みらい(新人医療事務)
「通院集団精神療法」という名前を初めて見たんですけど、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科の外来で、複数の患者さんが集まって行う精神療法に対する点数ですよ。区分番号はI006で、令和8年度は270点(1日につき)です。入院していない患者さんが対象で、対人関係の練習や自己洞察を深める目的で実施します。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者さんには使えないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。入院中の患者さんに同じような集団精神療法を行った場合は、I005「入院集団精神療法」という別の区分(100点)になります。名前が似ているので混同しやすいポイントですね。今日はI006(通院・外来向け)に絞って一緒に確認していきましょう。
通院集団精神療法とはどんな治療か
みらい(新人医療事務)
そもそも「集団精神療法」って、具体的に何をするんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、「入院中の患者以外の患者であって、精神疾患を有するものに対して、一定の治療計画に基づき、集団内の対人関係の相互作用を用いて、自己洞察の深化、社会適応技術の習得、対人関係の学習等をもたらすことにより病状の改善を図る治療法」と定義されています。
みらい(新人医療事務)
個別のカウンセリングとは違うんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。集団という場を使って、他の患者さんとのやり取りの中で気づきを得ていく治療法です。統合失調症やうつ病、依存症など、幅広い精神疾患の患者さんに対して行われることがありますが、実際にどの患者さんに適用するかは、治療計画に基づいた医師の判断になります。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関でもできるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、精神科を標榜している保険医療機関であることが前提です。加えて、実施する体制にも条件があります。留意事項では「精神科を担当する医師及び1人以上の精神保健福祉士又は公認心理師等により構成される2人以上の者が行った場合に限り算定する」とされています。
みらい(新人医療事務)
つまり、医師だけではダメで、精神保健福祉士さんや公認心理師さんが最低1人は必要ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。医師1人+コメディカル1人以上の、合計2人以上のチーム体制が実施の前提になります。この体制が組めるかどうかが、算定候補になるかの最初の分かれ目です。
点数・算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数の整理をお願いします。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では以下のとおりです。似た名前の区分と混同しないよう、周辺の区分もあわせて整理しますね。
| 区分番号 | 名称 | 点数 | 算定単位 | 対象 |
|---|---|---|---|---|
| I005 | 入院集団精神療法 | 100点 | 1日につき | 入院中の患者 |
| I006 | 通院集団精神療法 | 270点 | 1日につき | 入院中の患者以外 |
| I006-2 | 依存症集団療法 | 別に規定 | 1回につき | アルコール依存症患者(届出施設限定) |

みらい(新人医療事務)
I006-2というのもあるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、こちらはアルコール依存症の患者さんを対象とした集団療法で、「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」でのみ実施できる、届出必須の区分です。週1回かつ計10回までという回数制限もあり、I006(通院集団精神療法)とは要件が異なります。対象疾患や実施回数の上限が違うので、依存症治療に特化したプログラムを検討している場合はI006-2の要件も別途確認する必要がありますね。
似た名前の加算との違いに注意
実施回数・時間の要件
みらい(新人医療事務)
何人くらいで、どのくらいの時間やるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に具体的な数字が示されています。「1回に10人に限り、1日につき1時間以上実施した場合に、開始日から6月を限度として週2回に限り算定する」とされています。
みらい(新人医療事務)
人数の上限があるんですね。10人を超えるグループだと算定できない、ということですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項の文言上は「1回に10人に限り」となっているので、10人を超える集団で実施した場合の扱いは、この記述だけでは判断がつきません。実施人数の管理については、自院の運用でこの上限を踏まえて患者数を調整しているか、確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
期間の制限もあるんですね。
あおい(元・医療事務)
「開始日から6月を限度として週2回に限り」なので、ある患者さんについて通院集団精神療法を始めた日から6か月間、かつ週2回までが上限です。7か月目に入ったら、その患者さんについては算定できなくなる、という理解になります。
届出の要否
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは丁寧に確認したいところです。I006-2(依存症集団療法)は明確に届出が必須と書かれていますが、I006(通院集団精神療法)の留意事項には、届出を求める記載は見当たりません。実施体制(医師+精神保健福祉士又は公認心理師等1人以上の計2人以上)を満たしていれば算定候補になる、という整理です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出なしで大丈夫、ということですね。
あおい(元・医療事務)
いえ、そこは断定を避けたいところです。当サイトが確認できた一次資料の範囲では届出を求める記載が見当たらない、という状態にとどまります。地方厚生局への確認事項や、自院が把握していない別の通知が存在する可能性もゼロではないので、実際に算定を始める前には、自院が届け出ている施設基準の一覧や、地方厚生局への確認を通じて、届出の要否を最終確認してください。
