みらい(新人医療事務)
退院後訪問指導料のレセプトを見ていたら、「訪問看護同行加算」という項目がありました。これって何ですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表にある加算ですね。退院後訪問指導料(B007-2、580点)を算定する場面で、退院させた医療機関のスタッフが、在宅療養を担う訪問看護ステーションや他の保険医療機関の看護師等と一緒に患家を訪問し、必要な指導を行った場合に、退院後1回に限り20点を所定点数に加算できるものです。
みらい(新人医療事務)
「一緒に訪問する」というのがポイントなんですね。単独で算定できる加算ではないんですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。退院後訪問指導料という基本の指導料があって、そこに上乗せする形の加算ですので、退院後訪問指導料を算定していない場面では、この加算も算定候補になりません。まずは基本の指導料の要件を満たしているかどうかから確認する必要があります。
訪問看護同行加算とは
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな場面を想定した加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表の告示本文には「在宅療養を担う訪問看護ステーション又は他の保険医療機関の保健師、助産師、看護師又は准看護師と同行し、必要な指導を行った場合には、訪問看護同行加算として、退院後1回に限り、20点を所定点数に加算する。」と規定されています。つまり、退院させた医療機関の側が、患者の在宅療養を今後担っていく訪問看護ステーション等のスタッフと一緒に患家等を訪問し、指導を行った場面を評価する加算です。
みらい(新人医療事務)
「一緒に訪問する」だけで加算になるんですか?それとも何か特別な行為が必要ですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知ではもう少し具体的に書かれていて「『注2』に規定する訪問看護同行加算は、当該患者の在宅療養を担う訪問看護ステーション又は他の保険医療機関の看護師等と同行して患家等を訪問し、当該看護師等への技術移転又は療養上必要な指導を行った場合に算定する。」とされています。単に同行するだけでなく、「技術移転」または「療養上必要な指導」を、同行した看護師等に対して行うことが要件になっています。退院させた医療機関側が持っている患者固有のケアの知識やコツを、今後在宅で担当する訪問看護スタッフに引き継ぐ、というイメージですね。
確認ポイント: 加算の対象は誰への行為か
- 訪問看護同行加算は、患者本人・家族への指導だけでなく「同行した看護師等」への技術移転・指導が要件になっている点に注意
- 単に医療機関同士が同じ日に別々に訪問しただけでは、この加算の対象にならない可能性がある(同行して指導を行ったことの記録が必要)
対象になる医療機関・患者
みらい(新人医療事務)
うちは診療所ですが、対象になりますか?病院じゃないとダメだったりしますか?
あおい(元・医療事務)
退院後訪問指導料自体は、患者を退院させた保険医療機関が算定するものなので、診療所・病院のどちらでも対象になり得ます。ただし、退院させた患者に対する指導であることが前提なので、外来のみで入院を扱っていない診療所では、そもそも退院後訪問指導料を算定する場面自体が生じにくい点は留意が必要です。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者にも条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。退院後訪問指導料の告示本文には対象患者について「当該保険医療機関が、保険医療機関を退院した別に厚生労働大臣が定める状態の患者の地域における円滑な在宅療養への移行及び在宅療養の継続のため、患家等を訪問し、当該患者又はその家族等に対して、在宅での療養上の指導を行った場合に、当該患者が退院した日から起算して1月(退院日を除く。)を限度として、5回に限り算定する。」と書かれています。対象患者は「別に厚生労働大臣が定める状態の患者」に限定されており、具体的な状態の定義はこの告示本文だけでは確認できませんので、自院の対象患者がこの基準に該当するかどうかは、施設基準関連の告示・通知を別途確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
訪問する場所にも決まりがありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では訪問先について「退院後訪問指導料は、入院保険医療機関の医師又は当該医師の指示を受けた当該保険医療機関の保健師、助産師又は看護師が患家、介護保険施設又は指定障害者支援施設等において患者又はその家族等の患者の看護に当たる者に対して、在宅での療養上必要な指導を行った場合に算定する。ただし、介護老人保健施設に入所中又は医療機関に入院中の患者は算定の対象としない。」とされています。患家だけでなく、介護保険施設や指定障害者支援施設等での訪問も対象に含まれますが、介護老人保健施設に入所中の患者や、他の医療機関に入院中の患者は対象外とされています。
