みらい(新人医療事務)
部長、「医療観察看護師夜間6対1配置加算」という項目を見つけたんですけど、これって当院でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
これは医療観察法に基づいて指定された入院医療機関だけが対象になる加算です。一般の精神科病院や診療所は対象になりません。まずは自院がどんな医療機関か確認するところから始めましょう。
みらい(新人医療事務)
医療観察法というのは、どんな法律なんですか?
あおい(元・医療事務)
正式名称は「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」です。この法律に基づいて指定を受けた入院医療機関(指定入院医療機関)に入院している方(入院対象者)を対象にした診療報酬の枠組みの中に、この加算が位置づけられています。
みらい(新人医療事務)
なるほど、対象がかなり限られているんですね。具体的にどんな加算なのか教えてください。
この加算はどんな時に関係する加算か

みらい(新人医療事務)
この加算そのものは、何を評価しているんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度診療報酬改定の厚生労働省説明資料では「指定入院医療機関における夜間の看護師配置について、充実した体制の整備をしている場合の評価を新設する」と説明されています。夜間の看護師配置を手厚くしている指定入院医療機関を評価する加算候補として、令和8年度に新設されました。
みらい(新人医療事務)
「新設」ということは、令和6年度以前の点数表には無かったんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。令和8年度(2026年度)改定で新しく設けられた加算候補なので、令和6年度の点数表には登場しません。年度を混同しないよう注意してください。
みらい(新人医療事務)
どんな入院対象者に対して、どんな場面で算定するものなんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文では「夜間における看護業務の体制につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長に届け出た指定入院医療機関に入院している入院対象者について、1日(別に厚生労働大臣が定める日を除く)につき所定点数に加算する」とされています。つまり、夜間の看護配置に関する施設基準を満たして届出をした指定入院医療機関に入院している対象者について、入院日ごとに算定候補になる加算です。
点数の整理(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどのくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
医療観察看護師夜間6対1配置加算は1日につき110点です。あわせて、土台になる医療観察法病棟入院料の点数も確認しておきましょう。
| 項目 | 点数(1日につき) | 備考 |
|---|---|---|
| 医療観察一般病棟入院料 | 3,900点 | 令和8年度新設 |
| 医療観察地域移行支援病棟入院料 | 3,500点 | 令和8年度新設 |
| 医療観察看護師夜間6対1配置加算 | 110点 | 令和8年度新設・本記事の対象 |
みらい(新人医療事務)
この110点は、どちらの病棟でも算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこが今日いちばん確認したいポイントです。夜間6対1配置加算は「指定入院医療機関に入院している入院対象者」という書き方で、病棟の種類を限定していません。次のセクションで、似た名前の加算と比べながら整理しましょう。
医療観察看護師7対1配置加算との違い(重要)
似た名前の別加算に注意(id=1492との混同防止)
「医療観察看護師7対1配置加算」(日中を含む配置基準の加算・300点)と、この記事で扱う「医療観察看護師夜間6対1配置加算」(夜間の配置基準の加算・110点)は、告示上の条文(注9と注10)が別に定められた別の加算です。名称が似ているため、届出や算定の際に取り違えないよう注意してください。
みらい(新人医療事務)
具体的に何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文を見比べると違いがはっきりします。7対1配置加算(注9)は「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長に届け出た病棟に入院している入院対象者」が対象と書かれていて、施設基準にも「医療観察地域移行支援病棟入院料を算定する病棟であること」と明記されています。つまり7対1配置加算は地域移行支援病棟に限られる加算候補です。
みらい(新人医療事務)
夜間6対1配置加算のほうは、病棟の指定が無いんですか?
