みらい(新人医療事務)
あおいさん、「外泊加算」っていう名前の加算を見つけたんですけど、これって普通の入院患者さんが外泊したときに算定できるものですか?うちの病院でも入院患者さんが週末に外泊することってあるので、気になります。
あおい(元・医療事務)
気になる気持ち、よくわかります。でも結論からお伝えすると、この「外泊加算」(令和8年度・1,200点)は、一般の医科点数表にある入院基本料等加算の外泊とは別物です。当サイトが収録している一次資料(医療観察診療報酬 算定告示第365号・令和8年度改定)では、「外泊加算として、1回の外泊につき6日を限度として、1日につき 1,200 点を所定点数に加算する」とされていて、これは「医療観察法」という特別な法律に基づく診療報酬の加算です。一般の精神科病院や急性期病院の入院患者さんの外泊とは、制度も対象施設もまったく異なります。
みらい(新人医療事務)
医療観察法…名前は聞いたことがありますが、詳しくは知らないです。
あおい(元・医療事務)
正式名称は「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」です。法務省の説明では、「心神喪失又は心神耗弱の状態で、殺人、放火等の重大な他害行為を行った人の社会復帰を促進することを目的とした処遇制度」とされています。この制度の対象者の入院医療は、一般の保険医療機関ではなく、厚生労働省が指定した「指定入院医療機関」だけが担っています。外泊加算も、この指定入院医療機関に入院している対象者に関わる加算です。
外泊加算とはどんな加算ですか
みらい(新人医療事務)
「外泊」に対して加算がつく、というのはなんとなくわかりました。具体的にはどんな場面で算定されるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している留意事項通知(医療観察 留意事項・令和8年障精発0331第3号)には、次のように書かれています。「『注11』の外泊加算は、社会復帰の促進のために外泊が必要と判断した入院対象者につき、指定入院医療機関の多職種チームにおいて作成した外出・外泊等計画に基づき、指定入院医療機関の敷地外に医師又は看護師による付添いその他の方法による医学的管理下で、外泊した場合に算定できるものとする」とされています。つまり、単に対象者が外泊すれば自動的に算定できるわけではなく、いくつかの条件がそろって初めて算定候補になる、という組み立てです。
みらい(新人医療事務)
条件、けっこう多いですね。整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項の記載から読み取れる主なポイントは次の3つです。1つ目は、社会復帰の促進のために外泊が必要だと判断されていること。2つ目は、指定入院医療機関の多職種チームが作成した「外出・外泊等計画」に基づいていること。3つ目は、敷地外での外泊中、医師または看護師の付添いなど、何らかの方法で医学的管理下に置かれていることです。この3つがそろって初めて、外泊加算の算定候補になると読めます。
「外出」と「外泊」の違いに注意
留意事項の中では「外出・外泊等計画」という言葉が使われており、計画そのものは外出(日帰り)と外泊(宿泊を伴う)の両方をカバーする前提になっています。ただし、この加算の算定要件本文は「外泊した場合に算定できる」という表現にとどまっており、日帰りの外出のみでこの外泊加算が算定候補になるかどうかは、当サイトが確認できている一次資料の範囲では明記されていません。外出と外泊を同じものとして扱わず、実際に宿泊を伴ったかどうかを記録で区別しておくことが大切です。

点数と算定単位を確認しておきます
みらい(新人医療事務)
点数のところ、もう一度整理させてください。
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(医療観察診療報酬 算定告示第365号・令和8年度改定)に基づく内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 | 年度 |
|---|---|---|
| 点数 | 1日につき 1,200点 | 令和8年度 |
| 算定できる日数の上限 | 1回の外泊につき6日を限度 | 令和8年度 |
| 対象 | 医療観察法の指定入院医療機関に入院する対象者 | 令和8年度 |
みらい(新人医療事務)
「1日につき1,200点」で「6日を限度」ということは、1回の外泊でまとまった点数になることもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
算定告示の記載どおりに単純計算すると、1日1,200点が最大6日分ですから、1回の外泊につき計算上の上限は1,200点×6日=7,200点になります。ただしこれはあくまで算定告示の数字を機械的に掛け合わせた参考値で、実際に何日分算定できるかは、外泊の実日数や自院の記録・運用によって変わります。目安として捉えていただき、実際の算定日数は自院の記録に基づいて確認してください。
この加算の性質について
外泊加算は、通常の医科点数表(入院基本料や入院基本料等加算など)とは別建ての「医療観察診療報酬」に属する加算です。一般の精神科病院・急性期病院が日常の保険診療で算定する外泊関連の加算とは制度が異なり、厚生労働省が指定した医療観察法の指定入院医療機関にのみ関わる可能性がある項目です。自院がこの制度の対象施設でない場合は、算定候補にはなりません。
医療観察法の入院処遇と、外泊加算が関わる場面
みらい(新人医療事務)
この外泊って、入院のどのあたりの段階で出てくるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の説明によると、医療観察法の入院処遇は「治療は急性期(3ヵ月)、回復期(9ヵ月)、社会復帰期(6ヵ月)の3ステージ」に分かれています。外泊は、対象者が地域での生活に戻っていく準備として、社会復帰の促進を目的に行われるものなので、性質としては回復期の後半から社会復帰期にかけて検討されることが多いと考えられます。ただし、当サイトが確認できている一次資料の範囲では、外泊加算そのものにステージごとの算定制限が明記されているわけではありません。あくまで一般的な処遇の流れとして参考にしてください。
みらい(新人医療事務)
「指定入院医療機関」というのは、どんな病院なんですか?
