みらい(新人医療事務)
あおいさん、「遠隔電子処方箋活用加算」って見慣れない名前の加算があるんですけど、これって何ですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の改定で新しくできた加算ですね。オンライン診療のように情報通信機器を用いて医学管理を行った際に、電子処方箋を発行すると月1回10点を所定点数に加算できる、という仕組みです。
みらい(新人医療事務)
「電子処方箋」ってマイナ保険証とセットでよく聞くやつですよね。それを使っただけで加算になるんですか?
あおい(元・医療事務)
使っただけ、ではなく条件があります。順番に見ていきましょう。まずはこの加算がどんな場面を想定しているかからです。
遠隔電子処方箋活用加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも、どんな医療機関のどんな場面を想定した加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示ではこう定義されています。
告示の定義(令和8年厚生労働省告示第69号)
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、情報通信機器を用いた診療の際に地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第64号)に基づく電磁的記録をもって作成された処方箋(以下この部において「電子処方箋」という。)を発行した場合、遠隔電子処方箋活用加算として、月に1回に限り10点を所定点数に加算する。
あおい(元・医療事務)
ポイントは「情報通信機器を用いた診療の際に」という部分です。対面の診療で電子処方箋を発行しても、この加算の対象にはなりません。オンラインでの医学管理と電子処方箋の発行がセットになっている場面が前提です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、対面診療では対象外の可能性があるってことですね。じゃあ、入院中の患者さんとか、訪問診療でも使えますか?
あおい(元・医療事務)
この加算は「第1節 医学管理料等」の通則7に位置づけられていて、当サイトが収録している一次資料の範囲では、外来を中心とした医学管理等が前提になっています。入院や在宅医療の枠組みとは別の区分なので、入院・在宅の場面で同じように算定候補になるかは、自院の届出内容と合わせて個別に確認が必要です。
点数と算定の基本
みらい(新人医療事務)
点数と算定回数を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
表にするとこうなります。
| 項目 | 内容 | 年度 |
|---|---|---|
| 加算名 | 遠隔電子処方箋活用加算 | 令和8年度 |
| 点数 | 10点 | 令和8年度 |
| 算定回数 | 月に1回に限り | 令和8年度 |
| 区分 | 医学管理料等 通則7 | 令和8年度 |
みらい(新人医療事務)
シンプルな加算なんですね。区分番号とかコードはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算は個別の医学管理料に紐づく「通則」として点数表に定められていて、独立した区分番号の記載までは確認できていません。具体的なレセプトコードは、お手元の医科診療行為マスターで確認してください。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっていますか?届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
届出は必要です。施設基準等の告示(令和8年厚生労働省告示第71号)では、こう定められています。
施設基準(令和8年厚生労働省告示第71号)
一 遠隔電子処方箋活用加算の施設基準 電磁的記録をもって作成された処方箋を発行する体制を有していること。
あおい(元・医療事務)
条文としては短いのですが、実際には「電子処方箋管理サービスとどう連携しているか」「重複投薬等チェックをどう運用しているか」という運用面の確認が欠かせません。次の算定要件で詳しく見ていきます。
算定要件(3つの条件)
みらい(新人医療事務)
さっきの「情報通信機器を用いた診療」以外にも条件があるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)に、以下のように書かれています。
留意事項通知(保医発0305第6号)verbatim
「通則7」の遠隔電子処方箋活用加算は、第1節医学管理料等に掲げる医学管理等のうち、情報通信機器を用いた場合であって、以下の(1)から(3)までの全てを満たした場合に、月に1回に限り所定点数に加算する。なお、情報通信機器を用いた場合の規定がない医学管理料等では算定できない。 (1) 「電子処方箋管理サービスの運用について」(令和4年10月28日付け薬生発1028第1号医政発1028第1号保発1028第1号厚生労働省医薬・生活衛生局長・医政局長・保険局長通知)に基づく電子処方箋管理サービスを用いて最新の処方情報及び調剤情報を確認し、処方情報の登録時に重複投薬等チェック機能を活用すること。 (2) 患者に対し、調剤を行う保険薬局を事前に確認し、当該保険薬局が電子処方箋により調剤する体制を有していることを確認すること。 (3) 電子処方箋(引換番号が印字された紙の処方箋を除く。)を発行すること。

みらい(新人医療事務)
「全てを満たした場合」なので、3つとも必要ってことですね。1つでも欠けたら候補にならないんですか?
