みらい(新人医療事務)
先輩、内視鏡のレセプトを見ていたら「食道ヨード染色法加算」という項目がありました。食道の検査で使う加算みたいですが、うちのクリニックでも上部内視鏡はよくやっているので、算定候補になるか知りたいです。
あおい(元・医療事務)
はい、こちらも内視鏡検査の「注」に規定されている加算のひとつです。令和8年度の医科点数表では、食道ファイバースコピー(D306)に限って規定されている加算なので、まずはどんな場面で使うものか、条文を確認しながら整理していきましょう。
この加算は何のためのもの?
みらい(新人医療事務)
そもそも「ヨード染色」ってどういう処置なんですか? 墨で印をつける粘膜点墨法とは違うんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、手技としては別のものです。厚生労働省の実施上の留意事項通知では、「表在性食道がんの診断のための食道ヨード染色法は、粘膜点墨法に準ずる。ただし、染色に使用されるヨードの費用は、所定点数に含まれる。」と定義されています。つまり、粘膜に墨汁で印をつける代わりに、ヨード液を粘膜に散布して表在性食道がん(初期のがん)を見つけやすくする染色法のことです。算定のしくみとしては、粘膜点墨法加算と同じ考え方(準ずる)で60点が加算されます。
みらい(新人医療事務)
「準ずる」ということは、点数も同じ60点になるということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。食道ファイバースコピー(D306)の所定点数800点に、食道ヨード染色法加算として60点が上乗せされる形です。ただし、ヨード液自体の費用は別途請求できず、所定点数に含まれる点は注意してください。
対象になる検査・点数
みらい(新人医療事務)
具体的にどの検査に付くものなのか、確認したいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表(別表第一)で確認できる範囲では、区分番号D306食道ファイバースコピーの「注1」に規定されています。表にまとめますね。
| 対象の内視鏡検査(区分番号) | 検査自体の所定点数 | 食道ヨード染色法加算 | 年度 |
|---|---|---|---|
| D306 食道ファイバースコピー | 800点 | +60点(注1・粘膜点墨法に準ずる) | 令和8年度 |

みらい(新人医療事務)
D306には他にも「注」がついている加算があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、D306には「注2 拡大内視鏡を用いて、狭帯域光による観察を行った場合には、狭帯域光強調加算として、200点を所定点数に加算する。」という規定もあります。こちらは食道ヨード染色法加算とは別の手技(NBI観察)に対する、別の点数(200点)の加算です。同じD306の「注」でも、どの手技を行ったかで加算が変わるので、条文の番号ごとに確認してください。
対象はD306食道ファイバースコピーに限定
食道ヨード染色法加算は、条文上「D306 食道ファイバースコピー」において「表在性食道がんの診断のため」にヨード染色を行った場合に限って規定されています。胃・十二指腸ファイバースコピーなど他の内視鏡検査でヨード染色を行った場合にこの加算が算定候補になるかは、今回確認した資料の範囲では明記されておらず、個別に確認が必要です。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出は必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した範囲では、食道ヨード染色法加算そのものに個別の施設基準や届出は定められていません。実施した事実と、対象となるD306食道ファイバースコピーを保険診療として算定していることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出なしでいつでも算定候補になると考えていいですか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要です。加算そのものに届出は不要ですが、土台となるD306食道ファイバースコピー自体を保険診療として算定できているか、そして表在性食道がんの診断という目的でヨード染色を行ったかどうかは別問題です。届出が不要だからといって、常に算定候補になると断定はできません。
算定タイミング・注意したいポイント
みらい(新人医療事務)
目的について、もう少し詳しく知りたいです。何でもヨード染色をすれば算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこが一番のポイントです。留意事項通知では「表在性食道がんの診断のための」という目的が明記されています。つまり、表在性食道がんの発見・診断を目的としてヨード染色を行った場合が対象で、それ以外の目的でヨードを使った場合にこの加算の対象になるかどうかは、今回確認した資料の範囲では明記されていません。カルテには、ヨード染色を行った目的と所見をきちんと記載しておくことが大切です。
みらい(新人医療事務)
健診で内視鏡をやったときも、算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
食道ヨード染色法加算そのものについて健診時の取り扱いを直接示した資料は、今回確認できませんでした。ただし、同じ内視鏡検査の「注」加算である粘膜点墨法加算については、厚生労働省の疑義解釈資料(平成28年度・その1・問124)で「健康診断において、胃・十二指腸ファイバースコピー又は大腸ファイバースコピーを実施し、病変を認めた場合、引き続いて実施される狭帯域光による観察又は粘膜点墨法について、狭帯域光強調加算又は粘膜点墨法に係る加算の項目のみを算定できるか」という質問に「算定できない」と回答されています。さらに平成26年度の疑義解釈(その14・問6)でも、「『D308』を算定しない場合において、『注』に規定する加算のみの算定はできない」ことが示されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、食道ヨード染色法加算も同じような考え方になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
同じ「注」加算という位置づけなので、その可能性は考えられますが、食道ファイバースコピー(D306)・食道ヨード染色法加算について同じ内容を直接示した疑義解釈は、今回確認できませんでした。健診の内視鏡で表在性食道がんが疑われヨード染色を行ったようなケースでは、D306自体を保険診療として算定しているかどうかを含めて、自院で個別に確認することをおすすめします。
