みらい(新人医療事務)
精神科の外来で「デイ・ケア」って言葉、よく聞くんですけど、レセプトの区分としてはどういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科デイ・ケア(区分番号I009)ですね。入院ではなく外来に通う患者さんに対して、社会生活機能の回復を目的にグループで行う治療プログラムを評価する点数です。令和8年度(2026年度)の医科点数表では、1日につき算定する形になっています。
みらい(新人医療事務)
グループで治療するっていうのは、具体的にどういうことをするんですか?
あおい(元・医療事務)
個々の患者さんに応じたプログラムに沿って、グループごとに治療を行うものです。厚生労働省の留意事項では「実施時間は患者1人当たり1日につき6時間を標準とする」とされていて、治療上必要であれば病棟や屋外など専用施設以外で実施することもできるとされています。
精神科デイ・ケアの対象と目的
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんは、外来に通っている人だけですか?
あおい(元・医療事務)
原則はそうです。精神科デイ・ケアは入院中の患者さん以外に限り算定するとされています。ただし例外があって、他の保険医療機関に入院中で退院を予定している患者さん(精神科退院指導料を算定した方、または地域移行機能強化病棟入院料を算定していてサービス等利用計画が作成されている方に限る)に対しては、退院支援の一環として算定できる場合があります。
みらい(新人医療事務)
その場合も点数は同じなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、その場合は入院中1回(地域移行機能強化病棟入院料を算定している患者さんは入院中4回)に限り、所定点数の100分の50に相当する点数で算定するとされています。しかもその際は、当該他の医療機関に照会して、入院中に精神科デイ・ケアの算定がないことなどを確認する必要があります。この運用が自院に該当するかどうかは確認が必要な点ですね。
点数区分(令和8年度)

みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では、精神科デイ・ケアは規模によって2区分に分かれています。
| 区分 | 点数(1日につき) | 主な要件 |
|---|---|---|
| 小規模なもの | 590点 | 施設基準の届出が必要 |
| 大規模なもの | 700点 | 施設基準の届出に加え、疾患等に応じた診療計画(多職種共同作成)を作成して行う場合に算定 |
あおい(元・医療事務)
どちらも「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが前提です。届出をしていない医療機関では、この点数区分自体を算定できません。
みらい(新人医療事務)
大規模の方が110点高いんですね。その分、要件も重いということですか?
あおい(元・医療事務)
そうですね。大規模なものは、多職種が共同して疾患等に応じた診療計画を作成した場合に算定するとされています。診療終了後に、その計画に基づいた診療方法・結果を評価して診療録等に要点を記載していれば、参加者ごとの個別プログラムを実施することもできるとされています。
施設基準と届出
みらい(新人医療事務)
施設基準って、具体的にはどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
大規模なものについては、従事者数と1日当たりの患者数の限度が細かく決まっています。厚生労働省の施設基準通知では、大きく2つのパターンが示されています。
大規模なものの人員体制(施設基準通知より)
パターン1: 精神科医師+専従3人(作業療法士または精神科ショート・ケア/デイ・ケアの経験がある看護師のいずれか1人、看護師1人、公認心理師、精神保健福祉士の1人)の計4人体制。患者数は1日50人が限度。 パターン2: パターン1の4人に、さらに精神科医師1人と精神科医師以外の従事者1人を加えた計6人体制。患者数は1日70人が限度。
あおい(元・医療事務)
施設面積についても基準があって、専用の施設は内法測定で60平方メートル以上、患者1人当たりの面積は内法測定で4.0平方メートルを標準とする、とされています。
みらい(新人医療事務)
小規模なものの施設基準は、また別なんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、区分が違うので基準も別に定められています。ただ、当サイトが収録している一次資料の範囲では、小規模なものの具体的な人員配置数値までは確認できていません。届出を検討する際は、地方厚生局への確認や、特掲診療料の施設基準等の通知原文でのご確認をおすすめします。この点は誠実に「未確認」とお伝えしておきますね。
みらい(新人医療事務)
届出さえしていれば、もう算定候補と考えていいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
届出済みであれば候補にはなりますが、それだけで確定ではありません。実際の人員配置や診療計画の作成状況が基準を満たしているかどうかは、自院の体制を個別に確認する必要があります。
算定できる場面・回数制限
