みらい(新人医療事務)
先輩、「施設入所者共同指導料」ってはじめて聞いたんですけど、どんな時に算定するものなんですか?
あおい(元・医療事務)
名前だけだとイメージしづらいですよね。これは、介護老人保健施設(いわゆる老健)に入所している患者さんが、退所して家庭に復帰する予定になったときに、退所後の療養を担当する病院の医師が施設に出向いて、施設の医師と一緒に退所後の療養に必要な指導を行った場合に算定候補になる項目です。令和8年度の医科診療行為マスターでは600点で登録されています。
みらい(新人医療事務)
「一緒に指導」ということは、うちの医師と老健の医師の2人で患者さんに説明する、みたいなイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。厚生労働省の留意事項通知(令和8年保医発0305第6号)では、「介護老人保健施設に入所中の患者の退所後の療養を担当する病院である保険医療機関の医師(以下「担当医」という。)が、介護老人保健施設に赴き、介護老人保健施設の医師と共同して、退所後の療養上必要な指導を行った場合に、1入所につき1回に限り算定できるものであること」とされています。担当医が施設に足を運ぶこと、老健の医師と共同で指導することが条件になっています。
施設入所者共同指導料とは(対象医療機関・対象患者)
みらい(新人医療事務)
「病院である保険医療機関の医師」って書いてありましたけど、診療所は対象外なんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項の文言をそのまま読むと、担当医は「病院である保険医療機関の医師」とされています。つまり対象医療機関は、老健入所者の退所後の療養を担当する病院ということになります。診療所が担当医になるケースが実務上どう扱われるかは、当サイトが収録している一次資料の範囲では明記されていないため、自院が診療所の場合は算定候補になるかどうかを含めて要確認としておくのが安全です。
みらい(新人医療事務)
患者さん側の条件はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
こちらも留意事項に明記があります。「施設入所者共同指導料は、退所して家庭に復帰する予定の患者が算定の対象となるものであること」とされているので、老健を退所して家庭(自宅)に戻る予定の患者さんが対象です。一方で「特別養護老人ホーム等医師又は看護師等が配置されている施設に入所予定の患者は算定の対象としないものであること」とも明記されていて、老健を出たあと特別養護老人ホームなど医師や看護師等が配置された別の施設に移る予定の患者さんは対象外の可能性があります。
みらい(新人医療事務)
家庭に戻るかどうかで対象が変わるんですね。表にすると、こんなイメージですか?
| 退所後の行き先 | 算定の考え方 |
|---|---|
| 家庭(自宅)に復帰する予定 | 留意事項の対象患者の要件に該当(算定候補) |
| 特別養護老人ホーム等、医師・看護師等が配置された施設に入所予定 | 留意事項で対象外とされている(対象外の可能性) |
| 上記いずれにも当てはまらない・判断が難しいケース | 自院の届出状況とあわせて要確認 |
あおい(元・医療事務)
あくまで一次資料に書かれている区分の整理なので、個別の患者さんの状況が微妙なケースは、最終的に自院で判断される前提でご覧くださいね。
点数と算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はさっき600点っておっしゃっていましたが、算定できる回数にも決まりがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。令和8年度の医科診療行為マスターでは、施設入所者共同指導料はコード180703810・600点として登録されています。回数については、先ほどの留意事項の(1)に「1入所につき1回に限り算定できるものであること」と明記されているので、同じ入所期間中に複数回算定することは想定されていません。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 名称 | 施設入所者共同指導料 |
| 点数 | 600点 |
| 算定単位 | 1入所につき1回 |
| コード(医科診療行為マスター) | 180703810 |
| 区分 | 医科点数表 第2部 併設保険医療機関以外の保険医療機関の療養に関する事項 |

みらい(新人医療事務)
「1入所につき1回」ということは、同じ患者さんが老健に入所している間にもう一度別のタイミングで算定する、みたいなことはできないんですね。
あおい(元・医療事務)
留意事項の文言どおりに読むとそうなります。同じ入所期間で複数回の指導を行った場合の扱いについて、当サイトが収録している一次資料の範囲でそれ以上の細かい定めは確認できていないので、複数回の対応が発生しそうな場合は自院の判断に加えて審査支払機関にも確認しておくと安心です。
算定要件を確認する(留意事項の5項目)
みらい(新人医療事務)
留意事項には他にも条件が書かれていましたよね。全部確認しておきたいです。
あおい(元・医療事務)
留意事項(令和8年保医発0305第6号)の「1 施設入所者共同指導料」には、(1)から(5)まで5つの項目が並んでいます。一つずつ見ていきましょう。
留意事項(1)〜(5)の確認ポイント