健診由来のケースは個別確認を
食道ヨード染色法加算について健診時の取り扱いを直接示した公式資料は、今回確認できませんでした。他の内視鏡加算(D308等)の疑義解釈では基本検査を保険診療として算定していない場合に加算だけを算定できないとされているため、健診由来のケースでは基本検査(D306)の算定区分を含めて自院で確認してください。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算の内容は変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、食道ヨード染色法加算そのものの点数(60点)や対象(D306・表在性食道がんの診断目的)について、前回改定(令和6年度)からの変更を示す個別改定項目の記載は確認されていません(確認日: 2026年7月)。今回確認できた令和8年度の医科点数表・留意事項通知の記載と同じ内容です。改定差分を示す一次資料が新たに見つかった場合は、内容を更新します。
紛らわしい加算との違い
みらい(新人医療事務)
似たような名前の加算が多くて、区別が難しそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね、D306の「注」に規定されている加算だけでも、いくつか種類があります。まず粘膜点墨法加算は、内視鏡直視下に無菌の墨汁を消化管壁に極少量注射して点状の目印を入れる手技に対する加算で、食道ヨード染色法加算とは使う薬剤・目的が異なる、別の加算として扱われています。粘膜点墨法加算 は当サイトで別に整理していますので、あわせて確認してみてください。
みらい(新人医療事務)
狭帯域光強調加算というのも見たことがあります。
あおい(元・医療事務)
それは拡大内視鏡を用いて、狭い波長帯(NBI)による観察を行った場合の加算で、点数も200点と異なります。ヨード染色(薬剤を粘膜に散布する)とは手技自体が違う、D306の別の「注」に規定された加算です。こちらも当サイトで整理していますので、狭帯域光強調加算 もあわせて確認してみてください。
みらい(新人医療事務)
色素内視鏡法加算というのも聞いたことがあります。
あおい(元・医療事務)
はい、それはインジゴカルミンやメチレンブルーなどの色素を使った観察を行った場合に、粘膜点墨法加算と同じ60点の基準に「準じて」算定する加算です。ヨードではなく別の色素を使う点、そして表在性食道がんの診断に限定されていない点が、食道ヨード染色法加算とは異なります。使う薬剤が違うと加算の名前も変わるので、カルテの記載を条文と照らし合わせて確認してください。
加算名の見分け方
D306食道ファイバースコピーで実施した染色・マーキング処置は、使った薬剤・目的によって加算名が変わります。墨汁によるマーキングなら粘膜点墨法加算、インジゴカルミン等の色素を使った観察なら色素内視鏡法加算、表在性食道がんの診断を目的としたヨード染色なら食道ヨード染色法加算です。いずれも60点で「粘膜点墨法に準ずる」算定という点は共通していますが、加算名を取り違えないようカルテの記載を確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で確認するときは、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認すると整理しやすいです。
自院で確認する順番
- D306食道ファイバースコピーを実施したかを確認する
- その検査を、健診としてではなく保険診療として算定しているかを確認する
- 表在性食道がんの診断を目的として、ヨード染色を実際に行ったかをカルテで確認する
- 粘膜点墨法や色素内視鏡法など、別の手技と取り違えていないかを確認する
- 上記が確認できれば、食道ヨード染色法加算60点の算定候補として院内で最終確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか挙げてみます。
よくある取り漏れ・思い込み
目的の記載漏れ: ヨード染色を行っても、カルテに「表在性食道がんの診断のため」という目的が読み取れる記載がないと、算定候補として説明しづらくなります。所見・目的をあわせて記載しておくことが大切です。 加算名の取り違え: カルテに「色素散布」「墨汁マーキング」とだけ記載されているケースで、食道ヨード染色法加算として計上してしまう取り違えです。使用した薬剤がヨードかどうかをカルテで必ず確認してください。 ヨード代の別途請求: 染色に使用したヨードの費用は所定点数に含まれるため、別途の薬剤料として計上してしまうと過剰請求になる可能性があります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、ほかの医療事務さんが疑問に思いそうなことを聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
食道ヨード染色法加算は届出が必要な加算ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した範囲では、食道ヨード染色法加算そのものに個別の届出は定められていません。ただし、対象となるD306食道ファイバースコピー自体を保険診療として算定できる状態にあるかは別に確認してください。
みらい(新人医療事務)
ヨード染色を使えば、必ずこの加算の対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、留意事項通知では「表在性食道がんの診断のための」という目的が明記されています。目的が異なる場合にこの加算の対象になるかどうかは、今回確認した資料の範囲では明記されていないため、カルテの記載を確認したうえで自院で判断する必要があります。
みらい(新人医療事務)
粘膜点墨法加算や色素内視鏡法加算と一緒に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
それぞれ使用する薬剤・目的が異なる加算のため、実施した内容ごとに条文を確認する必要があります。同じ検査に対して行った手技が複数ある場合でも、実際に行った内容に対応する加算だけを算定候補として確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。実施した検査の目的や、健診か保険診療かといった条件を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。