みらい(新人医療事務)
「高濃度ヒアルロン酸含有培養液加算」って、初めて見る名前です。どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
生殖補助医療(不妊治療)の点数表に出てくる加算ですよ。K884-3 胚移植術の「注3」に規定されていて、高濃度ヒアルロン酸含有培養液を用いた前処置を実施した場合に、1,000点を所定点数に加算すると定められています。まずは基になる胚移植術のところから確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
胚移植術そのものにも点数があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。厚生労働省の医科点数表(令和8年度)では、胚移植術は新鮮胚移植と凍結・融解胚移植で点数が分かれていて、それぞれに今回の加算などの「注」加算が乗る形になっています。
高濃度ヒアルロン酸含有培養液加算とは(K884-3 胚移植術 注3)
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな条文なんですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表の告示部分には、こう書かれています。
告示(医科点数表)の記載
「3 高濃度ヒアルロン酸含有培養液を用いた前処置を実施した場合は、1,000点を所定点数に加算する。」(K884-3 胚移植術 注3)
みらい(新人医療事務)
「実施すれば必ず1,000点」というシンプルな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
点数の規定自体はシンプルですが、算定できる場面は限定されています。留意事項通知には、注3の高濃度ヒアルロン酸含有培養液を用いた前処置についてこう書かれています。
留意事項通知の記載
「(9)『注3』の高濃度ヒアルロン酸含有培養液を用いた前処置は、過去の胚移植において妊娠不成功であったこと等により、医師が必要と認めた場合であって、妊娠率を向上させることを目的として実施した場合に算定する。その際、実施した医学的な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。」
みらい(新人医療事務)
つまり「とりあえず前処置をした」では算定候補にならなくて、過去の胚移植の経過をふまえた医師の判断が必要ということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。そこがこの加算のポイントです。当サイトが収録している一次資料の範囲では、高濃度ヒアルロン酸含有培養液を用いた前処置そのものの具体的な手技内容までは記載されていないので、その点は院内の医師・胚培養士の判断と公式資料での確認をお願いしています。
対象医療機関・対象患者(場面)
みらい(新人医療事務)
どういう医療機関・患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は診療所・病院どちらでも算定候補になり得る外来の加算として整理されています。ただし前提として、K884-3 胚移植術(新鮮胚移植または凍結・融解胚移植)を実施していることが必要です。入院での算定は想定されていません。
みらい(新人医療事務)
患者さん側の条件は?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知にある通り、「過去の胚移植において妊娠不成功であったこと等により、医師が必要と認めた場合」で、「妊娠率を向上させることを目的として実施した場合」が対象です。つまり、初回の胚移植でいきなり算定するというよりは、過去の胚移植の経過をふまえて医師が必要性を判断したケースを想定した書きぶりになっています。
みらい(新人医療事務)
「等」という表現もありますね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。「妊娠不成功であったこと等」という書き方なので、過去の妊娠不成功以外の事情が含まれる可能性もありますが、当サイトが収録している一次資料の範囲でそれ以上の具体例は確認できていません。個別のケースでの該当可否は、自院の産婦人科医師の判断と最新の公式資料での確認が必要です。

点数・コード(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表をもとにまとめると、こうなります。
| 区分 | 点数 | 備考 |
|---|---|---|
| K884-3 胚移植術(新鮮胚移植の場合) | 7,500点 | 基本点数(注1: 年齢による回数制限あり) |
| K884-3 胚移植術(凍結・融解胚移植の場合) | 12,000点 | 基本点数(注1: 年齢による回数制限あり) |
| 注2 アシステッドハッチング加算 | +1,000点 | 胚移植術の別の加算(本加算とは別項目) |
| 注3 高濃度ヒアルロン酸含有培養液加算 | +1,000点 | 本加算。胚移植術の所定点数に加算 |
みらい(新人医療事務)
注2のアシステッドハッチング加算というのも似た名前ですね。混同しないよう気をつけないと。
あおい(元・医療事務)
大事な指摘です。K884-3 胚移植術には注2(アシステッドハッチング加算)と注3(高濃度ヒアルロン酸含有培養液加算)という、別々の加算が規定されています。名前も算定される場面も似ているぶん、レセプト入力や摘要欄記載の際にどちらの加算かを取り違えないようにする必要があります。この記事で扱っているのはあくまで注3の高濃度ヒアルロン酸含有培養液加算です。
みらい(新人医療事務)
レセプト入力のときのコードも確認しておきたいです。
あおい(元・医療事務)
具体的な診療行為コードは、当サイトが今回収集した告示・留意事項の範囲では確認できていません。実際のレセプト入力では、自院のレセプトコンピュータや最新版の医科診療行為マスターで必ずコードを確認してください。
みらい(新人医療事務)
胚移植の前段階にあたる生殖補助医療の項目も、別の記事で確認できたりしますか?
あおい(元・医療事務)
はい。同じ生殖補助医療の一連の流れとして、体外受精・顕微授精管理料や胚凍結保存管理料も当サイトで整理しています。凍結・融解胚移植を予定している場合は、あわせて確認しておくと流れがつかみやすいと思います。
施設基準・届出の考え方
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この高濃度ヒアルロン酸含有培養液加算に特化した個別の施設基準の届出は確認されていません。ただし、それは「何も条件がない」という意味ではなく、算定要件(過去の胚移植の経過をふまえた医師の判断、妊娠率向上目的、摘要欄への医学的理由の記載)を満たすことが前提になっています。
断定はできません
届出の要否は加算・施設ごとに変わり、生殖補助医療に関する他の点数項目(体外受精・顕微授精管理料など)で別途施設基準の届出が必要になっている場合もあります。本加算単体の届出有無は、自院の届出状況と最新の告示・通知で必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
届出が要らないなら、条件さえ満たせばすぐ算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
「届出が不要そう」という整理と「算定候補になる」は別の話として考えてください。届出の有無にかかわらず、算定要件(医師の必要性判断・妊娠率向上目的・摘要欄記載)を満たしているかどうかの確認は毎回必要です。対象外の可能性が残るケースもあるので、迷ったときは審査支払機関にも確認しておくと安心です。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定できるタイミングや回数に決まりはありますか?
