みらい(新人医療事務)
「関節挿入膜作成加算」って初めて見る名前なんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
関節挿入膜作成加算は、関節形成手術を行った際に、関節挿入膜を患者さん自身の筋膜から作成した場合に880点を所定点数に加算するものです。令和8年度(2026年度)の医科点数表では、K080関節形成手術の「注」として規定されています。
みらい(新人医療事務)
「注」ってことは、これだけを単独で算定するものじゃないんですね?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。関節挿入膜作成加算は独立した手術ではなく、K080関節形成手術という本体の手術に対する上乗せの加算です。本体の手術料に加えて、筋膜から関節挿入膜を作成する手技を行った場合に880点が加わる、という位置づけになります。
どんな手術のときに対象になるの?
みらい(新人医療事務)
K080関節形成手術って、具体的にはどんな手術のことですか?
あおい(元・医療事務)
K080関節形成手術は、対象となる関節によって10区分に分かれている手術です。肩・股・膝など体重を支える大きな関節から、手指・足趾のような小さな関節まで含まれます。関節挿入膜作成加算は、このいずれの区分で実施した場合でも、筋膜から関節挿入膜を作成していれば対象になり得ます。
| 区分 | 対象関節 | 手術料(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1 | 肩関節形成手術 | 45,720点 |
| 2 | 股関節形成手術 | 45,720点 |
| 3 | 膝関節形成手術 | 45,720点 |
| 4 | 胸鎖関節形成手術 | 28,210点 |
| 5 | 肘関節形成手術 | 28,210点 |
| 6 | 手関節形成手術 | 28,210点 |
| 7 | 足関節及び距骨周囲関節形成手術 | 28,210点 |
| 8 | 肩鎖関節形成手術 | 14,050点 |
| 9 | 手指関節形成手術 | 14,050点 |
| 10 | 足趾関節形成手術 | 14,050点 |
みらい(新人医療事務)
この表の点数に、条件を満たせば880点をプラスできる、ということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。どの区分の関節形成手術であっても、関節挿入膜作成加算の対象になり得る点は共通です。ただし「筋膜から関節挿入膜を作成した場合」という要件を満たしているかどうかは、手術記録で確認する必要があります。

点数のポイント
みらい(新人医療事務)
880点というのは、他の手術加算と比べてどれくらいの位置づけなんですか?
あおい(元・医療事務)
K080関節形成手術そのものが14,050点から45,720点という高点数の手術ですので、それに対する880点の加算は、本体点数からするとそれほど大きな割合ではありません。ただし、算定漏れが起きやすいポイントでもあります。人工関節などの人工材料を挿入する術式とは違い、患者さん自身の筋膜を使って関節挿入膜を作るという手技を伴う場合に限られるため、手術記録にその記載がないと見落とされやすい加算だといえます。
みらい(新人医療事務)
見落とされやすいというのは、具体的にどういうことですか?
あおい(元・医療事務)
手術そのもの(K080の本体点数)はレセプトに反映されていても、「筋膜から関節挿入膜を作成した」という付随的な手技の記載まで確認しないと、880点の加算候補であることに気づかないケースがある、ということです。医事課の担当としては、K080で算定する手術記録を見るときに、この加算に該当する記載がないかをあわせて確認する習慣が大切になります。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するのに、施設基準の届出とかは必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した範囲では、関節挿入膜作成加算そのものに独自の施設基準・届出は設けられていません。K080関節形成手術の「注」として規定されている加算のため、本体の手術料と同時に算定する形になります。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出なしでそのまま算定していいってことですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。関節挿入膜作成加算自体に個別の届出は確認されていませんが、K080関節形成手術という手術そのものについて、自院が届け出ている手術の施設基準(実施体制や実施件数の要件など)と矛盾がないかは、必ず自院で確認してください。加算だけを切り出して「届出不要だから安心」と考えるのではなく、本体の手術の算定要件とあわせて確認する視点が必要です。
届出状況の確認について
関節挿入膜作成加算そのものに独自の届出は確認されていませんが、本体であるK080関節形成手術の算定要件・自院の届出状況については、必ず公式資料と自院の届出内容を照らし合わせて確認してください。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、関節挿入膜作成加算はK080関節形成手術と同一の手術の中で行われる手技に対する加算なので、本体の手術料と切り離して単独で算定することはできません。次に、10区分あるK080のどの区分で手術を行ったかによって本体点数が変わりますが、加算額の880点自体はどの区分でも共通です。区分ごとの点数差と加算の点数を混同しないよう、レセプト入力時に確認してください。
みらい(新人医療事務)
手術記録のどこを見れば、関節挿入膜を作成したかどうかがわかるんですか?
