みらい(新人医療事務)
「副鼻腔手術用骨軟部組織切除機器加算」って名前が長くて、正直どんな場面で出てくる加算なのか全然イメージがわかないんです……。
あおい(元・医療事務)
耳鼻咽喉科の手術に関わる加算ですね。副鼻腔(鼻の奥にある空洞)の手術で、骨や軟部組織を切除するための専用の電動器具を使ったときに、手術の点数に上乗せできる「手術医療機器等加算」の一種です。今日は令和8年度(2026年度)の内容で、算定候補になるかを確認する手順を一緒に見ていきましょう。
みらい(新人医療事務)
「加算」ってことは、手術の点数とは別にプラスされるお金なんですよね?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。この加算だけを単独で算定することはできません。決められた副鼻腔の手術を行う際に、対象となる機器を使った場合に限って、その手術の点数に上乗せされる仕組みです。
この加算は何のためのもの?
みらい(新人医療事務)
そもそも、なぜこの加算があるんですか?
あおい(元・医療事務)
副鼻腔の手術では、鼻の骨や軟部組織を切除する場面があります。従来の器具に加えて、電動式のシェーバーシステムのような専用機器を使うことで、より精密で低侵襲な手術がしやすくなります。そうした機器の使用にかかるコストを評価するために設けられている加算、という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
「シェーバーシステム」というのが具体的な機器名なんですか?
あおい(元・医療事務)
過去に出された疑義解釈では、「副鼻腔の軟部組織又は骨関連組織の切除に用いる電動式の器具(シェーバシステム等)を使用した場合に算定できる」と説明されています。あくまで例示なので、実際に使用する機器がこの定義に当てはまるかどうかは、院内で確認しておく必要がありますね。
機器の該当性は個別確認が必要
使用する機器が「副鼻腔手術用骨軟部組織切除機器」に該当するかどうかは、機種ごとに判断が分かれる可能性があります。メーカーの添付文書や地方厚生局への確認も含めて、自院で個別に確認してください。
どんな手術で使う機器なの?(対象手術)
みらい(新人医療事務)
この加算は、どんな手術のときに算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示では対象となる手術の範囲が区分番号で明確に示されています。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)には「区分番号K340-3からK340-7まで及びK350からK365までに掲げる手術に当たって、副鼻腔手術用骨軟部組織切除機器を使用した場合に算定する」と書かれています。
みらい(新人医療事務)
区分番号だけだとちょっとイメージしづらいです……。具体的にはどんな手術が入るんですか?
あおい(元・医療事務)
例えば、K340-3「内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅰ型(副鼻腔自然口開窓術)」やK340-7「内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅴ型(拡大副鼻腔手術)」といった内視鏡下の鼻・副鼻腔手術のシリーズ、それからK350「前頭洞充填術」やK365「経上顎洞的翼突管神経切除術」など、副鼻腔まわりの一連の手術が対象範囲に含まれています。これらの区分番号の手術を行う際に、対象機器を使っていれば加算の候補になります。
みらい(新人医療事務)
逆に言うと、対象の区分番号に入っていない手術で機器を使っても、この加算は算定できないってことですね?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。区分番号がK340-3からK340-7まで、およびK350からK365までの範囲に入っているかどうかを、まず確認する必要があります。範囲外の手術で同じ機器を使っても、この加算の対象にはなりません。
点数はいくら?(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では1,000点と定められています。手術の対象コードごとの整理は、下の表を見てください。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 加算名 | 副鼻腔手術用骨軟部組織切除機器加算(区分番号 K934-2) |
| 点数 | 1,000点 |
| 算定単位 | 対象手術1回につき(両側使用でも一連で1回) |
| 対象手術の範囲 | 区分番号K340-3〜K340-7、K350〜K365 |
| 対象手術の例 | 内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅰ型(K340-3)、内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅴ型(K340-7)、前頭洞充填術(K350)、経上顎洞的翼突管神経切除術(K365)など |
| 対象医療機関 | 診療所・病院いずれも該当(当サイト収載の対象種別の整理範囲) |

みらい(新人医療事務)
この点数は、令和8年度から新しく決まった点数なんですか?
