みらい(新人医療事務)
事務長から「K936-3の微小血管自動縫合器加算、うちで出るレセプトに付けていいか確認して」と言われたんですが、正直この加算、名前からしてよく分からなくて…。
あおい(元・医療事務)
珍しい部類の加算なので、知らなくても無理はないですよ。一緒に整理しましょう。微小血管自動縫合器加算は、区分番号K017遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)またはK020自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)という、かなり大掛かりな再建手術の中で登場する加算です。手術中に、微小な血管を自動的に縫合する専用の器具(微小血管自動縫合器)を使った場合に、所定点数に上乗せする加算という位置づけになります。
みらい(新人医療事務)
「自動縫合器」ってことは、糸で縫うんじゃなくて機械で縫うイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そうですね、器具の名前からすると、細い血管の縫合を機械的に行う専用器具という理解で大丈夫です。ただしこの記事では、器具そのものの使い方ではなく「どういう条件で加算できる可能性があるか」を、公式資料に沿って整理していきます。年度は令和8年度(2026年度)でご説明しますね。
この加算はどんな場面で出てくるのか
みらい(新人医療事務)
そもそも、どんな患者さんの、どんな手術のときに出てくるんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
公式資料の記載では、対象になる手術がはっきり限定されています。「区分番号K017及びK020に掲げる手術に当たって、微小血管自動縫合器を使用した場合に算定する」とされていて、対象はK017遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)とK020自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)の2つに限定されています。この2つはどちらも、皮弁や組織を血管ごと別の部位に移植する、顕微鏡下の高度な再建手術です。
みらい(新人医療事務)
「四肢以外の部位」っていう言葉も聞いたんですが、それも関係ありますか。
あおい(元・医療事務)
はい、そこが算定のポイントです。留意事項通知では「四肢(手、足、指(手、足)を含む。)以外の部位において、K017遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)又はK020自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)を行う際に、微小静脈の縫合のために微小血管自動縫合器を用いた場合に算定する」と明記されています。つまり、手や足、指といった四肢での手術ではなく、それ以外の部位(乳房再建や頭頸部再建など)でK017・K020を行い、かつ微小静脈の縫合にこの器具を使った場合が対象、ということになります。
対象の前提(確認ポイント)
対象手術: K017遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)またはK020自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの) 部位の条件: 四肢(手・足・指を含む)以外の部位であること 器具の使用目的: 微小静脈の縫合のために微小血管自動縫合器を使用したこと 対象外の可能性: 四肢での手術、K017・K020以外の手術、器具を使用していないケース
点数はどうなっているのか
みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
微小血管自動縫合器加算そのものは2,500点です。ただしこれは「加算」なので、ベースになるK017またはK020の所定点数に上乗せする形になります。それぞれのベースの点数もあわせて見ておきましょう。
| 区分 | 点数(令和8年度) |
|---|---|
| K017 遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)1 乳房再建術の場合 | 100,670点 |
| K017 遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)2 その他の場合 | 105,800点 |
| K020 自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの) | 131,310点 |
| 微小血管自動縫合器加算 | 2,500点 |
みらい(新人医療事務)
2,500点は、1回の手術で1回だけ算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこはこの加算の特徴的なところです。留意事項通知には「この場合において、2個を限度として当該加算点数に微小血管自動縫合器用カートリッジの使用個数を乗じて得た点数を加算するものとする」と書かれています。つまり、使用したカートリッジの個数分だけ2,500点を掛け算して加算できる、ただしその個数は2個が上限、という計算方法になっています。
| カートリッジ使用個数 | 加算点数の考え方 |
|---|---|
| 1個 | 2,500点 × 1 = 2,500点 |
| 2個(上限) | 2,500点 × 2 = 5,000点 |
| 3個以上使用した場合 | 上限の2個分(5,000点)までが加算の計算対象 |

点数の読み違いに注意
微小血管自動縫合器加算の2,500点は、あくまでK017またはK020の所定点数に対する「加算」であり、単独で算定できる点数ではありません。またカートリッジ使用個数に応じた計算は「2個を限度」とされているため、3個以上使用したケースでも、加算計算の対象になるのは2個分までです。実際の使用個数と請求点数の対応は、公式資料の記載とレセプトを突き合わせて確認してください。
算定要件を詳しく確認する
みらい(新人医療事務)
結局、算定候補になりそうかどうかは、どこを見ればいいですか。
あおい(元・医療事務)
公式資料の記載をそのまま並べると、ポイントは3つです。1つ目は対象手術がK017またはK020であること。2つ目は手術の部位が四肢(手・足・指を含む)以外であること。3つ目は微小静脈の縫合のために微小血管自動縫合器を実際に使用したこと、です。この3つがそろって初めて算定候補になる、という組み立てです。
みらい(新人医療事務)