あおい(元・医療事務)
手術記録の術式説明や使用材料の記載欄に、患者さん自身の筋膜を採取して関節挿入膜として使用した旨が書かれているかを確認します。人工材料(人工関節部材など)を用いた場合はこの加算の対象にはなりませんので、「自家組織(筋膜)から作成したかどうか」が判断のポイントです。この点は執刀医への確認も含めて、自院で最終的に判断していただく必要があります。
算定候補になりやすいケース
- K080関節形成手術(1〜10のいずれかの区分)を実施している
- 手術記録に「筋膜から関節挿入膜を作成した」旨の記載がある
- 人工関節部材など人工材料の挿入のみで完結していない
みらい(新人医療事務)
似たような考え方の加算って、他にもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
たとえば患者適合型変形矯正ガイド加算(K054骨切り術等の加算)のように、本体の手術の中で特定の手技を伴った場合にのみ対象になる加算は他にもあります。どちらも、本体の手術記録にどのような付随手技が記載されているかを確認する習慣が、加算の取り漏れ防止につながる点は共通です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定(令和6年度)から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの主な変更は、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認されていません(確認日: 2026年7月)。点数(880点)や算定要件(筋膜から関節挿入膜を作成した場合に加算する、という規定)について、変更があったことを示す記載は見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
変更がないなら、今まで通りの理解で大丈夫そうですね。
あおい(元・医療事務)
基本的にはそう捉えて問題ありませんが、当サイトが確認できていない範囲での変更点がある可能性はゼロではありません。念のため、最新の告示・通知や疑義解釈の情報も定期的にご確認いただくことをおすすめします。
公式資料の根拠
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 医科点数表 K080 関節形成手術(同告示別表第一): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
医事課の立場で、実際にどういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認するとわかりやすいと思います。
自院で確認する順番
- 実施した手術がK080関節形成手術の1〜10のどの区分に該当するかを確認する
- 手術記録に「筋膜から関節挿入膜を作成した」旨の記載があるかを確認する
- レセプトで本体の手術点数と880点の加算がセットになっているかを確認する
- 不明点があれば執刀医・診療科に手術内容を照会し、自院として算定候補かどうかを最終判断する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
この加算で、実際によくある取り漏れのパターンってありますか?
あおい(元・医療事務)
一番多いのは、K080本体の手術点数だけをレセプトに反映して、付随する880点の加算に気づかずに終わってしまうケースです。関節挿入膜の作成は手術の主目的ではなく、あくまで手技の一部として記録されることが多いため、手術記録全体を読み込まないと見落としやすくなります。
取り漏れを防ぐチェックポイント
- K080関節形成手術を算定する際は、必ず手術記録の全文を確認する
- 「筋膜」「関節挿入膜」といったキーワードが記載されていないか探す
- 人工関節部材の使用のみで完結している場合は対象外の可能性がある点も念頭に置く
よくある質問
みらい(新人医療事務)
関節挿入膜作成加算について、他によくある質問はありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか代表的な質問にお答えしますね。
みらい(新人医療事務)
関節挿入膜作成加算は、外来手術でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
K080関節形成手術は入院で実施されることが一般的な手術です。当サイトの整理でも入院での算定を前提としており、外来での算定は想定していません。日帰り手術など特殊なケースに該当する場合は、必ず自院で個別に確認してください。
みらい(新人医療事務)
人工関節を挿入した場合も、この加算の対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
関節挿入膜作成加算は「患者の筋膜から関節挿入膜を作成した場合」に限定された加算です。人工関節部材などの人工材料を使用した場合は、この加算の対象にはなりません。人工関節を用いる手術については、K082人工関節置換術など別の区分・別の加算が関係してくることがありますので、混同しないよう注意してください。
みらい(新人医療事務)
K080のどの区分で実施しても、加算額は同じ880点なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。当サイトが確認した範囲では、K080の1〜10のどの区分(肩・股・膝・胸鎖・肘・手・足関節など)で実施した場合でも、関節挿入膜作成加算の加算額は880点で共通です。区分ごとに変わるのは本体の手術点数のほうです。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。手術記録の内容や届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。