みらい(新人医療事務)
先輩、手術関係の資料に「超音波凝固切開装置等加算」というのを見つけたんですけど、これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
超音波凝固切開装置等加算ですね。区分番号はK931で、胸腔鏡下若しくは腹腔鏡下による手術、悪性腫瘍等に係る手術、またはバセドウ甲状腺全摘(亜全摘)術(両葉)にあたって、超音波で組織を凝固しながら切開する機器を使用した場合に算定候補になる、手術医療機器等加算のひとつです。令和8年度の点数は3,000点ですよ。
みらい(新人医療事務)
手術そのものの点数とは別に、上乗せで算定するイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。この加算は対象となる手術の所定点数に上乗せする形で算定するもので、単独では算定しません。必ず対象手術とセットで確認する加算だと考えてください。
対象になる医療機関・手術の場面
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関やどんな場面が対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトの整理では、入院で行う手術を対象に区分しています。診療所での外来手術というより、病院で入院のうえ行う胸腔鏡下・腹腔鏡下手術や悪性腫瘍等に係る手術、バセドウ甲状腺全摘(亜全摘)術(両葉)が主な場面になります。
みらい(新人医療事務)
「悪性腫瘍等に係る手術」って、具体的にどんな手術のことなんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知には、対象となる手術の区分番号(Kコード)が具体的に列挙されています。例えばK031、K053、K374、K395、K425、K465、K502、K531、K643、K740、K773、K801の1、K843、K889など、非常に多くの手術コードが対象になっています。数が多いので、自院で該当するかどうかは、実施した手術の術式名だけで判断せず、通知本文に列挙された区分番号そのものと照合するのが確実です。
胸腔鏡下・腹腔鏡下手術はリストに無くても対象になり得る
過去の疑義解釈(平成28年度公表・医科 問167)では、胸腔鏡下食道悪性腫瘍手術(K529-2)が「悪性腫瘍等に係る手術」の列挙リストに含まれていなくても、胸腔鏡下による手術に該当するため超音波凝固切開装置等加算を算定できるとされています。「悪性腫瘍等に係る手術」のリストだけを見て対象外と判断せず、まず「胸腔鏡下若しくは腹腔鏡下による手術」に当たるかどうかも確認してください。

点数と対象手術(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を表で整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
いいですよ。令和8年度の点数はこちらです。
| 区分番号 | 加算名 | 点数(令和8年度) | 算定の考え方 |
|---|---|---|---|
| K931 | 超音波凝固切開装置等加算 | 3,000点 | 対象手術の所定点数に加算 |
みらい(新人医療事務)
対象手術を種類ごとに分けると、どうなりますか?
あおい(元・医療事務)
3つの枠組みに分けて考えると整理しやすいですよ。
| 対象手術の枠組み | 該当の考え方 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 胸腔鏡下若しくは腹腔鏡下による手術 | 手術の方法(アプローチ)による区分。個別の術式リストは限定されていない | 実施した手術が胸腔鏡下・腹腔鏡下かどうか |
| 悪性腫瘍等に係る手術 | 留意事項通知に列挙された特定の区分番号(Kコード)に該当する手術 | 通知に列挙された区分番号と実施術式の区分番号が一致するか |
| バセドウ甲状腺全摘(亜全摘)術(両葉) | 術式そのものが個別に指定されている | 「両葉」「全摘(亜全摘)」の術式かどうか(片葉切除等は対象外の可能性) |
みらい(新人医療事務)
「超音波凝固切開装置等」という表現ですけど、具体的にどんな機器が含まれるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「ベッセルシーリングシステムについては、本区分により加算する」と明記されています。つまり、いわゆる超音波凝固切開装置だけでなく、血管をシーリングするタイプの機器(ベッセルシーリングシステム)を使った場合も、この区分で算定候補になるということです。
みらい(新人医療事務)
バセドウ甲状腺全摘(亜全摘)術(両葉)だけ、ちょっと毛色が違いますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。胸腔鏡下・腹腔鏡下の手術と悪性腫瘍等に係る手術は「手術の方法・対象疾患」で括られていますが、バセドウ甲状腺全摘(亜全摘)術(両葉)は術式そのものが個別に指定されています。片葉切除など条件に当てはまらない術式では算定候補にならない可能性があるので、術式名を正確に確認してください。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収集している告示・留意事項通知の範囲では、K931 超音波凝固切開装置等加算について個別の施設基準や届出を定めた記載は見当たりませんでした。多くの手術医療機器等加算と同じように、独立した届出を伴わず、対象手術の点数に付随して算定する加算である可能性がありますが、断定はできません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出なしで算定していいということですか?
