みらい(新人医療事務)
「術中血管等描出撮影加算」って名前を見かけたんですけど、これって普通の手術の加算とはちょっと違う感じがします。どんな時に算定するものなんですか?
あおい(元・医療事務)
術中血管等描出撮影加算は、手術の最中に血管や腫瘍などの位置を確認するために、インドシアニングリーンなどの薬剤を使って撮影を行った場合に算定する加算です。令和8年度(2026年度)の点数表では500点として設定されています。単純に画像を撮るための加算ではなく、薬剤を使った特殊な確認方法が条件になっている点がポイントです。
みらい(新人医療事務)
薬剤を使った確認方法というのが、普通の造影剤とは違うということですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ここは取り違えやすいところなので、最初に押さえておきましょう。
対象医療機関・対象となる手術
みらい(新人医療事務)
この加算は診療所でも算定できるんですか、それとも大きな病院限定ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した資料の整理では、診療所・病院のどちらも対象で、外来・入院のいずれの区分でも対象になっています。ただし在宅医療の場面は対象に含まれていません。あくまで手術に付随する加算という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
対象になる手術の種類も決まっているんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の留意事項通知では、対象となる手術が具体的に列挙されています。脳神経外科手術、冠動脈血行再建術のほか、遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)の「1」、動脈(皮)弁及び筋(皮)弁を用いた乳房再建術、肺切除術の「2」、胸腔鏡下肺切除術の「3」、肺悪性腫瘍手術の「2」、胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術の「2」、肝切除術の「2」から「7」まで、腹腔鏡下肝切除術の「2」から「6」まで、膀胱悪性腫瘍手術の「6」が対象として挙げられています。
みらい(新人医療事務)
けっこう幅広いんですね。一覧で見せてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
表にまとめますね。区分番号は厚生労働省の告示・留意事項通知に記載されているものをそのまま使っています。
| 区分番号 | 対象となる手術 |
|---|---|
| (区分番号なし) | 脳神経外科手術 |
| (区分番号なし) | 冠動脈血行再建術 |
| K017 | 遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)の「1」 |
| K476-3 | 動脈(皮)弁及び筋(皮)弁を用いた乳房再建術(乳房切除術(内視鏡下によるものを含む)) |
| K511 | 肺切除術の「2」 |
| K513 | 胸腔鏡下肺切除術の「3」 |
| K514 | 肺悪性腫瘍手術の「2」 |
| K514-2 | 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術の「2」 |
| K695 | 肝切除術の「2」から「7」まで |
| K695-2 | 腹腔鏡下肝切除術の「2」から「6」まで |
| K803 | 膀胱悪性腫瘍手術の「6」 |

みらい(新人医療事務)
これ以外の手術で薬剤を使って血管を確認しても、算定はできないということですか?
あおい(元・医療事務)
少なくとも当サイトが確認した資料の範囲では、上記に列挙された手術以外への適用は明記されていません。列挙されていない術式での算定候補になるかどうかは、確認が必要な領域として扱ってください。
点数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数は500点で間違いないですか?
あおい(元・医療事務)
はい、令和8年度の医科点数表では次のとおり定められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加算名 | 術中血管等描出撮影加算(K939-2) |
| 点数 | 500点 |
| 年度 | 令和8年度(2026年度) |
| 算定単位 | 該当する手術を行った際に算定 |
みらい(新人医療事務)
「該当する手術を行った際に算定」というのは、その手術1回につき1回、ということですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注書きには「手術に当たって、血管や腫瘍等を確認するために薬剤を用いて、血管撮影を行った場合に算定する」とだけ書かれていて、当該手術と合わせて算定するという構造は読み取れます。ただ、1件の手術の中で複数回反復して算定できるかどうかまでは、当サイトが確認した資料の範囲では明記されていません。ここは未確認事項として扱ってください。
回数制限・併算定は未確認
術中血管等描出撮影加算について、1手術あたりの算定回数の上限や、他の加算・処置との併算定の可否を明記した記述は、当サイトが確認した一次資料の範囲では見当たりませんでした。実際の算定にあたっては、審査支払機関や地方厚生局に確認してください。
算定要件(使用する薬剤と確認方法)
みらい(新人医療事務)
「薬剤を用いて血管撮影を行った場合」というのが具体的にどんな薬剤なのか気になります。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、インドシアニングリーンまたはアミノレブリン酸塩酸塩を用いて、蛍光測定等により血管や腫瘍等を確認した際、または手術において消化管の血流を確認した際に算定するとされています。
算定できないケースに注意
