ホウ素中性子捕捉療法医学管理加算とは?
みらい(新人医療事務)
あおいさん、レセプトで「ホウ素中性子捕捉療法医学管理加算」という名前を見かけたんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表にある、放射線治療の加算の一つです。区分番号M001-5「ホウ素中性子捕捉療法(一連につき)」の「注3」に規定されていて、厚生労働省の告示には「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、ホウ素中性子捕捉療法に関する専門の知識を有する医師が策定した照射計画に基づく医学的管理を行った場合には、ホウ素中性子捕捉療法医学管理加算として、10,000点を所定点数に加算する」と記載されています。
みらい(新人医療事務)
「ホウ素中性子捕捉療法」自体、あまり聞き慣れない治療法なんですが……。
あおい(元・医療事務)
BNCT(Boron Neutron Capture Therapy)とも呼ばれる放射線治療の一種です。当サイトが収録している一次資料の範囲では、治療の医学的な仕組みそのものには立ち入りませんが、診療報酬上はM001-5として区分され、一連の治療につき187,500点という高額な点数が設定されている治療です。今回ご説明する医学管理加算は、この治療を行う際に照射計画に基づく医学的管理を行った場合に、本体の点数へ上乗せされる注加算です。
みらい(新人医療事務)
つまり、まずM001-5本体が算定候補になっていることが前提なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。医学管理加算は単独では成立せず、M001-5ホウ素中性子捕捉療法に対する「加算」として位置づけられています。まずは本体の算定候補が成立しているかを確認し、その上で医学管理加算の要件を満たしているかを確認する、という順番になります。
対象になる医療機関・患者を確認しましょう
みらい(新人医療事務)
この加算は、どんな医療機関・患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
まず医療機関側ですが、当サイトが収録している一次資料の範囲では、病院が対象で、診療所は対象外として整理されています。BNCTは専用の照射設備を要する治療のため、実施できる医療機関自体が限られていると考えられます。入院・外来はいずれも対象ですが、在宅(訪問診療等)は治療の性質上、想定されていません。
みらい(新人医療事務)
患者さんの側はどうですか? どんな病気の人が対象なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知には、「ホウ素中性子捕捉療法は、薬事承認された医療機器及び医薬品を用いて、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌の患者に対して実施した場合に限り、一連の治療につき1回に限り算定する」と明記されています。つまり対象患者は、手術で切除できない局所進行または局所再発の頭頸部癌の患者に限られています。
みらい(新人医療事務)
頭頸部癌以外には使えない治療法なんですね。
あおい(元・医療事務)
少なくとも当サイトが収録している一次資料の範囲では、そのように限定されています。他の疾患への適用については、この記事の範囲では確認できていませんので、対象患者の該当性は自院で個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
医学管理加算そのものは、M001-5本体の対象患者と同じという理解でいいですか?
あおい(元・医療事務)
はい、医学管理加算はM001-5本体の「注」として規定されているため、本体の対象患者要件(切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌)が前提になります。医学管理加算だけを別の患者に対して算定することはできません。
点数を確認しましょう(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
M001-5には、医学管理加算以外にも注加算があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。令和8年度の医科点数表では、M001-5ホウ素中性子捕捉療法には複数の注加算が規定されています。今回ご説明している医学管理加算(注3)はそのうちの一つです。

| コード(区分) | 名称 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| M001-5 | ホウ素中性子捕捉療法 | 187,500点 | 一連の治療につき1回 |
| M001-5 注2 | ホウ素中性子捕捉療法適応判定加算 | 40,000点 | 別区分(本記事では詳細割愛) |
| M001-5 注3 | ホウ素中性子捕捉療法医学管理加算(本記事の対象) | 10,000点 | 所定点数に加算 |
| M001-5 注4 | 体外照射用固定器具加算 | 1,000点 | 一連の治療につき1回 |
みらい(新人医療事務)
医学管理加算だけで10,000点、大きいですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし点数が大きい分、要件も明確に定められています。次の項で詳しく確認しましょう。なお、注2の適応判定加算と注4の体外照射用固定器具加算はそれぞれ別の要件を持つ独立した加算なので、医学管理加算の要件だけを満たしても自動的に算定できるわけではない点に注意してください。
施設基準・届出の確認
みらい(新人医療事務)
この加算、届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
必要です。告示には「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」医学管理加算を算定できると明記されています。つまり、施設基準に適合し、地方厚生局長等に届出を行っていることが算定の前提です。
みらい(新人医療事務)
