みらい(新人医療事務)
先生、内視鏡検査の記録を見ていたら「色素内視鏡法加算」という言葉が出てきたんですけど、これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
色素内視鏡法加算は、内視鏡検査のときにインジゴカルミンやメチレンブルーなどの色素を粘膜にまいて病変を見つけやすくする「色素内視鏡法」を行った場合に関係する加算候補です。令和8年度(2026年度)の取り扱いでは、この加算は単独のコードではなく、「粘膜点墨法加算」に準じて算定する、という形になっています。
みらい(新人医療事務)
準じて算定、というのはどういうことですか?粘膜点墨法とは別物ですよね?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。粘膜点墨法は病変の位置に墨(インク)を注入して目印を残す方法、色素内視鏡法は色素を粘膜にまいて観察しやすくする方法で、手技としては別のものです。ただ厚生労働省の留意事項通知では、「色素内視鏡法を行った場合は、粘膜点墨法に準じて算定する」と定められていて、点数の扱いを粘膜点墨法加算と同じにする、というルールになっています。
みらい(新人医療事務)
なるほど、手技は別だけど点数の数え方は同じにする、ということですね。
あおい(元・医療事務)
その理解で大丈夫です。ですのでこの記事では、色素内視鏡法加算が算定候補になるかどうかを、粘膜点墨法加算の点数・要件と合わせて確認していきます。
どんな内視鏡検査で対象になる?
みらい(新人医療事務)
どの内視鏡検査のときに関係してくるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、次の5つの内視鏡検査を行う際に色素内視鏡法(インジゴカルミン、メチレンブルー、トルイジンブルー、コンゴーレッド等)を行った場合が対象とされています。
| 区分番号 | 検査名 |
|---|---|
| D306 | 食道ファイバースコピー |
| D308 | 胃・十二指腸ファイバースコピー |
| D310 | 小腸内視鏡検査 |
| D312 | 直腸ファイバースコピー |
| D313 | 大腸内視鏡検査 |
みらい(新人医療事務)
けっこう幅広いんですね。診療所でも病院でも関係しそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。診療所・病院、外来・入院のどちらの場面でも、これらの内視鏡検査を実施していれば算定候補になり得ます。ただし在宅医療の場面での取り扱いは、この記事で確認した資料の範囲では明確に触れられていないので、在宅で内視鏡検査を行うケースがある場合は個別に確認が必要です。
点数の考え方(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
まず内視鏡検査そのものの点数と、「注」に定められた粘膜点墨法加算の点数を分けて見ていきましょう。
| 区分番号 | 検査名 | 検査の点数 | 粘膜点墨法加算(色素内視鏡法加算が準じる点数) |
|---|---|---|---|
| D306 | 食道ファイバースコピー | 800点 | 60点 |
| D308 | 胃・十二指腸ファイバースコピー | 1,140点 | 60点 |
| D310 | 小腸内視鏡検査(4 その他のもの) | 1,700点 | 60点 |
| D312 | 直腸ファイバースコピー | 550点 | 60点 |
| D313 | 大腸内視鏡検査(1ファイバースコピー各区分 900〜1,550点/2カプセル型 1,550点) | 900〜1,550点 | 60点 |

みらい(新人医療事務)
どの検査でも一律60点、というわけですね。
あおい(元・医療事務)
基本的にはその整理で候補になりますが、ひとつ注意があります。D310小腸内視鏡検査は、バルーン内視鏡(6,800点)・スパイラル内視鏡(6,800点)・カプセル型内視鏡(1,700点)・その他のもの(1,700点)の4区分に分かれていて、点数表の「注」で粘膜点墨法加算が明記されているのは「4 その他のもの」だけなんです。バルーン内視鏡やスパイラル内視鏡での実施時にどう扱うかは、今回確認した資料の範囲では明記が見当たらず、要確認としておきたいところです。
点数だけで判断しない
色素内視鏡法加算は独立した点数コードではなく、粘膜点墨法加算(60点)の算定ルールに準じる形です。使用した色素(インジゴカルミン等)の費用は所定点数に含まれ、別途請求できません。
みらい(新人医療事務)
色素の薬剤費は別で請求できたりしないんですか?
