みらい(新人医療事務)
先輩、レセプトを見ていたら「真皮縫合加算」っていう項目があったんですけど、これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
創傷処理、つまり切り傷や刺し傷、挫創などの縫合処置を行ったときに、条件を満たせば上乗せできる加算ですよ。令和8年度(2026年度)の診療報酬点数表では、K000「創傷処理」やK000-2「小児創傷処理(6歳未満)」の「注2」に規定されています。
みらい(新人医療事務)
「注」に書いてある加算なんですね。届出とか施設基準とかが必要な感じですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、この加算は施設基準の届出を前提にした加算ではありません。個々の処置の内容(真皮縫合を伴う縫合閉鎖を行ったか、創傷の部位が露出部かどうか)によって算定候補になるかどうかが決まるタイプの加算です。この記事では、対象となる処置・点数・「露出部」の定義・自院で確認したいポイントを整理していきますね。
どんな処置のときに算定候補になるのか
みらい(新人医療事務)
まず、どんな処置をしたときに関係してくるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
ベースになるのはK000「創傷処理」またはK000-2「小児創傷処理(6歳未満)」です。これは切創・刺創・割創・挫創に対して切除、結紮、縫合(ステープラーによる縫合を含む)を行った第1回目の治療を指します。厚生労働省の留意事項通知には、次のように書かれています。
創傷処理の定義(厚労省留意事項通知より)
「創傷処理とは、切・刺・割創又は挫創に対して切除、結紮又は縫合(ステープラーによる縫合を含む。)を行う場合の第1回治療のことであり、第2診以後の手術創に対する処置は「J000」創傷処置により算定する。」
みらい(新人医療事務)
なるほど、初回の縫合処置が対象になるんですね。その中でも「真皮縫合」というのは特別な縫合方法なんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。皮膚の表面だけでなく、真皮層にも縫合を行って傷をしっかり閉鎖する縫合方法です。この真皮縫合を伴う縫合閉鎖を行った場合に、条件を満たせば460点が所定点数に加算されます。厚労省の点数表には次のように規定されています。
真皮縫合加算の根拠条文(K000 注2)
「2 真皮縫合を伴う縫合閉鎖を行った場合は、露出部の創傷に限り460点を所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
「露出部の創傷に限り」とありますが、この「露出部」ってどこからどこまでを指すんでしょう?体のどの部分なのか、あいまいな気がします。
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。「露出部」の範囲は留意事項通知で具体的に定義されています。感覚で判断するのではなく、この条文どおりに確認する必要があります。
「露出部」の範囲を正確に確認する
みらい(新人医療事務)
具体的にはどう定義されているんですか?
あおい(元・医療事務)
厚労省の留意事項通知(医科診療報酬点数表に関する事項)には、こう書かれています。
露出部の定義(厚労省留意事項通知より)
「(4)「注2」の「露出部」とは、頭部、頸部、上肢にあっては肘関節以下及び下肢にあっては膝関節以下をいう。」
みらい(新人医療事務)
つまり頭・首・肘から先の腕・膝から下の脚が「露出部」で、それ以外(胴体や、肘より上の腕、膝より上の脚など)は対象外の可能性がある、ということですか?
あおい(元・医療事務)
条文が挙げているのは「頭部、頸部、上肢の肘関節以下、下肢の膝関節以下」という範囲です。ここに含まれない部位の創傷は、この加算の対象にならない可能性があります。ただし個別のケースでの当てはめは、部位の判断が難しい場合もありますので、カルテの記載と条文を照らし合わせて確認することをおすすめします。

みらい(新人医療事務)
図で見るとわかりやすいです。基本の創傷処理に、条件を満たしたときだけ加算が乗る、というイメージですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。次は点数の整理をしていきましょう。
点数を整理する(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい。令和8年度の点数表をもとにまとめると、次のとおりです。
| 区分 | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| K000 創傷処理(基本部分) | 創傷の程度に応じた所定点数(例: 筋肉・臓器に達しないもの・長径5センチメートル未満で530点 等) | 創傷の程度により異なる |
| K000 注2 真皮縫合加算 | 真皮縫合を伴う縫合閉鎖を行った場合(露出部の創傷に限る) | +460点 |
| K000 注3(参考・別の加算) | 汚染された挫創に対してデブリードマンを行った場合(当初の1回に限る) | +100点 |
| K000-2 小児創傷処理(6歳未満) | 同様の注2・注3の規定が適用される | 小児創傷処理の所定点数に加算 |
みらい(新人医療事務)
注3の「デブリードマン」の加算は、真皮縫合加算とは別物なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、これは別の条件(汚染された挫創に対するデブリードマン)に基づく加算です。真皮縫合加算とは要件が異なりますので、どちらに該当するか(あるいは両方の条件を満たすケースなのか)は、処置の内容ごとに個別に確認してください。この注3の加算についてはデブリードマン加算の記事で詳しく整理していますので、あわせてご確認ください。ここでは「同じK000の中に、真皮縫合加算とは別の注に基づく加算がある」ということだけ押さえておいてもらえれば十分です。
点数だけで判断しない
真皮縫合加算はあくまで「所定点数への加算」です。ベースとなるK000・K000-2の所定点数(創傷の長さや深さで変動)を確認したうえで、そこに460点が加算候補になるかどうかを見る、という順序で確認してください。
対象となる医療機関・患者・場面
みらい(新人医療事務)
この加算は、どんな医療機関でも算定候補になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
この記事で扱っている条文自体には、医療機関の種別(診療所限定・病床数制限など)を限定する記載はありません。外来・入院を問わず、創傷処理(K000)または小児創傷処理(K000-2)を行った医科の保険医療機関であれば、条件を満たす処置が発生した際に算定候補として確認する対象になります。
みらい(新人医療事務)
対象患者は、小児でも大人でも関係あるということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。K000は主に成人以上、K000-2は6歳未満の小児が対象です。どちらの区分でも、注2に定められた真皮縫合加算の規定が置かれています。年齢によって対象外になる加算ではありませんが、算定するコード自体(K000かK000-2か)は患者の年齢で分かれます。
施設基準・届出について
真皮縫合加算は、点数表の「注」に基づく加算であり、この記事で確認した公式資料の範囲では、施設基準の届出を求める記載は見当たりませんでした。ただし、レセプト請求の実務では医療機関ごとのシステム設定や審査機関の運用が関わる場合がありますので、最終的な取り扱いは自院のレセプトコンピュータの設定担当者や審査支払機関にも確認しておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にカルテを見ながら確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するとわかりやすいですよ。
