みらい(新人医療事務)
先輩、手術の記録を見ていたら「脊髄誘発電位測定等加算」っていう名前の加算が出てきたんですけど、これって何をするための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは手術中の神経モニタリングに対する加算ですよ。脳や脊椎、脊髄などの手術で神経を傷つけないように、手術中ずっと神経の反応(誘発電位)を測定しながら進める、そのモニタリング体制に対して算定する加算です。区分番号はK930で、「第3節 手術医療機器等加算」という区分に入っています。
みらい(新人医療事務)
「手術医療機器等加算」ってことは、手術そのものの点数とは別に、機器や技術を使ったことに対して上乗せされる点数なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。この記事では、令和8年度(2026年度)の告示・通知に基づいて、点数区分・対象手術・確認しておきたいポイントを整理していきますね。算定できるかどうかは自院の状況によって変わるので、最終的には自院の記録と公式資料で確認する前提で読んでください。
この加算はどんな場面で算定候補になりますか
みらい(新人医療事務)
まず、どんな手術で対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
大きく分けて2つのグループがあります。1つは脳、脊椎、脊髄、大動脈瘤又は食道の手術、もう1つは甲状腺又は副甲状腺の手術です。どちらも、術中に神経モニタリングを実施した場合に算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
対象は手術の種類によって決まっていて、患者さんの病名だけでは判断できないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。実施した手術が、厚生労働省が定める区分番号のリストに含まれているかどうかがポイントになります。次の表で点数区分を見てみましょう。

| 区分 | 対象手術 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1 | 脳、脊椎、脊髄、大動脈瘤又は食道の手術 | 3,630点 |
| 2 | 甲状腺又は副甲状腺の手術 | 3,130点 |
みらい(新人医療事務)
同じ「K930」でも、手術の部位によって点数が違うんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号に基づく医科点数表)では、「K930 脊髄誘発電位測定等加算 1 脳、脊椎、脊髄、大動脈瘤又は食道の手術に用いた場合 3,630点 2 甲状腺又は副甲状腺の手術に用いた場合 3,130点」と規定されています。まずはどちらの区分に該当する手術なのかを確認するところから始めます。
対象になる手術の区分番号を確認する
みらい(新人医療事務)
「脳、脊椎、脊髄、大動脈瘤又は食道の手術」って、具体的にはどの手術を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは公式の留意事項通知で区分番号がかなり細かく列挙されています。令和8年3月5日保医発0305第6号(診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について)には、「『1』に規定する脳、脊椎、脊髄、大動脈瘤又は食道の手術とは、『K116』から『K118』まで、『K128』から『K136』まで、『K138』、『K139』、『K142』から『K142-3』まで、『K142-5』から『K142-7』、『K149』の『1』、『K149-2』、『K151-2』、『K154』、『K154-2』、『K159』、『K160-2』、『K169』、『K170』、『K172』、『K175』から『K178-3』まで、『K181』、『K183』から『K190-2』まで、『K191』、『K192』、『K457』、『K458』、『K527』、『K527-3』、『K529』の1及び2、『K529-2』、『K529-3』、『K529-5』、『K560』、『K560-2』、『K609』及び『K609-2』に掲げる手術をいう」と規定されています。
みらい(新人医療事務)
すごい数の区分番号ですね……。これ全部覚えるのは大変そうです。
あおい(元・医療事務)
覚える必要はなくて、レセプトコンピュータや医事課で使っている区分番号一覧と照合すればOKです。ここで大事なのは「病名」ではなく「実施した手術の区分番号」で判定するという考え方です。甲状腺・副甲状腺側も同じように区分番号が決まっています。
| 区分 | 該当する手術の範囲(通知の定義) |
|---|---|
| 脳・脊椎・脊髄・大動脈瘤・食道の手術 | 「K116」〜「K609-2」の中の複数区分(通知に列挙された区分番号のみ) |
| 甲状腺・副甲状腺の手術 | 「K461」から「K465」までに掲げる手術 |
| 準用点数の手術 | 上記の項目の所定点数を準用する手術は加算の対象外 |
準用点数の手術は対象外
留意事項通知には「なお、これらの項目の所定点数を準用する手術については加算を行わない」と明記されています。区分番号が近いからといって、点数を準用している手術まで含めてしまうと算定誤りになる可能性があります。実施した手術が「本来の区分番号」なのか「準用」なのかは、必ず手術記録とレセプトコンピュータのマスタで確認してください。
施設基準・届出はどうなっていますか
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出とか、事前に地方厚生局へ出す書類とかは必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは正直にお伝えしますね。当サイトが確認した告示・留意事項通知の該当箇所には、施設基準への適合や地方厚生局への届出を求める記載は見当たりませんでした。同じ「手術医療機器等加算」の中には、施設基準への適合と届出を明記している加算もあるので、そういう加算とはこの点で扱いが異なる可能性があります。
みらい(新人医療事務)
「見当たらない」ということは、「届出不要」と言い切っていいんですか?