施設基準の具体的な中身は、この記事で分かりますか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、施設基準の詳細な条項(人員配置や設備の具体的な要件など)は、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。届出時に必要な様式や具体的な基準項目は、地方厚生局が公表している届出関連資料で確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
「届出さえすればOK」というわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知には、M001-5ホウ素中性子捕捉療法自体について「関連学会により認定された医師の管理の下で実施すること」とも定められています。これは治療全体の実施要件であり、医学管理加算の算定の前提にもなる体制面の要件と考えられます。ただし、この記載が医学管理加算固有の施設基準そのものを網羅しているかどうかまでは、この記事の範囲では確認できていません。届出状況・体制の充足は、必ず自院で公式資料や地方厚生局への確認を通じて判断してください。
施設基準は要確認(令和8年度)
医学管理加算の算定候補になるかどうかは、施設基準の届出状況によって変わります。届出をしていない場合や、届出内容と実際の実施体制にズレがある場合は、算定候補にならない可能性があります。詳細な基準項目は地方厚生局の公表資料でご確認ください。
算定要件: 「医学的管理」の中身を確認しましょう
みらい(新人医療事務)
「専門の知識を有する医師が策定した照射計画に基づく医学的管理」というのが、告示に書いてある要件でしたよね。具体的にはどんな管理なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知には、より具体的にこう定められています。「『注3』に規定するホウ素中性子捕捉療法医学管理加算は、ホウ素中性子捕捉療法に係る照射に際して、画像診断に基づきあらかじめ作成した線量分布図に基づいた照射計画と照射時の照射中心位置を、三次元的な空間的再現性により照射室内で画像的に確認・記録するなどの医学的管理を行った場合に限り算定する」とされています。
みらい(新人医療事務)
ポイントを整理すると、どうなりますか?
医学管理加算の算定要件のポイント(令和8年度)
照射計画の事前作成: 画像診断に基づき、あらかじめ線量分布図に基づいた照射計画を作成していること。 照射室内での位置確認・記録: 照射時の照射中心位置を、三次元的な空間的再現性により、照射室内で画像的に確認し、記録していること。 専門知識を有する医師の関与: ホウ素中性子捕捉療法に関する専門の知識を有する医師が、この照射計画を策定していること。
みらい(新人医療事務)
「確認・記録するなどの医学的管理」とありますが、記録が残っていないと算定できないということですか?
あおい(元・医療事務)
条文の書きぶりからは、確認・記録を行う医学的管理そのものが算定の要件とされています。実施した事実だけでなく、画像的な確認や記録が伴っているかどうかが問われる要件と考えられます。ただし、記録の具体的な様式や保存期間まではこの記事の範囲では確認できていないので、実務上の記録方法については自院の放射線治療担当者と確認しながら整備することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、ホウ素中性子捕捉療法医学管理加算の点数(10,000点)および算定要件(専門知識を有する医師による照射計画に基づく医学的管理、画像診断に基づく線量分布図・照射室内での位置確認と記録)について、前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚生労働省の告示・留意事項通知ベース)。
みらい(新人医療事務)
変更がないなら、これまでどおり運用すればいいんですね。
あおい(元・医療事務)
点数・要件に関して確認できた範囲では変更はありませんが、疑義解釈や訂正通知で細かい取り扱いが追加されることもあります。特にBNCTのように対象患者が明確に限定されている治療は、対象疾患の範囲や適応判定に関する取り扱いが今後更新される可能性もゼロではありません。算定の直前には、最新の一次資料や地方厚生局の案内を確認する習慣をつけておくと安心です。
似た名称の加算に注意(粒子線治療医学管理加算)
みらい(新人医療事務)
「医学管理加算」という名前、放射線治療の他の加算でも見た気がするんですが……。
あおい(元・医療事務)
よく気づきましたね。令和8年度の医科点数表には、粒子線治療医学管理加算という似た構造の加算があります。こちらはM001-4粒子線治療の注3に規定されていて、点数も同じ10,000点です。留意事項通知の要件文言も「粒子線治療に係る照射に際して、画像診断に基づきあらかじめ作成した線量分布図に基づいた照射計画と照射時の照射中心位置を、三次元的な空間的再現性により照射室内で画像的に確認・記録するなどの医学的管理を行った場合に限り算定する」となっており、今回ご説明したホウ素中性子捕捉療法医学管理加算の要件と非常によく似た構成です。
みらい(新人医療事務)
治療法は違うのに、要件の考え方は同じなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ただし、区分番号(M001-4とM001-5)も対象となる治療も別のものなので、レセプト入力の際に取り違えないよう注意してください。また、M001-5ホウ素中性子捕捉療法には注4として体外照射用固定器具加算という別の加算も規定されています。こちらはM001体外照射(エックス線治療等)の同名加算とは区分番号が異なる別のコードなので、あわせて混同しないように気をつけたいポイントです。
混同注意(令和8年度)
「医学管理加算」という名称の加算は、粒子線治療(M001-4)とホウ素中性子捕捉療法(M001-5)のそれぞれに別々の区分番号で規定されています。どちらの治療に基づく加算かをレセプト上で明確にし、区分を取り違えないよう注意してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際に確認する順番を教えてもらえますか?

