みらい(新人医療事務)
「医療観察看護師7対1配置加算」という名前の加算を見つけたんですが、これって普通の精神科病棟でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
結論から言うと、多くの一般の精神科病院・クリニックにとっては対象外の可能性が高い加算です。ただし断定はできないので、まず制度の枠組みから確認していきましょう。この加算は、通常の医科点数表とは別枠の「医療観察法」という制度専用の点数表に含まれています。
みらい(新人医療事務)
医療観察法…名前だけは聞いたことがあります。
あおい(元・医療事務)
正式名称は「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」です。この法律に基づいて厚生労働大臣が指定した「指定入院医療機関」だけが対象になる、限られた施設向けの点数です。全国的にも指定を受けている病院は多くありません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、うちの病院は指定を受けていないので、そもそも関係ないということですね。
あおい(元・医療事務)
その理解でおおむね合っています。ただし「絶対に関係ない」と決めつけず、まず自院が指定入院医療機関にあたるかどうかを確認するのが安全です。指定を受けていない医療機関では、この加算の土台となる「医療観察地域移行支援病棟入院料」自体を算定する場面が発生しません。
医療観察看護師7対1配置加算とはどんな加算か
みらい(新人医療事務)
そもそもどんな場面で算定する加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の算定告示(医療観察診療報酬点数表)には、こう定められています。
根拠となる告示の文言(原文)
「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長に届け出た病棟に入院している入院対象者については、医療観察看護師7対1配置加算として、1日につき300点を所定点数に加算する。」 (心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第83条第2項の規定による医療に要する費用の額の算定方法、平成17年厚生労働省告示第365号、最終改正: 令和8年3月31日厚生労働省告示第146号、注9)
あおい(元・医療事務)
つまり、指定入院医療機関の中でも「医療観察地域移行支援病棟入院料」を算定している病棟で、看護師の手厚い配置を届け出た場合に、1日につき300点が加算される仕組みです。
みらい(新人医療事務)
「地域移行支援病棟」というのは、どういう病棟なんですか?
あおい(元・医療事務)
医療観察法の入院処遇には段階があり、急性期・回復期を経て、社会復帰に向けた段階に近い患者さんが移る病棟が地域移行支援病棟です。この病棟に手厚い看護配置を敷いている場合の評価が、この加算だと理解しておくとよいでしょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関の条件をもう少し詳しく知りたいです。
あおい(元・医療事務)
施設基準の告示ではこう書かれています。
施設基準の原文(告示)
「一の五 医療観察看護師7対1配置加算の施設基準 ⑴ 医療観察地域移行支援病棟入院料を算定する病棟であること。 ⑵ 当該病棟において、一日に看護を行う看護師の数は、常時、当該病棟の入院対象者の数が七又はその端数を増すごとに一以上であること。」 (基本診療料及び医療観察精神科専門療法の施設基準等、平成17年厚生労働省告示第366号、最終改正: 令和8年3月31日厚生労働省告示第147号)
あおい(元・医療事務)
対象になりうるのは、①医療観察法上の指定入院医療機関であること、②その中でも医療観察地域移行支援病棟入院料を算定している病棟であること、③看護師の配置が入院対象者7人(またはその端数)ごとに常時1人以上であること、の3つがそろっている場合です。一般の精神科病棟や、医療観察法の指定を受けていない病院は対象外の可能性が高いです。
みらい(新人医療事務)
患者さん側の条件はどうなんですか?
あおい(元・医療事務)
患者さん側というより病棟側の基準が中心ですが、算定対象になるのは、その地域移行支援病棟に実際に入院している「入院対象者」(医療観察法上の用語で、医療観察法に基づく入院処遇となっている方)です。一般の精神科入院患者さんとは異なる、医療観察法固有の枠組みの中の患者さんが対象になります。
点数区分の整理
みらい(新人医療事務)
点数の表をまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、令和8年度時点での整理はこちらです。
| 項目 | 内容 | 年度 |
|---|---|---|
| 加算名 | 医療観察看護師7対1配置加算 | 令和8年度 |
| 点数 | 300点(1日につき) | 令和8年度 |
| 根拠となる区分 | 医療観察法病棟入院料 注9 | 令和8年度 |
| 対象となる入院料 | 医療観察地域移行支援病棟入院料を算定する病棟 | 令和8年度 |
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲での整理です。自院のレセプトコンピュータに登録されているコード・名称と必ず突き合わせて確認してください。表記が異なる場合は、院内のシステム担当者やレセコンベンダーに確認するのが確実です。

施設基準を満たしているかの確認
みらい(新人医療事務)
施設基準、もう少し具体的に整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(障精発0331第4号)には、施設基準の細目としてこう書かれています。
留意事項通知の原文
「(3) 医療観察看護師7対1配置加算に関する施設基準 ① 医療観察地域移行支援病棟入院料を算定する病棟であること。 ② 当該病棟に勤務する常勤の看護師の数は、常時、当該病棟の入院対象者の数が7又はその端数を増すごとに1以上であること。ただし、当該病棟において、1日に看護を行う常勤の看護師が本文に規定する数に相当する数以上である場合には、当該病棟における夜勤を行う常勤の看護師の数は、本文の規定にかかわらず、3以上であること。」 (障精発0331第4号、令和8年3月31日、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長)
あおい(元・医療事務)
ポイントは常勤の看護師で数えること、そして日中の配置だけでなく、夜勤帯の常勤看護師数にも別の条件(3以上)がある点です。人員配置の実数を、常勤換算ではなく実人数ベースで確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
常勤換算ではダメなんですね。
あおい(元・医療事務)
