みらい(新人医療事務)
あおいさん、「腎代替療法指導管理料」ってカルテで見かけたんですけど、これってどんな管理料なんですか?
あおい(元・医療事務)
腎臓の機能がかなり低下してきた患者さんに対して、血液透析・腹膜透析・腎移植といった「腎代替療法」について、医師と看護師が共同でしっかり説明し、患者さんが納得して治療方針を選べるように支援した場合に算定候補になる管理料ですよ。令和8年度(2026年度)の医科点数表では500点、情報通信機器を用いて指導した場合は435点と定められています。
みらい(新人医療事務)
「腎代替療法」って聞くと透析のことかなと思ったんですが、指導管理料なんですね。透析そのものの点数とは別物ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、別物です。透析そのものの技術料は人工腎臓(J038)という別区分で算定します。腎代替療法指導管理料は、透析を始める「前」の段階で、血液透析・腹膜透析・腎移植のどれを選ぶかを患者さんが理解し、選択できるように支援するための指導管理料です。混同しやすい名称の加算がいくつかあるので、後ほど整理しますね。
腎代替療法指導管理料とは(概要)
みらい(新人医療事務)
まず、どんな場面で算定候補になるのか教えてください。
あおい(元・医療事務)
対象になるのは、入院中の患者以外で、腎臓の機能がかなり低下してきている患者さんです。具体的には、腎臓内科の経験を有する常勤医師と、腎臓病患者の看護に従事した経験を有する専任の看護師が共同して、患者さんの同意を得た上で診療方針について十分に話し合い、その内容を文書等により提供した場合に算定候補になります。1回の指導時間は30分以上が前提です。
みらい(新人医療事務)
「医師と看護師が共同して」というのがポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。医師だけ、看護師だけでは要件を満たしません。当サイトが収録している一次資料の範囲では、この共同指導という枠組みが要件の核になっています。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
表にするとこうなります。
| 区分 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 対面での指導 | 500点 | 患者1人につき2回まで |
| 情報通信機器を用いた指導 | 435点 | 患者1人につき2回まで(施設基準に適合し届出た場合) |
あおい(元・医療事務)
情報通信機器を用いる場合は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合し届け出た保険医療機関であることが前提になります。対面でも情報通信機器を用いる場合でも、算定できるのは患者1人につき2回までという上限は共通です。

みらい(新人医療事務)
2回までというのは厳しい気もしますが、なぜそういう制限なんですか?
あおい(元・医療事務)
治療方針を選ぶための指導ですから、繰り返し算定する性質のものではなく、意思決定を支援する節目で行う指導という位置づけだからだと考えられます。ただし2回目を算定する際には、なぜその2回目の指導が医療上必要だったのかを診療報酬明細書の摘要欄に記載することが求められています。
対象患者の要件
みらい(新人医療事務)
「腎臓の機能がかなり低下している患者さん」というのは、具体的にどう判断するんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料では、対象患者はいずれかの要件を満たす患者とされています。1つ目は、慢性腎臓病の患者であって、3か月前までの直近2回のeGFR(推算糸球体濾過量)がいずれも30未満の場合です。2つ目は、急速進行性糸球体腎炎等による腎障害により、急速な腎機能低下を呈し、不可逆的に慢性腎臓病に至ると判断される場合です。
みらい(新人医療事務)
eGFRの数値までちゃんと基準があるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。しかも、このどちらの要件に該当するかによって、摘要欄への記載事項も変わります。eGFR基準に該当する場合は、直近の血液検査でのeGFR値がどの区分(25以上30未満・15以上25未満・15未満)に当てはまるかを記載し、急速進行性糸球体腎炎等に該当する場合は、指導管理を実施する時期をなぜ適切と判断したのかという理由を記載する扱いです。
対象患者は自院で個別に確認
対象患者に該当するかどうかは、eGFRの推移や腎障害の進行状況など患者ごとの臨床判断が必要です。この記事は判断の枠組みを紹介するものであり、個々の患者さんが対象になるかどうかの断定はできません。担当医師の判断と診療録の記載で確認してください。
指導の内容・記録の仕方
みらい(新人医療事務)
指導では具体的に何を説明する必要があるんですか?
あおい(元・医療事務)
血液透析、腹膜透析、腎移植等の腎代替療法について、いずれについても情報提供することが求められています。特定の治療法だけを説明して終わり、というのは想定されていません。なお、この情報提供は腎臓病教室とは別に行うこととされています。
みらい(新人医療事務)
説明に使う資料は病院が独自に作ったものでもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では、関連学会が作成した腎代替療法選択に係る資料、またはそれらを参考に作成した資料に基づいて説明を行うこととされています。まったくのオリジナル資料というより、学会作成資料をベースにした資料での説明が想定されているようです。
みらい(新人医療事務)
記録はどう残すんですか?
