みらい(新人医療事務)
先輩、手術の伝票に「自動縫合器加算」って書いてあるのを見つけたんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いい着眼点ですね。自動縫合器加算は、区分番号K936の手術医療機器等加算です。対象となる手術で自動縫合器(お腹や胸の中の組織を機械で縫い合わせる医療機器)を使ったときに、令和8年度(2026年度)時点で2,500点を加算できる項目です。
みらい(新人医療事務)
「自動縫合器」だけじゃなくて、名前に入っていない機器も対象になることがあるって聞いたんですが、本当ですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。同じK936の中には、自動縫合器を使った場合の注1だけでなく、心臓の手術で使う「左心耳閉塞用クリップ」を使った場合の注2もあります。名称は「自動縫合器加算」ですが、告示上は2つの注に分かれていて、どちらも同じK936として算定する仕組みです。
みらい(新人医療事務)
対象の手術って、たくさんあるんですか?
あおい(元・医療事務)
かなり多いです。区分番号K488-4やK511(肺切除術)、K513、K645(胃切除術)、K716(結腸切除術)など、消化器・呼吸器を中心に非常に多くの区分番号が列挙されています。逆に、左心耳閉塞用クリップの注2は、K552・K552-2・K554・K555・K557からK557-3・K560・K594の3及び4のロといった、心臓外科系の手術に限定されています。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
この加算、どこの医療機関でも算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算は入院での手術に伴う機器加算として扱われており、外来では算定対象になっていません。つまり、入院手術を行う病院での算定が前提になります。診療所(無床・外来のみ)での算定候補にはなりにくいと考えられます。
みらい(新人医療事務)
患者さん側の条件は何かありますか?
あおい(元・医療事務)
患者さん個人の条件というより、「対象の区分番号に該当する手術を受けたかどうか」「その手術で自動縫合器または左心耳閉塞用クリップを実際に使用したかどうか」が判断のポイントになります。手術記録・使用機器のカルテ記載を確認することが第一歩です。
点数・区分番号(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、表にまとめますね。
| 区分番号 | 加算名 | 点数 | 対象となる主な行為 |
|---|---|---|---|
| K936 注1 | 自動縫合器加算 | 2,500点 | 対象区分番号の手術で自動縫合器を使用した場合 |
| K936 注2 | 自動縫合器加算(左心耳閉塞用クリップ) | 2,500点 | 対象区分番号の心臓外科手術で左心耳閉塞用クリップを使用した場合 |

あおい(元・医療事務)
注1・注2のどちらも所定点数は2,500点で同じですが、対象となる手術の区分番号リストと、後述する使用個数の限度の考え方が異なります。混同しないよう、どちらの注に該当する手術かをまず確認してください。
みらい(新人医療事務)
似た名前の加算もあるって聞きました。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。K936-2「自動吻合器加算」(5,500点)やK936-3「微小血管自動縫合器加算」(2,500点)は、それぞれ別の区分番号として独立しています。自動縫合器加算(K936)とは対象手術も点数の考え方も異なるので、レセプト入力時に区分番号を取り違えないよう注意が必要です。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、自動縫合器加算(K936)は施設基準の届出を前提とした加算としては整理されていません。他の手術医療機器等加算(K934・K935など)と同様に、対象手術を実施できる体制であることが前提になっている加算です。
届出の要否は自院で必ず確認
届出が不要とされている加算であっても、対象手術そのものの施設基準(別に定められている場合)や、使用機器の管理体制については自院での確認が必要です。判断に迷う場合は、地方厚生局への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
他にも同じような「手術医療機器等加算」ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、たとえば水圧式デブリードマン加算も同じ手術医療機器等加算のカテゴリの項目です。こちらはK002デブリードマンの手術で水圧式の機器を使った場合に加算する仕組みで、対象手術・点数・使用個数の限度は自動縫合器加算とはそれぞれ別に定められています。カテゴリの考え方は共通していても、加算ごとに個別に確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
届出が要らないなら、対象の手術さえやっていればすぐ算定候補になるってことですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。届出の要否と、実際に算定候補になるかどうかは別の話です。手術記録に使用機器名がきちんと記載されているか、使用個数が限度内かなど、確認すべき点は他にもあります。
算定タイミング・使用個数の限度・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
