みらい(新人医療事務)
「脳死臓器提供管理料」という名前を初めて見たんですけど、これってどんな加算なんですか?点数がすごく高いような気もします。
あおい(元・医療事務)
そうですね、K914という区分番号の管理料で、所定点数は40,000点です。脳死した方の身体から臓器の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関が算定するものです。臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死判定と、その後の処置・検査・医学的管理・看護・院内のコーディネートなどにかかる費用がまとめて含まれています。
みらい(新人医療事務)
「移植を行った保険医療機関」が算定する、ということは、臓器を提供する側の病院とは別に、移植を受け取る側の病院がある場合もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、そこがこの管理料の特徴です。脳死した方から臓器を摘出する処置(脳死臓器提供管理)を行う医療機関と、実際に移植手術を行う医療機関が別施設であるケースが想定されています。診療報酬の請求自体は臓器の移植を行った保険医療機関で行い、脳死臓器提供管理を行った医療機関との診療報酬の分配は相互の合議に委ねる、と留意事項に明記されています。つまり請求先は一本化されていて、施設間の分配は当事者同士の取り決めになります。
対象になる医療機関・場面
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックでも算定候補になったりしますか?
あおい(元・医療事務)
対象は病院の入院に限られます。診療所や外来では対象になりません。当サイトが収載する一次資料の整理でも、対象医療機関は病院・入院、届出は不要と分類されています。脳死判定や臓器移植は臓器の移植に関する法律に基づく厳格な手続きの中で行われるため、対応できる医療機関はもともと限られています。
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな場面で算定するんですか?
あおい(元・医療事務)
脳死臓器提供管理料は、特定の移植手術が算定できる場合に限り算定する、とされています。留意事項では対象となる手術が列挙されていて、「K514-4」同種死体肺移植術、「K605-2」同種心移植術、「K605-4」同種心肺移植術、「K697-7」同種死体肝移植術、「K709-3」同種死体膵移植術、「K709-5」同種死体膵腎移植術、「K709-6」同種死体膵島移植術、「K716-6」同種死体小腸移植術、「K780」同種死体腎移植術のいずれかが算定できる場合に限られます。この一覧にない術式では算定候補になりません。
点数の内訳(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
40,000点だけじゃなくて、加算もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、注2から注4までの加算が設定されています。表で整理しますね。
| 区分 | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| 所定点数 | 脳死臓器提供管理料 | 40,000点 |
| 注2 | 脳死臓器提供体制向上加算 | 5,000点 |
| 注3 イ | 動脈造影カテーテル法(法的脳死判定時の画像診断) | 1,920点 |
| 注3 ロ | シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影 | 800点 |
| 注3 ハ | コンピューター断層撮影(造影剤を使用した場合) | 720点 |
| 注4 イ | 大動脈内バルーンパンピング法(IABP法)の継続実施 | 2,420点 |
| 注4 ロ | 人工心肺の継続実施 | 1,720点 |
| 注4 ハ | 体外式膜型人工肺の継続実施 | 1,720点 |
| 注4 ニ | 経皮的心肺補助法の継続実施 | 1,790点 |
| 注4 ホ | 経皮的循環補助法(ポンプカテーテルを用いたもの)の継続実施 | 2,110点 |
| 注4 ヘ | 補助人工心臓の継続実施 | 2,860点 |
| 注4 ト | 小児補助人工心臓の継続実施 | 4,960点 |
| 注4 チ | 植込型補助人工心臓の継続実施 | 2,860点 |

みらい(新人医療事務)
注3や注4は、複数該当したらそれぞれ加算されるんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです、告示では「各区分に掲げる点数を合算した点数を、所定点数に加算する」とされています。注3は法的脳死判定にあたって実施した画像診断の区分ごとに、注4は法的脳死判定日以後も継続して実施した手術の区分ごとに、それぞれ該当するものを合算する仕組みです。ただし、あとで触れますが注2から注4の加算には算定できる条件があるので、点数表の数字だけを見て機械的に足すのは避けてください。
施設基準・届出はどうなっている?