あおい(元・医療事務)
条文の書き方からすると、3条件は「全て」が前提です。1つでも運用できていなければ、算定候補にならない可能性が高いと考えて確認したほうがよいです。
みらい(新人医療事務)
「情報通信機器を用いた場合の規定がない医学管理料等では算定できない」というのも気になります。
あおい(元・医療事務)
ここは見落とされがちな注意点です。すべての医学管理料が対象ではなく、そもそも「情報通信機器を用いた場合」の規定を持つ医学管理料等でなければ、この加算の土台に乗りません。自院がどの医学管理料等をオンラインで実施していて、その医学管理料等に情報通信機器を用いた場合の規定があるかどうかを、まず確認する必要があります。
届出について
みらい(新人医療事務)
届出はどこにすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準は地方厚生局長等への届出が前提になっています。届出が受理されていない状態で算定することはできませんので、まだの場合はまず届出状況を確認してください。届出済みであれば算定候補になりますが、届出の有無自体を確認せずに算定してよいという意味ではありません。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前からあったんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。厚生労働省の個別改定項目の資料には、次のように明記されています。
個別改定項目について(新設の明記)
オンライン診療の更なる利便性の向上と、電子処方箋システムを活用した質の高い処方を評価する観点から、情報通信機器を用いた医学管理において重複投薬等チェックを行い、電子処方箋を発行する場合について、新たな評価を行う。 (新)遠隔電子処方箋活用加算 10点
あおい(元・医療事務)
「(新)」という表記のとおり、令和8年度(2026年度)改定で新設された加算です。前回改定(令和6年度)にはこの名称の加算は存在していませんでした。電子処方箋の運用自体は令和5年1月から始まっていましたが、それをオンライン診療の医学管理と組み合わせて評価する加算としては、今回が初めての新設です。
みらい(新人医療事務)
「新しくできた」というだけで、点数が上がったとか下がったとかの話ではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。既存の加算の点数見直しではなく、新しい評価の枠組みが1つ増えた、という変更です。
併算定・算定回数の注意
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定するときの注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項の条文には「月に1回に限り」と明記されているので、同一月に重複して算定することはできません。また、対象になる医学管理料等が「情報通信機器を用いた場合の規定がある」ものに限られる点は、他の加算との組み合わせを考える上でも重要な前提です。個別の併算定可否は、算定しようとしている医学管理料等ごとの告示・通知を確認する必要があります。
断定できない点
この記事は算定候補になりうる条件を整理したものであり、自院での算定を保証するものではありません。医学管理料等の組み合わせや併算定の可否は、対象となる医学管理料等ごとに個別の確認が必要です。
自院での確認手順
みらい(新人医療事務)
じゃあ、うちのクリニックで確認するにはどんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
-
オンラインで実施している医学管理料等を確認 — 自院がオンラインで実施している医学管理料等に、情報通信機器を用いた場合の規定があるかを確認する
-
施設基準の届出状況を確認 — 遠隔電子処方箋活用加算の施設基準(電磁的記録をもって作成された処方箋を発行する体制)について、地方厚生局への届出が受理されているかを確認する
-
電子処方箋管理サービスとの連携を確認 — 電子処方箋管理サービスを用いて最新の処方情報・調剤情報を確認し、重複投薬等チェック機能を活用できる体制になっているかを確認する
-
患者の調剤薬局を事前確認する運用があるか確認 — 患者が利用する保険薬局が電子処方箋に対応しているかを、診療の際に確認する運用ができているかを確認する
-
電子処方箋の発行方法を確認 — 引換番号が印字された紙の処方箋ではなく、電子処方箋そのものを発行できているかを確認する
-
レセプト上の算定回数を確認 — 同一患者について月1回を超えて算定していないかを確認する

みらい(新人医療事務)
これだけ確認すればよさそうですね。もっと手軽に確認する方法はありますか?
あおい(元・医療事務)
そんなときは、加算チェッカーが便利ですよ。自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できます。届出状況や運用体制を入力すると、確認すべきポイントを整理できます。
よくある取り漏れ
よくある取り漏れポイント
- 電子処方箋管理サービスは導入済みだが、重複投薬等チェック機能を診療の都度活用できていないケース
- 患者の調剤薬局が電子処方箋に対応しているかを、事前確認せずに処方しているケース
- 引換番号が印字された紙の処方箋を発行していて、電子処方箋そのものの発行になっていないケース
- 施設基準の届出はしているが、対象の医学管理料等に「情報通信機器を用いた場合」の規定があるかを確認していないケース
- 月1回の上限を超えて算定してしまっているケース
電子的診療情報連携体制整備加算との違い
みらい(新人医療事務)
似たような名前の加算で「電子的診療情報連携体制整備加算」というのも見たことがあります。同じものですか?
あおい(元・医療事務)
別の加算です。電子的診療情報連携体制整備加算 は医療DXの体制整備そのものを評価する加算で、区分も施設基準も異なります。遠隔電子処方箋活用加算は「情報通信機器を用いた医学管理+電子処方箋の発行」というオンライン診療の場面に限定された加算です。名前が似ている加算ほど、条文で対象区分を確認してから話を進めることをお勧めします。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に気になっていることを聞いてもいいですか?「うちはオンライン診療をやっていないから関係ない」と院長が言っていました。
あおい(元・医療事務)
そのとおりで、この加算は「情報通信機器を用いた場合」が前提なので、オンラインでの医学管理を実施していない医療機関では算定候補にならない可能性が高いです。今後オンライン診療を始める予定がある場合に、確認しておく価値がある加算です。
みらい(新人医療事務)
電子処方箋自体は導入していますが、まだこの加算は算定していません。今から届出すればすぐ算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出が受理されてからの算定が前提です。届出のタイミングと、実際に情報通信機器を用いた医学管理を実施するタイミングがずれると、算定できない期間が生じる可能性があります。届出状況は自院の窓口や地方厚生局への確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
令和6年度の加算一覧を見ても、この加算が載っていないのはなぜですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)の時点ではまだ新設されていなかったためです。厚生労働省の資料でも「(新)遠隔電子処方箋活用加算」と明記されており、令和8年度(2026年度)改定で初めて設けられた加算です。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。詳細な要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/000433602.pdf
- 特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第71号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001675855.pdf
- 令和8年度診療報酬改定 個別改定項目について(外来医療の機能分化・強化等) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001681336.pdf
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。施設基準の充足と届出の有効性を必ず自院で確認してください。