あおい(元・医療事務)
いえ、そこは言い切らないようにしています。当サイトが確認した範囲で見当たらなかった、というだけなので、「届出は不要そうだが未確認」という位置づけで扱ってください。実際に算定する前には、特掲診療料の施設基準に関する通知や、自院が届け出ている施設基準の一覧を必ず確認してください。
届出・施設基準の確認ポイント
当サイトで確認できたこと: K930の告示・留意事項通知の本文には、施設基準適合や届出を求める文言は含まれていません。 未確認の部分: 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(施設基準通知)の全文までは今回確認していません。 確認方法: 自院の届出済み施設基準一覧と、最新の特掲診療料施設基準通知を照合してください。
算定のタイミングや回数、併算定で気をつけたいこと
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングって、手術と同じ日でいいんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、対象手術を実施した日に、その手術の点数と合わせて算定する形になります。神経モニタリングは手術と切り離せない技術なので、単独で別日に算定するものではありません。
みらい(新人医療事務)
1回の手術で複数回算定できたりしますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の本文を見る限り、「神経モニタリングについては、本区分により加算する」とだけ規定されていて、1手術あたりの算定回数を明示した記載は確認できませんでした。回数の考え方は個別の状況によって変わりうるので、ここも「未確認」として扱い、疑わしい場合は審査支払機関や地方厚生局に確認することをおすすめします。
算定可否は個別事情で変わります
この記事で紹介している点数や対象手術の範囲は、令和8年度の告示・留意事項通知に基づく一般的な整理です。実際に算定候補になるかどうかは、手術の内容、神経モニタリングの実施状況、レセプトの記載内容など個別の事情によって変わります。断定はできませんので、自院での確認が前提になります。
みらい(新人医療事務)
併算定についてはどうですか?他の手術加算と一緒に算定していいものなんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
併算定の可否についても、今回確認した資料の中に明示的な規定は見つかりませんでした。ここも未確認のまま書くわけにはいかないので、他の手術医療機器等加算との組み合わせを検討する場合は、レセプトコンピュータのチェック機能や審査支払機関への確認を挟むようにしてください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定、令和6年度のときと比べて、この加算は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、脊髄誘発電位測定等加算(K930)について、前回改定(令和6年度)からの点数や算定要件の変更は確認されていません(確認日: 2026年7月時点)。令和8年3月5日保医発0305第6号に掲載されている本文も、対象手術の区分番号の列挙や「準用点数の手術には加算を行わない」という規定を含めて、同じ内容で規定されています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、この加算に関しては今回の改定でも大きな変化はなかったということですね。
あおい(元・医療事務)
少なくとも当サイトで確認できた一次資料の範囲では、そう言えます。ただし、対象手術側(脳・脊椎・脊髄の手術やその他の区分番号)の点数や取り扱いが改定で変わっている可能性はあるので、K930単体だけでなく、実施した手術本体の点数区分も合わせて確認しておくと安心です。
改定差分のチェック方法
確認したこと: K930本体の点数(3,630点・3,130点)と算定要件の記載内容。 変更点: 当サイトが確認した一次資料の範囲では見当たりませんでした。 あわせて確認したいこと: 対象手術(K116〜K609-2、K461〜K465など)本体の点数・算定要件が改定で変わっていないか。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院でこの加算が算定候補になるか調べるには、どういう順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