あおい(元・医療事務)
加算そのものの回数制限は、当サイトが収録している一次資料の範囲では明記されていません。ただし、土台になる胚移植術の本体点数には、告示の注1にこう回数制限があります。
胚移植術本体(注1)の回数制限
「注1 患者の治療開始日の年齢が40歳未満である場合は、患者1人につき6回に限り、40歳以上43歳未満である場合は、患者1人につき3回に限り算定する。」
あおい(元・医療事務)
高濃度ヒアルロン酸含有培養液加算は、この胚移植術を実施した回に付随して算定される加算という位置づけなので、胚移植術本体の回数制限の枠組みを踏まえて確認することが必要です。加算自体に別枠の年齢・回数制限が明記されているわけではない点は分けて理解しておいてください。
併算定の確認について
同じ胚移植術には、注3の高濃度ヒアルロン酸含有培養液加算のほかに注2のアシステッドハッチング加算も規定されています。当サイトが収録している一次資料の範囲では、両者を同一の胚移植で併算定できるかどうかを明示した記載は確認できていません。両方を実施・算定する可能性がある場合は、審査支払機関への確認や最新の告示・通知の確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
摘要欄への記載も必須なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、留意事項通知に「実施した医学的な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること」と明記されています。前処置を実施した事実だけでなく、なぜ必要と判断したかという理由の記載までがセットで求められています。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、令和6年度(2024年度)改定から令和8年度(2026年度)改定にかけて、高濃度ヒアルロン酸含有培養液加算の点数(1,000点)や、留意事項通知に記載された算定要件の主な変更は確認されていません。
前回改定との対比(確認できた範囲)
点数: 令和6年度も令和8年度も1,000点(変更は確認されていません)。算定要件(過去の胚移植で妊娠不成功等・医師の必要性判断・妊娠率向上目的・摘要欄記載)についても、当サイトが収録している一次資料の範囲では同様の記載です。
みらい(新人医療事務)
「変更なし」と言い切ってしまってもいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは慎重にしたいところです。今回確認できたのは、当サイトが収録している令和8年度の告示・留意事項通知の範囲での整理です。今後の疑義解釈や訂正通知で条件が明確化される可能性もあるので、「変更が確認されていない」という言い方にとどめています。最新の公式資料は必ず確認してください。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のようなステップで確認していくとわかりやすいですよ。
自院で確認する順番
- K884-3 胚移植術(新鮮胚移植または凍結・融解胚移植)を実施しているかを確認する
- 対象患者について、過去の胚移植で妊娠不成功であったこと等の事情があり、医師が妊娠率向上を目的に高濃度ヒアルロン酸含有培養液を用いた前処置の実施を必要と判断しているかを確認する
- 前処置を実際に実施した記録が診療録に残っているかを確認する
- 実施した医学的な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載できているかを確認する
- 同じ胚移植で注2のアシステッドハッチング加算も算定する予定があるかを確認し、必要なら審査支払機関にも確認する
- ここまで整理したうえで、自院として算定候補にできそうかを最終確認する
みらい(新人医療事務)
こうやって順番に並べてもらえると、抜け漏れが見つけやすいです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れや誤りってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるパターンをいくつか挙げてみます。
よくある取り漏れ・誤りの例
摘要欄への理由記載漏れ: 前処置を実施した事実だけを記録し、医学的な理由の記載を摘要欄に書き忘れるケース。 注2と注3の混同: アシステッドハッチング加算(注2)と高濃度ヒアルロン酸含有培養液加算(注3)を、名称の近さから取り違えて算定・記載してしまうケース。 胚移植術本体の回数制限の見落とし: 加算だけに目が向き、土台になる胚移植術本体の年齢・回数制限(注1)の確認が漏れるケース。
みらい(新人医療事務)
名前が似ている加算を混同しないように、条文の主語(注2なのか注3なのか)をきちんと確認する習慣が大事そうですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。レセプト作成時は、どの「注」に基づく加算なのかを必ず一つずつ確認するようにしてください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
この加算は届出をしていないと算定候補にならないんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、本加算に特化した個別の届出は確認されていません。ただし、これは届出不要と断定する趣旨ではなく、あくまで確認できた範囲の整理です。届出状況は自院の状況と最新の公式資料で確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者さんにも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトのデータでは、この加算は外来での算定を想定した整理になっており、入院での算定は想定されていません。個別の状況については自院での確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
アシステッドハッチング加算(注2)と両方とも算定候補になることはありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、注2と注3を同一の胚移植で併算定できるかどうかを明示した記載は確認できていません。両方の実施を検討する場合は、審査支払機関や最新の告示・通知で個別に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)のときと比べて、算定しやすくなったということはありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、令和6年度(2024年度)改定から令和8年度(2026年度)改定にかけて、点数や算定要件の変更は確認されていません。「算定しやすくなった」という評価ができるだけの公式な記載は見当たらないので、その点は評価せず、条件そのものを都度確認していただく形をおすすめしています。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。