みらい(新人医療事務)
先輩、輸血をしたレセプトに「不規則抗体加算」ってつけている月とつけていない月があるんですけど、これって何を見て判断すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。不規則抗体加算は、K920「輸血」の注6に基づく加算です。輸血を行った際に不規則抗体検査を実施していれば、検査回数にかかわらず1月につき197点を所定点数に加算できる、というものなんです。
みらい(新人医療事務)
検査回数にかかわらず197点、ということは、月に何回検査しても197点は変わらないってことですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただし例外があって、頻回に輸血を行う場合は1週間に1回に限り197点を加算できる、という規定になっています。「検査回数にかかわらず月1回」が原則、「頻回輸血なら週1回まで」が例外、という2段構えで理解しておくとレセプトチェックがしやすくなりますよ。
不規則抗体加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも不規則抗体検査って何のための検査なんですか?
あおい(元・医療事務)
輸血の際に、患者さんの血液の中にABO式・Rh式以外の「不規則抗体」と呼ばれる抗体があるかどうかを調べる検査です。これがあると輸血時に予期しない反応が起きる可能性があるため、安全な輸血療法を行ううえで欠かせない検査とされています。不規則抗体加算は、この検査にかかる費用をK920輸血の所定点数に上乗せする形で評価する加算です。
みらい(新人医療事務)
「加算」という名前ですけど、輸血そのものとは別に単独で算定できるものではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。あくまでK920「輸血」を算定した月に、その輸血に伴って不規則抗体検査を行った場合に上乗せする加算という位置づけです。輸血の算定と切り離して単独で不規則抗体加算だけを算定することはできません。
対象になりやすいケース
輸血を実施した患者: 自家採血輸血・保存血液輸血・自己血輸血などK920の対象となる輸血を行い、あわせて不規則抗体検査を実施している患者が対象候補です。検査タイミング: 輸血前後に不規則抗体検査を行っているかどうかを、検査オーダーとレセプトで突き合わせて確認するのが基本です。
対象医療機関・対象患者(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
この加算、届出が必要なタイプの加算なんですか? 施設基準の書類を探した方がいいのか迷っていて。
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、不規則抗体加算に個別の施設基準や届出は定められていません。K920「輸血」を算定できる保険医療機関であれば、診療所・病院、外来・入院を問わず対象候補になります。届出書類を探す前に、まずは「輸血の実施」と「不規則抗体検査の実施」がセットで記録に残っているかを確認するのが近道です。
みらい(新人医療事務)
届出が要らないタイプの加算なんですね。じゃあ気にする点は少なそうです。
あおい(元・医療事務)
届出は不要ですが、その分「実際に不規則抗体検査を行ったかどうか」の記録がより重要になります。届出という形式要件がないぶん、算定の根拠は検査オーダーや検査結果の記録そのものになる、と考えておいてください。
断定はできません
不規則抗体加算は届出不要の加算ですが、対象になるかどうかは輸血の実施状況・不規則抗体検査の実施記録によって変わります。ここでの説明は一般的な整理であり、算定候補・要確認・対象外の可能性のいずれになるかは、自院の記録に基づいて個別に確認が必要です。
点数・算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数のところ、もう一度整理してもらえますか? 「月1回」と「週1回」が混ざって出てくるので混乱しています。
あおい(元・医療事務)
整理しますね。令和8年度の医科点数表K920「輸血」注6には、次のように定められています。
| 区分 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 不規則抗体加算(原則) | 197点 | 検査回数にかかわらず1月につき1回 |
| 不規則抗体加算(頻回輸血の場合) | 197点 | 1週間に1回に限り |
あおい(元・医療事務)
原則は「検査回数にかかわらず月1回、197点」です。ただし頻回に輸血を行っている患者さんについては、例外的に「週1回まで、197点」を上限として算定できる、という構造になっています。
みらい(新人医療事務)
「頻回に輸血を行う場合」って、具体的にはどのくらいの頻度からそう呼べるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこも留意事項通知で定義が示されています。「頻回に輸血を行う場合」とは、週1回以上、当該月で3週以上にわたり輸血が行われるものとされています。つまり「その月のうち3週間以上、週1回以上のペースで輸血をしている」場合に初めて、週1回ベースでの算定候補になるということです。単発の輸血や、月に1〜2週だけの輸血では、原則どおり月1回197点の扱いになると考えられます。