逆に言うと、器具を持っているだけとか、別の血管に使ったとかだと対象外になりうるということですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。あくまで「K017・K020の手術中に、四肢以外の部位で、微小静脈の縫合のために使用した」という条件までそろっているかどうかがポイントです。器具の保有状況や、他の場面での使用実績だけでは、この加算の算定候補になるかどうかは判断できません。
施設基準・届出について
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出とかは必要になるんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
正直に言うと、そこは現時点で確認できていません。当サイトが確認できた告示・留意事項通知の記載範囲では、微小血管自動縫合器加算そのものに施設基準や届出様式についての記載は見当たりませんでした。ただし「記載が見当たらない=届出不要と確定」とは言い切れないので、ここは未確認事項として扱わせてください。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出の有無を自分たちで調べる必要があるということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。この加算単体の届出要否は、地方厚生局への確認や自院の顧問社会保険労務士・レセプト担当と一緒に確認いただくのが確実です。ここは断定を避けて、必ず「要確認」として扱ってください。
施設基準・届出は未確認事項として扱う
微小血管自動縫合器加算そのものについて、当サイトが確認できた一次資料の範囲では施設基準・届出に関する明記は確認できていません。届出の要否を含め、最終的な判断は自院の届出状況・地方厚生局への確認・審査支払機関の判断によって行ってください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定から何か変わったところってあるんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
そこも正直にお伝えします。当サイトが確認できる令和8年度の一次資料(告示・留意事項通知)の範囲では、微小血管自動縫合器加算について、前回改定(令和6年度)からの点数変更や算定要件変更を示す記載は確認されていません(確認日: 2026年7月)。ただし、これは「令和6年度と令和8年度の資料を直接比較して一致を確認した」という意味ではなく、令和8年度の一次資料の中に変更を示す記載が見当たらなかった、という範囲での確認です。
みらい(新人医療事務)
「変更がなかった」と決めつけないほうがいいということですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。点数が変わっていなくても、算定要件や対象手術の範囲が見直されているケースもあり得ますので、過去の請求実績をそのまま令和8年度に当てはめず、今回ご紹介した告示・留意事項通知の内容で都度確認するようにしてください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で確認するときの手順を教えてください。
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいです。
自院で確認する順番
- 対象になる手術がK017遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)またはK020自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)かどうかをカルテ・手術記録で確認する
- 手術部位が四肢(手・足・指を含む)以外であることを確認する
- 微小静脈の縫合のために微小血管自動縫合器を実際に使用したことを術者・手術記録で確認する
- 使用したカートリッジの個数を確認する(加算計算の対象になるのは2個まで)
- 施設基準・届出の要否について、地方厚生局・自院のレセプト担当に確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場で見落としやすいポイントってありますか。
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。1つは、K017・K020の手術を行っていても、微小血管自動縫合器を実際に使用していない(通常の手縫い縫合のみだった)場合は対象外になるという点です。器具を保有していることと、その手術で実際に使用したことは別問題です。もう1つは、カートリッジの使用個数の記録漏れです。加算点数はカートリッジ使用個数に応じて計算されるため、術中に何個使用したかの記録がないと、正確な点数計算ができません。
見落としやすいポイント
器具の使用有無: K017・K020を実施していても、微小血管自動縫合器を使用していなければ対象外 部位の条件: 四肢(手・足・指を含む)での手術は対象外 カートリッジ個数の記録: 使用個数(上限2個まで加算計算の対象)を手術記録に残しておく 施設基準・届出: 未確認事項のため、自院で個別に確認する
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな質問をいくつか確認させてください。K017・K020以外の手術でこの器具を使った場合はどうなりますか。
あおい(元・医療事務)
公式資料では、対象手術がK017・K020に限定されて明記されています。それ以外の手術での使用については、この加算の条文の範囲では算定対象として明記されていません。個別のケースは自院で公式資料と照らして確認してください。
みらい(新人医療事務)
四肢の手術でこの器具を使った場合はどうですか。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「四肢(手、足、指(手、足)を含む。)以外の部位」が算定の条件として明記されています。四肢での使用がこの加算の対象になるかどうかは、この条文の記載範囲では確認できません。
みらい(新人医療事務)
カートリッジを3個使った場合、3個分の点数が加算されますか。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「2個を限度として」と明記されているため、3個以上使用した場合でも、加算計算の対象になるのは2個分までとして読み取れます。実際の請求にあたっては、この条文とレセプトの計算を必ず突き合わせて確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象手術や器具の使用状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。