糖尿病合併症管理料ってどんな管理料?
みらい(新人医療事務)
「糖尿病合併症管理料」っていう名前を見かけたんですが、これって糖尿病の患者さん全員が対象になる管理料なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこがポイントです。糖尿病合併症管理料は、糖尿病そのものというより「糖尿病足病変」のリスクがある患者さんに対する指導管理を評価する管理料なんです。当サイトが収録している令和8年度の一次資料の範囲では、点数は170点、算定できるのは月1回とされています。
みらい(新人医療事務)
足のリスクがある患者さんに限定されているんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。糖尿病があるというだけでは算定候補にはなりません。次のセクションで、対象患者の要件を具体的に見ていきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックでも算定候補になり得るんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
対象医療機関は、施設基準に適合して届け出た保険医療機関で、診療所も病院も含まれます。当サイトの整理では対象は外来(入院中の患者以外)です。まずはここで一度絞り込みが必要です。
みらい(新人医療事務)
患者さん側の条件はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では、次のいずれかの「糖尿病足病変ハイリスク要因」を有する、入院中の患者以外の患者(通院する患者のことをいい、在宅での療養を行うものを除く)が対象とされています。
対象となる糖尿病足病変ハイリスク要因
①足潰瘍、足趾・下肢切断の既往/②閉塞性動脈硬化症/③糖尿病神経障害。このいずれかに該当し、医師が指導の必要性を認めた場合が対象です。
みらい(新人医療事務)
この3つのどれかに当てはまって、かつ医師が指導の必要性を認めた場合、という理解でいいですか?
あおい(元・医療事務)
はい、その理解で合っています。「糖尿病だから対象」ではなく「この3要因のいずれかがあり、医師が指導の必要性を認めた」場合に算定候補になる、という順番で確認するのが実務的です。
点数・区分番号(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数の情報を表で整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。当サイトが収録している一次資料の範囲での整理です。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 管理料名 | 糖尿病合併症管理料 |
| 区分番号 | B001の20 |
| 点数 | 170点 |
| 算定回数 | 月1回に限り算定 |
| 1回の指導時間 | 30分以上 |
| 対象患者の場面 | 入院中の患者以外(外来通院) |
みらい(新人医療事務)
「1回30分以上」というのは意外と長いですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ここは記録の書き方にも関わってくるので、あとで実施記録のところでもう一度触れますね。

施設基準・実施できる人
みらい(新人医療事務)
この管理料、誰が指導してもいいわけではないんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。一次資料では、専任の常勤医師、または当該医師の指示を受けた専任の看護師が、糖尿病足病変ハイリスク要因の評価を行い、その結果に基づいて指導計画を作成することとされています。
みらい(新人医療事務)
看護師さんが指導する場合、資格や研修は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
必要です。施設基準では、糖尿病足病変患者の看護に従事した経験があり、糖尿病足病変の指導に係る適切な研修を修了した専任の看護師、という条件が示されています。「経験があるから大丈夫」ではなく、研修修了の実績も併せて確認が必要な項目です。
見落としやすいポイント: 看護師の研修修了
指導を行う看護師については、糖尿病足病変患者の看護経験だけでなく、糖尿病足病変の指導に係る適切な研修を修了していることが施設基準として示されています。経験年数だけで判断せず、研修修了の記録が院内に残っているかを確認してみてください。
みらい(新人医療事務)
常勤医師が確保できない場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料には、専任の常勤医師の配置基準について、週3日以上かつ所定労働時間が週22時間以上勤務する専任の非常勤医師(糖尿病治療及び糖尿病足病変の診療経験を5年以上有する医師に限る)を2名以上組み合わせることで、常勤医師の配置基準を満たすとみなせる、という考え方が示されています。ただし、この非常勤医師の組合せが自院の勤務体制で本当に要件を満たすかは、細かい条件があるため個別確認が必要です。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、届出をしなくても算定できますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは分けて考える必要があります。糖尿病合併症管理料は、施設基準に適合しているだけでなく、地方厚生局長等への届出が行われている保険医療機関で算定する管理料とされています。届出が済んでいなければ、実態として要件を満たしていても算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
「施設基準を満たしていそう」と「届出が済んでいる」は別物なんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。院内で「うちは要件を満たしているはず」という認識があっても、実際に届出が受理されているかどうかは、事務担当が地方厚生局への届出状況を確認するまでは確定しません。
実施内容の記録
みらい(新人医療事務)
指導したこと自体は、どう残しておけばいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では、実施した医師または看護師が、糖尿病足病変ハイリスク要因に関する評価結果、指導計画、そして実施した指導内容を診療録または療養指導記録に記載することとされています。
みらい(新人医療事務)
評価結果と指導計画、それから実施内容の3点セットですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に「1回30分以上」という時間の要件があるので、指導開始・終了の記録や、指導した内容の具体性が、あとで算定根拠を説明するときの拠り所になります。
算定タイミング・併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
他の管理料と一緒に算定できないケースってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。ここは特に注意が必要な部分なので、一次資料をもとに整理しますね。