あおい(元・医療事務)
この点数がいつから1,000点になったかまでは、当サイトが収録している令和8年度の告示・留意事項の範囲だけでは確認できません。ただ、後で改定差分のところでもお話ししますが、この加算のコード番号自体は少なくとも平成24年度の疑義解釈資料にも登場していますので、比較的長く運用されてきた加算だと考えられます。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するのに、届出とか施設基準とかは必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは正直にお伝えすると、当サイトが収録している告示・留意事項通知の記載範囲では、この加算に固有の施設基準や届出について定めた条文は見当たりません。対象の手術を行う保険医療機関で、対象の機器を使用すれば算定の候補になる、という組み立てになっているようです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ「届出は不要」と考えていいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定を避けたいところです。「届出なしで問題ない」と言い切ってしまうのはリスクがあります。制度が変わる可能性もありますし、今回確認した資料の範囲に限りがあるかもしれません。実際に算定する前には、地方厚生局への確認や、審査支払機関への相談を通じて、届出の要否を必ず自院で確認してください。
確認しておきたいポイント
- 対象手術(K340-3〜K340-7、K350〜K365)に該当する手術かどうか
- 使用した機器が「副鼻腔手術用骨軟部組織切除機器」に当てはまるかどうか
- 施設基準・届出の要否は自院で個別に確認する
併算定・回数のルール
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できたりするんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算については、留意事項通知に「(1)『K934』副鼻腔手術用内視鏡加算と併せて算定できる。(2)両側に使用した場合であっても一連として所定点数は1回に限り算定する」と記載されています。つまり、K934副鼻腔手術用内視鏡加算(こちらも1,000点の加算です)とは併せて算定できる、と明記されているわけです。
みらい(新人医療事務)
「両側に使用しても1回限り」というのは、どういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
副鼻腔の手術は左右両方に対して行うことがあります。仮に左右両方でこの機器を使ったとしても、この加算は手術1回(一連の手術)につき1回しか算定できない、という意味です。「片側ずつ2回分算定できるのでは」と誤解しやすいポイントなので、注意してください。
算定回数の誤解に注意
両側の手術で機器を使用しても、所定点数(1,000点)は一連として1回のみの算定です。「両側×1,000点」のように二重に算定しないよう、レセプト作成時に確認してください。
みらい(新人医療事務)
K934との組み合わせのイメージが、まだちょっとつかめていません……。
あおい(元・医療事務)
K934副鼻腔手術用内視鏡加算は「内視鏡を使ったかどうか」に着目した加算、今回のK934-2副鼻腔手術用骨軟部組織切除機器加算は「骨軟部組織切除機器を使ったかどうか」に着目した加算です。対象手術の範囲は完全に同じではありませんが、同じ手術で両方の機器を使用していれば、両方とも算定候補になり得ます。それぞれの対象手術の範囲に該当しているかを個別に確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算に変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの主な変更点は、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省の令和8年度告示・留意事項通知ベース)。点数・対象手術の範囲について、新設や改廃を示す記載は見当たりませんでした。
この加算の位置づけ(時系列の整理)
- 平成24年度: 同じ区分番号(K934-2)を対象とした疑義解釈が発出されており、この頃から運用されている加算とみられます
- 令和6年度: 当サイトの収録範囲では、この加算に特化した資料は確認できていません
- 令和8年度: 告示・留意事項通知の記載内容を確認し、本記事の内容としています
みらい(新人医療事務)
「確認できていません」というのは、変更が無かったと言い切れるわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。当サイトが参照できる資料の範囲での確認結果、というのが正確な言い方です。改定内容を厳密に把握したい場合は、厚生労働省が公表している個別改定項目の資料などもあわせて確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの医院で算定候補になるかどうか、どう確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- 実施した手術の区分番号が、K340-3〜K340-7またはK350〜K365の範囲に含まれているか確認する
- その手術で、副鼻腔手術用骨軟部組織切除機器(電動式のシェーバーシステム等)を実際に使用したか確認する
- 両側に使用した場合でも、算定は一連として1回であることを確認する
- K934副鼻腔手術用内視鏡加算など、他の加算もあわせて使用しているかを確認する
- 施設基準・届出の要否について、地方厚生局または審査支払機関に確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか整理してみますね。
よくある取り漏れ・誤解
- 対象の区分番号(K340-3〜K340-7、K350〜K365)に入っていない手術で機器を使い、加算の対象外と勘違いされる、または逆に対象と誤認する
- 両側に機器を使用した際、誤って2回分として算定してしまう
- K934副鼻腔手術用内視鏡加算との併算定を忘れてしまう
- 使用した機器が加算の対象に本当に該当するか、院内で確認しないまま算定してしまう
みらい(新人医療事務)
レセプトを出す前に、この記事のチェックポイントを見返そうと思います。
あおい(元・医療事務)
それがいいと思います。特に対象手術の区分番号と、機器の該当性の2点は、必ず個別に確認してくださいね。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか気になる点を聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。どうぞ。
みらい(新人医療事務)
病院でもこの加算は算定候補になりますか?診療所限定だったりしませんか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している資料の範囲では、対象医療機関を診療所に限定する記載は見当たりません。ただし、そもそも対象となる副鼻腔の手術(K340-3〜K340-7、K350〜K365)自体が、実施できる医療機関が限られる可能性もあります。自院で該当の手術を行っているかどうかから確認してください。
みらい(新人医療事務)
外来手術と入院手術のどちらでも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
告示・留意事項の記載では、外来・入院いずれかに限定する記載は確認できていません。対象手術を実施し、対象機器を使用していれば、外来・入院のどちらでも算定候補になり得ますが、最終的には個々の手術の実施要件とあわせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
機器の型番やメーカーが指定されているんですか?
あおい(元・医療事務)
特定のメーカーや型番が告示上で指定されているわけではありません。過去の疑義解釈では「副鼻腔の軟部組織又は骨関連組織の切除に用いる電動式の器具(シェーバシステム等)」という機能面での説明にとどまっています。使用している機器がこの説明に当てはまるかどうかは、院内で確認してください。同じように「手術に使用する機器」に着目した加算としては、バルーン内視鏡加算 もあります。あわせて参考にしてみてください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。詳細な対象手術・算定要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 令和8年度診療報酬改定について(診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 令和8年3月5日 保医発0305第6号 を含む厚生労働省の特設ページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 疑義解釈資料の送付について(その8)医科 問43(副鼻腔手術用骨軟部組織切除機器加算の対象機器に関する説明・平成24年度) https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken15/dl/zimu2-8.pdf
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象手術の区分番号や使用機器、届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。対象手術の区分番号・使用機器の該当性・施設基準の要否は、必ず自院で個別に確認してください。