対象患者の基準は自院で個別確認を
「別に厚生労働大臣が定める状態の患者」の具体的な範囲は、この記事で引用した条文だけでは確認できません。対象患者に該当するかどうかは、施設基準関連の告示・通知や審査支払機関への確認が必要です。断定はできませんので、必ず自院で確認してください。
点数とコード(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか?基本の指導料と加算の関係がまだ少し曖昧です。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科診療行為マスターに基づく点数は、次の表のとおりです。
| 項目 | 点数 | コード | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| 退院後訪問指導料(基本) | 580点 | 113022910 | 退院日を除き1月を限度に5回まで |
| 訪問看護同行加算(本加算) | +20点 | 113023070 | 退院後1回に限り加算 |

みらい(新人医療事務)
「退院後1回に限り」というのは、退院後訪問指導料を5回算定できるうちの、どこか1回にしか同行加算をつけられない、ということですか?
あおい(元・医療事務)
告示本文の表現どおりに理解すると、そのとおりです。退院後訪問指導料自体は退院日を除き1月を限度に5回までが算定回数の上限ですが、訪問看護同行加算は「退院後1回に限り」と明記されているため、5回の訪問のうち同行加算をつけられるのは1回だけ、という整理になります。2回以上同行した場合にどう扱うかまではこの条文だけでは読み取れませんので、複数回同行する予定がある場合は算定回数の扱いを審査支払機関に確認しておくと安心です。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するために、届出や施設基準は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
今回引用した告示本文・留意事項通知の範囲では、訪問看護同行加算について個別の施設基準や届出を求める記載は確認できませんでした。ただし、これは「届出が不要と断定できる」という意味ではなく、あくまで今回参照した条文の中には見当たらなかった、ということです。届出が必要な加算だと勘違いして未算定のままにしてしまうケースも、逆に届出が必要なのに気づかず算定してしまうケースも避けたいところです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象医療機関 | 患者を退院させた保険医療機関(診療所・病院) |
| 対象患者 | 退院後訪問指導料の対象患者(別に厚生労働大臣が定める状態の患者) |
| 届出 | 引用条文の範囲では個別の届出を求める記載は確認できません(要確認) |
| 施設基準 | 引用条文の範囲では個別の施設基準を求める記載は確認できません(要確認) |
みらい(新人医療事務)
「確認できません」の場合、どう動けばいいですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出一覧や地方厚生局への確認など、公式の届出関連資料を自院で照合することをおすすめします。最終的な判断は、自院の顧問社会保険労務士や地方厚生局への確認も含めて進めてください。対象外の可能性を含めて、断定はせずに確認を進めるのが安全です。
算定のタイミングと回数制限
みらい(新人医療事務)
算定のタイミングについて、もう少し詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
チェック表にまとめると、次のようになります。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 同行相手 | 在宅療養を担う訪問看護ステーション又は他の保険医療機関の保健師・助産師・看護師・准看護師 |
| 行う内容 | 同行した看護師等への技術移転又は療養上必要な指導 |
| 回数 | 退院後1回に限り |
| 記録 | 指導又は指示内容の要点を診療録等に記載 |
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には記録についても「指導又は指示内容の要点を診療録等に記載する。」と明記されています。同行して指導した内容は、必ず診療録等に記録しておく必要があります。誰と同行して、何を指導・技術移転したのかが分かる記載にしておくと、後から算定根拠を確認しやすくなります。
みらい(新人医療事務)
訪問にかかる交通費はどうなるんですか?自費請求できますか?