みらい(新人医療事務)
40,000点という高い点数なので、施設基準の届出が必要になりそうですが。
あおい(元・医療事務)
当サイトが収載する一次資料の整理では、脳死臓器提供管理料そのものは施設基準の届出は不要に分類されています。ただし、これは「誰でも自由に算定できる」という意味ではありません。算定できる場面自体が、法律に基づく脳死判定と特定の移植手術の実施という限定的な状況に絞られているためです。
みらい(新人医療事務)
注2の脳死臓器提供体制向上加算は何か条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、注2は誰が説明したかが問われます。留意事項では、当該保険医療機関に勤務する者であって、認定ドナーコーディネーター協議会から認定ドナーコーディネーターとして認定されている者、または都道府県臓器移植連絡調整者が、家族に対して臓器提供に係る説明及び同意の取得等を行った場合に算定する、とされています。これは施設基準の届出というより、担当者の資格・立場に関する要件です。自院に該当する担当者がいるかどうかは、必ず個別に確認してください。
届出不要でも要件確認は必須
脳死臓器提供管理料の所定点数部分は施設基準の届出が不要とされていますが、加算(注2〜注4)にはそれぞれ算定できる条件があります。届出の要否と、算定できる条件の充足は別の話として、両方を確認する必要があります。
算定のタイミング・回数・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングや、他の加算と一緒に算定できるかも気になります。
あおい(元・医療事務)
いくつか重要な注意点があります。まず、脳死臓器提供管理料には通則10から通則12までの加算は適用できないと明記されています。次に、注2から注4までの加算は、脳死臓器提供管理を行った医療機関において要件を満たすものを実施した場合であって、日本臓器移植ネットワークから当該実施した旨の連絡を受けた場合に限り、臓器の移植を行った保険医療機関において算定できるとされています。さらに、当該連絡を受けた旨及びその内容を診療録に記載することも求められています。
みらい(新人医療事務)
日本臓器移植ネットワークからの連絡が前提になっているんですね。移植実施施設の判断だけでは決められないということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。提供管理を行った医療機関側の実施内容について、日本臓器移植ネットワークを介した連絡を受けてはじめて、移植を行った保険医療機関側で加算の算定候補になる、という流れです。この連絡と診療録記載がなければ、注2から注4の加算は算定候補にならない可能性があります。
算定候補にできるかは施設間の情報連携が前提
注2〜注4の加算は、提供管理側の実施事実そのものではなく「日本臓器移植ネットワークからの連絡を受けたこと」が算定の条件になっています。連絡の有無と診療録記載の有無は、必ず自院で確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わった点はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収載している一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号、保医発0305第6号)の範囲では、脳死臓器提供管理料そのものについて前回改定からの変更点を確認できていません(確認日: 2026年7月)。点数・加算の構成・算定要件のいずれについても、明確な新旧差分の記載を突き合わせられていない状態です。
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」と言い切っていいんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは言い切れません。当サイトの確認範囲内で差分が見つからなかった、というだけで、厚生労働省の「個別改定項目について」など改定の詳細資料までは今回照合できていません。前回改定からの変更が気になる場合は、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定のページで公開されている個別改定項目の資料を直接ご確認いただくことをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院で算定候補になるか、どういう順番で確認すればいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認するとわかりやすいと思います。
自院で確認する順番
- 臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する法的脳死判定が行われたか確認する
- 対象となる移植手術(同種死体肺移植術・同種心移植術・同種心肺移植術・同種死体肝移植術・同種死体膵移植術・同種死体膵腎移植術・同種死体膵島移植術・同種死体小腸移植術・同種死体腎移植術のいずれか)が算定できる状況か確認する
- 請求は移植を行った保険医療機関で行い、脳死臓器提供管理を行った医療機関との診療報酬の分配を相互の合議で取り決める
- 注2の説明担当者が認定ドナーコーディネーターまたは都道府県臓器移植連絡調整者に該当するか確認する
- 注3・注4の加算は、日本臓器移植ネットワークからの実施連絡の有無と診療録記載の有無を確認する

よくある取り漏れ・注意ポイント
みらい(新人医療事務)
見落としやすいポイントってどこですか?
あおい(元・医療事務)
いくつかお伝えします。
取り漏れやすいポイント
- 対象手術リストにない術式では算定候補にならない点(移植手術の区分番号を必ず個別に確認する)
- 注2〜注4の加算を、提供管理側の実施事実だけで算定してしまい、日本臓器移植ネットワークからの連絡確認を怠るケース
- 通則10〜通則12の加算を誤って適用してしまうケース(脳死臓器提供管理料には適用できません)
- 提供施設と移植施設が異なる場合の診療報酬分配について、事前に合議を済ませていないケース
みらい(新人医療事務)
どれも一つの病院だけでは完結しない話が多いですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。脳死臓器提供管理料は、法律に基づく判定プロセスと、日本臓器移植ネットワークを介した施設間の連携が前提になっている加算です。院内の体制だけでなく、外部との連絡経路も含めて確認する必要があります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
生体からの臓器提供のときも同じ管理料を使うんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、生体からの臓器提供については別の管理料が設けられています。生体からの提供は生体臓器提供管理料(K915・5,000点)が対象で、脳死臓器提供管理料(K914)は脳死した方からの提供が対象です。対象がまったく異なるので、どちらに該当するかは提供の形態から個別に確認してください。
みらい(新人医療事務)
40,000点という所定点数には何が含まれているんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項では、脳死判定並びに判定後の脳死した者の身体への処置、検査、医学的管理、看護、院内のコーディネート、薬剤及び材料の使用、採取対象臓器の評価及び脳死した者の身体から臓器を採取する際の術中全身管理に係る費用等が含まれる、とされています。個別の処置を別途算定できるかどうかは、この範囲に含まれるかどうかで変わってきますので、迷った場合は含まれる費用の一覧と照らし合わせてください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちの病院が算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。法的脳死判定の実施状況や対象手術、施設間の連絡体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚生労働省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)医科点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保医発0305第6号)医科点数表(0619訂正後) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713882.pdf
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。対象手術の該当性、日本臓器移植ネットワークからの連絡の有無、担当者の資格要件などは必ず自院で確認してください。