みらい(新人医療事務)
先生、レセプトの点検をしていたら「女子外性器悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算」という名前の加算を見つけたんです。名前が長くて、何のための加算なのか正直ピンときていません…。
あおい(元・医療事務)
確かに名前だけ見ると難しく感じますよね。これはK850の「女子外性器悪性腫瘍手術」に対する加算のひとつで、放射性同位元素を使ってセンチネルリンパ節生検を行った場合に、所定点数へ上乗せする令和8年度の加算です。まずはこの加算の位置づけから確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
はい、お願いします!
あおい(元・医療事務)
大前提として、この加算は単独では算定できません。K850女子外性器悪性腫瘍手術を行う際に、追加でセンチネルリンパ節生検という手技を行った場合にだけ、その手術の点数に上乗せする形の加算です。当サイトが収録している一次資料では、次のように書かれています。
根拠となる一次資料の記載
K850女子外性器悪性腫瘍手術の「注」: 放射性同位元素を用いたセンチネルリンパ節生検を行った場合には、女子外性器悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算として、3,000点を所定点数に加算する。
みらい(新人医療事務)
なるほど、K850を算定するときの「おまけ」みたいなイメージですね。じゃあ、どんな医療機関やどんな患者さんが対象になるんですか?
この加算の対象になる患者さんと医療機関
あおい(元・医療事務)
まず医療機関の側から見ていきましょう。当サイトの整理では、この加算は診療所・病院のいずれでも算定候補になり得ますが、性質上、入院での手術に伴って算定されるケースが中心です。外来や在宅診療の場面で単独算定する加算ではありません。
みらい(新人医療事務)
外来では取れない、ということですね。患者さん側の条件はどうなんでしょう?
あおい(元・医療事務)
ここが一番大事なポイントです。誰にでも算定できるわけではなく、留意事項通知に対象となる患者さんの条件がはっきり書かれています。
対象患者の条件(留意事項通知より)
触診及び画像診断の結果、鼠径リンパ節への転移が認められない女子外性器悪性腫瘍に係る手術の場合のみ算定できる、と明記されています。つまり、事前の触診・画像診断で鼠径リンパ節転移が「無い」と判断された患者さんの手術が対象です。
みらい(新人医療事務)
「転移がない場合だけ」なんですね。もし転移が疑われる患者さんだったら、この加算は算定候補にならないということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。一次資料が示しているのは「転移が認められない場合のみ算定できる」という要件です。個々の患者さんの触診・画像診断の結果がどう判断されたかは、担当医の診療録の記載によって決まりますので、算定候補になるかどうかは診療録・カルテの記載内容と合わせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
わかりました。じゃあ次は点数を教えてください。
点数とコード(令和8年度)
あおい(元・医療事務)
K850女子外性器悪性腫瘍手術には、術式によって2つの点数区分があり、そこにこの加算が上乗せされる形です。年度は令和8年度で統一して確認していますので、表にまとめますね。
| 区分 | 点数 | 備考 |
|---|---|---|
| K850「1」切除 | 29,190点 | 女子外性器悪性腫瘍手術の基本術式 |
| K850「2」皮膚移植(筋皮弁使用)を行った場合 | 63,200点 | 皮膚移植を伴う場合の術式 |
| 女子外性器悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算(注) | +3,000点 | 放射性同位元素を用いたセンチネルリンパ節生検を行った場合に所定点数へ加算 |
みらい(新人医療事務)
この3,000点は、切除でも皮膚移植でも同じように上乗せされる、ということですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の「注」には術式を限定する記載はなく、K850の所定点数に加算する形で書かれています。ただし、実際にどちらの区分で算定するかは手術内容によって変わりますので、レセプトを起票する際は、担当医が行った術式区分と加算の該当有無を必ず突き合わせて確認してください。マスターコードの具体的な数字については、院内の医科診療行為マスターで確認するのが確実です。
みらい(新人医療事務)
マスターの数字までは覚えなくていいんですね、少し安心しました。
併せて算定する費用の取り扱い
あおい(元・医療事務)
ここも取り漏れが起きやすいポイントです。センチネルリンパ節生検には、薬剤・画像診断・病理診断といった付随する費用が発生しますが、それぞれ別の区分で算定するというルールが留意事項通知に定められています。
併せて算定する費用の区分(留意事項通知より)
留意事項通知には次のように定められています。 「イ センチネルリンパ節生検に伴う放射性同位元素の薬剤料は、『K940』薬剤により算定する。」 「ウ 放射性同位元素の検出に要する費用は、『E100』シンチグラム(画像を伴うもの)の『1』部分(静態)(一連につき)により算定する。」 「エ 摘出したセンチネルリンパ節の病理診断に係る費用は、第13部病理診断の所定点数により算定する。」
みらい(新人医療事務)
つまり、加算の3,000点だけでこの手技にかかる費用が全部まかなわれるわけではなくて、薬剤料・画像診断・病理診断はそれぞれ別立てで算定する必要があるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。この3区分の算定漏れがあると、加算だけ算定して付随費用を取りこぼしてしまう、あるいは逆に本来別区分で算定すべき費用を加算に含めて誤って計算してしまう、といったことが起こり得ます。会計担当者と手術記録を突き合わせて、薬剤料・画像診断料・病理診断料がそれぞれ算定されているかを確認する運用をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
手術の記録と会計処理、両方見ないといけないんですね。
施設基準・届出は必要?
