みらい(新人医療事務)
先輩、「輸血管理料」ってうちの病院でも算定候補になりますか? 手術で輸血をすることはあるみたいなんですが。
あおい(元・医療事務)
輸血管理料は令和8年度(2026年度)の医科点数表で区分番号K920-2にあたる管理料です。輸血療法の安全かつ適正な実施を推進する観点から、医療機関における輸血管理体制の構築と輸血の適正な実施を評価するものとされています。施設基準では輸血部門に専任の常勤医師や専従の常勤臨床検査技師の配置が求められるため、実務上は病院での届出が中心になりますが、対象医療機関を法令上「病院に限る」と明確に限定する記載は、今回確認した資料の範囲では確認できていません。
みらい(新人医療事務)
病院での届出が中心なんですね。どんな患者さんに対して算定するものなんですか?
あおい(元・医療事務)
対象になる行為が明確に決まっています。厚生労働省の留意事項通知では「輸血管理料は、赤血球濃厚液(浮遊液を含む。)、血小板濃厚液若しくは自己血の輸血、又は新鮮凍結血漿若しくはアルブミン製剤の輸注を行った場合に、月1回を限度として算定する」とされています。つまり、これらの製剤を実際に使った月に限り、月1回だけ算定候補になるということですね。
輸血管理料の点数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
輸血管理料にはⅠとⅡの2区分があって、それぞれ施設基準の充足度で分かれます。告示の原文には「1 輸血管理料Ⅰ 242点」「2 輸血管理料Ⅱ 121点」と明記されています。さらに、施設基準を満たせば加算も候補になります。
| 項目 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 輸血管理料Ⅰ | 242点 | 月1回限度 |
| 輸血管理料Ⅱ | 121点 | 月1回限度 |
| 輸血適正使用加算(Ⅰ算定医療機関) | 120点 | 輸血管理料Ⅰに加算 |
| 輸血適正使用加算(Ⅱ算定医療機関) | 60点 | 輸血管理料Ⅱに加算 |
| 貯血式自己血輸血管理体制加算 | 50点 | 輸血管理料に加算 |
みらい(新人医療事務)
ⅠとⅡ、加算まであると混乱しそうです……。施設基準はどれくらい違うんですか?
あおい(元・医療事務)
そこが一番大事なポイントです。次で詳しく確認しましょう。
輸血管理料Ⅰ・Ⅱの施設基準
あおい(元・医療事務)
施設基準は厚生労働省の「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発0305第8号)の「第80 輸血管理料」に定められています。輸血管理料Ⅰの施設基準は次のとおりです。
輸血管理料Ⅰに関する施設基準
- 輸血部門の責任者: 輸血業務全般に関する責任者として専任の常勤医師が配置されていること
- 臨床検査技師の配置: 臨床検査技師が常時配置されており、専従の常勤臨床検査技師が1名以上配置されていること
- 一元管理: 輸血用血液製剤及びアルブミン製剤(加熱人血漿たん白を含む)の一元管理がなされていること
- 検査体制: ABO血液型、Rh(D)血液型、血液交叉試験又は間接Coombs検査、不規則抗体検査が常時実施できる体制が構築されていること
- 輸血療法委員会: 設置され、年6回以上開催されるとともに、血液製剤の使用実態の報告がなされる等、適正化の取組がなされていること
- 副作用監視体制: 輸血前後の感染症検査の実施又は輸血前の検体の保存が行われ、副作用監視体制が構築されていること
- ガイドライン遵守: 上記の運用及び血液製剤の使用にあたり、日本輸血・細胞治療学会の「輸血療法実践ガイド」を遵守し適正に実施されていること
みらい(新人医療事務)
かなり細かいですね……。Ⅱの方は少し緩やかになるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。輸血管理料Ⅱの施設基準は次のとおりで、Ⅰより人員配置の書きぶりが緩やかですが、検査体制・輸血療法委員会・ガイドライン遵守はⅠと同じ水準が求められます。
