みらい(新人医療事務)
精神科病棟のカルテを見ていたら「入院集団精神療法」という記載がありました。これって、うちの病院でも算定候補になるものですか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。入院集団精神療法は、区分番号I005として医科点数表に定められている精神科専門療法の一つです。入院中の患者さんを対象に、複数人でグループを組んで行う精神療法に対する点数ですよ。
みらい(新人医療事務)
個人で行う精神療法とは別物なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。対象は精神疾患を有する入院患者さんで、言葉のやりとりや劇の形式を使った自己表現など、集団の中での対人関係のやりとりを通じて、不安や葛藤を和らげたり、自分の症状への理解を深めたりすることを目的にした治療法です。令和8年度の点数表でも同じ枠組みで規定されています。
対象になる医療機関・患者は?
みらい(新人医療事務)
どんな病院でも算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、まず精神科を標榜している保険医療機関であることが前提です。そのうえで、対象になるのは入院中の患者さんのうち、精神疾患を有する方に限られます。外来患者さんは対象外で、それは区分番号I006の通院集団精神療法という別の項目になります。
みらい(新人医療事務)
入院患者さん限定なんですね。実施する人にも決まりがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。精神科を担当する医師、それに1人以上の精神保健福祉士または公認心理師等を含めた、合計2人以上のスタッフで行うことが条件です。医師1人だけで実施した場合は、この算定要件を満たしません。
対象確認のポイント
入院患者限定: 外来患者は対象外(通院集団精神療法は別区分) 実施者の構成: 精神科担当医師+精神保健福祉士または公認心理師等1名以上を含む2名以上 医療機関の要件: 精神科を標榜している保険医療機関であること
点数と算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、入院集団精神療法は1日につき100点です。回数や実施時間の条件を満たしたうえで、1日単位で算定候補になる形ですね。
| 区分番号 | 名称 | 点数 | 算定単位 | 年度 |
|---|---|---|---|---|
| I005 | 入院集団精神療法 | 100点 | 1日につき | 令和8年度 |
みらい(新人医療事務)
1回あたりではなく、1日につき100点なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。そして実施できる人数や時間にも条件があります。1回15人までを上限として、1日につき1時間以上実施した場合に算定候補になります。人数を超えたり、実施時間が短かったりすると、算定要件を満たさない可能性が出てきますので注意してください。

施設基準・人員体制の確認
みらい(新人医療事務)
届出が必要な施設基準はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、入院集団精神療法そのものに個別の施設基準届出は確認されていません。ただし、算定要件として人員体制の条件が定められています。精神科を担当する医師と、精神保健福祉士または公認心理師等1人以上を含む2人以上のスタッフがそろっているかどうかは、実施のたびに確認が必要な事項です。
みらい(新人医療事務)
場所についても何か決まりがありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。入院集団精神療法を実施するための十分な広さがある院内の場所と、その場所を使用する時間帯をあらかじめ定めておくことが求められています。毎回別の部屋を探すような運用ではなく、実施場所と時間帯をあらかじめ固定しておく必要があるということですね。
施設基準・体制の確認は自院で
人員配置や実施場所の確保が要件どおりに満たされているかどうかの最終的な判断は、自院の体制と公式資料に基づいて確認してください。当記事は一般的な情報整理であり、個別の施設基準充足を保証するものではありません。
届出は必要?