あおい(元・医療事務)
そこまでは言い切れません。「届出が不要と確認できた」のではなく、「個別の届出規定を一次資料の中で見つけられなかった」というのが正確なところです。最終的な施設基準・届出の要否は、地方厚生(支)局や審査支払機関に確認することをおすすめします。
施設基準・届出は自院で必ず確認
届出の要否についてAIが個別に判定することはできません。自院の届出状況・体制は、地方厚生(支)局への確認、または審査支払機関への照会で確認してください。
算定のタイミング・回数・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定のタイミングや回数の制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
告示・留意事項通知の中に、「1手術につき1回」のような明確な回数制限の記載は確認できていません。手術に付随する加算という性質上、対象手術1件について算定する形になるのが一般的な考え方ですが、複数回算定できるかどうかは、レセプト担当者や地方厚生局に確認したほうが安心です。
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できるかどうかも気になります。
あおい(元・医療事務)
そこも一次資料の中に明確な可否の記載を見つけられていません。特に、他の手術医療機器等加算(創外固定器加算や止血用加熱凝固切開装置加算など)との併算定可否は、同じ手術で複数の機器を使った場合に論点になりやすいところです。個別のケースは審査支払機関への確認が必要です。
回数制限・併算定は未確認事項として扱う
回数制限や他加算との併算定可否について、当サイトが収集している一次資料の範囲では明確な記載を確認できていません。断定せず、レセプト作成前に地方厚生(支)局・審査支払機関へ確認してください。
みらい(新人医療事務)
クローン病や潰瘍性大腸炎の手術で、何か特別な条件があるとも聞きました。
あおい(元・医療事務)
よく気づきましたね。留意事項通知には、K716小腸切除術の「2」、K719結腸切除術の「2」、K719-5全結腸・直腸切除嚢肛門吻合術については、クローン病又は潰瘍性大腸炎の再手術に対して超音波凝固切開装置等を用いた場合に限り算定する、と明記されています。同じ術式でも、初回手術か再手術か、原疾患が何かによって算定候補かどうかが変わるということです。

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号、留意事項通知)の範囲では、超音波凝固切開装置等加算について、前回改定(令和6年度)からの点数・算定要件の変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。今回の令和8年度改定でも、3,000点という点数と、胸腔鏡下・腹腔鏡下手術、悪性腫瘍等に係る手術、バセドウ甲状腺全摘(亜全摘)術(両葉)という対象の枠組みは維持されています。
みらい(新人医療事務)
変更がないなら、確認しなくても大丈夫ってことですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、変更がないことと、自院で算定候補になるかどうかは別の話です。対象手術のコードや、クローン病・潰瘍性大腸炎の再手術限定といった細かい条件は、毎回確認する価値があります。年度が変わるたびに、思い込みで判断せず一次資料に当たる習慣をつけてください。
改定年度は必ず確認
この記事は令和8年度の告示・留意事項通知にもとづいています。令和6年度以前の資料やマスターを参照している場合は、点数・対象手術が古い可能性があるため、必ず最新(令和8年度)の資料で確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で確認するときは、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するとわかりやすいですよ。
自院で確認する順番
- 実施した手術が「胸腔鏡下若しくは腹腔鏡下による手術」「悪性腫瘍等に係る手術(告示の列挙コードに該当するか)」「バセドウ甲状腺全摘(亜全摘)術(両葉)」のいずれかに当たるか確認する
- その手術で、超音波凝固切開装置(ベッセルシーリングシステムを含む)を実際に使用したか、診療録・手術記録で確認する
- K716・K719・K719-5に該当する場合は、クローン病又は潰瘍性大腸炎の再手術かどうかを確認する
- 施設基準・届出・併算定・回数制限について、地方厚生(支)局や審査支払機関に確認する
- 上記が整理できたら、レセプト担当者と一緒に算定候補として扱う
見落としやすいポイント
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントがあれば教えてください。
あおい(元・医療事務)
いくつかありますよ。
対象手術リストの照合漏れ
「悪性腫瘍等に係る手術」は非常に多くの手術コードが列挙されています。手術記録の術式名だけで判断せず、実際に使われた区分番号(Kコード)で照合することが大切です。
他の手術医療機器等加算との重複確認
同じ手術で複数の機器加算(水圧式デブリードマン加算など)が話題になる病院では、どの加算をどの手術に紐づけるか、記録の段階で混同しやすいところです。手術記録に使用機器を具体的に記載しておくと、後からの確認がスムーズになります。関連する手術加算としては水圧式デブリードマン加算もあわせて確認してみてください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある質問をまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、いくつか整理しますね。
みらい(新人医療事務)
超音波凝固切開装置等加算は、届出をしていないと算定候補になりませんか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の中に個別の届出規定は見当たりませんでしたが、「届出不要と確定した」わけではありません。届出の要否は地方厚生(支)局に確認してください。
みらい(新人医療事務)
外来手術でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトの整理では、入院・病院の場面を対象に区分しています。外来での取り扱いについては、個別に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
ベッセルシーリングシステムを使った場合も対象ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、留意事項通知に「ベッセルシーリングシステムについては、本区分により加算する」と明記されているので、算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から点数は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認している範囲では、前回改定(令和6年度)からの変更点は確認されていません。ただし対象手術のコードは細かく列挙されているので、そこは毎回確認する価値があります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。
参考にした公式資料
あおい(元・医療事務)
最後に、この記事の根拠にした公式資料を載せておきますね。