あおい(元・医療事務)
交通費については、告示本文の注3に「注1及び注2に掲げる指導に要した交通費は、患家の負担とする。」と規定されています。退院後訪問指導料本体(注1)と訪問看護同行加算(注2)のいずれについても、訪問にかかった交通費は診療報酬とは別に、患家(患者側)の負担とされています。保険請求ではなく、患者への説明・請求の対象になる点は事前に案内しておくとトラブルを避けやすいです。
よくある取り漏れ: 交通費と記録
- 交通費は保険請求の対象外で、患家負担となる点を患者への案内から漏らさない
- 「同行した」事実だけでなく、「誰に何を指導・技術移転したか」を診療録に残しておかないと、算定根拠の確認時に困ることがある
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の令和6年度改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
今回参照した令和8年度の告示本文・留意事項通知・疑義解釈の範囲では、訪問看護同行加算そのものについて、前回改定(令和6年度)からの新設・点数変更・要件変更を示す記載は確認できませんでした(確認日: 2026年7月)。前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません。なお、同行した訪問看護ステーション等が自分たちの訪問看護療養費等を別途算定できるという取り扱い自体は平成28年度の疑義解釈で示されており、令和8年度時点でも整理として矛盾する記載は見当たりません。
改定差分は自院でも一次資料を確認
この記事で確認できたのは、今回参照した条文・通知の範囲内での情報です。より新しい疑義解釈や訂正通知が出ている可能性もあるため、算定前に最新の一次資料を確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで算定候補になるかどうか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいです。
自院で確認する順番
- 退院後訪問指導料そのものを算定する場面か(患者が「別に厚生労働大臣が定める状態」に該当し、退院後1月以内・5回までの範囲内か)を確認する
- 在宅療養を担う訪問看護ステーション又は他の保険医療機関の保健師・助産師・看護師・准看護師と同行して訪問したかを確認する
- 同行した看護師等に対して、技術移転又は療養上必要な指導を行ったかを確認する
- 訪問看護同行加算をすでに退院後1回算定していないか(同一入院からの退院について1回限り)を確認する
- 指導・指示内容の要点を診療録等に記録したかを確認する

みらい(新人医療事務)
これだけ順番に確認すればよさそうですね。もっと手軽に確認できる方法もありますか?
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、気になっていた点をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番に答えていきますね。
みらい(新人医療事務)
同行した訪問看護ステーション側は、自分たちの訪問看護療養費を別に請求できるんですか?二重取りになったりしませんか?
あおい(元・医療事務)
この点は疑義解釈でも取り上げられています。少し古い資料ですが、平成28年度の疑義解釈資料(医科 問99)には「区分番号『B007-2』退院後訪問指導料の訪問看護同行加算を入院していた医療機関が算定した場合、同行訪問した訪問看護ステーション又は他の保険医療機関は訪問看護療養費又は在宅患者訪問看護・指導料を算定できるのか」という質問に対し「同行した訪問看護ステーション又は他の保険医療機関は、訪問看護療養費又は在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料若しくは精神科訪問看護・指導料を算定できる。」と回答されています。退院させた医療機関が訪問看護同行加算を算定していても、同行した訪問看護ステーション等が自分たちの訪問看護療養費等を別に算定すること自体は妨げられない、という整理です。ただし平成28年度時点の疑義解釈ですので、現在の運用にそのまま適用できるかは念のため確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
退院後訪問指導料自体は何回まで算定できるんでしたっけ?
あおい(元・医療事務)
退院日を除いて1月を限度に、5回が算定回数の上限です。そのうち訪問看護同行加算をつけられるのは、退院後1回だけです。
みらい(新人医療事務)
交通費は保険請求に含められますか?
あおい(元・医療事務)
含められません。退院後訪問指導料・訪問看護同行加算いずれの訪問にかかる交通費も、患家(患者側)の負担とされています。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。対象患者の該当性や施設基準の要否についても、必ず自院で公式資料と照らし合わせて確認してください。