(1) 算定できる場面: 「介護老人保健施設に入所中の患者の退所後の療養を担当する病院である保険医療機関の医師(担当医)が、介護老人保健施設に赴き、介護老人保健施設の医師と共同して、退所後の療養上必要な指導を行った場合」で、1入所につき1回まで。 (2) 対象患者: 「退所して家庭に復帰する予定の患者」が対象。 (3) 対象外の可能性がある患者: 「特別養護老人ホーム等医師又は看護師等が配置されている施設に入所予定の患者」は対象としないとされている。 (4) 併算定の扱い: 算定した場合、初診料・再診料・外来診療料・退院時共同指導料・往診料・在宅患者訪問診療料は算定できないとされている。 (5) 診療録への記載: 担当医は診療録に、介護老人保健施設で行った指導の要点を記入することとされている。
みらい(新人医療事務)
(5)の「診療録への記載」を忘れそうです……。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ここは算定の可否そのものというより運用面の注意点ですが、留意事項に明記されている以上、記入し忘れると後から算定根拠を示しにくくなります。施設に赴いた日時、共同で指導した老健側の医師名、指導の要点をその場でメモしておき、診療録に転記する運用にしておくと安心です。
併算定できない項目に注意
みらい(新人医療事務)
(4)にあった「算定できない項目」、うちのレセプトでうっかり一緒に付けてしまいそうで怖いです。
あおい(元・医療事務)
ここは差し戻しにつながりやすいポイントなので、一覧にしておきましょう。留意事項(4)には「施設入所者共同指導料を算定した場合は、初診料、再診料、外来診療料、退院時共同指導料、往診料及び在宅患者訪問診療料は算定できないものであること」と明記されています。
| 施設入所者共同指導料と同時に算定できないとされている項目 | 補足 |
|---|---|
| 初診料 | 基本診療料 |
| 再診料 | 基本診療料 |
| 外来診療料 | 診療料 |
| 退院時共同指導料 | 名称が似ているため取り違えに注意 |
| 往診料 | 在宅医療 |
| 在宅患者訪問診療料(Ⅰ) | 在宅医療 |
似た名前の加算との取り違えに注意
「施設入所者共同指導料」と「退院時共同指導料」は名前が似ていますが、留意事項では別の項目として扱われ、施設入所者共同指導料を算定した場合は退院時共同指導料は算定できないとされています。どちらの要件で動いているのか、レセプト入力前に区分番号やコードで確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
同じ日に往診や訪問診療をしていた場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項の文言では「算定した場合は…算定できない」という書き方になっていて、具体的にどの範囲・どの日付単位で調整するかまでの細かい運用は、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。レセプトコンピューターの警告表示なども参考にしつつ、判断に迷う場合は審査支払機関に確認することをおすすめします。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要なんでしょうか?加算のページだと届出が必要なものが多かった記憶があります。
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料(留意事項通知)の範囲では、施設入所者共同指導料そのものに個別の施設基準や地方厚生局への届出を求める記載は確認できていません。ただし、これは「届出が不要と確定した」という意味ではなく、あくまで「この一次資料の範囲では確認できていない」という状態です。
施設基準・届出の扱いは要確認
施設入所者共同指導料に個別の届出様式が定められているかどうかは、自院が契約している審査支払機関や地方厚生局への確認、または最新の告示・通知の直接確認をおすすめします。届出の要否を当サイトが断定することはできません。
みらい(新人医療事務)
なるほど、「書いていないから不要」と決めつけないほうがいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。届出が必要な施設基準もあれば、通則的な保険医療機関としての基本要件だけで算定できる項目もあります。施設入所者共同指導料がどちらに近いのかは、自院の担当窓口や審査支払機関との確認を優先してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定(令和6年度)から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料は令和8年度分が中心で、施設入所者共同指導料について前回改定(令和6年度)からの点数や要件の変更を示す記載は確認できていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。令和8年度の医科診療行為マスターでは600点、留意事項も(1)から(5)の5項目という構成で登録されています。
みらい(新人医療事務)
「確認できていません」というのは「変わっていない」と言い切れるわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。当サイトで確認できた一次資料の範囲内での話なので、正確な経緯を知りたい場合は、令和6年度と令和8年度それぞれの告示・留意事項通知を直接見比べていただくのが確実です。今後、当サイトの資料が拡充された際には、このセクションを更新していきます。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
情報が多くて整理しきれないので、確認する順番を教えてください!