下肢創傷処置管理料との併算定に注意
一次資料では、下肢創傷処置管理料(区分番号B001の36)を、下肢創傷処置を算定した日の属する月において算定する場合、糖尿病合併症管理料は別に算定できないとされています。同じ月に下肢創傷処置管理料の算定を検討している患者さんについては、糖尿病合併症管理料との重複がないか確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
逆に、一緒に算定できるケースもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。一次資料には、同一月または同一日であっても、第2章第1部の各区分に規定する他の医学管理等、および在宅療養指導管理料は併算定できるという記載があります。つまり「糖尿病合併症管理料=他の管理料と一切併算定できない」というわけではなく、下肢創傷処置管理料のように明示的に除外されている組み合わせが問題になる、という理解が実態に近いです。
みらい(新人医療事務)
生活習慣病管理料との関係はどうですか? 糖尿病の患者さんだと両方に関わりそうです。
あおい(元・医療事務)
そこも確認したいポイントです。生活習慣病管理料(Ⅰ)の一次資料では、外来管理加算や第1部医学管理等の費用が所定点数に含まれる(=別に算定できない)とされている一方で、そのカッコ書きの中で糖尿病合併症管理料は含まれる範囲から明示的に除かれています。つまり、生活習慣病管理料を算定している月でも、糖尿病合併症管理料が一律に取り込まれて算定できなくなるわけではなさそうだ、という整理になります。
生活習慣病管理料との関係は個別確認を
生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の一次資料では、包括対象の医学管理等の一覧から糖尿病合併症管理料が明示的に除外されています。ただし、算定日や算定要件の組み合わせによって取り扱いが変わる可能性があるため、実際の請求前には自院のレセプトコンピュータの設定やレセプト事例で確認することをおすすめします。
改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、この管理料に変更はあったんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えしますね。当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度時点の同管理料の記載と直接照合できるデータが確認できていません。そのため、前回改定(令和6年度)からの変更点について、当サイトでは確認できていません(確認日: 2026年7月)。点数・算定要件が令和8年度の一次資料でどう記載されているかは、上記の各セクションの通りです。
みらい(新人医療事務)
分からないことは分からないと言ってもらえると安心です。
あおい(元・医療事務)
推測で「変わっていません」と言い切るよりは、確認できた範囲を正直にお伝えするのが誠実だと思っています。変更の有無が気になる場合は、最新の官報告示や地方厚生局への確認をおすすめします。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
ここまでの内容を、確認する順番でまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、次の順番で見ていくのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 施設基準の届出状況を確認する(地方厚生局への届出が受理されているか)
- 対象患者に該当するか確認する(足潰瘍・下肢切断既往/閉塞性動脈硬化症/糖尿病神経障害のいずれか、かつ入院中の患者以外)
- 医師が糖尿病足病変に関する指導の必要性を認めているか確認する
- 専任の常勤医師、または研修修了済みの専任看護師が30分以上の指導を実施できる体制か確認する
- 評価結果・指導計画・実施内容を診療録または療養指導記録に記載する
- 同一月に下肢創傷処置管理料を算定していないか確認する
みらい(新人医療事務)
この順番なら、事務としても迷わずチェックできそうです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務の中で見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まとめてみますね。
よくある取り漏れ
糖尿病があるというだけで自動的に対象と判断してしまい、足潰瘍・切断既往/閉塞性動脈硬化症/糖尿病神経障害という3要因のいずれかに該当するかの確認が漏れるケースがあります。また、指導時間が30分に満たない記録のまま算定してしまう、看護師の研修修了記録が残っていない、といった点も見落としやすいポイントです。
みらい(新人医療事務)
どれも「うっかり」で起きそうな内容ですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。特に指導時間と研修修了の記録は、算定後に確認を求められたときの根拠になるので、日頃から記録を残しておく習慣が大切です。
関連する管理料
みらい(新人医療事務)
似たような管理料も他にあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
はい。糖尿病の患者さんに関連する管理料として、生活習慣病管理料もあわせて確認しておくと、算定の組み合わせを整理しやすいと思います。上のセクションでお話ししたとおり、生活習慣病管理料の包括範囲から糖尿病合併症管理料が明示的に除外されている点も、あわせて見ておくと理解が深まります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある疑問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
糖尿病の患者さん全員に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、算定候補になるのは、糖尿病足病変ハイリスク要因(足潰瘍・下肢切断既往/閉塞性動脈硬化症/糖尿病神経障害のいずれか)があり、医師が指導の必要性を認めた入院中以外の患者さんです。糖尿病であること自体が算定要件のすべてではありません。
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、届出なしでも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、施設基準への適合に加えて、地方厚生局長等への届出が必要です。届出状況は自院の事務担当または地方厚生局への確認が欠かせません。
みらい(新人医療事務)
看護師が指導しても算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では、専任の常勤医師の指示を受けた専任の看護師による指導も認められていますが、その看護師には糖尿病足病変患者の看護経験と、糖尿病足病変の指導に係る適切な研修修了が施設基準として求められています。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。