みらい(新人医療事務)
先輩、乳腺外科の先生から「止血用加熱凝固切開装置加算」って書類が回ってきたんですけど、聞いたことがなくて。これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
止血用加熱凝固切開装置加算は、乳がんなどの手術のときに、組織を焼き切りながら止血できる専用の医療機器を使った場合に算定候補になる加算ですよ。名前の通り「加熱して凝固させながら切開する」装置を使ったかどうかがポイントです。
みらい(新人医療事務)
「加熱凝固切開装置」って、いわゆる電気メスとは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
一般的な電気メスとは区別された、止血効果を高めた専用機器を指す区分と考えてください。厚生労働省の告示では、区分番号K935として「K935 止血用加熱凝固切開装置加算 700点/注 区分番号K476に掲げる手術に当たって、止血用加熱凝固切開装置を使用した場合に算定する。」(令和8年度診療報酬点数表・告示)と定められています。
みらい(新人医療事務)
700点そのままで加算になるんですね。単独で算定できる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、単独では算定候補になりません。「区分番号K476に掲げる手術」を行った際に、この装置を使用した場合にだけ加算候補になる、いわば手術医療機器の上乗せ加算です。まず土台になるK476がどんな手術か確認しておきましょう。
K476(乳腺悪性腫瘍手術)とはどんな手術か
みらい(新人医療事務)
そもそも区分番号K476って何の手術のことですか?
あおい(元・医療事務)
K476は「乳腺悪性腫瘍手術」、いわゆる乳がんなどに対する乳房の手術です。単純乳房切除術(乳腺全摘術)から拡大乳房切除術まで、術式によっていくつかの区分に分かれています。告示には「K476 乳腺悪性腫瘍手術 1 単純乳房切除術(乳腺全摘術) 17,040点」から「7 拡大乳房切除術(胸骨旁、鎖骨上、下窩など郭清を併施するもの) 52,820点」まで、複数の区分が記載されています(令和8年度診療報酬点数表・告示)。
あおい(元・医療事務)
このように、乳がんの広がりや腋窩(わきの下)のリンパ節郭清の有無によって、術式区分と点数が細かく分かれています。止血用加熱凝固切開装置加算は、こうしたK476の術式のどれかを行った際に、装置を使ったかどうかで算定候補になるかが決まる加算です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、K476の中の特定の区分だけじゃなくて、どの術式でも対象になり得るんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。告示の文言は「区分番号K476に掲げる手術に当たって」となっていて、術式区分を限定していません。ただし実際にどの区分で算定するかはレセプトの記載と装置使用の記録次第なので、個別の判断は自院での確認が前提になります。
混同しやすいポイント
電気メスとの違い: 一般的な電気メス(凝固切開装置)と、止血効果を強化した専用の止血用加熱凝固切開装置は区分が異なります。使用機器の型式・添付文書を確認してから算定候補として整理しましょう。 単独算定不可: 止血用加熱凝固切開装置加算は、K476の手術と組み合わせて初めて意味を持つ加算です。K476を実施していない場合は算定候補になりません。
対象になる医療機関・場面
みらい(新人医療事務)
この加算は、うちみたいな診療所でも関係あるんでしょうか? それとも大きな病院だけですか?
あおい(元・医療事務)
乳腺悪性腫瘍手術(K476)自体は入院を伴う手術になることが多く、診療所・病院のどちらであっても、K476の手術を実施し、かつ止血用加熱凝固切開装置を使用した場面であれば算定候補として整理の対象になり得ます。当サイトが収載している一次資料の範囲では、この加算そのものに「診療所は対象外」「病院のみ」といった限定の記載は確認できていません。
みらい(新人医療事務)
在宅診療の場面ではどうですか?
あおい(元・医療事務)
K476は手術そのものなので、在宅(訪問診療)の場面で算定する性質のものではありません。手術を行う医療機関での算定候補として考えるのが基本です。
対象医療機関の最終確認
実際にK476の手術を自院で実施しているか、また止血用加熱凝固切開装置を保有・使用しているかは施設ごとに異なります。個別の実施体制の判断はこの記事では行えないため、自院の手術記録・診療科の状況で確認してください。
点数を確認する
みらい(新人医療事務)
点数の整理をもう一度お願いします!
あおい(元・医療事務)
表にするとこうなります。
| 区分番号 | 項目名 | 点数 | 年度 |
|---|---|---|---|
| K935 | 止血用加熱凝固切開装置加算 | 700点 | 令和8年度 |
| K476 | 乳腺悪性腫瘍手術(術式による、例:単純乳房切除術) | 17,040点〜 | 令和8年度 |
| K476「7」 | 乳腺悪性腫瘍手術(拡大乳房切除術) | 52,820点 | 令和8年度 |
あおい(元・医療事務)
止血用加熱凝固切開装置加算の700点は、K476本体の点数に上乗せする形で算定候補になります。K476自体の点数は術式区分によって大きく異なるので、まずはどの区分で手術を行ったかをカルテで確認するところから始めるとスムーズです。

みらい(新人医療事務)
K476の点数区分、思ったよりたくさんあるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、乳腺悪性腫瘍手術は術式のバリエーションが多い手術のひとつです。今回ご紹介した17,040点と52,820点はあくまで一部の区分の例で、実際にはその間にも複数の区分があります。正確な区分は告示の全文で確認するのが確実です。
施設基準・届出は?
