創外固定器加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、レセプトで「創外固定器加算」って見かけたんですけど、これってどういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表にある「K932 創外固定器加算」ですね。骨折の手術などで「創外固定器」という体外から骨を固定する器具を使ったときに、手術の点数に上乗せする加算です。10,000点が加算されます。
みらい(新人医療事務)
単独で算定できる加算じゃないんですね?
あおい(元・医療事務)
はい。単独では算定できません。対象として決められた手術を行う際に、その手術に当たって創外固定器を使用した場合にだけ算定する仕組みです。告示には「区分番号K046、K056-2、K058、K073、K076、K078、K124-2、K125、K180の3、K443、K444及びK444-2に掲げる手術に当たって、創外固定器を使用した場合に算定する」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
つまり「対象の手術」がまず決まっているということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。次に、どの手術が対象になっているのか具体的に見ていきましょう。
対象となる手術・対象医療機関
みらい(新人医療事務)
対象手術、けっこう多いですね。全部でいくつあるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点で12種類の区分番号が対象です。整形外科の骨折手術から、口腔外科・脳外科系の骨延長術まで、複数の診療科の手術がリストに含まれています。
| 区分番号 | 手術名 |
|---|---|
| K046 | 骨折観血的手術 |
| K056-2 | 難治性感染性偽関節手術(創外固定器によるもの) |
| K058 | 骨長調整手術 |
| K073 | 関節内骨折観血的手術 |
| K076 | 関節観血的授動術 |
| K078 | 関節観血的固定術 |
| K124-2 | 寛骨臼骨折観血的手術 |
| K125 | 骨盤骨折観血的手術(腸骨翼骨折を除く) |
| K180の3 | 頭蓋骨形成手術(骨移動を伴うもの) |
| K443 | 上顎骨形成術 |
| K444 | 下顎骨形成術 |
| K444-2 | 下顎骨延長術 |

みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか? それとも病院だけですか?
あおい(元・医療事務)
対象の12手術はいずれも骨折観血的手術や骨形成術など、規模の大きい手術です。多くは入院を伴う手術として行われますが、実施医療機関の区分(診療所・病院・入院の別)は個々の手術の実施環境によって変わります。自院でこの加算が算定候補になるかは、まず対象の手術そのものを実施しているかどうかの確認が出発点です。
点数・算定要件(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数ってどのくらいなんでしたっけ、もう一度確認させてください。
あおい(元・医療事務)
10,000点です。手術の所定点数に加えて算定する「手術医療機器等加算」という位置づけの加算になります。回数については、告示・留意事項の記載を確認した範囲では「月に◯回まで」といった上限の定めは見当たらず、対象手術を実施し、その手術に当たって創外固定器を使用した場合に算定する形です。
みらい(新人医療事務)
「手術に当たって」というのがポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。定期的に算定する加算ではなく、あくまで該当する手術1件ごとに、創外固定器を使用したかどうかで判断します。次は、対象手術ごとにどんな条件が付いているかを見ていきましょう。
対象手術ごとの限定要件(病態の確認が必要です)
みらい(新人医療事務)
対象手術に入っていれば、いつでも創外固定器を使えば加算できるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要です。留意事項通知では、手術ごとに「どんな病態のときに創外固定器を用いた場合か」という条件が示されています。
対象手術ごとの限定要件(令和8年度・留意事項通知より)
K046骨折観血的手術・K073関節内骨折観血的手術: 開放骨折、関節内骨折又は粉砕骨折に対して創外固定器を用いた場合 K058骨長調整手術: 軟骨無形成症及び軟骨低形成症等の骨異形成症、四肢形成不全又は四肢変形の患者に対して脚延長術を行う際に創外固定器を用いた場合 K076関節観血的授動術: 外傷又は変性疾患等により拘縮となった関節に対して創外固定器を用いた場合 K125骨盤骨折観血的手術(腸骨翼骨折を除く): 骨盤骨折(腸骨翼骨折を除く)について創外固定器を用いた場合 K180の3頭蓋骨形成手術(骨移動を伴うもの): 頭蓋縫合早期癒合症等の頭蓋骨変形の患者に対して骨延長術を行う際に創外固定器を用いた場合 K443上顎骨形成術: 外傷後の上顎骨後位癒着、上顎骨発育不全症又は症候群性頭蓋縫合早期癒合症等の先天異常に対しLe Fort I、II又はIII型骨切離による移動を創外固定器により行う場合 K444下顎骨形成術・K444-2下顎骨延長術: 先天性の第1第2鰓弓症候群、トリーチャー・コリンズ症候群等にみられる小顎症の患者に対して骨形成術又は骨延長術を行う際に創外固定器を用いた場合
みらい(新人医療事務)
K056-2・K078・K124-2については書いてないんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した留意事項通知の範囲では、この3手術について個別の病態限定の記載は見当たりませんでした。ただしK056-2「難治性感染性偽関節手術」については、別の疑義解釈で「難治性感染性偽関節に対して行ったものにつき算定する」と示されています(平成24年度の疑義解釈資料)。手術名のとおり、難治性・感染性という2つの要素がそろっていることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
古い疑義解釈なんですね。今も有効なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。この疑義解釈は平成24年度に出されたもので、その後の改定で内容が変わっていないか、レセプト作成時にはあわせて最新の通知も確認してください。
施設基準・届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出とか必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えすると、告示の区分番号K932の条文にも、留意事項通知にも、創外固定器加算そのものに固有の施設基準や届出を求める記載は見当たりませんでした。手術に当たって創外固定器を使用した場合に算定する、という条件のみが示されています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出はいらないってことですか?