あおい(元・医療事務)
条文(注10)は「夜間における看護業務の体制につき…施設基準に適合しているものとして…届け出た指定入院医療機関に入院している入院対象者」という書き方で、地域移行支援病棟に限定する文言がありません。実際に、厚生局の届出書様式でも、医療観察一般病棟入院料の届出区分と医療観察地域移行支援病棟入院料の届出区分の両方に「医療観察看護師夜間6対1配置加算」の欄が設けられています。
みらい(新人医療事務)
つまり夜間6対1配置加算のほうが対象になる病棟の幅が広いかもしれない、ということですか?
あおい(元・医療事務)
資料の範囲ではそう読み取れますが、実際にどちらの病棟で算定候補になるかは、当該病棟の夜間看護配置の実態や届出内容によって変わります。断定はできませんので、自院がどちらの病棟区分で届出をしているか、地方厚生局に確認することをお勧めします。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示・通知に基づくと、大きく4つの柱があります。
| 区分 | 施設基準の内容(概要) |
|---|---|
| 夜間看護配置 | 夜勤を行う看護師の数が、当該指定入院医療機関の入院対象者数6又はその端数を増すごとに1以上 |
| 行動制限最小化 | 医師・看護師・精神保健福祉士等で構成する委員会を設置し、基本指針整備・月1回程度の検討会議・年2回程度の研修会を実施 |
| 夜間業務負担軽減 | 夜間における看護業務の負担軽減に資する十分な業務管理等の体制を整備 |
| 処遇改善体制 | 看護職員の負担軽減及び処遇改善に資する体制を整備 |
みらい(新人医療事務)
「行動制限最小化」の委員会というのは、具体的に何をするんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の通知には「行動制限についての基本的考え方や、やむを得ず行動制限する場合の手順等を盛り込んだ基本指針の整備」「入院対象者の病状、院内における行動制限患者の状況に係るレポートをもとに、月1回程度の…検討会議の開催」「精神科診療に携わる職員全てを対象とした…研修会の年2回程度の実施」の3つの活動を行うことと明記されています。夜間の人員配置だけでなく、行動制限を必要最小限にとどめる運用体制もあわせて求められている加算候補、という点は見落とせません。
見落としやすいポイント
夜間の看護師数さえ6対1を満たしていれば算定候補になる、と考えてしまいがちですが、資料上は行動制限最小化の委員会活動・夜間業務負担軽減の体制・看護職員の処遇改善体制もあわせて求められています。人員配置の数字だけでなく、委員会の運用実績まで自院で確認が必要です。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
届出はどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の通知では、医療観察看護師夜間6対1配置加算の施設基準に係る届出は、様式1-2・様式1-3・様式1-5・様式1-6を用いることとされています。7対1配置加算(様式1-2のみ)より提出する様式が多い点に注意してください。
| 加算 | 必要な届出様式(概要) |
|---|---|
| 医療観察看護師7対1配置加算 | 様式1-2 |
| 医療観察看護師夜間6対1配置加算 | 様式1-2・様式1-3・様式1-5・様式1-6 |
みらい(新人医療事務)
届出済みであれば、すぐ算定できるということですか?
あおい(元・医療事務)
届出が受理されていることは前提になりますが、それだけで算定候補として確定するとは言い切れません。届出内容と実際の夜間看護配置・委員会の運用実態が一致しているか、審査支払機関側の確認も含めて、日々の運用状況を自院で確認しておくことが大切です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定と比べて、何が変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の改定説明資料には「指定入院医療機関における夜間の看護師配置について、充実した体制の整備をしている場合の評価を新設する」と明記されており、「(新)医療観察看護師夜間6対1配置加算(1日につき)110点」として、令和8年度(2026年度)改定で新設されたことが確認できます。令和6年度(2024年度)以前の点数表には、この加算候補は存在しません。
改定前後の対比
- 令和6年度(2024年度)改定まで: 夜間看護配置に特化した加算は確認されていません
- 令和8年度(2026年度)改定: 医療観察看護師夜間6対1配置加算(110点・1日につき)が新設
みらい(新人医療事務)
新設された背景について、資料には何か書かれていますか?