「使用個数の限度」ってどういうことですか?何個でも算定できるわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、そこが自動縫合器加算のわかりにくいポイントです。留意事項通知では、自動縫合器を使用した場合(注1)について、対象手術の種類ごとに使用個数の限度が細かく分かれています。例えばK706などの一部の手術では2個が限度、K739などでは3個、K488-4などでは4個、K803などでは5個、K511・K513などでは6個、K735-5などでは8個が限度と定められていて、限度を超えた個数分は加算できません。
みらい(新人医療事務)
左心耳閉塞用クリップの方は違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、注2の左心耳閉塞用クリップについては、1個を限度として本区分(K936)の所定点数、つまり2,500点を1回算定する扱いです。自動縫合器のように使用個数分を掛け算する仕組みとは異なります。
取り漏れやすいポイント
自動縫合器加算は、対象手術の区分番号ごとに使用個数の限度(2個〜8個)が異なります。手術記録に記載された使用個数と、その手術の限度個数を照合しないと、算定漏れ(限度まで請求していない)や過大算定(限度を超えて請求してしまう)のどちらも起こり得ます。
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
自動縫合器加算・自動吻合器加算・微小血管自動縫合器加算は、それぞれ対象となる区分番号(手術の種類)が異なるため、同じ手術で複数の加算を同時に算定できるかどうかは、その手術の区分番号がどの加算の対象リストに載っているかで変わります。一律に「併算定できる」「できない」と言い切れる話ではないので、対象手術ごとに個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
一つの手術で自動縫合器と左心耳閉塞用クリップを両方使うことってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
注1(自動縫合器)と注2(左心耳閉塞用クリップ)は対象となる区分番号のリストが重なる部分もあります。ただし、当サイトが収録している一次資料の範囲では、注1と注2を同一手術で同時に算定できるかどうかを明記した記載までは確認できていません。両方の機器を使う可能性がある手術では、算定前に個別確認をおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表)と、令和8年3月5日保医発0305第6号(実施上の留意事項について)の医科点数表部分を確認した限りでは、自動縫合器加算(K936)の点数(2,500点)や、注1・注2の対象区分番号リスト、使用個数の限度の記載に変更を示す内容は見当たりませんでした。
改定差分の確認範囲
2026年7月時点で厚生労働省の告示・留意事項通知(医科点数表部分)を確認した範囲では、前回改定(令和6年度)からの自動縫合器加算(K936)に関する主な変更は確認されていません。今後の訂正通知や疑義解釈で内容が更新される可能性があるため、最新の告示・通知を必ずご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- 実施した手術の区分番号が、K936注1(自動縫合器)または注2(左心耳閉塞用クリップ)の対象リストに含まれているか確認する
- 手術記録・カルテに、自動縫合器または左心耳閉塞用クリップの使用と使用個数が記載されているか確認する
- その手術区分番号に定められた使用個数の限度(自動縫合器は2〜8個、左心耳閉塞用クリップは1個)を超えていないか確認する
- 入院での手術かどうか(外来では対象外)を確認する
- 上記が揃えば算定候補として院内でレセプト担当・医師と最終確認する

よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある質問をまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、いくつか挙げますね。
みらい(新人医療事務)
自動縫合器と自動吻合器って、名前が似ていて混同しそうです。違いは何ですか?
あおい(元・医療事務)
K936自動縫合器加算とK936-2自動吻合器加算は、対象となる区分番号のリストも点数(2,500点と5,500点)も異なる別の加算です。手術記録に「自動縫合器」「自動吻合器」のどちらが使われたかを正確に確認することが大切です。
みらい(新人医療事務)
左心耳閉塞用クリップって、心臓の手術以外でも使うことがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、左心耳閉塞用クリップの対象区分番号はK552・K552-2・K554・K555・K557からK557-3・K560・K594の3及び4のロに限定されていて、いずれも心臓外科系の手術です。それ以外の手術での使用は、この注2の対象としては確認できません。
みらい(新人医療事務)
使用個数の限度を超えて自動縫合器を使った場合、超えた分の費用はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
そこは資料内で明確に扱いが記載されているわけではなく、当サイトの整理では判断しかねる部分です。限度を超える可能性がある症例では、事前に地方厚生局や審査支払機関に確認しておくことをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。