みらい(新人医療事務)
届出をしていないと算定候補にならない、ということもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
入院集団精神療法自体は、他の施設基準加算のように地方厚生局への個別の届出書類提出が明記された項目ではないというのが、当サイトで確認できている資料の範囲での整理です。とはいえ、精神科病棟を持つ医療機関では、入院基本料や精神科関連の他の届出と体制が連動していることが多いので、届出台帳と実際の人員配置を突き合わせて確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
「たぶん大丈夫」で進めるのは危ないですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。届出の要否や有効性についての最終判断は、自院が保有する届出書類と、必要であれば地方厚生局・審査支払機関への確認を通じて行ってください。
算定のタイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
何回でも算定できるわけではないんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、回数制限があります。入院の日から起算して6月を限度として、週2回に限り算定できるという規定です。6か月を過ぎた分や、週3回目以降の実施分は、算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
治療計画のようなものも必要になるんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。個々の患者さんについて、精神科を担当する医師による治療計画が作成されていることが前提になります。実施した際は、その要点を診療録などに記載しておくことも求められています。記録が残っていないと、算定の根拠を後から示すのが難しくなりますので、日々の記載は丁寧に行いたいところです。
みらい(新人医療事務)
他の精神科の治療と一緒に行った日はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
そこは特に注意が必要なポイントです。入院集団精神療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、入院集団精神療法の所定点数に含まれるものとされていて、別に算定することはできません。同じ日に複数の精神科専門療法を実施した場合、点数を積み上げて請求できるわけではない、ということですね。
併算定・回数制限の確認ポイント
回数制限: 入院日から6月を限度に週2回まで 時間・人数: 1回15人まで、1日1時間以上の実施が必要 併算定: 同一日に行う他の精神科専門療法は別途算定できない(所定点数に含まれる)
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している厚生労働省の一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知)の範囲では、入院集団精神療法の点数(100点)や、週2回・6月限度という算定要件、精神保健福祉士または公認心理師等を含む人員構成の要件について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません。
みらい(新人医療事務)
変わっていない、というのも大事な情報ですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。改定のたびにすべての項目が変わるわけではなく、据え置かれる項目も多くあります。ただし「確認できていない」ことと「今後も変わらないと保証されている」ことはイコールではないので、疑義解釈などで追加の取り扱いが示されていないか、公式資料を継続的に確認しておくことをおすすめします。
改定確認の考え方
点数・算定要件・人員基準のいずれも、当サイトが確認した一次資料の範囲では前回改定から変更なし。ただし今後の疑義解釈・訂正通知で取り扱いが追加される可能性はあるため、継続確認が必要です。
通院集団精神療法(I006)との違い
みらい(新人医療事務)
似たような名前の「通院集団精神療法」というのも聞いたことがあります。どう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
通院集団精神療法は区分番号I006で、対象が入院中の患者さん以外、つまり外来の患者さんになります。令和8年度の点数は1日につき270点で、入院集団精神療法とは点数も対象患者も異なります。
みらい(新人医療事務)
人数の条件も違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。通院集団精神療法は1回10人までが上限です。入院集団精神療法の1回15人までとは人数の上限が異なります。実施時間が1日1時間以上必要な点、週2回を限度とする点、精神科担当医師と精神保健福祉士または公認心理師等を含む2人以上で実施する点は共通していますが、対象患者・点数・人数の上限が違うので、入院中か通院中かをまず確認することが出発点になります。
| 項目 | 入院集団精神療法(I005) | 通院集団精神療法(I006) |
|---|---|---|
| 対象患者 | 入院中の患者 | 入院中の患者以外(外来) |
| 点数(令和8年度) | 100点(1日につき) | 270点(1日につき) |
| 人数の上限 | 1回15人まで | 1回10人まで |
| 回数制限 | 週2回、6月を限度 | 週2回、6月を限度 |
みらい(新人医療事務)
入院か外来かで、まず振り分けて考えればいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。混同して算定候補を判断してしまうと、後から見直しが必要になることもあるので、最初にどちらの区分に該当するかを確認する流れをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
これまでの話を、実際に確認する順番で整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。次のステップで確認していくと、抜け漏れが少なくなります。
自院で確認する順番
対象患者が入院中で、精神疾患を有するかを確認する 実施体制が精神科担当医師+精神保健福祉士または公認心理師等1名以上を含む2名以上かを確認する 個々の患者について精神科担当医師の治療計画が作成されているかを確認する 1回15人まで、1日1時間以上の実施条件を満たしているかを確認する 入院日から6月・週2回の回数制限内かを確認する 同一日に他の精神科専門療法を行っていないか(併算定の可否)を確認する 診療録等に実施の要点が記載されているかを確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある見落としのパターンってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかありますね。まず、同一日に個人精神療法や他の精神科専門療法もあわせて行った場合、入院集団精神療法の所定点数にまとめられることを見落として、二重に算定候補として計上してしまうケースです。
みらい(新人医療事務)
記録漏れも起きそうです。
あおい(元・医療事務)
はい、実施の要点を診療録に記載し忘れると、算定の根拠を示せなくなります。あわせて、治療計画の作成タイミングが実施日より後になっていないかも、見落としやすいポイントです。
よくある取り漏れの例
併算定の見落とし: 同一日の他の精神科専門療法を別立てで算定候補にしてしまう 記録の不備: 実施の要点を診療録等に記載していない 治療計画のタイミング: 実施前に精神科担当医師による治療計画が作成されていない 人数超過: 1回15人の上限を超えて実施している
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。同じ精神科専門療法の区分にある救急患者精神科継続支援料とあわせて、退院後の支援体制を検討する際の参考にもなります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。