イオントフォレーゼ加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、レセプトの手術欄に「イオントフォレーゼ加算」という項目があったんですが、これって何を評価している加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬では、特定の耳鼻科手術でイオントフォレーゼという方法を使った場合に、手術の点数へ上乗せできる加算です。区分番号はK933で、45点が加算されます。単独では算定できず、対象となる手術を実施したときだけ候補になる仕組みです。
みらい(新人医療事務)
「上乗せ」ということは、手術のコードとは別に、加算のコードも入力する必要があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。手術本体のコードだけ入力して満足してしまうと、この45点を取りこぼしてしまいます。イオントフォレーゼを実際に使ったかどうかを確認するところから始めるのがポイントです。
みらい(新人医療事務)
そもそもイオントフォレーゼって、どういう処置なんですか?
あおい(元・医療事務)
微弱な電流を使って、麻酔薬を皮膚や粘膜から浸透させる技術です。注射針を刺さずに局所麻酔の効果を得られるため、痛みへの配慮が必要な処置で使われることがあります。告示の該当箇所には「区分番号K300及びK309に掲げる手術に当たって、イオントフォレーゼを使用した場合に算定する。」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
「K300」「K309」というのは、それぞれ何の手術のことですか?
あおい(元・医療事務)
K300は鼓膜切開術(830点)、K309は鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術(2,670点)です。どちらも耳鼻咽喉科で行われる代表的な手術で、中耳炎の治療などの場面で実施されます。この2つの手術でイオントフォレーゼを使った場合に限り、45点の加算候補になります。
対象手術・点数の確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を一度整理して見てみたいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点で確認できる点数はこちらです。
| コード | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| K300 | 鼓膜切開術 | 830点 |
| K309 | 鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術 | 2,670点 |
| K933 | イオントフォレーゼ加算(上記手術に上乗せ) | 45点 |

みらい(新人医療事務)
45点というと、金額にすると450円くらいの加算になるんですね。
あおい(元・医療事務)
1点10円で計算するとそうなります。手術本体の点数と比べると小さく見えるかもしれませんが、イオントフォレーゼを使った事実がある以上、月々の積み重ねで見ると確認する価値のある加算です。
みらい(新人医療事務)
逆に、K300やK309以外の手術でイオントフォレーゼを使ったら、加算の対象にはならないんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、告示で対象手術がK300とK309に限定されているため、それ以外の手術での使用はこの加算の対象にはなりません。手術の種類とイオントフォレーゼの使用有無、両方がそろって初めて算定候補になります。
見落としやすいポイント
手術の点数だけ算定して45点を見落とす: イオントフォレーゼを実際に使っていても、加算コードを別途入力しないと反映されません。 対象手術以外での算定: K300・K309以外の手術でイオントフォレーゼを使っても、この加算の対象にはなりません。
併算定の注意点(麻酔料との関係)
みらい(新人医療事務)
イオントフォレーゼって麻酔の代わりみたいな処置ですよね? 麻酔料と一緒に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
そこは特に注意が必要な点です。留意事項には「当該加算を算定した場合、麻酔料は別に算定できない。」とはっきり書かれています。イオントフォレーゼ加算とその手術に伴う麻酔料は、同時に算定できません。
みらい(新人医療事務)
つまり、麻酔料かイオントフォレーゼ加算か、どちらか一方を選ぶ形になるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。イオントフォレーゼは麻酔薬を浸透させる手段そのものが麻酔の役割を果たしているため、通常の麻酔料と重ねて評価しない、という考え方だと理解できます。麻酔料が別途どの程度の点数になるかによって、どちらの算定が実態に合っているか、事前に確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
レセプトを作るときに、うっかり両方入力してしまいそうです……。
あおい(元・医療事務)
起こりやすいミスです。手術記録にイオントフォレーゼの使用が記載されている場合は、同じ手術で麻酔料が別途計上されていないか、提出前にもう一度確認する習慣をつけておくと安全です。
併算定の確認漏れに注意
麻酔料とイオントフォレーゼ加算の同時算定は、告示上できないとされています。レセプト提出前に、同一手術で両方が入力されていないかを確認してください。
施設基準・届出の確認
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するのに、施設基準の届出とか必要になりますか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、今回確認した公式資料(告示・留意事項通知)の範囲では、K933イオントフォレーゼ加算そのものについて、個別の施設基準や届出を求める記載は見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
「見当たりませんでした」ということは、届出は不要と決めつけていいわけではないんですね……。
あおい(元・医療事務)