通知の文言上は「常勤の看護師の数」と書かれているため、そこは事務局や看護部と一緒に、実際の勤務表・雇用形態の記録から確認が必要です。この点は自院の人事・勤怠データと突き合わせる作業になるので、確認が必要な部分として扱ってください。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
届出はどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
同じ留意事項通知に、届出様式についての記載があります。
届出様式に関する原文
「② 医療観察看護師7対1配置加算の施設基準に係る届出は様式1-2を…用いること。」 (障精発0331第4号、令和8年3月31日)
あおい(元・医療事務)
届出は様式1-2を使い、地方厚生局長宛てに行う形です。届出をしていない状態では、施設基準を実質的に満たしていても算定候補にはなりません。届出済みであれば候補になる、という順番で理解しておくとよいでしょう。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
告示の本文は「1日につき」と定めているので、対象病棟に入院対象者が入院している日ごとに、所定点数(医療観察地域移行支援病棟入院料)へ上乗せする形の加算です。
確認が必要なポイント
医療観察看護師夜間6対1配置加算という、名称が似た別の加算が同じ告示の中に定められています(注10、110点)。これは夜間の看護配置に関する加算で、施設基準・届出様式も異なります。名称が近いため、どちらの加算について確認しているのか、条文の区分(注9か注10か)を必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
名前が似ているので、混同しないよう気をつけます。
あおい(元・医療事務)
併算定の可否や減算規定についても、告示本文には医師配置・看護師配置に関する複数の減算規定(注5・注6等)が定められています。自院の体制がどの区分にあたるかは、告示の該当条文を確認するか、地方厚生局に確認するのが確実です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前からあったんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、厚生労働省の改定資料には次のように書かれています。
改定資料の原文
「指定入院医療機関における看護師配置について、充実した体制の整備をしている場合の評価を新設する。(新)医療観察看護師7対1配置加算(1日につき)300点」 (厚生労働省障害保健福祉部精神・障害保健課 医療観察法医療体制整備推進室「令和8年度医療観察診療報酬改定について」)
あおい(元・医療事務)
「(新)」という表記のとおり、医療観察看護師7対1配置加算は令和8年度(2026年度)診療報酬改定で新設された加算です。前回改定(令和6年度)の時点では、この名称の加算は存在していませんでした。指定入院医療機関における看護師の手厚い配置を評価する新しい枠組みとして、今回の改定で追加されたものです。
みらい(新人医療事務)
新設だから、まだ届け出ていない病院も多いかもしれないですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。新設加算なので、対象になりうる指定入院医療機関でも、施設基準を満たしているか・届出の準備ができているかは個別に確認が必要です。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、次の順番で確認していくと整理しやすいです。
自院で確認する順番
- 自院が心神喪失者等医療観察法に基づく指定入院医療機関かどうかを確認する
- 対象となる病棟が医療観察地域移行支援病棟入院料を算定しているかを確認する
- その病棟に常時勤務する常勤看護師の実人数が、入院対象者7人(端数含む)ごとに1人以上かを確認する
- 夜勤帯の常勤看護師数が3以上という条件も満たしているかを確認する
- 届出様式1-2を用いて地方厚生局長に届出が済んでいるかを確認する
あおい(元・医療事務)
特に1の時点で対象外であれば、以降の項目を確認する必要はありません。指定入院医療機関以外では、この加算そのものが発生しない点数だからです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れやすいポイントはありますか?
混同に注意
名称が似ている「医療観察看護師夜間6対1配置加算」(夜間の看護配置・注10・110点)と、この「医療観察看護師7対1配置加算」(注9・300点)を取り違えるケースです。どちらも令和8年度改定で新設されており、条文の区分(注9か注10か)を必ず確認してください。
常勤換算との混同に注意
施設基準の看護師数は「常勤の看護師の数」と定められています。パート・非常勤職員を含む常勤換算数で判断してしまうと、実際の届出内容と食い違う可能性があります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
よくある質問をまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、いくつか整理しますね。
みらい(新人医療事務)
一般の精神科病棟でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象は医療観察法に基づく指定入院医療機関の、医療観察地域移行支援病棟入院料を算定している病棟に限られます。一般の精神科病棟(医療観察法の指定を受けていない病棟)は対象外の可能性が高いです。
みらい(新人医療事務)
医療観察看護師夜間6対1配置加算と同時に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
この記事で確認できた一次資料の範囲では、両加算を同時に算定できるかどうかを明確に定めた併算定規定は確認できていません。対象病棟・施設基準・届出様式がそれぞれ異なるため、同時届出の可否は地方厚生局に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)の時点でも算定できましたか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、確認できた範囲では、医療観察看護師7対1配置加算は令和8年度(2026年度)改定で新設された加算です。前回改定(令和6年度)の点数表には該当する加算はありませんでした。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や病棟の体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。医療観察法に関連する加算は、医療観察精神科緊急訪問看護加算のように同じ制度の点数表の中に複数存在するので、あわせて確認してみるとよいかもしれません。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。