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出は必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
ここは正直にお伝えしますね。今回確認できた告示の条文には「区分番号K476に掲げる手術に当たって、止血用加熱凝固切開装置を使用した場合に算定する」という算定要件の記載はありますが、施設基準の届出について明記した一次資料は、当サイトが収載している範囲では確認できていません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出はしなくていいってことですか?
あおい(元・医療事務)
そう断定はできません。「確認できていない」ことと「不要と確定している」ことは別です。手術医療機器等加算には施設基準の届出を伴わないものも多い一方、個別の運用は変わることがあります。最終的な届出要否は、自院の地方厚生局への届出状況や顧問社会保険労務士、審査支払機関への確認をおすすめします。
施設基準・届出は未確認
この記事で確認できた公式資料の範囲では、止血用加熱凝固切開装置加算に個別の施設基準・届出を定めた記載は見当たりませんでした。断定はできないため、算定を検討する際は自院の届出状況を必ず確認してください。
算定タイミング・回数・併算定の考え方
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングって、いつ、何回まで、というルールはありますか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文からわかるのは「区分番号K476に掲げる手術に当たって、止血用加熱凝固切開装置を使用した場合に算定する」という一点です。つまり、月に何回まで、という回数制限の話ではなく、K476の手術1件ごとに、装置を使ったかどうかで算定候補になるかが決まる仕組みです。
みらい(新人医療事務)
1回の手術で1回だけ、というイメージですね。
あおい(元・医療事務)
条文の書き方からはそう読み取れますが、複数の術式を同時に行った場合の扱いなど、細かいケースについての明記までは今回確認できていません。回数の上限や算定単位の詳細な定めについては、告示・留意事項通知の全文かレセプトの請求ルールで改めて確認するのが確実です。
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できるかどうかは?
あおい(元・医療事務)
併算定の可否についても、今回確認できた資料の範囲では明記が見当たりませんでした。ここも「できる」「できない」と断定せず、同時算定を検討する加算がある場合は個別に確認する形にしましょう。
レセプト整理のコツ
装置使用の記録: 止血用加熱凝固切開装置を使用した事実は、手術記録・使用機器一覧に残しておくとレセプト作成時に確認しやすくなります。 K476の術式区分: どの区分(単純乳房切除術か拡大乳房切除術かなど)で手術を行ったかを明確にしておくと、点数の整理がスムーズです。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、止血用加熱凝固切開装置加算そのものについて、前回改定(令和6年度)からの点数や算定要件の変更を示す記載は確認されていません(2026年7月時点の確認)。令和8年度の告示上も、区分番号K935として700点、K476の手術に当たって装置を使用した場合に算定するという条文になっています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、ずっと同じ内容で続いている加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そう見えますが、「変更が無い」と確定するには、点数だけでなく施設基準・対象手術・様式など複数の観点を個別改定項目の資料まで遡って確認する必要があります。今回は告示・要件の範囲での確認にとどまるため、より詳しい改定経緯を知りたい場合は、厚生労働省が公表している個別改定項目の資料もあわせて確認することをおすすめします。
改定差分は確認範囲に限定
上記は当サイトが収集している一次資料(令和8年度告示)の範囲での確認結果です。令和6年度以前の詳細な経緯まで遡った照合ではないため、正確な改定履歴は厚生労働省の公式資料でご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの医院・病院で算定候補になるかどうか、どう確認していけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
順番はこうです。
自院で確認する順番
- 自院でK476(乳腺悪性腫瘍手術)を実施しているか、手術記録・診療科の実施状況を確認する
- その手術で止血用加熱凝固切開装置を使用したか、使用機器の記録・添付文書で確認する
- 使用した事実がカルテ・手術記録に明記されているか確認する
- 施設基準の届出要否・併算定の可否について、自院の状況や審査支払機関に確認する
- 上記が整理できたら、算定候補としてレセプト担当者・医事課で共有する

みらい(新人医療事務)
この順番で確認すれば、見落としが減りそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に手術記録に装置の使用が明記されているかどうかは見落とされやすいポイントなので、術者や手術室の記録担当と連携して確認する体制を作っておくと安心です。
よくある取り漏れ
取り漏れやすいケース
装置使用の記録が残っていない: 手術中に止血用加熱凝固切開装置を使ったのに、手術記録や使用機器リストに明記されず、算定候補として拾えていないケースがあります。 電気メスと混同している: 通常の電気メス使用と、専用の止血用加熱凝固切開装置の使用を区別せず、そもそも算定候補として検討していないケースも見られます。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
いくつか気になることを質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
止血用加熱凝固切開装置加算は、乳がん以外の手術でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
今回確認できた告示の条文では、対象は「区分番号K476に掲げる手術」に限定されています。K476以外の手術での使用については、この条文の範囲では算定候補として整理できません。
みらい(新人医療事務)
装置のメーカーや型式によって算定できる・できないの違いはありますか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した資料には、メーカーや型式を限定する記載は見当たりませんでした。ただし「止血用加熱凝固切開装置」に該当する機器かどうかの判断は、機器の添付文書や分類区分の確認が必要になるため、不明な場合は医療機器の卸業者や院内の医療安全部門に確認するとよいでしょう。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出をしていない場合、算定候補にならないんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこも今回確認できた資料からは断定できません。施設基準の届出に関する明記自体が見当たらなかったため、「届出が必要かどうか」を含めて自院で確認していただく必要があります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。