点数が算定候補になります。2つ目は、他の医療機関に入院中で退院を予定している患者さんが対象で、こちらは区分番号I011の精神科退院指導料を算定した方、または区分番号A318の地域移行機能強化病棟入院料を算定していて指定特定相談支援事業者等により退院後の生活を念頭に置いたサービス等利用計画が作成されている方のいずれかが対象になります。この場合は退院支援の一環として、当該他の医療機関の入院中1回に限り算定候補になり、その医療機関への照会や、入院中に精神科ショート・ケアの算定がないことの確認が必要とされています。自院がどちらのパターンに当てはまるか、まず整理しておくと確認がスムーズです。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、精神科ショート・ケアは「1日につき」で2つの区分に分かれています。表にまとめますね。
| 区分 | 点数 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 1 小規模なもの | 275点 | 施設基準の届出が必要 |
| 2 大規模なもの | 330点 | 施設基準の届出+疾患等に応じた診療計画の作成が必要 |
| 早期加算 | +20点 | 算定開始から1年以内、または精神病床退院から1年以内 |
| 疾患別等専門プログラム加算(1のみ対象) | +200点 | 40歳未満、対象疾患、週1回、原則5月限度(延長規定あり) |
| 退院予定入院患者への算定(自院=当該保険医療機関に入院中) | 所定点数の100分の50 | I011精神科退院指導料を算定した患者に限る、入院中1回限り(早期加算含む) |
| 退院予定入院患者への算定(他の医療機関に入院中) | 退院支援の一環として算定候補(100分の50の定めなし) | I011精神科退院指導料またはA318地域移行機能強化病棟入院料+退院後生活計画のいずれか、当該他院の入院中1回限り |

あおい(元・医療事務)
「大規模なもの」は330点と点数が高い分、多職種共同での診療計画作成が算定の条件になっています。単に人員が多いから大規模、というだけでなく、診療計画の作成・記録まで含めて要件になっている点が重要です。
みらい(新人医療事務)
疾患別等専門プログラム加算は誰でも対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、こちらは区分1(小規模なもの)についてのみで、しかも対象疾患が限定されています。自閉症スペクトラム及びその近縁の発達障害、薬物依存症、病的賭博のいずれか(複数疾患を併せ持つ患者さんを含む)が対象です。40歳未満の患者さんと類似の精神症状を持つ複数の患者さんに共通の治療計画を作り、文書で説明・同意を得たうえで、同時に実施した場合に週1回、治療開始日から5月を限度に算定候補になります。精神科の医師が特に必要性を認めた場合は、さらに2年を限度に、週1回かつ計20回まで算定できる取り扱いがあります。
施設基準を確認する
みらい(新人医療事務)
施設基準はどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
「大規模なもの」の施設基準は、従事者数と1日当たりの患者数の組み合わせで2つのパターンが示されています。1つ目は、精神科の医師と専従する3人(作業療法士または精神科ショート・ケア/デイ・ケアの経験を有する看護師のいずれか1人、看護師1人、公認心理師または精神保健福祉士のいずれか1人)の合計4人で構成する場合で、患者数は1回50人が限度です。2つ目は、この4人にさらに精神科医師1人と従事者1人を加えた6人で構成する場合で、患者数は1回70人が限度になります。
あおい(元・医療事務)
施設面では、精神科ショート・ケアを行うにふさわしい専用の施設として、内法で60平方メートル以上の広さを確保し、患者さん1人当たりの面積は内法で4.0平方メートルを標準とすることとされています。精神科デイ・ケアなどと兼用の施設でも、同等の面積があれば認められます。
小規模なものは別基準・要確認
「小規模なもの」(275点)にも別途の届出(届出番号50)が必要です。ただし、当サイトが収録している一次資料の範囲では、小規模なものの人員配置・面積の詳細な基準までは確認できていません。届出を検討する際は、地方厚生局への確認、または厚生労働省の施設基準通知の原文で数値を直接確認してください。
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていても、それだけで診療計画は作れるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、「大規模なもの」は上記の従事者が共同して、様式46の2またはこれに準じた様式で、疾患等に応じた診療計画を作成していることが施設基準の要件に含まれています。人員配置と診療計画の両方がそろって初めて要件を満たす形なので、どちらか一方だけでは施設基準の確認としては不十分です。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
届出はどうやって出すんですか?
