みらい(新人医療事務)
バルーン内視鏡加算って、はじめて聞きました。これはどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬点数表では、「K721 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術」の注2として定められている加算です。大腸の内視鏡検査・処置をするとき、通常の内視鏡では病変部位まで届かなかった患者さんに、バルーン内視鏡を使って実施した場合に加算できる、という性質のものですね。
みらい(新人医療事務)
大腸の検査や処置、というと内視鏡のポリープ切除とかですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。対象となる手術のメインは「内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(K721)」ですが、関連する「内視鏡的結腸異物摘出術(K721-3)」や「早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術(K721-4)」にも同じバルーン内視鏡加算の規定があります。いずれも450点を所定点数に加算する、という形です(令和8年厚生労働省告示第69号)。
みらい(新人医療事務)
点数はいくつですか?
あおい(元・医療事務)
450点です。告示の原文には「バルーン内視鏡を用いて実施した場合は、バルーン内視鏡加算として、450点を所定点数に加算する。」と記載があります。ただし、あくまで所定点数に加算する形ですので、K721の本体点数(長径2センチメートル未満5,000点、長径2センチメートル以上7,000点)とは別に450点が上乗せになる仕組みです。
令和8年度 バルーン内視鏡加算の点数(K721関連)

| 手術区分 | 加算点数 | 対象年度 |
|---|---|---|
| K721 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(注2) | 450点 | 令和8年度 |
| K721-3 内視鏡的結腸異物摘出術(注) | 450点 | 令和8年度 |
| K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術(注) | 450点 | 令和8年度 |
あおい(元・医療事務)
上記3区分はいずれも所定点数への加算で、点数は令和8年度時点の告示値です。
算定要件: どんな場合に算定候補になるか
みらい(新人医療事務)
どういう条件を満たした場合に算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(令和8年度)では、「注2に規定するバルーン内視鏡加算については、大腸ファイバースコピーを実施したが、腹腔内の癒着等により上行結腸又は盲腸の病変部位まで到達できなかった患者に対して、バルーン内視鏡を用いて当該手技を実施した場合に限り算定できる」とされています。
みらい(新人医療事務)
つまり「まず普通の内視鏡で試みたけれど届かなかった場合」に限られるということですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。ポイントをまとめると次の3点になります。
算定候補になるための3つの条件(令和8年度)
- 前提として「大腸ファイバースコピー」を実施したこと — バルーン内視鏡だけでいきなり始めたケースは対象外
- 腹腔内の癒着等により上行結腸または盲腸の病変部位まで到達できなかった患者 — 単純に術者の判断で使ったわけではなく、「到達不能」という事実が必要
- バルーン内視鏡を使って対象の手技(K721等)を実施した場合に限る — 到達したが最終的に切除まで至らなかった場合は算定要件を満たさない可能性があります
みらい(新人医療事務)
「腹腔内の癒着等」という部分が気になります。実際の医療現場では、どうやって証明するんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に重要な事務要件が書かれています。「バルーン内視鏡を用いた理由について、診療報酬請求に当たって、診療報酬明細書に症状詳記を記載すること」とされているんです。つまり、なぜバルーン内視鏡が必要だったのかを、レセプトの症状詳記欄に書いておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
症状詳記が必要なんですね!知らなかったです。
算定上の注意: 症状詳記の記載が必須
バルーン内視鏡加算を算定する場合は、診療報酬明細書(レセプト)に症状詳記を記載することが要件です(令和8年度留意事項通知)。
- バルーン内視鏡を用いた理由(腹腔内癒着等により通常の内視鏡で到達できなかった旨)を具体的に記載
- 記載がない場合、審査の過程で確認・返戻になる可能性があります
施設基準・届出の有無
みらい(新人医療事務)
この加算を取るために、施設基準の届出が必要ですか?
あおい(元・医療事務)
バルーン内視鏡加算に関しては、令和8年度の規定上、別途の施設基準届出は要件として明示されていません。fee_items のデータでも notification_required: false、facility_standard_required: false となっています。
みらい(新人医療事務)
届出不要なんですか!それは比較的ハードルが低いですね。
あおい(元・医療事務)
ただし、バルーン内視鏡という特殊な機器を実際に使用できる体制が整っているかどうかは、医療機関として別途確認が必要です。機器の有無や術者の技術・経験が算定の前提になりますので、「届出は不要だから自由に取れる」ということにはなりません。あくまで算定要件(患者条件・記録事項)を満たすかどうかが重要です。
施設基準・届出の確認ポイント(令和8年度)
- 施設基準の届出: 令和8年度の規定上、バルーン内視鏡加算(150437170)として別途届出は不要とされています
- 医療機関側の実態: バルーン内視鏡機器の保有・操作技術・院内実施体制は必要
- 患者選定: 「腹腔内の癒着等により到達できなかった患者」に限定
- レセプト記録: 症状詳記の記載(算定要件)
算定タイミング・回数制限・併算定
みらい(新人医療事務)
算定できる回数や、他の加算との組み合わせに制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
告示・留意事項通知から現時点で確認できる内容をお伝えします。まず回数制限ですが、バルーン内視鏡加算には特定の月次・年次の回数制限は告示上明記されていません。ただし対象が「到達できなかった患者」という実態ベースの要件ですので、同一患者の同一機会に複数回算定するという性質の加算ではありません。
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定するときの組み合わせはどうですか?