自院で確認する順番
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創傷処理(K000・K000-2)を算定したケースを洗い出す — 切・刺・割創又は挫創に対する切除・結紮・縫合の第1回治療かどうか
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真皮縫合を伴う縫合閉鎖を行ったかをカルテで確認する — 単純な表皮縫合ではなく、真皮層への縫合が記載されているか
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創傷の部位が「露出部」に該当するかを確認する — 頭部・頸部・上肢の肘関節以下・下肢の膝関節以下に該当するか
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レセプトの摘要欄・カルテに根拠となる記載があるかを確認する — 縫合方法や部位が第三者にも確認できる形で記録されているか
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算定候補として整理する — 上記がすべて確認できた場合に、加算チェッカーや院内のダブルチェック体制でもう一度確認する

みらい(新人医療事務)
カルテの記載がしっかりしていないと、算定候補かどうかの判断自体ができなくなりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。真皮縫合加算は施設基準のような「体制が整っているか」ではなく、「その処置が実際にどう行われたか」がポイントになる加算です。医師の記録が算定判断の土台になりますので、縫合方法と部位の記載を意識してもらうと確認がスムーズになります。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れが起きやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ・確認ポイント
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真皮縫合を行ったのに、カルテに縫合方法(真皮縫合の実施)が明記されていない — 表皮縫合のみか真皮縫合を伴うかが記録上わからず、加算候補として拾えないケース
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創傷の部位が露出部かどうかの判断があいまいなまま算定してしまう — 肘関節・膝関節を基準にした境界を確認せず、感覚で「露出部」と判断してしまうケース
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K000の注2(真皮縫合加算)と注3(デブリードマンに関する別の加算)を混同してしまう — 別々の条件に基づく加算なので、処置の実態に応じてそれぞれ個別に確認が必要
断定はできません
この記事で紹介した内容は、令和8年度の公式資料に基づく一般的な整理です。個々のケースで真皮縫合加算が算定候補になるかどうかは、処置内容の記録・部位の判断によって変わります。一律に断定することはできませんので、必ず自院のカルテ記載と条文を照らし合わせて確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、令和6年度から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
今回、当サイトが確認した令和8年度の公式資料(点数表・留意事項通知)の範囲では、真皮縫合加算の点数(460点)や「露出部」の定義に変更があったことを示す記載は見当たりませんでした。前回改定(令和6年度)の資料との個別の突き合わせまでは確認できていませんので、変更の有無について確実な情報が必要な場合は、厚労省の令和8年度改定に関する公式資料もあわせてご確認ください。
改定差分の確認範囲(令和8年度)
確認した資料: 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)の別表第一、および診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)別添1。いずれも令和8年度時点の内容で、真皮縫合加算に関する新設・改廃を示す記載は確認されませんでした。
みらい(新人医療事務)
分かりました。少なくとも今回の一次資料の範囲では、大きな変更点は見当たらない、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし改定の度に細かな取り扱いが調整されることもありますので、疑義解釈などが出た場合は追って確認していきます。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。処置内容や部位の状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある疑問点も聞いておきたいです。「表皮だけの縫合でも、傷が露出部だったら460点つけていいですよね?」と聞かれたら、どう答えればいいですか?
あおい(元・医療事務)
それは慎重に確認する必要があります。条文が対象にしているのは「真皮縫合を伴う縫合閉鎖」です。表皮のみの縫合であれば、この加算の対象にならない可能性があります。真皮層への縫合が実際に行われ、かつカルテにその旨が記録されているかどうかを確認するようお伝えください。
みらい(新人医療事務)
「露出部かどうか微妙な部位(例えば肩や太もものつけ根あたり)」の場合はどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
条文で示されている境界は「頭部、頸部、上肢は肘関節以下、下肢は膝関節以下」です。この境界に照らして判断が難しいケースでは、担当医師の記録や院内のルールに沿って慎重に確認し、必要であれば審査支払機関にも確認することをおすすめします。私からは一律に「対象です」「対象外です」と言い切ることはできません。
みらい(新人医療事務)
K000-2(小児創傷処理)でも同じように460点の加算候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、留意事項通知ではK000とK000-2の両方について、真皮縫合加算に関する同じ注の規定が示されています。6歳未満の患者でK000-2を算定するケースでも、真皮縫合を伴う縫合閉鎖を露出部の創傷に対して行った場合は、同様に算定候補として確認する対象になります。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な取り扱いは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一 K000 創傷処理 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)別添1 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713882.pdf
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。真皮縫合加算の算定に際しては、真皮縫合の実施内容と創傷部位が「露出部」に該当するかを、カルテの記載に基づいて必ず自院で確認してください。