みらい(新人医療事務)
呼吸器内科の先生から「気管支鏡検査のときに肺の中を洗う検査をしたから、洗浄の分の加算も忘れずにつけてね」と言われたんですけど、気管支肺胞洗浄法検査同時加算ってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
「D302」気管支ファイバースコピー(気管支鏡検査、2,500点)を実施したときに、同時に気管支肺胞洗浄(BAL)を行って洗浄液を採取した場合に、200点を所定点数に加算できる項目です。令和8年度の医科点数表でも、D302の「注」としてこの枠組みが規定されています。まずは対象になる場面から一緒に整理していきましょう。
みらい(新人医療事務)
「洗浄液を採取した」だけで対象になるんですか?それとも目的も関係あるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
目的も要件のひとつです。厚生労働省の医科点数表の解釈通知では、肺胞蛋白症、サルコイドーシス等の診断のために気管支肺胞洗浄を行い、洗浄液を採取した場合に算定する、とされています。つまり「何のために洗浄液を採ったか」という診断目的が記録として説明できることが前提になります。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
診療所でも病院でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
施設の種類そのものを限定する記載はなく、診療所・病院のどちらも対象になり得ますし、外来・入院のどちらの患者さんでも候補になります。ポイントは施設の種類ではなく、「D302 気管支ファイバースコピーを実施できる体制があるか」です。
みらい(新人医療事務)
訪問診療で気管支鏡検査をすることってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
気管支ファイバースコピー自体が、内視鏡設備のある医療機関で実施される検査です。当サイトの整理でも訪問診療(在宅)は対象外の設定にしています。ただし実際の実施体制は医療機関ごとに異なる面もあるため、判断に迷うケースは自院での確認をおすすめします。
見落としやすいポイント
対象は「実施できたかどうか」: 施設の種類(診療所・病院)よりも、D302を実施しBAL液を採取した事実が算定候補の起点です。 診断目的の記録: 肺胞蛋白症・サルコイドーシス等、洗浄液採取の診断目的をカルテに残しておくことが確認のポイントです。
点数・算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数の関係を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、D302 気管支ファイバースコピー(2,500点)の「注」に、気管支肺胞洗浄法検査を同時に行った場合は、気管支肺胞洗浄法検査同時加算として200点を所定点数に加算する、と規定されています。つまりD302本体の点数に、この200点を上乗せする形です。
| 項目 | 点数 | 算定単位 | 届出 |
|---|---|---|---|
| D302 気管支ファイバースコピー(本体) | 2,500点 | 1回につき | 不要 |
| 気管支肺胞洗浄法検査同時加算 | 200点 | D302実施時に同時算定 | 不要 |

みらい(新人医療事務)
似たような名前で「気管支カテーテル気管支肺胞洗浄法検査」というのも見た気がします。同じものですか?
あおい(元・医療事務)
別の検査です。「D302-2」気管支カテーテル気管支肺胞洗浄法検査(320点)は、気管支ファイバースコピーを使わずに、専用のカテーテルで気管支肺胞洗浄を実施した場合に算定する項目です。名前は似ていますが、D302の「注」加算(気管支肺胞洗浄法検査同時加算)とは算定の入口が異なる、別の検査項目として整理されています。
| 項目 | 点数 | 実施方法 |
|---|---|---|
| 気管支肺胞洗浄法検査同時加算(D302の注) | 200点 | 気管支ファイバースコピーと同時に実施 |
| D302-2 気管支カテーテル気管支肺胞洗浄法検査 | 320点 | 気管支ファイバースコピーを使わず専用カテーテルで実施 |
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出は不要な加算です。当サイトの整理でも、届出・施設基準ともに「不要」としています。特別な体制の届出をしていなくても、算定要件を満たしていれば候補になります。
みらい(新人医療事務)
届出がいらないなら、あまり気にしなくてよさそうですね。
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要です。届出が不要というのは「無条件で算定できる」という意味ではありません。D302を実際に実施したこと、同時にBAL液を採取したこと、診断目的が肺胞蛋白症・サルコイドーシス等であったことを、診療録や検査記録から説明できる状態にしておく必要があります。
算定の判断は自院での確認が必要です
届出が不要な加算であっても、算定候補になるかどうかは検査の実施内容・診断目的・診療録の記載に基づいて個別に判断されます。本記事の内容だけで算定確定とせず、自院の実施記録に照らして確認してください。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定できるタイミングって、どう判断すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
ポイントは2つです。1つ目は、D302 気管支ファイバースコピーと同時に気管支肺胞洗浄を行い、洗浄液を採取したこと。2つ目は、その採取が肺胞蛋白症、サルコイドーシス等の診断を目的にしていたことです。この2つがそろって初めて算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
大事な注意点があります。厚生労働省の医科点数表の解釈通知では、D302-2 気管支カテーテル気管支肺胞洗浄法検査と、D302 気管支ファイバースコピーの注の気管支肺胞洗浄法検査(この記事の加算)を同一入院期間中にそれぞれ行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する、とされています。つまり同じ入院の中で両方の検査を行っても、両方分をそのまま合算することはできません。