あおい(元・医療事務)
法務省の説明では、医療観察法で入院決定を受けた対象者には「厚生労働省所管の指定入院医療機関による専門的医療が提供され」るとされています。全国のすべての病院がなれるわけではなく、厚生労働大臣が個別に指定した、限られた病院だけが担っている制度です。自院がこの指定を受けているかどうかは、施設として明確に把握されているはずですので、外泊加算に関係があるかどうかを考える出発点はまずそこになります。
混同しやすいポイント
医療観察法の診療報酬には、外泊加算のほかにも「社会復帰加算」「社会復帰期移行加算」「社会復帰期転院調整加算」など、社会復帰に関連した名称の加算が複数存在します。いずれも同じ算定告示(令和8年度改定)に属しますが、算定のタイミングや要件、点数の性質(1日単位か、退院時の1回限りかなど)はそれぞれ異なります。名称だけで似ていると判断せず、加算ごとに算定要件を個別に確認することが必要です。
誰が、どんな体制で付き添う必要がありますか
みらい(新人医療事務)
「医師又は看護師による付添いその他の方法による医学的管理下」というのが、具体的にイメージしづらいです。
あおい(元・医療事務)
留意事項の文言をそのまま読むと、外泊中の医学的管理の方法として「医師又は看護師による付添い」が例示されていますが、「その他の方法」という表現もあるため、付添い以外の方法も想定されているように読めます。ただし、その「その他の方法」が具体的にどのような体制を指すのか、当サイトが確認できている一次資料の範囲では詳細な例示までは確認できていません。実際にどのような管理体制であれば要件を満たすのかは、指定入院医療機関としての運用実績や、地方厚生局・審査支払機関への確認を通じて判断する必要があります。
みらい(新人医療事務)
「多職種チームにおいて作成した外出・外泊等計画」というのも、書式が決まっているんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
そこも正直にお伝えすると、当サイトが確認できている一次資料の範囲では、計画の様式そのものは確認できていません。多職種チーム(医師・看護師・精神保健福祉士など、対象者の処遇に関わる複数の職種)で計画を作成することが求められている、という点までが読み取れる内容です。様式の有無や記載事項の詳細については、自院が該当施設であれば、公式資料や地方厚生局への確認を優先してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定のときは、この外泊加算はどうだったんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度以前の「外泊加算」に関する記録を確認できていません(2026年8月確認時点)。新設だったのか、点数や日数の上限が変更されたのかを判断するための比較材料が、今のところ手元にありません。推測で「変わっていない」「変わった」と書くことは避け、前回改定からの変更点については確認されていません、という表現にとどめさせてください。
改定差分の確認状況
医療観察法の診療報酬は、一般の医科点数表に比べて公開されている解説情報が少ない領域です。当サイトでも一次資料の収集を継続しており、令和6年度時点の記録が確認でき次第、この記事の改定差分セクションも更新します。現時点では「令和8年度時点の内容」として本記事をご案内しています。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
もし自院に関係あるかもと思ったら、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認すると進めやすいです。
自院で確認する順番
- 自院が厚生労働省の指定を受けた「指定入院医療機関」に該当するかを確認する
- 該当する場合、対象の入院患者について、社会復帰の促進を目的とした外泊が判断されているかを確認する
- 指定入院医療機関の多職種チームが作成した「外出・外泊等計画」があるか、その計画に基づいて外泊が行われているかを確認する
- 外泊中、医師または看護師の付添いなど、医学的管理下に置かれていた記録が残っているかを確認する
- 算定日数の上限(1回の外泊につき6日)を超えていないかを確認したうえで、不明点は地方厚生局や審査支払機関、公式資料で確認する
みらい(新人医療事務)
1番の時点で、一般のクリニックや急性期病院はほぼ対象外になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。医療観察法の指定を受けていない医療機関であれば、この外泊加算はそもそも算定候補になりません。逆に、指定を受けている施設の担当者にとっては、2番以降の記録・計画の整備が実務上のポイントになります。
算定日数の管理について
「1回の外泊につき6日を限度」という上限は、算定告示に明記されている条件です。外泊が長期にわたる場合、上限日数を超えた分まで誤って算定してしまうと、後から返戻・査定の対象になる可能性があります。外泊の開始日・終了日を正確に記録し、算定日数を都度確認する体制を整えておくことをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。