点数確認のポイント
原則: 検査回数にかかわらず1月につき197点。例外: 週1回以上・当該月で3週以上にわたる頻回輸血の場合に限り、1週間に1回197点まで。確認方法: 輸血記録から「その月の輸血が何週にわたっているか」を数えると、原則・例外どちらに該当するか整理しやすくなります。
併算定・注意点
みらい(新人医療事務)
ほかの輸血がらみの加算と混同しそうで怖いんですけど、気をつけるポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
実はここ、留意事項通知を読むときに注意が必要な点があります。K920輸血の留意事項には、注6の不規則抗体加算とは別に、注10として「輸血に伴って行った供血者の諸検査」についての規定があり、そこにも「不規則抗体」という言葉が出てきます。ただしこちらは、輸血用血液を提供する供血者側の検査の話で、その費用は所定点数に含まれ別に算定できないという規定です。
みらい(新人医療事務)
つまり同じ「不規則抗体」という言葉でも、注6は患者さんの検査に対する加算、注10は供血者側の検査で別算定不可、という全く別の話ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。名前が似ている、あるいは同じ検査名が出てくるからといって、加算の対象や算定可否まで同じとは限りません。レセプトチェックの際は「どの注に基づく記載か」を条文レベルで確認する習慣をつけておくと、混同を防げます。不規則抗体加算(注6)は患者への検査に対する加算であって、供血者の諸検査(注10)の扱いとは別物として整理してください。
混同注意
「不規則抗体」という語は、K920の中で複数の文脈(注6の患者検査に対する加算/注10の供血者諸検査)に登場します。本記事で扱う197点の加算は注6に基づくものです。似た名称の別区分と取り違えないよう、算定の根拠となる注番号を必ず確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、令和6年度から令和8年度にかけて何か変わったんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している令和8年度の一次資料(医科点数表・留意事項通知)を確認した範囲では、不規則抗体加算(K920注6)の点数・算定要件に変更を示す記載は見当たりません。ただし、当サイトが収録している一次資料には令和6年度時点のK920条文そのものが含まれていないため、新旧を直接突き合わせての比較はできていません。
みらい(新人医療事務)
つまり「変わっていなさそう」ではあるけど、断定はできないということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。正確な新旧比較をしたい場合は、日本医師会や地方厚生局が公開している新旧対照表など、令和6年度・令和8年度双方の条文が並んだ一次資料を確認するのが確実です。ここでは令和8年度時点の内容として、点数(197点)と算定単位(月1回、頻回時は週1回)を正確にお伝えすることに絞っています。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際に自院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと、迷わず整理できます。
自院で確認する順番
- その月にK920「輸血」を算定した患者がいるかを確認する
- その輸血に伴って不規則抗体検査を実施しているかを検査オーダー・結果記録で確認する
- その月の輸血が週1回以上・3週以上にわたる「頻回」に該当するかを確認する
- 頻回に該当しない場合は月1回197点、該当する場合は週1回197点までとして記載内容を突き合わせる
- 判断に迷う場合は自院の届出状況や記録の残し方を含めて、算定候補か要確認かを個別に整理する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
レセプト担当が変わったタイミングとかで、見落としそうなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、輸血自体は算定しているのに、不規則抗体検査を実施しているのに加算をつけ忘れているケースです。届出が不要な加算なので「施設基準の届出がないから対象外」と思い込んでしまい、検査実施の記録を確認しないまま見送ってしまうことがあります。
よくある取り漏れ
届出不要ゆえの見落とし: 施設基準の届出がないため「対象外」と誤認し、検査実施記録を確認せず取り漏らすケース。頻回輸血の判定漏れ: 月をまたいで輸血が続いている患者で、「週1回以上・当該月で3週以上」の頻回要件を確認せず、原則(月1回)のみで処理してしまうケース。

自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!

最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。