D302-2との同一入院期間中の重複算定に注意
D302-2 気管支カテーテル気管支肺胞洗浄法検査と、この気管支肺胞洗浄法検査同時加算を同一入院期間中にそれぞれ算定した場合は、主たるものの所定点数のみで算定する決まりです。レセプトの重複算定チェックで確認してください。
みらい(新人医療事務)
同じ日にD302を2回実施したら、加算も2回つけていいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこは自院の算定回数のルールに沿って個別に確認が必要な部分です。本記事では「同時加算として算定できる」という基本の枠組みまでを整理していますので、実施回数が複数にわたるケースは、審査支払機関への確認も含めて自院で判断してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
今回参照した一次情報(令和8年厚生労働省告示第69号に基づく医科点数表、および医科点数表の解釈通知)の範囲では、点数(200点)、届出不要という枠組み、算定要件(D302との同時実施、肺胞蛋白症・サルコイドーシス等の診断目的)のいずれについても、変更を示す記載は確認されていません。確認日時点の一次資料をもとにした整理ですので、最新の告示・通知は自院でも定期的にご確認ください。
改定差分の確認範囲
確認したのは、点数・算定単位・届出要否・算定要件(D302との同時実施、診断目的)・D302-2との併算定の扱いです。これらの項目について、参照した一次資料の範囲では変更は見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
この記事の点数や要件って、どこで確認できるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
一次情報としては、令和8年厚生労働省告示第69号「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(厚生労働省 PDF)に基づく医科点数表を参照しています。診断目的の要件やD302-2との併算定の扱いは、厚生労働省の医科点数表の解釈通知(留意事項通知)を根拠にしています。
自院チェックリスト
みらい(新人医療事務)
自院で確認するときの順番を教えてください。
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくのがおすすめです。順番に見ていくと、算定候補かどうかの判断がしやすくなります。
自院で確認する順番
- D302 気管支ファイバースコピーを実施したかを確認する
- その際に同時に気管支肺胞洗浄を行い、洗浄液を採取したかを確認する
- 洗浄液採取の目的が肺胞蛋白症・サルコイドーシス等の診断であったかをカルテで確認する
- 同一入院期間中にD302-2等の重複算定がないかを確認する
- 診療録・検査記録に上記が説明できる形で残っているかを確認する

みらい(新人医療事務)
この順番なら、事務スタッフだけでもある程度は確認できそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし「診断目的が肺胞蛋白症・サルコイドーシス等に該当するか」の判断そのものは医学的な内容を含むので、最終的には検査を実施した医師と一緒に確認する体制にしておくと安心です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際の現場で取り漏れやすいパターンってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、気管支鏡検査(D302)の記録はレセプトに反映されていても、同時に行ったBAL(気管支肺胞洗浄)の実施と診断目的の記載が検査記録に残っておらず、同時加算の算定自体を忘れてしまうケースです。もう一つは、D302-2 気管支カテーテル気管支肺胞洗浄法検査と名前が似ているために、どちらの点数で算定すべきか混同してしまうケースです。
よくある取り漏れ
BAL実施記録の欠落: 気管支鏡検査の記録だけでなく、同時に洗浄液を採取した事実と診断目的を検査記録に残しておきましょう。 D302-2との混同: カテーテルのみで実施した場合はD302-2、気管支ファイバースコピーと同時実施の場合はこの加算、と実施方法で区別しましょう。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
いくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番に答えていきますね。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
気管支肺胞洗浄法検査同時加算そのものに施設基準の届出は不要です。ただし算定の根拠となる検査記録・診断目的の記載は自院で整えておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
どんな目的の検査でも対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では、肺胞蛋白症、サルコイドーシス等の診断のために気管支肺胞洗浄を行い、洗浄液を採取した場合に算定するとされています。診断目的が異なる場合に算定候補になるかは、自院での確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
D302-2 気管支カテーテル気管支肺胞洗浄法検査と同時に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
同一入院期間中にD302-2とこの加算をそれぞれ行った場合は、主たるものの所定点数のみで算定する決まりです。両方をそのまま合算することはできません。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)から点数が変わったりはしていないんですよね?
あおい(元・医療事務)
今回確認した一次資料の範囲では、点数・算定要件ともに前回改定からの変更は確認されていません。ただし改定や訂正通知は随時出るものなので、算定前には最新の一次資料も確認しておくと安心です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。検査の実施内容や診断目的を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。