あおい(元・医療事務)
併算定については、K721自体に「消化管ポリポーシス加算(注1)」「病変検出支援プログラム加算(注3)」という別の注加算もあります。これらとバルーン内視鏡加算(注2)を同時に算定できるかは、告示・留意事項通知上での明示的な禁止規定は確認していませんが、個々の算定要件をそれぞれ満たしているかの確認が必要です。
算定タイミングの注意
- バルーン内視鏡加算は対象手術(K721・K721-3・K721-4)と同日に算定
- 症状詳記なしでの算定は返戻リスクあり
- 告示上の回数制限の有無・他の注加算との関係は、審査支払機関への確認を推奨します
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、バルーン内視鏡加算に何か変わった点はありましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)告示69号のK721関連の記述を確認したところ、バルーン内視鏡加算(450点)の点数・算定要件・対象手術区分については、前回改定(令和6年度・2024年度)からの主な変更は確認されていません(2026年6月時点・厚労省告示第69号一次情報ベース)。
令和8年度改定: バルーン内視鏡加算の変更状況
- 点数(450点): 変更なし(一次情報確認済み)
- 算定要件(到達不能患者限定・症状詳記): 変更なし
- 対象手術(K721・K721-3・K721-4): 変更なし
なお、K721には令和8年度に「病変検出支援プログラム加算(注3・60点)」が加わっており、AIを用いた大腸ポリープの検出支援という文脈での改定はありました(バルーン内視鏡加算とは別の注番号)。
自院でのチェックリスト

みらい(新人医療事務)
実際に自院でバルーン内視鏡加算が算定候補になるかを確認するにはどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認するのがよいと思います。
自院で確認する順番
-
対象手術(K721・K721-3・K721-4)を実施しているか確認 — 対象外の手術では算定候補になりません
-
患者ごとに算定要件を確認 — 「大腸ファイバースコピーを実施したが、腹腔内の癒着等により上行結腸または盲腸の病変部位まで到達できなかった」という条件を診療記録で確認
-
バルーン内視鏡の使用事実を確認 — 実際にバルーン内視鏡を使って当該手術を実施したかを確認
-
レセプトへの症状詳記記載を確認 — バルーン内視鏡を用いた理由(腹腔内の癒着等で到達できなかった理由)をレセプトの症状詳記欄に記載しているか確認。記載がなければ審査返戻リスクあり
-
審査支払機関・診療報酬算定に詳しい専門家への確認 — 特殊な条件の加算ですので、不明点は自院の担当者・コンサルタントや審査支払機関に確認することをおすすめします
よくある取り漏れ・注意ポイント
バルーン内視鏡加算のよくある取り漏れ
取り漏れパターン1: 算定要件を満たす患者なのに加算コードを入力していない
バルーン内視鏡を使用した記録はあるのに、算定コード(150437170)を入力し忘れるケースがあります。手術記録・麻酔記録・使用機器の記録と突合する運用が有効です。
取り漏れパターン2: 症状詳記の記載漏れ
算定はしているが、レセプトへの症状詳記を書いていないケースです。「なぜバルーン内視鏡が必要だったか」の記載がないと返戻されるリスクがあります。手術後の記録作成フローに「レセプト症状詳記の記載」を組み込むことをおすすめします。
注意点: K721-5(内視鏡的小腸ポリープ切除術)との混同に注意
確認した告示の範囲では、バルーン内視鏡加算の規定があるのはK721・K721-3・K721-4で、K721-5にはこの加算の規定は見当たりません。対象手術区分をご確認ください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
「腹腔内の癒着等」とありますが、「等」の部分は具体的にどんな状態が含まれますか?
あおい(元・医療事務)
告示・留意事項通知上は「腹腔内の癒着等により上行結腸又は盲腸の病変部位まで到達できなかった」という表現にとどまっており、現時点で確認できる一次情報の範囲では「等」に含まれる範囲の明確なリストは見当たりません。「腹腔内の癒着」が典型例ですが、他の解剖学的理由で到達不能だった場合については、審査支払機関への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
バルーン内視鏡加算が算定候補かどうか、自院の状況を入力して確認できるツールはありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、加算チェッカー(/ask) でバルーン内視鏡加算をはじめとする各種加算の算定候補かどうかを確認できます。自院の体制・患者の状況などを入力すると、必要な要件の確認をサポートしてくれますよ。
参考資料・一次情報
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚労省・支払基金の公式資料を根拠としています。詳細は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省・支払基金 公式・令和8年度)
- 令和8年厚生労働省告示第69号「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf K721(注2)・K721-3(注)・K721-4(注) いずれもバルーン内視鏡加算450点
- 令和8年度診療報酬改定 医科点数表(特掲診療料 第10部 手術)留意事項通知
- 令和8年 基本マスターに関する変更情報(社会保険診療報酬支払基金) https://www.ssk.or.jp/seikyushiharai/tensuhyo/kihonmasta/r08kaiteijoho.html
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・診療内容・審査支払機関の判断でご確認ください。本記事は令和8年度(2026年度)の公開資料をもとに作成しましたが、個々の医療機関における算定の可否・適正性を保証するものではありません。