算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
同じ日に他の精神科の治療も受けている患者さんの場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
大事な注意点です。留意事項には「通院集団精神療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない」とあります。告示の注にも「通院集団精神療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、所定点数に含まれるものとする」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、同じ日に別の精神科専門療法を行っても、I006の点数にまとめて含まれてしまうということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。例えば同じ日に精神科作業療法(I007)や他の専門療法を実施しても、別立てでは算定できません。レセプトを作成する際は、同一日の精神科専門療法の重複算定になっていないか、必ず確認してください。
併算定・記録の注意
通院集団精神療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できません(所定点数に含まれる扱い)。また、実施した場合はその要点を個々の患者の診療録等に記載することが留意事項で求められています。記録の抜け漏れは、算定の妥当性を確認する際の重要な確認ポイントになります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(告示・留意事項通知)の範囲で確認した限り、通院集団精神療法(I006)の点数(270点)や算定要件(開始日から6月を限度に週2回まで、1回10人まで、1時間以上実施、医師+精神保健福祉士又は公認心理師等1人以上の2人体制)について、前回改定からの明確な変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
変わっていない、ということが分かるだけでも安心ですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし、精神科専門療法の区分全体では、公認心理師の位置づけの明確化など、近年の改定で用語が整理されてきた経緯もあります。当サイトで確認できる一次資料の範囲を超える変更点が別途ある可能性はゼロではないので、より詳しい経緯を知りたい場合は、厚生労働省が公開している改定の概要ページもあわせてご確認いただくと確実です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの医療機関で検討する場合、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のようなステップで進めるとスムーズですよ。
自院で確認する順番
- 精神科を標榜している医療機関かどうかを確認する
- 精神科を担当する医師と、精神保健福祉士又は公認心理師等1人以上による、合計2人以上の実施体制を組めるかを確認する
- 対象になりうる入院外の患者さんが、1回10人程度のグループを構成できるだけいるかを確認する
- 1日1時間以上、週2回までの実施スケジュールを組めるか、既存の診療体制と照らし合わせる
- 届出の要否について、地方厚生局への確認や自院の届出状況の棚卸しを行う
- 実施記録(診療録等への要点記載)の運用ルールを整える

みらい(新人医療事務)
この順番で確認すれば、抜け漏れが防げそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に3番の「10人規模のグループを組めるか」は見落とされがちなポイントです。少人数の外来患者さんしかいない場合、集団療法として実施すること自体が難しいケースもあります。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある見落としってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかありますよ。まとめてみますね。
よくある取り漏れ・確認漏れ
- I005(入院集団精神療法)との混同: 入院中の患者にはI005が適用されるため、I006で算定しないよう区別が必要です。
- 実施体制の記録不足: 医師+精神保健福祉士又は公認心理師等の2人以上体制で実施したことを、診療録等で示せる形になっているか確認が必要です。
- 6か月・週2回の上限管理: 患者ごとの開始日を管理していないと、期間・回数の上限を超えて算定してしまうリスクがあります。
- 同一日の他の精神科専門療法との重複算定: 同じ日に精神科作業療法など他の専門療法を別立てで算定していないか、レセプト作成時の確認が必要です。
参考にした公式資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠にしています。実際の算定判断の際は、必ず一次資料の原文をご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)医科点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)医科点数表(抜粋) https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001686863.pdf
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00060.html
みらい(新人医療事務)
精神科専門療法には他にも似たような加算がありますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。同じ精神科専門療法の区分には、救急患者精神科継続支援料 のような加算もあります。合わせて確認しておくと、自院でどの精神科専門療法が算定候補になるか整理しやすくなりますよ。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。実施体制や届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・実施体制・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。