輸血管理料Ⅱに関する施設基準
- 輸血業務全般に責任を有する常勤医師を配置していること
- 専任の常勤臨床検査技師が1名以上配置されていること
- 輸血用血液製剤の一元管理がなされていること
- 輸血管理料Ⅰの施設基準のうち、検査体制・輸血療法委員会・副作用監視体制・ガイドライン遵守(上記4項目)のすべてを満たしていること
みらい(新人医療事務)
なるほど、ⅠとⅡの違いは主に人員配置の要件の厳しさなんですね。加算の方の施設基準も別にあるんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。輸血適正使用加算には数値基準があります。輸血管理料Ⅰを算定する医療機関では、新鮮凍結血漿(FFP)の使用量を赤血球濃厚液(MAP)の使用量で除した値が0.54未満、かつアルブミン製剤の使用量をMAP使用量で除した値が2未満であることが必要です。輸血管理料Ⅱを算定する医療機関では、FFP/MAP比が0.27未満、かつアルブミン/MAP比が2未満であることが必要とされています。貯血式自己血輸血管理体制加算は、関係学会の指針に基づき貯血式自己血輸血が十分な体制のもとで管理・保存されていること、指針の要件を満たした登録済みの常勤医師・看護師がそれぞれ1名以上配置されていることが施設基準です。
施設基準の充足はAIでは判定できません
輸血療法委員会の開催実績、血液製剤の使用比率(FFP/MAP比、アルブミン/MAP比)、専従・専任の人員配置の実態は、いずれも自院の運用記録を確認しないと判断できません。この記事の情報だけで「うちは基準を満たしている」と断定せず、必ず自院の輸血部門・医事課で実績を確認してください。
届出は必要? 様式は?
みらい(新人医療事務)
この加算、届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、届出が必要な区分です。輸血管理料Ⅰ、Ⅱ、輸血適正使用加算及び貯血式自己血輸血管理体制加算の施設基準に係る届出は、地方厚生(支)局に対して所定の届出様式(様式73)を用いて行うこととされています。届出済みであれば算定候補になりますが、未届出の場合はまず届出の要否から確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
届出さえ出せば、すぐ算定できるようになるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に。届出は「施設基準を満たしていること」を届け出る手続きなので、実態が基準を満たしていない状態で届け出ることはできません。輸血療法委員会の開催実績や人員配置など、届出前に社内の体制を整理しておくことが前提になります。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず回数制限です。輸血管理料は月1回を限度として算定するとされています。同じ月に輸血管理料IとIIを両方算定することはできず、届け出ている区分に従って算定します。
算定タイミングと対象製剤の注意
- 算定できるのは、赤血球濃厚液(浮遊液を含む)・血小板濃厚液・自己血の輸血、又は新鮮凍結血漿・アルブミン製剤の輸注を行った月に限られ、月1回が限度です。
- 疑義解釈(平成18年度)では「アルブミン製剤は輸血用血液製剤には含まれない」とされています。施設基準(3)の「一元管理」の対象にアルブミン製剤も含まれる点と、点数区分上の「輸血用血液製剤」の定義は分けて確認が必要です。
- 人血清アルブミン(遺伝子組換え)注射剤を用いた場合であっても、輸血管理料は算定候補になるとされています(疑義解釈・平成20年度)。
- 「一元管理」について、原則は輸血部門での保管ですが、疑義解釈(平成18年度)では、当分の間、薬剤部門で保管されている場合でも、アルブミン製剤の請求・払出し等の管理が輸血部門で行われていれば差し支えないとされています。
みらい(新人医療事務)
併算定については何か注意点がありますか?
