下肢創傷処置管理料ってどんな加算ですか?
みらい(新人医療事務)
「下肢創傷処置管理料」という名前を初めて見たんですが、これって何をする加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
足の潰瘍がある患者さんに対して、下肢創傷処置に関する専門の知識を持つ医師が、計画的に医学管理と療養上の指導を行った場合に算定候補になる医学管理料です。区分番号はB001の36にあたります。
みらい(新人医療事務)
「専門の知識を持つ医師」というのがポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。単に処置をするだけでなく、治療計画を立てて患者さんに説明し、同意を得たうえで継続的に指導していく体制が求められています。当サイトが収録している一次資料では、次のように定義されています。
根拠となる条文(当サイト収録資料より)
算定要件: 「下肢創傷処置管理料は、入院中の患者以外の患者であって、下肢の潰瘍に対し継続的な管理を必要とするものに対し、「J000-2」に掲げる下肢創傷処置と併せて、専門的な管理を行った場合に算定するものであり、下肢創傷処置に関する適切な研修を修了した医師が、治療計画に基づき療養上の指導を行った場合に算定できる」

みらい(新人医療事務)
図で見ると、対象患者・管理料・処置・併算定不可の関係がわかりやすいです。
あおい(元・医療事務)
この記事では、令和8年度(2026年度)の内容をもとに、対象・点数・施設基準・注意点を順番に確認していきますね。最終的な算定可否は自院での確認が必要ですが、まずは全体像をつかみましょう。
対象医療機関・対象患者はどこまで含まれますか?
みらい(新人医療事務)
うちみたいな診療所でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
はい、対象医療機関は診療所・病院どちらも含まれます。ただし外来(入院中の患者以外)が対象で、入院中の患者には算定できない点に注意してください。当サイト収録資料の対象医療機関の記載を確認しましょう。
対象医療機関・対象患者(当サイト収録資料より)
対象医療機関: 「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、入院中の患者以外の患者であって、下肢の潰瘍を有するものに対して、下肢創傷処置に関する専門の知識を有する医師が、計画的な医学管理を継続して行い、かつ、療養上必要な指導を行った場合に、区分番号J000-2に掲げる下肢創傷処置を算定した日の属する月において、月1回に限り算定する」
みらい(新人医療事務)
「下肢の潰瘍を有する患者」というのが対象の中心なんですね。潰瘍の程度は問わないんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこは条文上、潰瘍の深さや部位までは限定されていません。ただし、後で見るように、あわせて算定するJ000-2下肢創傷処置のほうは、潰瘍の深さ(浅い潰瘍・深い潰瘍)によって点数区分が分かれています。管理料の対象となるかどうかは、まず処置の対象になっているかどうかとあわせて確認するのが実務上の順番になります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、管理料単体ではなく、処置とセットで考える加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
その理解で合っています。次は点数を具体的に見ていきましょう。
点数はいくらで、あわせて算定する処置の点数はどうなっていますか?
みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
下肢創傷処置管理料は500点で、月1回の算定です。あわせて算定するJ000-2下肢創傷処置は、潰瘍の部位・深さによって点数が3区分に分かれています。テーブルにまとめました。
| 項目 | 点数 | 算定頻度 |
|---|---|---|
| 下肢創傷処置管理料(B001の36) | 500点 | 月1回 |
| J000-2下肢創傷処置 足部(踵を除く)の浅い潰瘍 | 135点 | 処置を行った日 |
| J000-2下肢創傷処置 足趾の深い潰瘍又は踵の浅い潰瘍 | 147点 | 処置を行った日 |
| J000-2下肢創傷処置 足部(踵を除く)の深い潰瘍又は踵の深い潰瘍 | 270点 | 処置を行った日 |
みらい(新人医療事務)
管理料と処置の点数は別々に算定できるということですか?
あおい(元・医療事務)
はい。下肢創傷処置管理料は「J000-2下肢創傷処置を算定した日の属する月」に月1回算定する仕組みなので、処置自体の点数(135点、147点、270点のいずれか)と、月1回の管理料500点は、それぞれ別立てで確認する必要があります。点数区分の元になる点数表(令和8年度)は次のとおりです。
J000-2下肢創傷処置の点数(厚生労働省点数表より)
J000-2下肢創傷処置: 「1 足部(踵を除く。)の浅い潰瘍 135点 2 足趾の深い潰瘍又は踵の浅い潰瘍 147点 3 足部(踵を除く。)の深い潰瘍又は踵の深い潰瘍 270点」
あおい(元・医療事務)
この点数区分の根拠は 厚生労働省 医科診療報酬点数表(令和8年度) で確認できます。
施設基準は何が必要ですか?
みらい(新人医療事務)
届出が必要な加算なんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。届出必須で、施設基準ありという分類になっています。ポイントは、下肢創傷処置に関する専門の知識を有する医師、より具体的には「適切な研修を修了した医師」の存在です。
みらい(新人医療事務)
「適切な研修」って、具体的にどんな研修のことですか?
あおい(元・医療事務)
そこは疑義解釈で具体例が示されています。令和4年度の疑義解釈資料では、次のように回答されています。
研修要件の具体例(疑義解釈資料より・令和4年度)
問145への回答: 「区分番号「B001」の「36」下肢創傷処置管理料の施設基準において求める医師の「下肢創傷処置に関する適切な研修」には、具体的にはどのようなものがあるか。現時点では、一般社団法人日本フットケア・足病医学会「日本フットケア足病医学会認定師講習会」のうち「Ver.2」が該当する」
みらい(新人医療事務)
他にも該当する研修はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。同じく疑義解釈資料の別の回答で、次の講習会も該当するとされています。
追加の研修要件(疑義解釈資料より・令和4年度)
問4への回答: 「区分番号「B001」の「36」下肢創傷処置管理料の施設基準において求める医師の「下肢創傷処置に関する適切な研修」については...一般社団法人日本フットケア・足病医学会「下肢創傷処置・管理のための講習会」は該当するか。該当する」
みらい(新人医療事務)
この2つの講習会のどちらかを修了していれば、研修要件を満たしていると考えていいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
資料の範囲ではその2つが該当する旨が示されていますが、研修要件の充足そのものは自院の届出内容や地方厚生局への確認が必要な事項です。当サイトの整理では判定できないので、届出前に必ず確認してください。
併算定で注意することはありますか?