はい、正確には「未確認」という扱いにしています。手術医療機器等加算は、対象手術を実施し、実際にその機器・技術を使用した事実に基づいて算定するタイプの加算が多く見られますが、届出の要否は制度の細部に関わる部分なので、思い込みで進めるのは避けたいところです。
みらい(新人医療事務)
では、どこで確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
自院の地方厚生局への確認や、審査支払機関への問い合わせが確実です。加えて、後ほど紹介する加算チェッカーでも、確認すべきポイントを整理できます。
届出・施設基準は自院で最終確認を
本加算に関する届出・施設基準の要否は、当サイトが確認した公式資料の範囲では明記が見当たらず、未確認としています。算定前に地方厚生局や審査支払機関への確認をおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定、令和6年度のころと比べて何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)時点の資料との突き合わせは、当サイトが今回確認できた公式資料の範囲では行えておらず、新設・廃止・点数変更などの変更点は確認されていません。令和8年度(2026年度)の告示では、45点という点数と、K300・K309に伴う加算という位置づけが確認できています。
みらい(新人医療事務)
つまり「変わったかどうかは分からない」という状態なんですね。
あおい(元・医療事務)
現時点ではそうです。変更があったと断定する材料もなければ、据え置きだったと断定する材料もありません。もし過去の改定内容が気になる場合は、加算チェッカーや厚生労働省の改定資料を直接確認することをおすすめします。
前回改定との比較(現状把握)
令和8年度(2026年度): K933 イオントフォレーゼ加算 45点。K300・K309の手術に伴う加算として確認。 令和6年度(2024年度)以前: 当サイトが確認した資料の範囲では比較データなし(未確認)。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの診療所で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
おすすめの確認順序を整理しました。順番に見ていくと、取りこぼしと誤算定の両方を防ぎやすくなります。
自院で確認する順番
実施した手術がK300(鼓膜切開術)またはK309(鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術)に該当するか確認する その手術でイオントフォレーゼ(微弱電流による局所麻酔)を実際に使用したか、診療録・手術記録で確認する 同じ手術で麻酔料を別途算定していないか確認する(併算定不可のため) イオントフォレーゼ加算(K933・45点)をレセプトに正しく入力する 届出・施設基準の要否について、不明点があれば審査支払機関や加算チェッカーで確認する

みらい(新人医療事務)
特に3番目の「麻酔料と重複していないか」は、見落としそうな気がします。
あおい(元・医療事務)
そうですね。手術と麻酔、それぞれ別の担当者が入力する体制の医療機関では特に、このチェックを誰が担当するかをあらかじめ決めておくと確実です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れのパターンってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか整理してみました。
よくある取り漏れパターン
イオントフォレーゼを使ったのに加算コードを入力し忘れる: 手術本体のコードだけで完結させてしまうケースです。 対象外の手術で算定しようとする: K300・K309以外の手術での使用は対象になりません。 麻酔料と同時に算定してしまう: 併算定不可のルールを見落とすと、後から査定される可能性があります。
みらい(新人医療事務)
こうして見ると、確認する項目自体はそれほど多くないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただ、45点という小さな加算だからこそ、忙しい現場では見落とされがちです。手術記録とレセプトを突き合わせる習慣があるかどうかが、取りこぼしを防ぐ分かれ目になります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問させてください。イオントフォレーゼ加算は病院でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
はい、当サイトが収録している情報の範囲では、診療所・病院のどちらでも対象手術(K300・K309)を実施していれば算定候補になります。外来・入院いずれの場面でも対象になり得ます。
みらい(新人医療事務)
在宅医療の場面ではどうですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は手術に伴う加算のため、在宅医療の場面では想定されていません。対象手術を実施する場面(外来手術・入院手術)での算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)のときはどうだったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)時点の資料との比較は、当サイトが今回確認できた範囲では行えておらず、未確認です。過去の点数や要件が気になる場合は、加算チェッカーで個別に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
45点の加算1つのために、確認の手間をかける価値ってありますか?
あおい(元・医療事務)
1件あたりは小さくても、対象手術を日常的に行っている耳鼻咽喉科であれば、月単位・年単位で積み重なります。手術記録を見返す手間だけで済むなら、確認しておく価値はあると思います。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する加算として、同じ手術加算の枠組みにある水圧式デブリードマン加算も、対象手術を実施した際の機器使用に応じた上乗せ加算という点で、似た確認の流れになります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。