自院で確認する順番
M001-5ホウ素中性子捕捉療法(対象: 切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌の患者)の算定候補が成立しているかを確認する 自院がホウ素中性子捕捉療法医学管理加算の施設基準に適合し、地方厚生局長等への届出を行っているかを確認する 関連学会により認定された医師の管理の下で治療が実施される体制になっているかを確認する 画像診断に基づく線量分布図・照射計画を事前に作成し、照射時の照射中心位置を照射室内で画像的に確認・記録しているかを確認する 上記が確認できれば算定候補として整理し、レセプトの摘要欄・診療録に医学的管理の実施状況を記録する
みらい(新人医療事務)
最初に本体(M001-5)の対象患者、次に届出、その次に医師の体制、最後に照射計画・記録という順番ですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。特に対象患者が「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」と明確に限定されている点は見落としやすいので、レセプト担当者と放射線治療担当医の間で最初に共有しておくとよいと思います。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でつまずきやすいポイントはありますか?
よくある取り漏れ(令和8年度)
対象患者の該当性の未確認: 頭頸部癌の中でも「切除不能な局所進行又は局所再発」という限定があるため、対象患者かどうかの確認が漏れると算定候補にならない可能性があります。 照射室内での確認・記録の欠落: 医学的管理の実施だけでなく、照射室内での画像的な確認・記録が伴っていないと、要件を満たしていない可能性があります。 粒子線治療医学管理加算との区分の取り違え: 名称が似ているため、M001-4(粒子線治療)とM001-5(ホウ素中性子捕捉療法)のコードを混同しやすい点に注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
どれも「限定条件の見落とし」や「記録の不備」ですね。
あおい(元・医療事務)
はい。点数自体は明確ですが、対象患者の限定と、照射室内での確認・記録という手続き面の要件がセットになっているのがこの加算の特徴です。実施の事実だけでなく、記録が残っているかどうかも意識しておくとよいと思います。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算は病院が対象で、診療所は対象外として整理されています。BNCTの実施には専用の照射設備が必要になるため、実施可能な医療機関自体が限られていると考えられます。
みらい(新人医療事務)
頭頸部癌以外の患者さんに使うことはできますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌の患者に対して実施した場合に限り」算定するとされています。他の疾患への適用については、この記事の範囲では確認できていませんので、対象患者に該当するかどうかは自院で個別に確認してください。
みらい(新人医療事務)
医学管理加算だけを届出なしで算定できますか?
あおい(元・医療事務)
できません。告示には「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」算定できると明記されているため、届出が前提です。届出をしていない場合は算定候補にならない可能性があります。
みらい(新人医療事務)
医学管理加算と体外照射用固定器具加算は同時に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
両方ともM001-5の別々の注(注3と注4)に規定された独立した加算なので、それぞれの要件を満たせばあわせて算定候補になり得ます。ただし、体外照射用固定器具加算は「体外照射用固定器具を使用した場合」という別の要件があるため、医学管理加算の要件を満たしているからといって自動的に算定できるわけではありません。それぞれの要件を個別に確認する必要があります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。施設基準の届出状況や、対象患者の該当性、医学的管理の実施体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。