みらい(新人医療事務)
他の加算とあわせて算定できないケースはありますか?
あおい(元・医療事務)
大事な注意点があります。糖尿病合併症管理料とは、同じ月にあわせて算定できません。条文には次のように明記されています。
併算定不可(当サイト収録資料より)
「ただし、区分番号B001の20に掲げる糖尿病合併症管理料は、別に算定できない」
みらい(新人医療事務)
どうしてこの2つは併算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
どちらも足の潰瘍やハイリスク要因に関する医学管理という点で対象が重なる部分があるためと考えられますが、条文自体は理由までは説明していません。実務上は「同じ月に糖尿病合併症管理料をすでに算定していないか」を確認する運用が必要です。参考までに、糖尿病合併症管理料の対象患者の定義も確認しておきましょう。
参考: 糖尿病合併症管理料の対象患者(当サイト収録資料より)
「糖尿病合併症管理料は、次に掲げるいずれかの糖尿病足病変ハイリスク要因を有する入院中の患者以外の患者...に対し、医師が糖尿病足病変に関する指導の必要性があると認めた場合に、月1回に限り算定する」
みらい(新人医療事務)
糖尿病の患者さんが対象になっていることも多そうですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。対象患者が重なりやすい加算なので、あわせて糖尿病合併症管理料のページも確認しておくと、自院でどちらが実態に合うか整理しやすくなりますよ。
みらい(新人医療事務)
治療計画や診療録の記載についても決まりがあるんでしたよね?
あおい(元・医療事務)
はい。算定要件の中に、初回算定時の治療計画作成と同意取得、毎回の指導内容の診療録記載が含まれています。
記録・同意に関する要件(当サイト収録資料より)
「初回算定時に治療計画を作成し、患者及び家族等に説明して同意を得るとともに、毎回の指導の要点を診療録に記載すること」
みらい(新人医療事務)
治療計画は誰かの了承が必要とか、様式が決まっているとかもあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこまでの詳細は当サイトが確認した資料の範囲には含まれていません。様式や運用の細部は自院の届出書類や地方厚生局への確認事項になります。資料にないことを断定して案内はできないので、この点は要確認としてお伝えしますね。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、この加算に変わったところはありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料の範囲では、令和6年度から令和8年度にかけての算定要件・施設基準・点数の変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。この加算自体は令和4年度の疑義解釈資料にもすでに登場しており、研修要件についても令和4年度時点の疑義解釈が現在も参照される内容になっています。
時系列の整理
令和4年度: 疑義解釈で研修要件(日本フットケア・足病医学会の講習会)が示される。令和6年度・令和8年度: 当サイトが確認した資料の範囲では、点数・施設基準・算定要件の変更は確認されていません。
みらい(新人医療事務)
昔からある加算なんですね。だからこそ、研修要件の資料が古い年度のものになっているんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。制度が変わっていないからといって自院の対応状況が変わっていないとは限らないので、届出内容は定期的に見直すことをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちで確認するとしたら、どういう順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 対象患者(入院中の患者以外で、下肢の潰瘍を有する患者)がいるか確認する
- 下肢創傷処置に関する専門の知識を有する医師(適切な研修を修了した医師)が院内にいるか確認する
- 施設基準の届出を地方厚生局に行っているか確認する
- J000-2下肢創傷処置とあわせて算定する運用になっているか確認する
- 初回の治療計画作成・同意取得・診療録記載の運用ができているか確認する
- 同じ月に糖尿病合併症管理料を算定していないか確認する

みらい(新人医療事務)
図解があると、順番がすごくわかりやすいです。
あおい(元・医療事務)
特に2番目の研修要件と、6番目の併算定確認は見落としやすいポイントなので、意識しておいてください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でよくある取りこぼしってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ
研修要件の未確認: 医師が下肢創傷処置に関する研修を修了しているかを確認しないまま届出を検討してしまうケース。併算定の見落とし: 糖尿病合併症管理料をすでに算定している患者に、あわせて下肢創傷処置管理料を算定候補として検討してしまうケース。治療計画・同意の記録漏れ: 初回算定時の治療計画作成と同意取得、毎回の指導記録が診療録に残っていないケース。
みらい(新人医療事務)
治療計画と診療録の記載って、地味だけど大事なところなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。点数や対象患者の要件を満たしていても、記録が整っていないと算定の根拠が説明しにくくなります。日々の運用に組み込んでおくのがおすすめです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者にも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、対象は入院中の患者以外です。条文上「入院中の患者以外の患者」と明記されているので、入院患者には対象外の可能性が高いです。ただし個別の入院形態の扱いは自院・審査支払機関での確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
研修を修了していない医師が診察した場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準で求められているのは「下肢創傷処置に関する適切な研修を修了した医師」による計画的な医学管理です。研修を修了した医師が関与していない場合は、算定候補にならない可能性があるため、院内の体制を確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
糖尿病の患者さんでも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
下肢の潰瘍を有する患者であれば対象になり得ますが、同じ月に糖尿病合併症管理料をすでに算定している場合は、下肢創傷処置管理料は別に算定できないとされています。どちらの管理料が実態に合うかは、自院での確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。