みらい(新人医療事務)
算定できる回数に制限はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア、精神科デイ・ナイト・ケアのいずれかを最初に算定した日から起算して、1年を超える期間は週5日が限度です。ただし週3日を超えて算定する場合は、患者さんの意向を踏まえて必要性が特に認められる場合に限られます。
長期算定になると点数が下がる場合がある
最初の算定日から起算して3年を超える期間に行われる場合であって、週3日を超えて算定するときは、長期の入院歴(通算して1年以上の入院歴)を有する患者さんを除き、当該日の点数は所定点数の100分の90に相当する点数で算定するとされています。長期通所の患者さんが多い医療機関では、この逓減ルールに該当していないか確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
開始したばかりの患者さんには、逆に加算がつくこともあるんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。早期加算ですね。精神科ショート・ケア等のいずれかを最初に算定した日から起算して1年以内の期間に行われる場合は、早期加算として50点が所定点数に加算されます。対象となるのは、療法の算定を開始してから1年以内、または精神病床を退院してから1年以内の患者さんです。
他の精神科専門療法との併算定関係
みらい(新人医療事務)
デイ・ケアと他の療法を同じ日に行うこともありそうですが、併算定はできますか?
あおい(元・医療事務)
精神科デイ・ケアを算定した場合、精神科ショート・ケア、精神科ナイト・ケア、精神科デイ・ナイト・ケア、重度認知症患者デイ・ケア料は、同じ日には算定しないとされています。また、精神科デイ・ケアを算定している患者さんに対しては、同一日に行う他の精神科専門療法(他の保険医療機関で実施するものを含む)も別に算定できません。
みらい(新人医療事務)
デイ・ケアとナイト・ケアを同じ患者さんに同じ日に両方行ったらどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
その場合は、精神科デイ・ケアではなく精神科デイ・ナイト・ケアとして算定するとされています。また、精神科デイ・ケアと精神科ナイト・ケアを同一施設で実施する保険医療機関では、両者を同一時間帯に混在させて実施してはならないという施設基準上の決まりもあります。
あおい(元・医療事務)
なお、通院・在宅精神療法など、精神科デイ・ケアと別区分の診療に該当する診療行為が同じ日にある場合の取り扱いは、それぞれの算定要件を個別に確認する必要があります。
記録・費用面の注意点
記録: 精神科デイ・ケアを行った場合は、その要点及び診療時間を診療録等に記載することとされています。 消耗材料費: 当該療法に要する消耗材料等の費用は、保険医療機関の負担とされています。 食事提供: 治療の一環として治療上の目的を達するために食事を提供する場合、その費用は所定点数に含まれます。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定から、精神科デイ・ケアって何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料は令和8年度分が中心で、令和6年度(2024年度)時点の点数区分・算定要件との比較データを現時点では確認できていません。ですのでこの記事だけで「変更あり/なし」を断定することはできません。
みらい(新人医療事務)
そういうときはどうしたらいいですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの変更点を正確に知りたい場合は、厚生労働省が公表している「個別改定項目について」など、改定の詳細資料でご確認いただくのが確実です。当サイトでも一次資料が整い次第、この記事を更新していく予定です。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
うちのクリニックで算定候補になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
自院で確認する順番
- 施設基準(小規模なもの/大規模なもの)の届出を地方厚生局へ行っているかを確認する
- 大規模なものを算定する場合は、多職種共同での疾患等に応じた診療計画が作成・記録されているかを確認する
- 対象患者が入院中の患者以外か、または退院支援の対象要件を満たしているかを確認する
- 算定開始日からの経過期間(1年超・3年超)と週の算定回数が回数制限の範囲内かを確認する
- 同一日に算定できない他の精神科専門療法と重複していないかを確認する
よくある取り漏れ
見落としがちなポイント
早期加算の失念: 算定開始から1年以内の患者さんに早期加算50点が付け忘れられているケースがあります。 逓減ルールの見落とし: 3年超・週3日超の長期算定で90%相当点数への切替えが反映されていないケースがあります。 併算定の重複: 同一日に精神科ショート・ケアや精神科ナイト・ケアと重複して算定してしまっているケースがあります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。