みらい(新人医療事務)
先生、レセプトを見ていたら「耳鼻咽喉科乳幼児処置加算」という項目があったんですが、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
耳鼻咽喉科で小さいお子さんの処置をしたときに付けられる可能性がある加算ですよ。令和8年度(2026年度)の医科点数表では、第2章第9部処置の通則7に規定されていて、対象になれば1日につき60点が所定点数に加算される候補になります。
みらい(新人医療事務)
「候補になる」ってことは、必ず算定できるわけじゃないんですね?
あおい(元・医療事務)
そうです。条件に当てはまっているかを一つずつ確認したうえで、最終的には自院の記録や届出状況、審査支払機関の判断も踏まえて確認するのが基本です。まずは条件から見ていきましょう。
この加算は何のための加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも、どういう場面で出てくる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
耳鼻咽喉科の外来では、耳あかの除去や鼻処置、痰を出しやすくする処置など、細かい処置を何度も行いますよね。6歳未満の乳幼児は診察台にじっとしていられなかったり、泣いてしまったりして、大人よりも時間や人手がかかることが多いんです。そうした負担の大きさに対応するための加算が、耳鼻咽喉科乳幼児処置加算です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、乳幼児ならではの手間を評価する加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし対象になる処置の範囲や年齢の条件が細かく決まっているので、当てはまるかどうかは一つずつ確認する必要がありますよ。
対象医療機関・対象患者・対象となる処置
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年厚生労働省告示第69号による医科点数表、第2章第9部処置の通則7には次のように定められています。耳鼻咽喉科を標榜する保険医療機関において、耳鼻咽喉科を担当する医師が、6歳未満の乳幼児に対して、区分番号J095からJ115-2までに掲げる処置を行った場合は、耳鼻咽喉科乳幼児処置加算として、1日につき60点を所定点数に加算する。この場合において、区分番号J113の注に規定する乳幼児加算は別に算定できない。
みらい(新人医療事務)
条件が結構具体的ですね。ポイントを分けると、どんな要素があるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
大きく4つのポイントに分けられます。1つ目は医療機関が耳鼻咽喉科を標榜していること、2つ目は実際に処置を行うのが耳鼻咽喉科を担当する医師であること、3つ目は患者が6歳未満の乳幼児であること、4つ目は行った処置が区分番号J095からJ115-2までの範囲に含まれることです。この4つがそろって初めて算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
J095からJ115-2って、具体的にはどんな処置なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の疑義解釈(医科問212)では、範囲の始点と終点について「区分番号『J095』耳処置(耳浴及び耳洗浄を含む。)から『J115-2』排痰誘発法までに掲げる処置」と説明されています。実際の点数表でも、J095は耳処置(耳浴及び耳洗浄を含む)27点、J115-2は排痰誘発法44点として掲載されていて、この間にある耳鼻咽喉科の処置区分が対象範囲になります。
みらい(新人医療事務)
範囲の中に何が入っているか、自院だけで判断するのは難しそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。区分番号の一つひとつは医科点数表の該当ページで確認する必要がありますし、実際に行った処置がその区分に該当するかどうかは、記録と照らし合わせて確認するのが確実です。判断に迷う場合は、確認が必要な項目として残しておくのがよいと思います。

点数
みらい(新人医療事務)
点数のところ、もう一度整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、表にするとこうなります。
| 項目 | 内容 | 年度 |
|---|---|---|
| 加算名 | 耳鼻咽喉科乳幼児処置加算 | 令和8年度 |
| 点数 | 60点(1日につき) | 令和8年度 |
| 根拠規定 | 医科点数表 第2章第9部処置 通則7 | 令和8年度 |
| 対象処置の範囲 | 区分番号J095(耳処置27点)〜J115-2(排痰誘発法44点) | 令和8年度 |
みらい(新人医療事務)
「1日につき60点」というのは、処置を何回やっても1日1回だけということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。先ほどの疑義解釈(医科問212)でも「区分番号『J095』耳処置(耳浴及び耳洗浄を含む。)から『J115-2』排痰誘発法までに掲げる処置を行った日に限り、1日につき1回算定できるのか」という質問に対して「そのとおり」と回答されています。同じ日に複数の処置を行っても、加算そのものは1日1回という整理になります。
点数を算定回数の目安にしない
1日につき60点という点数は、複数回の処置をまとめて評価する加算です。処置の回数分だけ加算が積み重なるものではない点に注意が必要です。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算について特別な施設基準や事前の届出は求められていません。耳鼻咽喉科を標榜していること、耳鼻咽喉科を担当する医師が処置を行うことが条件になっていて、施設基準の届出という手続きは規定されていないという整理です。
みらい(新人医療事務)
届出がいらないなら、あとは処置の内容と年齢の確認だけでいいんですね。
あおい(元・医療事務)
基本的な考え方としてはそうですが、「届出が不要=自動的に算定できる」という意味ではありません。標榜科の実態や、処置を行った医師が耳鼻咽喉科担当かどうかは、自院の記録で確認が必要な項目として残しておいたほうがよいと思います。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
さっきの「J113の乳幼児加算とは併算定できない」という話、もう少し詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
通則7の条文にはっきり書かれている点ですね。区分番号J113の注に規定されている乳幼児加算を算定する場合には、耳鼻咽喉科乳幼児処置加算は別に算定できないという整理になっています。同じ日に両方を計上してしまうと、二重の加算になってしまう可能性があるということです。
みらい(新人医療事務)