あおい(元・医療事務)
無菌的分割製剤作成加算という別の加算がありますが、これは輸血管理料Ⅰ又はⅡを届け出ていることが施設基準になっていて、輸血管理料とは別に地方厚生(支)局への届出は不要とされています。ただし、これも含めて個別の併算定可否は資料上確認できない組み合わせもあるため、実際の レセプト作成では審査支払機関への確認をおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは中立にお伝えしますね。今回確認した一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知・施設基準通知「第80 輸血管理料」)の範囲では、輸血管理料Ⅰ・Ⅱの点数(242点・121点)、輸血適正使用加算(120点・60点)、貯血式自己血輸血管理体制加算(50点)、および施設基準の記載内容に、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(2026年7月確認・厚労省一次情報ベース)。
改定差分の確認範囲
今回の確認は令和8年度の告示・留意事項通知・施設基準通知(第80 輸血管理料)を対象にしています。令和6年度の同等資料との突き合わせは行えていないため、「変更なし」は今回参照した一次資料の記載内容の範囲での確認であることにご留意ください。届出内容に変更が必要な場合は、地方厚生局の最新の届出一覧・様式もあわせてご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
情報が多いので、順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
では自院で確認する順番をまとめますね。
自院で確認する順番
- 自院の輸血部門の有無を確認する(対象医療機関を法令上明確に限定する記載は今回確認した資料の範囲では確認できていませんが、施設基準の人員配置要件から実務上は病院での届出が中心です)
- 輸血部門の人員配置を確認する(専任・専従の常勤医師と常勤臨床検査技師の配置状況)
- 輸血療法委員会の設置・開催実績を確認する(年6回以上開催・使用実態報告の有無)
- 検査体制を確認する(ABO・Rh(D)・交叉試験又は間接Coombs検査・不規則抗体検査が常時実施できるか)
- 副作用監視体制を確認する(輸血前後の感染症検査又は輸血前検体保存の運用)
- 加算の数値基準を確認する(輸血適正使用加算のFFP/MAP比・アルブミン/MAP比、貯血式自己血輸血の体制)
- 届出様式73を準備し、地方厚生(支)局へ届出する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型的なパターンがあります。
よくある取り漏れ
- 輸血療法委員会の開催実績不足: 委員会は設置しているものの、年6回以上の開催実績や使用実態報告の記録が整理されておらず、届出更新時に指摘を受けるケースがあります。
- 人員配置の異動対応漏れ: 専任・専従の医師や臨床検査技師が異動・退職した際に、届出内容の変更手続きが遅れるケースがあります。変更届に用いる様式は地方厚生(支)局の届出様式一覧で確認してください。
- アルブミン製剤の位置づけの誤解: アルブミン製剤は「輸血用血液製剤」には含まれない一方で、輸血管理料の算定対象(輸注)や一元管理の対象には含まれるという整理が混同されやすい点です。
- 加算の数値基準の未確認: 輸血適正使用加算はFFP/MAP比・アルブミン/MAP比という数値基準があるため、輸血管理料自体は届出済みでも、加算の基準を満たしているかは別途確認が必要です。

よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな質問をまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、いくつかまとめますね。
みらい(新人医療事務)
輸血管理料ⅠとⅡ、どちらを届け出るか迷ったらどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
まずは輸血部門の人員配置(専任常勤医師・専従常勤臨床検査技師の配置状況)を確認してください。Ⅰの方が人員配置の要件が厳しい分、点数と輸血適正使用加算の点数も高く設定されています。自院の体制がⅠの基準を満たすかどうかは、輸血部門の実際の勤務状況を確認しないと判断できないため、要確認事項です。
みらい(新人医療事務)
診療所でも輸血管理料は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象医療機関を法令上「病院に限る」と明確に限定する記載は、今回確認した資料の範囲では確認できていません。ただし施設基準では輸血部門に専任の常勤医師・専従の常勤臨床検査技師の配置などが求められるため、実務上は病院での届出が中心です。診療所での取り扱いは、自院の体制と合わせて個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
アルブミン製剤だけを使った月でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、新鮮凍結血漿もしくはアルブミン製剤の輸注を行った場合も対象と明記されているので、赤血球濃厚液等の輸血がなくても、アルブミン製剤の輸注のみで算定候補になり得ます。ただし遺伝子組換え製剤を含め、実際の算定可否は個別のレセプト内容次第のため、最終的には自院で確認してください。
みらい(新人医療事務)
輸血療法委員会は年に何回開催すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準では「年6回以上開催」とされています。開催だけでなく、血液製剤の使用実態の報告など、適正化の取組が行われている記録も求められる点に注意してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。