あおい(元・医療事務)
指導内容等の要点を診療録に記載することが必要です。ただし、説明に用いた文書の写しを診療録に添付すれば、診療録への記載に代えることができるとされています。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
この管理料、届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、必要です。別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関であることが前提になります。届出をしていない状態で算定することはできません。
みらい(新人医療事務)
施設基準の中身はどんな感じなんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している届出関連の一次資料では、腎代替療法指導管理料の実施にあたって、腎臓病患者の看護の経験を有する専任の常勤看護師の配置が求められる項目として整理されています。医師についても、腎臓内科の経験を有する常勤医師であることが前提です。人員体制の詳細な充足状況は、必ず自院の届出書類・研修記録で確認してください。
届出確認のポイント
- 担当医師: 腎臓内科の経験を有する常勤医師かどうか
- 担当看護師: 腎臓病患者の看護に従事した経験を有する専任の常勤看護師かどうか
- 施設基準の届出: 地方厚生局への届出が受理されているかどうか
- 情報通信機器を用いる場合: 別に定める施設基準に別途適合し届出ているかどうか
算定回数・レセプト記載の注意
みらい(新人医療事務)
算定回数の上限と、レセプトで気をつけることをもう一度整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
患者1人につき2回までという上限があります。1回目はまず要件に沿って指導を行い記録すれば足りますが、2回目を算定する際には、その2回目がなぜ医療上必要だったのかを診療報酬明細書の摘要欄に記載する必要があります。加えて、対象患者としてどちらの要件に該当するか(eGFR基準か、急速進行性糸球体腎炎等か)によっても、摘要欄に記載すべき内容が変わってきます。
回数超過・記載漏れに注意
患者1人につき2回までという上限を超えて算定すると、算定候補ではなく過誤請求として扱われる可能性があります。摘要欄への記載事項も対象患者の要件によって異なるため、レセプト作成時は該当する要件区分を必ず確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、腎代替療法指導管理料そのものの点数・算定要件・施設基準について、前回改定からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次資料ベース)。なお、令和8年度改定では、透析関連の周辺項目として人工腎臓の点数見直しや腎代替療法診療体制充実加算の新設など、隣接する項目に動きがありました。これらは腎代替療法指導管理料そのものとは異なる区分ですので、次の章で整理しますね。
似た名前の加算との違い(混同注意)
みらい(新人医療事務)
「腎代替療法」という言葉がつく加算、他にもあるみたいで混乱してます…。
あおい(元・医療事務)
そうなんです、名前が似ているので要注意です。当サイトが収録している一次資料をもとに区別すると、次の3つはすべて別の区分です。
「腎代替療法」を含む名称の整理
- 腎代替療法指導管理料(この記事): 医学管理等の区分。治療方針選択を支援する指導管理そのもの。500点(情報通信機器435点)。
- 腎代替療法実績加算: 慢性維持透析患者外来医学管理料の「注3」の加算。腎代替療法に関する施設基準に適合し届け出た医療機関で、同管理料の所定点数に上乗せする加算。
- 人工腎臓 腎代替療法診療体制充実加算: 人工腎臓(J038)の「注15」に関する加算。人工腎臓を実施する施設の診療体制充実に関する加算。
みらい(新人医療事務)
全部別物なんですね…同じ患者さんの同じ月にまたがって出てくることもありそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。例えば、腎代替療法指導管理料で治療方針を話し合った患者さんが、その後透析を選択して慢性維持透析患者外来医学管理料の対象になる、という流れは想定できます。ただし、どの加算が実際に算定候補になるかは、それぞれ別の要件・別の届出が必要ですので、名称が似ているからといって同じ扱いにはできません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックで算定候補になるかどうか、どの順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
-
対象患者に該当するか確認 — eGFRが3月前までの直近2回とも30未満か、または急速進行性糸球体腎炎等による急速な腎機能低下に該当するか
-
担当者の経験要件を確認 — 腎臓内科の経験を有する常勤医師、腎臓病患者の看護に従事した経験を有する専任の常勤看護師が配置されているか
-
施設基準の届出状況を確認 — 地方厚生局への届出が受理されているか(情報通信機器を用いる場合は別途の届出も)
-
同意取得・共同指導の実施を確認 — 患者の同意を得て、医師と看護師が共同で30分以上の指導を実施し、文書等で内容を提供したか
-
説明資料・記録を確認 — 関連学会作成資料またはそれに準じた資料を用い、指導内容の要点を診療録に記載したか(文書の写し添付でも可)
-
摘要欄記載を確認 — 対象患者の該当区分に応じた記載事項を満たしているか、2回目算定時は医療上の必要性を記載したか

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかパターンがあります。
よくある取り漏れ・確認漏れ
- 看護師の同席記録がない: 医師のみで説明を行い、看護師との共同指導であることが記録上わからないケース
- 説明した治療法が偏っている: 血液透析だけ、あるいは腹膜透析だけの説明にとどまり、いずれの腎代替療法についても情報提供したという記録が残っていないケース
- 2回目の必要性が未記載: 2回目を算定しているのに、摘要欄に医療上の必要性が記載されていないケース
- 情報通信機器利用時の届出漏れ: 対面の施設基準は満たしていても、情報通信機器を用いる場合の施設基準を別途届け出ていないケース
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある疑問を聞いておきたいです。看護師が同席できない場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では「腎臓病患者の看護に従事した経験を有する専任の看護師と共同して」行うことが要件とされていますので、医師単独の説明では、この管理料の算定候補にはならない可能性があります。看護師の同席・共同実施の記録を残せているかを確認してください。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者には算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では「入院中の患者以外のもの」が対象とされています。入院中の患者については、この管理料の対象外である可能性が高いです。入院患者への腎代替療法の説明を行う場合は、別の枠組みで評価されていないか確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
3回目の指導が必要になった場合はどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では「患者1人につき2回に限り算定する」とされていますので、3回目以降は算定の対象外である可能性が高いです。追加の説明が必要な場合でも、この管理料としての算定回数の上限は超えられない点に注意してください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠としています。詳細な算定要件・施設基準・届出手続きは、必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一 医科診療報酬点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省公式ページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00074.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の要件や施設基準、届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。