似たような名前の加算が並んでいると混乱しそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。「乳幼児加算」という名称の加算は医科点数表の中に複数存在していて、区分やそれぞれの対象処置が異なります。耳鼻咽喉科乳幼児処置加算はJ095からJ115-2までの処置に対する加算、J113の注の乳幼児加算はJ113という個別の処置区分に付随する加算、というように、どの条文のどの加算を指しているのかを確認してから算定の判断をすることが大切です。
似た名称の加算との取り違えに注意
「乳幼児加算」を含む加算名は複数存在します。どの区分番号・どの通則に基づく加算かを条文で確認してから算定候補として扱ってください。名称だけで同一の加算と判断しないようにしましょう。
みらい(新人医療事務)
ほかに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
通則7のすぐあとの通則8には、急性気道感染症や急性中耳炎、急性副鼻腔炎で受診した6歳未満の乳幼児に対して、抗菌薬を使用しない場合の別の加算が規定されています。番号が近いので混同しやすいのですが、通則7の耳鼻咽喉科乳幼児処置加算とは適用条件が異なる、別の規定です。自院で確認する際は、通則7と通則8を取り違えないようにしてください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定で何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲で確認したところ、令和8年度(2026年度)改定にあたる医科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)の通則7は、令和4年度の疑義解釈(医科問212)で引用されている通則第7号の条文と同じ文言で規定されています。区分番号の範囲や1日につき60点という点数、J113の乳幼児加算との併算定不可という整理を含めて、前回改定からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・当サイトが収録する厚生労働省一次資料の範囲)。
みらい(新人医療事務)
変わっていないなら、今までどおりの確認をすればいいんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし「変更が確認されていない」というのは、あくまで当サイトが確認できた資料の範囲での話です。最新の告示・通知や疑義解釈に更新がないか、自院でも定期的に確認しておくと安心です。
前回改定(令和6年度)との対比
令和8年度(2026年度)改定後の条文(通則7)は、令和4年度の疑義解釈で引用されている条文と同じ文言です。当サイトが確認できた一次資料の範囲では、点数・対象範囲・併算定の扱いに変更は確認されていません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際に自院で確認するときは、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
私ならこの順番で確認します。
自院で確認する順番
- 自院が耳鼻咽喉科を標榜しているか、標榜診療科を確認する
- 処置を行った医師が耳鼻咽喉科を担当する医師かどうかを確認する
- 患者が処置を行った時点で6歳未満の乳幼児かどうかをカルテで確認する
- 行った処置が区分番号J095からJ115-2までの範囲に含まれるか、点数表の該当区分と照合する
- 同じ日にJ113の注の乳幼児加算を算定していないか確認する
- ここまで確認できたものを算定候補として整理し、最終判断は自院の届出状況・審査支払機関の確認と合わせて行う
みらい(新人医療事務)
J095からJ115-2の照合が一番手間がかかりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。区分番号の対応関係は点数表の実物か、当サイトのような整理済みの資料で確認するのが確実です。似た番号の処置区分と見間違えないよう、落ち着いて照合してください。

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
この加算、取り漏れやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかありますよ。
取り漏れやすいポイント
年齢の確認漏れ: 処置を行った時点での年齢が6歳未満かどうかの確認が抜けてしまうケースがあります。 担当医の確認漏れ: 処置を行ったのが耳鼻咽喉科担当医かどうかの記録が曖昧なまま算定してしまうケースがあります。 J113乳幼児加算との重複: 併算定できない組み合わせに気づかず、両方を計上してしまうケースがあります。 処置区分の取り違え: J095からJ115-2の範囲外の処置を対象に含めてしまうケースがあります。
みらい(新人医療事務)
逆に、算定できるのに見落としてしまうケースもありそうですね。
あおい(元・医療事務)
あります。届出が不要な加算なので、「届出していないから対象外」と思い込んで確認自体をしないまま見送ってしまうパターンです。届出は不要でも、年齢・担当医・処置区分の条件はそろっているか、一度チェックしてみる価値はあると思います。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある質問を教えてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
よくある質問をいくつかまとめますね。
みらい(新人医療事務)
病院でも算定候補になりますか?診療所だけの加算かと思っていました。
あおい(元・医療事務)
通則7の条文は「耳鼻咽喉科を標榜する保険医療機関」となっていて、診療所・病院どちらも対象になり得ます。外来だけでなく入院中の乳幼児に対する処置でも、条件を満たせば算定候補になります。ただし、実際にどの区分の処置を行ったかの確認は必要です。
みらい(新人医療事務)
在宅の患者さんでも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算は処置(第2章第9部処置)の通則に基づく加算で、在宅医療の枠組みとは別の区分です。在宅で行った処置が対象になるかどうかは、処置区分自体の算定要件も含めて確認が必要な項目です。
みらい(新人医療事務)
似たような処置加算を他にも知っておいたほうがいいですか?
あおい(元・医療事務)
処置の通則には、他にも特定の処置区分に対する加算がいくつかあります。たとえば酸素加算も、特定の区分番号の処置に酸素を使用した場合に加算されるという、通則の中に規定された加算の一つです。仕組みが似ているので、条文の読み方の参考にしてみてください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。標榜診療科や処置の内容、患者の年齢を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。