あおい(元・医療事務)
できません。留意事項通知に「使用される色素の費用は所定点数に含まれる」とはっきり書かれています。薬剤料として別立てで算定するのは誤りになる可能性が高いので、レセプトチェックの際に見ておきたいポイントです。
あおい(元・医療事務)
同じ内視鏡検査の加算では、粘膜点墨法加算のページも点数・算定の考え方が共通するので、あわせて確認しておくと理解しやすいです。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出とか、事前の手続きは要りますか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した一次資料(留意事項通知・施設基準に関する告示)の範囲では、色素内視鏡法加算そのものに個別の施設基準や届出の規定は見当たりませんでした。粘膜点墨法加算についても同様です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出なしで、すぐ算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは言い切らないようにしたいところです。あくまで「今回確認した資料の範囲では見当たらなかった」ということで、実際にこの内視鏡検査自体(食道ファイバースコピー等)を実施するための体制・届出が別途必要になっていないか、また地方厚生局への届出状況に変更がないかは、自院で確認しておくことをおすすめします。届出の要否を最終的に判断するのは、資料を機械的に読んだだけのこの記事ではなく、自院の届出台帳や地方厚生局への確認になります。
算定のタイミングと回数・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングとか、回数の制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
粘膜点墨法加算に準じる形なので、対象の内視鏡検査を1回実施する中で色素内視鏡法を行った場合に、その回の検査点数に加算するという扱いになります。同じ受診日に複数の対象検査を続けて行った場合の扱いは、内視鏡検査全体の通則(近接部位の検査を連続して行った場合は主たる検査の所定点数のみで算定する、といった規定)も関わってくるので、レセプト担当者だけで判断せず、検査を行った医師と一緒に確認するのがおすすめです。
健診・人間ドックでの取り扱いに注意
過去の疑義解釈では、健康診断の中で内視鏡検査を実施し、引き続き粘膜点墨法や狭帯域光観察のみを保険診療として算定できるかが問われ、「算定できない」とされた事例があります(平成28年度の疑義解釈)。健診と保険診療が混在する場面では、色素内視鏡法加算(粘膜点墨法加算に準じる部分)だけを保険請求できるかどうかも、自院の運用ルールとあわせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
健診がらみのケースは特に気をつけたほうがよさそうですね。次は、今回の改定で何か変わったのかも気になります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
あおい(元・医療事務)
今回、厚生労働省の告示・留意事項通知を確認した範囲では、色素内視鏡法加算(粘膜点墨法加算60点に準じる取り扱い)について、点数・算定要件・対象となる内視鏡検査の区分(D306・D308・D310・D312・D313)に、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(2026年7月確認・厚労省告示ベース)。
前回→今回の整理
令和6年度(2024年度)改定時点: 粘膜点墨法加算は60点、色素内視鏡法はこれに準じて算定する扱い。 令和8年度(2026年度)改定: 今回確認した資料の範囲では、点数・対象区分に変更は見当たらない。
みらい(新人医療事務)
変わっていないなら、これまでの運用のまま確認していけばいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし「変更が確認されていない」というのはあくまで今回参照した資料の範囲での話なので、直近の疑義解釈や訂正通知が出ていないかは、時期によって改めて確認しておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで算定候補になるか確認するときは、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認していくとやりやすいです。
自院で確認する順番
- D306・D308・D310・D312・D313のいずれかの内視鏡検査を実施したかを確認する
- その検査でインジゴカルミン等による色素内視鏡法を行ったかをカルテ・レポートで確認する
- D310の場合は「その他のもの」区分にあてはまるか(バルーン・スパイラルは注記なし)を確認する
- 使用した色素の費用を別立てで請求していないかをレセプト上で確認する
- 粘膜点墨法加算に準じて60点を算定候補として整理し、必要なら院内のレセプトチェック担当・医師と共有する

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に見ていくと、抜け漏れも見つけやすそうです。
よくある取り漏れ
あおい(元・医療事務)
現場でよくある取り漏れをいくつか整理しておきます。
取り漏れやすいポイント
色素の記載漏れ: 検査レポートに「インジゴカルミン散布」等の記載がなく、色素内視鏡法を行った事実が後から確認できないケース。 D310の区分違い: 小腸内視鏡検査のうち、粘膜点墨法加算の注記がある「その他のもの」以外の区分(バルーン・スパイラル)で同様に算定してしまっているケース。 色素の薬剤費の二重請求: 所定点数に含まれる色素の費用を、薬剤料として別に計上してしまっているケース。
みらい(新人医療事務)
検査レポートの書き方ひとつで、後から確認できるかどうかが変わってきますね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。算定候補かどうかを判断する材料そのものが記録に残っていないと、後からのチェックがとても難しくなります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
色素内視鏡法加算という名前の点数コードを、マスターの中で探せばいいですか?
あおい(元・医療事務)
独立したコードとしては見当たりません。レセプト上は粘膜点墨法加算(D306等の「注」に定められた加算)の点数として整理されているため、マスター上で色素内視鏡法加算という名称そのものを探すのではなく、粘膜点墨法加算の算定要件にあてはまるかで確認するのが実務的です。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出がいらないなら、届出台帳のチェックはしなくていいですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、この加算自体に個別の届出規定が見当たらなかったというだけで、算定の前提となる内視鏡検査(食道ファイバースコピー等)自体の届出状況や、院内の運用ルールの確認は別途必要です。届出台帳のチェックは省略しないようにしてください。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)のときから、この加算の考え方は変わっていないんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した資料の範囲では、点数・対象区分に変更は確認されていません。ただし今後の疑義解釈や訂正通知で扱いが補足される可能性もあるので、定期的な確認をおすすめします。
参考にした公式資料
みらい(新人医療事務)
今回の内容って、どの資料をもとに確認したんですか?
あおい(元・医療事務)
主に厚生労働省が公開している医科点数表と留意事項通知です。点数の部分は「医科点数表 別表第一」(厚生労働省・令和8年度点数表PDF)のD306〜D313の各区分と「注」を確認しました。改定全体の位置づけは「令和8年度診療報酬改定説明資料等について」(厚生労働省)も参照しています。色素内視鏡法を粘膜点墨法に準じて算定する旨の留意事項通知の文言についても、当サイトが収録している一次資料の範囲で確認しました。
みらい(新人医療事務)
実際のカルテやレセプトと突き合わせるときは、この記事だけじゃなくて、そうした一次資料や審査支払機関にも確認したほうがよさそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうしていただくのが一番確実です。この記事はあくまで確認の入り口として使ってください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。