一緒に整理してみましょう。順番に確認していくと迷いにくくなりますよ。

自院で確認する順番
実施した手術が「脳、脊椎、脊髄、大動脈瘤又は食道の手術」または「甲状腺又は副甲状腺の手術」として通知に列挙された区分番号に該当するか、手術記録とレセプトコンピュータのマスタで照合する その手術中に、神経モニタリング(脊髄誘発電位測定等)を実際に実施したか、手術記録・麻酔記録を確認する 該当する手術が「所定点数を準用する手術」に当たらないか確認する(準用の場合は加算対象外) 点数区分(3,630点または3,130点)が対象手術の内容と一致しているか確認する 施設基準・届出・算定回数・併算定の取り扱いについて、未確認の項目は特掲診療料施設基準通知や審査支払機関への確認を行う
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがあるんでしょう?
あおい(元・医療事務)
いくつかパターンがあります。まとめておきますね。
取り漏れやすいポイント
神経モニタリングの実施記録が手術記録に残っていない: 加算の根拠になる実施事実が確認できず、算定候補から外れてしまうことがあります。 対象手術の区分番号を病名だけで判断してしまう: 通知が定めているのは区分番号のリストであり、病名一致だけでは判定できません。 準用点数の手術を対象に含めてしまう: 「所定点数を準用する手術については加算を行わない」という規定を見落とすと算定誤りにつながります。
みらい(新人医療事務)
病名だけで判断せず、区分番号と実施記録の両方をちゃんと見る、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。この2つを押さえておけば、大きな取り漏れや算定誤りはかなり防げると思います。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうな質問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。順番に答えていきますね。
みらい(新人医療事務)
脊髄誘発電位測定等加算は、どんな医療機関でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象手術(脳・脊椎・脊髄・大動脈瘤・食道の手術、または甲状腺・副甲状腺の手術)を実施し、術中に神経モニタリングを行った医療機関であれば、算定候補になり得ます。ただし、施設基準や届出の要否は当サイトで確認できていない部分があるので、自院での確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
点数はいつも3,630点なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、対象手術によって2種類あります。脳・脊椎・脊髄・大動脈瘤又は食道の手術では3,630点、甲状腺又は副甲状腺の手術では3,130点です。どちらに該当するかは実施した手術の区分番号で判断します。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)から点数は変わっていますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からK930の点数・算定要件に変更は確認されていません(2026年7月確認)。ただし対象手術側の取り扱いが変わっている可能性はあるため、あわせて確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した告示・留意事項通知の本文には、届出を求める記載は見当たりませんでした。ただし全ての関連通知を確認しきれているわけではないので、「不要」と断定はできません。念のため自院の届出状況と最新の施設基準通知でご確認ください。ほかにも手術に関する加算の記事を公開しているので、狭帯域光強調加算や局所穿刺療法併用加算もあわせてご覧いただくと、院内での確認作業の参考になると思います。
この記事で参照した公式資料
みらい(新人医療事務)
この記事の内容って、どの資料をもとに書かれているんですか?
あおい(元・医療事務)
主に2つの公式資料を確認しています。点数区分は医科点数表の告示(K930 脊髄誘発電位測定等加算のPDF)、算定要件と対象手術の範囲は令和8年3月5日保医発0305第6号の留意事項通知(実施上の留意事項についてのPDF)に基づいています。改定全体の情報は厚生労働省の令和8年度診療報酬改定についてのページも参照しました。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。