あおい(元・医療事務)
そこまでは言い切れません。当サイトが確認できた一次資料の範囲で「施設基準・届出の記載が見当たらない」ということであって、対象となる手術本体(K046や K125など)側に施設基準や届出が定められている場合は、そちらの充足状況を確認する必要があります。最終的には自院の届出台帳や地方厚生局への確認をおすすめします。
断定はできません
創外固定器加算そのものに施設基準・届出の明記は確認できていませんが、対象手術側の施設基準・術者要件等は個別に確認が必要です。届出の要否は自院の状況と地方厚生局への確認をあわせて行ってください。
併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できないケースってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、ひとつ明確な例があります。「K046-3骨折一時的創外固定術」という、一時的に創外固定器を用いて骨折治療を行う手術があるのですが、この手術については留意事項通知で「『K932』創外固定器加算については、別に算定できない」とはっきり書かれています。
みらい(新人医療事務)
K046-3はもともと対象手術のリストに入っていないですよね?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。K046-3は対象12手術には含まれていませんが、「別に算定できない」とわざわざ明記されているのは、名称が似ていて混同しやすいからだと考えられます。レセプト作成の際は、実際に行った手術の区分番号を必ず確認してください。
混同に注意
「K046骨折観血的手術」と「K046-3骨折一時的創外固定術」は区分番号も名称も似ていますが、創外固定器加算が算定候補になるのはK046の方です。K046-3では創外固定器加算は別に算定できないとされています。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定から何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料は令和8年度分が中心で、令和6年度時点の創外固定器加算の記載との突き合わせはできていません。点数・対象手術・限定要件のいずれについても、前回改定(令和6年度)からの変更の有無は確認できていない状態です。
みらい(新人医療事務)
確認できてない、というのは正直ですね。
あおい(元・医療事務)
加算の増減や有利・不利を勝手に決めつけるより、確認できていないことは確認できていないとお伝えするほうが誠実だと考えています。前回改定との違いが気になる場合は、厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定の概要」や「個別改定項目について」の資料でご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院がこの加算の候補になるか、どう確認していけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
順を追って確認していくのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 実施した手術が対象の12手術(K046、K056-2、K058、K073、K076、K078、K124-2、K125、K180の3、K443、K444、K444-2)のいずれかに該当するか確認する
- その手術に当たって、実際に創外固定器を使用したか確認する
- 対象手術ごとに示されている病態の限定要件(開放骨折・粉砕骨折・骨異形成症など)を満たしているか、診療録・手術記録で確認する
- K046-3など、創外固定器加算を別に算定できないとされる類似の手術と混同していないか確認する
- 対象手術本体側の施設基準・届出の要否をあわせて確認する

みらい(新人医療事務)
手順を追っていけば整理できそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。ひとつずつ確認していけば、算定候補かどうかの見通しが立てやすくなります。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れってどんなパターンがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型的な例があります。
よくある取り漏れ(創外固定器加算)
手術記録に創外固定器の使用が明記されていない: 手術で使用していても、記録上「創外固定器」という語が残っていないとレセプト作成時に見落とされがちです 対象手術の区分番号を誤認している: K046とK046-3のように似た名称・番号の手術と取り違えるケース 限定要件(病態)の確認を省略している: 対象手術であっても、留意事項通知が示す病態(開放骨折・粉砕骨折等)に該当するかの記録確認が抜けるケース
みらい(新人医療事務)
手術記録の書き方も大事なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。使用した器具・対象となった病態は、手術記録にできるだけ具体的に残しておくと、後からの確認がスムーズになります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか気になることを聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
Q. 創外固定器加算だけを単独で算定できますか?
あおい(元・医療事務)
A. できません。告示の対象として決められた12手術のいずれかに当たって、創外固定器を使用した場合にのみ算定候補になります。単独での算定は想定されていません。
みらい(新人医療事務)
Q. 対象の手術であれば必ず算定できますか?
あおい(元・医療事務)
A. 断定はできません。対象手術に該当していても、留意事項通知が示す病態の限定要件を満たしているかどうかの確認が必要です。要件を満たしているかは診療録・手術記録に基づいて個別に判断することになります。
みらい(新人医療事務)
Q. 施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
A. 創外固定器加算そのものについて、当サイトが確認した一次資料の範囲では固有の施設基準・届出の記載は見当たりませんでした。ただし対象手術本体側の施設基準・届出の状況はあわせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
Q. 令和6年度改定から点数は変わっていますか?
あおい(元・医療事務)
A. 当サイトが収録している一次資料は令和8年度分が中心のため、前回改定(令和6年度)からの変更の有無は確認できていません。気になる場合は厚生労働省の改定資料でご確認ください。
出典・参考にした公式資料
あおい(元・医療事務)
今回の内容は、以下の厚生労働省の公式資料をもとに整理しています。
| 資料 | 発行 | リンク |
|---|---|---|
| 医科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)K932創外固定器加算 | 厚生労働省・令和8年度 | |
| 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保医発0305第6号・医科点数表部分/0619訂正後) | 厚生労働省・令和8年度 | |
| 疑義解釈資料の送付について(その8)医科 問30(K056-2関連) | 厚生労働省・平成24年度 | ページ |
みらい(新人医療事務)
似たタイプの加算も見てみたいです。
あおい(元・医療事務)
手術に当たって特定の医療機器を用いた場合に加算する仕組みという点では、水圧式デブリードマン加算も同じ性質の手術加算です。あわせてご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。実施した手術や使用した器具、病態の情報を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。