あおい(元・医療事務)
「充実した体制の整備をしている場合の評価」という表現にとどまっており、それ以上の詳しい趣旨説明は確認できていません。負担軽減や処遇改善といった言葉は施設基準の項目名として登場しますが、点数設定の背景そのものについて厚生労働省が明示的に評価語を述べている箇所は、今回確認した資料の範囲では見当たりませんでした。断定的な評価は避け、資料に書かれている事実の範囲でご案内します。なお、同じ医療観察法病棟入院料のもとで新設された加算候補として、医療観察疾患別等診療計画加算もあります。あわせて自院の届出状況を確認しておくとよいでしょう。
自院で確認する順番

自院で確認する順番
-
指定入院医療機関かどうかを確認 — 医療観察法に基づく指定を受けた入院医療機関でなければ、この加算候補の対象になりません
-
夜間の看護師配置を確認 — 夜勤を行う看護師の数が、入院対象者数6又はその端数を増すごとに1以上になっているか、当該病棟の勤務実績で確認
-
行動制限最小化委員会の運用を確認 — 基本指針の整備・月1回程度の検討会議・年2回程度の研修会が、実際に実施され記録が残っているか確認
-
夜間業務負担軽減・処遇改善体制を確認 — 夜間の看護業務負担を軽減する業務管理等の体制と、看護職員の処遇改善に資する体制が整備されているか確認
-
届出様式を確認 — 様式1-2・様式1-3・様式1-5・様式1-6が地方厚生局に届出済みか確認
-
7対1配置加算との区別を確認 — 自院で届出を検討している加算が、夜間6対1配置加算(本記事)なのか、日中を含む7対1配置加算(別の加算)なのかを条文で再確認
よくある取り漏れ
取り漏れになりやすいケース
夜間の看護師数だけを施設基準の対象と考えて、行動制限最小化委員会の活動実績(月1回程度の検討会議・年2回程度の研修会)の記録が不十分なまま算定してしまうケースが想定されます。委員会の議事録や研修会の実施記録を、届出内容とあわせて日常的に整備しておくことが必要です。
名称の取り違えに注意
「医療観察看護師7対1配置加算」(地域移行支援病棟限定・300点)を届け出るつもりで、条文や様式を「医療観察看護師夜間6対1配置加算」(110点)と混同してしまうケースも想定されます。届出様式の枚数(7対1は様式1-2のみ、夜間6対1は4様式)も手がかりになります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか確認しておきたいことがあります。一般の精神科病院でも、体制さえ整えれば算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
資料上、この加算候補は医療観察法に基づく指定入院医療機関が対象で、一般の精神科病院や診療所は対象になりません。まず自院が指定入院医療機関にあたるかどうかを確認してください。
みらい(新人医療事務)
夜間6対1配置加算と7対1配置加算は、同じ病棟で同時に算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
7対1配置加算は医療観察地域移行支援病棟入院料を算定する病棟に限られる一方、夜間6対1配置加算は病棟を限定しない書き方になっています。地域移行支援病棟であれば両方の施設基準を検討する余地がありますが、それぞれ別個の施設基準・届出が必要ですので、自院の状況にあわせて個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)の時点で、似たような夜間配置の加算はありましたか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した資料の範囲では、令和6年度(2024年度)改定時点で夜間看護配置に特化した医療観察法上の加算候補は確認されていません。令和8年度(2026年度)改定で新設された加算候補という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
「別に厚生労働大臣が定める日を除く」という条文がありましたが、これはどういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
条文上、算定対象日から除外される日が別途定められていることを示す表現です。具体的にどの日が除外されるかは、今回確認した資料の範囲では詳細を特定できていません。算定対象日の扱いは、告示の関連通知や自院のレセプト担当者に確認することをお勧めします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や夜間の看護配置体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。「医療観察看護師夜間6対1配置加算」と「医療観察看護師7対1配置加算」は別の加算ですので、条文(注9・注10)を必ず確認したうえで届出を進めてください。