あおい(元・医療事務)
当サイトが整理している範囲では、この加算について個別の施設基準の届出は求められていません。K850という手術そのものに付随する技術料の加算という性質のため、外来感染対策向上加算のような独立した施設基準届出とは扱いが異なります。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出なしでもすぐ算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定を避けたいところです。届出が不要だとしても、実際に算定候補になるかどうかは、手術の実施記録・触診及び画像診断の結果・薬剤や画像診断・病理診断の算定状況など、複数の要件が満たされているかにかかっています。届出の要否と、個々の症例で算定候補になるかどうかは別の話として、両方を確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
「届出は不要でも、要件確認は必要」ということですね。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
あおい(元・医療事務)
続いて改定の経緯についてです。この加算は非常に対象範囲の限定された手術加算のため、当サイトが収録している一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からの新設・点数変更・要件変更を示す記載は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
改定差分の確認状況
当サイトの一次資料照合では、K850女子外性器悪性腫瘍手術および本加算に関する令和6年度時点の記載は収録されていません。今回確認できた一次資料は令和8年度の医科点数表・留意事項通知・施設基準届出関連資料のみです。前回改定からの変更点について確定的な情報が必要な場合は、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定に関する公式資料、または地方厚生局へ直接ご確認ください。
みらい(新人医療事務)
「変更がない」と言い切るのではなく、「確認できる資料の範囲では変更が見当たらない」ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ここは正確に伝えたいところなので、断定はしません。
自院で確認する順番
あおい(元・医療事務)
最後に、自院でこの加算が算定候補になるかを確認する際の順番を整理しておきましょう。
自院で確認する順番
- 実施した手術がK850女子外性器悪性腫瘍手術(切除、または皮膚移植を伴う術式)に該当するかを確認する
- 術前の触診及び画像診断の結果、鼠径リンパ節への転移が認められないと判断されていたかを診療録で確認する
- 放射性同位元素を用いたセンチネルリンパ節生検を実際に行ったかを手術記録・使用薬剤の記録で確認する
- 薬剤料(K940)・画像診断(E100シンチグラム「1」部分・静態)・病理診断(第13部)がそれぞれ別区分で算定されているかを会計担当者と突き合わせる
- 上記がすべて確認できた場合に、女子外性器悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算(3,000点)を所定点数に加算する
みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、抜け漏れなく確認できそうです。
よくある取り漏れ
あおい(元・医療事務)
現場でよく起きる取り漏れのパターンをいくつか紹介しますね。
取り漏れが起きやすいポイント
術式区分の確認漏れ: K850の点数区分(切除/皮膚移植)を確認せずに、加算の該当有無だけを見て会計処理をしてしまうケース。 転移の有無の記載漏れ: 触診・画像診断の結果、鼠径リンパ節への転移が「認められない」と判断された旨が診療録に明確に記載されていないと、加算の要件確認自体ができなくなります。 付随費用の算定区分の誤り: 薬剤料・画像診断・病理診断をそれぞれ別区分で算定すべきところを、加算点数に含めて計算してしまう、あるいは算定自体を失念してしまうケース。
みらい(新人医療事務)
診療録の記載がしっかりしていないと、そもそも確認作業が始められないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。医師・看護師・医療事務が連携して、手術記録に触診・画像診断の結果とセンチネルリンパ節生検の実施内容を明確に残してもらうことが、正確な算定の土台になります。


よくある質問
みらい(新人医療事務)
いくつか気になっていることを質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです、どうぞ。
みらい(新人医療事務)
この加算は、外来手術でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトの整理では、この加算は入院での手術に伴うケースが中心で、外来での算定対象としては扱われていません。実際の運用は自院の算定状況に応じて確認してください。
みらい(新人医療事務)
センチネルリンパ節生検を行ったのに転移が見つかった場合、加算は取り消しになるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこは一次資料だけでは判断できない要確認事項です。加算の要件は「術前の触診及び画像診断の結果、転移が認められない場合」の実施を前提にしているため、術中・術後の病理診断結果によって算定の可否がどう扱われるかは、審査支払機関や個別のケースによって異なる可能性があります。判断に迷う場合は審査支払機関へ確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出をしていなくても、この加算は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認している範囲では、この加算に個別の施設基準届出は求められていません。ただし、それ以外の要件(転移の有無・付随費用の算定区分など)を満たしているかは別途確認が必要です。最終的な判断は自院の届出状況と公式資料でご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。触診・画像診断の結果や手術内容を整理しながら入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。