あおい(元・医療事務)
「大規模なもの」は様式46、「小規模なもの」は様式50を用いて地方厚生局長等に届け出ます。あわせて、従事者の氏名・勤務の態様(常勤・非常勤、専従・非専従、専任・非専任の別)・勤務時間を様式4で提出し、精神科ショート・ケアを行う専用施設の平面図も添付します。精神科ショート・ケアや精神科デイ・ケアなどの経験を有する看護師については、その旨を備考欄に記載する扱いです。
自院で確認する順番
- 対象患者(入院中の患者以外、または退院予定の入院患者の例外規定)に当てはまるか確認する
- 「小規模なもの」「大規模なもの」どちらの区分で届け出るか、人員体制・面積をもとに検討する
- 従事者の勤務態様・診療計画の作成体制(大規模なものは様式46の2に準じた計画)を整える
- 様式46または様式50、様式4、施設の平面図をそろえて地方厚生局に届け出る
- 届出受理後、算定候補になるかを自院のレセプト担当・審査支払機関で最終確認する

算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
毎日算定していいものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、期間によってルールが変わります。精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア、精神科デイ・ナイト・ケアのいずれかを最初に算定した日から起算して1年を超える期間に行う場合は、週5日が限度です。週3日を超えて算定する場合は、患者さんの意向を踏まえて必要性が特に認められる場合に限られます。
あおい(元・医療事務)
さらに留意事項では、週4日以上算定できるのは、①6月に1回以上医師が必要性を精神医学的に評価し記録していること、②6月に1回以上、精神保健福祉士または公認心理師が患者さんの意向を聴取していること、③その意向を踏まえて多職種が共同で診療計画を作成していること、④自院が次のいずれかの基準を満たすこと、のすべてを満たす場合に限られると定められています。④の基準は、(a)直近6月の各月について、月14回以上利用した患者数を月1回以上利用した患者数で割った数値の6か月平均が0.8未満であること、または(b)直近1か月に1回以上利用した患者について、精神科デイ・ケア等を最初に算定した月から当該月までの経過月数の平均が12か月未満であること、のいずれかです。細かい計算式になるので、該当しそうな場合は院内の実績データで確認しておきたいところです。
他の精神科専門療法との併算定は不可
精神科ショート・ケアを算定した場合、精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア、精神科デイ・ナイト・ケア、重度認知症患者デイ・ケア料は算定できません。また、精神科ショート・ケアを算定している患者さんに対して、同一日に行う他の精神科専門療法(他の保険医療機関で実施するものを含む)は、原則として別に算定できないとされています。
みらい(新人医療事務)
デイ・ケアと同時に届出をしている場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科ショート・ケアと精神科デイ・ケアまたはナイト・ケアの届出を併せて行っている医療機関では、各々の患者さんに対して同時に同一施設で実施できます。ただし、同一日に実施する精神科ショート・ケアの対象患者数とデイ・ケアやナイト・ケアの対象患者数の合計が、デイ・ケアやナイト・ケアの届出に係る患者数の限度を超えることはできません。この場合、精神科ショート・ケアの対象患者数はデイ・ケアの対象患者数の2分の1として計算する取り扱いです。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している令和8年度の一次資料の範囲では、精神科ショート・ケアの点数区分(275点・330点)や施設基準の骨格について、前回改定からの変更は確認されていません(2026年8月時点の確認)。ただし、疑義解釈や訂正通知が新たに出る可能性もあるため、届出前には最新の一次資料もあわせてご確認ください。
あおい(元・医療事務)
点数が変わっていなくても、施設基準や算定要件の細かい部分(人員換算の柔軟化や記録要件の明確化など)だけが改定される加算もあります。精神科ショート・ケアについても、点数以外の要件変更が無いか、届出のタイミングで一度公式資料を見ておくと安心です。
よくある取り漏れ
[早期加算](/addition/n180033370)・専門プログラム加算の見落とし
早期加算(+20点)は算定開始から1年以内、または精神病床退院から1年以内が対象です。疾患別等専門プログラム加算(+200点)は区分1(小規模なもの)のみが対象で、対象疾患も限定されています。区分や期間の条件を満たしているのに加算を付け忘れているケースがないか、確認しておきたいポイントです。
週5日超・他療法との併算定の見落とし
開始から1年を超えた患者さんについて週5日を超えて算定していないか、また同一日に精神科デイ・ケア等や他の精神科専門療法を重ねて算定していないかは、レセプト点検で特に見られやすい項目です。院内のカルテ記載(診療計画・評価の記録)と請求内容が対応しているかもあわせて確認しましょう。
関連する加算
みらい(新人医療事務)
精神科ショート・ケアと合わせて確認しておいたほうがいい加算ってありますか?
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。