あおい(元・医療事務)
では、留意事項の(1)〜(5)に沿って、自院で確認する順番をまとめますね。
自院で確認する順番
- 対象の患者さんが介護老人保健施設に入所中で、退所して家庭に復帰する予定かどうかを確認する(特別養護老人ホーム等、医師・看護師等が配置された施設への入所予定であれば対象外の可能性)
- 自院(病院)が、その患者さんの退所後の療養を担当する医師(担当医)の立場にあるかを確認する
- 担当医が実際に介護老人保健施設に赴き、施設の医師と共同で退所後の療養上必要な指導を行ったかを確認する(1入所につき1回まで)
- 同一の機会に初診料・再診料・外来診療料・退院時共同指導料・往診料・在宅患者訪問診療料を算定していないかを確認する
- 診療録に、介護老人保健施設で行った指導の要点を担当医が記入したかを確認する
- 施設基準・届出の要否について、自院の審査支払機関・地方厚生局へ確認する

みらい(新人医療事務)
この順番で確認していけば、算定候補かどうかの整理がしやすそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。特に1と4は見落としやすいポイントなので、レセプト担当と診療にあたった医師の間で情報共有をしておくと安心です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場で見落としがちなポイントってありますか?
よくある取り漏れ
退所先の確認漏れ: 患者さんが家庭に復帰する予定なのか、特別養護老人ホーム等の施設に入所予定なのかを確認せず算定してしまうケース。 併算定の見落とし: 同じ機会に初診料・再診料・外来診療料・退院時共同指導料・往診料・在宅患者訪問診療料のいずれかを一緒に算定してしまい、留意事項(4)の扱いと矛盾してしまうケース。 診療録記載の抜け: 留意事項(5)にある「介護老人保健施設において行った指導の要点」の記載が診療録に残っていないケース。
みらい(新人医療事務)
どれも「後から気づいて修正が大変」なパターンですね……。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。特に診療録の記載は、算定後にレセプトを見返しても気づきにくいので、施設に赴いた当日のうちに記録を残す運用にしておくのがおすすめです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか確認させてください。診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項の担当医の定義は「病院である保険医療機関の医師」となっているため、診療所については当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。診療所の場合は算定候補かどうかを含めて要確認としておくのが安全です。
みらい(新人医療事務)
同じ患者さんに2回目の共同指導をした場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項(1)に「1入所につき1回に限り算定できる」とあるので、同じ入所期間中の2回目については、少なくともこの一次資料の範囲では算定候補にならない可能性が高いと考えられます。ただし個別の状況によって扱いが変わる可能性もあるため、迷う場合は審査支払機関に確認してください。
みらい(新人医療事務)
老健の医師と直接会わず、電話だけで指導内容をすり合わせた場合はどうですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項(1)は「介護老人保健施設に赴き」「共同して」指導を行うことを条件としています。電話のみでのやり取りが「赴き」「共同して」の要件を満たすかどうかは、当サイトが収録している一次資料の範囲では明記されていません。判断に迷う場合は要確認とし、必要に応じて審査支払機関に確認することをおすすめします。
参考にした公式資料
みらい(新人医療事務)
この記事の内容って、どこの資料を見て書いているんですか?
あおい(元・医療事務)
主に2つです。1つは点数・コードの根拠となる医科診療行為マスター(令和8年度)で、社会保険診療報酬支払基金が公開している令和8年度改定情報のページ(支払基金 令和8年度改定情報)から確認できます。もう1つは算定要件の根拠となる留意事項通知(令和8年保医発0305第6号)です。この通知そのものの個別PDFリンクは改定に伴って変わることがあるため、最新版は厚生労働省の診療報酬改定ポータル(shinryohoshu.mhlw.go.jp)から確認するのが確実です。
みらい(新人医療事務)
リンクが変わることもあるんですね、知りませんでした。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。厚労省のPDFは訂正などでURLが変わることがあるので、リンク切れに気づいたときは改定ポータルから該当の通知を探し直すようにしています。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。