留意事項通知には「単にX線用、超音波用又はMRI用の造影剤を用いたのみでは算定できない」と明記されています。手術中に一般的な造影剤を使っただけでは、この加算の対象にはなりません。インドシアニングリーンやアミノレブリン酸塩酸塩を用いた蛍光測定等による確認が条件です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、造影剤を使えば何でも算定できるわけじゃないんですね。この加算はいつ頃からあるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
古い疑義解釈になりますが、平成24年度(2012年度)に示された疑義解釈資料では、「現時点では、脳神経外科手術時においてインドシアニングリーンを用いて、蛍光測定等により血管や腫瘍等を確認した際に算定する」という回答が示されていました。当時は脳神経外科手術が中心の想定だったことがうかがえますが、その後の改定を経て、現在の留意事項通知では冠動脈血行再建術や肺切除術、肝切除術、膀胱悪性腫瘍手術など、対象となる手術の範囲が広がっています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ今は脳神経外科以外でも使えるんですね。
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点の一次資料で確認できる対象手術は、先ほどの表のとおりです。ご自身の診療科がその中に含まれているかどうかを、まず確認してみてください。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出とか、事前に地方厚生局への手続きが必要だったりしますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した情報の整理では、術中血管等描出撮影加算は届出が不要な加算に区分されています。個別の施設基準の届出様式も、この加算専用のものは見当たりません。
施設基準・届出の最終確認について
届出が不要という整理は当サイトの資料確認によるものです。施設基準や届出の要否は改定のたびに見直される可能性があるため、最終的な判断は自院の届出状況と地方厚生局・審査支払機関への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
届出が不要でも、記録は残しておいた方がいいんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうですね。インドシアニングリーン等を使ったこと、蛍光測定等で血管や腫瘍等を確認したことは、手術記録やカルテに残しておくことが望ましいです。審査の際に確認を求められることがあるためです。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、この加算に変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた令和8年度の一次資料(告示・留意事項通知)の範囲では、点数(500点)および対象手術の一覧について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。対象手術の範囲は先ほどの疑義解釈でご紹介したとおり、平成24年度から複数回の改定を経て段階的に広がってきた経緯がありますが、令和6年度と令和8年度の間で新たな変更があったという記述は見当たりませんでした。
改定差分の確認範囲
令和6年度(2024年度)改定時点の記述との直接比較ができる一次資料が当サイトのデータベースに見当たらなかったため、「変更なし」は令和8年度の告示・留意事項通知の範囲での確認にとどまります。前回改定からの詳細な経緯を知りたい場合は、厚生労働省の個別改定項目資料をあわせて確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの手術がこの加算の対象になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認するとわかりやすいですよ。
自院で確認する順番
- 予定している手術が、対象手術の一覧(脳神経外科手術、冠動脈血行再建術、K017・K476-3・K511・K513・K514・K514-2・K695・K695-2・K803の該当区分)に含まれているか確認する
- 手術中にインドシアニングリーンまたはアミノレブリン酸塩酸塩を用いて、蛍光測定等により血管や腫瘍等(または消化管の血流)を確認する予定があるか確認する
- 使用した薬剤と確認方法(蛍光測定等)を手術記録・カルテに記載できる体制になっているか確認する
- 上記が揃っていれば、術中血管等描出撮影加算の算定候補として院内でレセプト担当者と共有する

みらい(新人医療事務)
造影剤を使っただけの手術は対象外、というのを忘れないようにしないといけないですね。
あおい(元・医療事務)
そこが一番よくある取り違えなので、次で詳しく説明しますね。
よくある取り漏れ
取り漏れやすいポイント
対象手術に該当していても、使用した薬剤がX線用・超音波用・MRI用の造影剤のみだった場合は算定できません。インドシアニングリーンやアミノレブリン酸塩酸塩を用いた蛍光測定等による確認が行われたかどうかを、手術記録で確認してから算定候補として扱ってください。記録に薬剤名と確認方法が明記されていないと、後から算定の可否を判断しづらくなります。
対象手術の区分番号の見落とし
同じ「肺切除術」や「肝切除術」でも、区分の中の特定の番号(例: 肺切除術の「2」、肝切除術の「2」から「7」まで)に限定されています。同じ手術名でも該当しない区分がある点に注意してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
この加算は診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した整理では、診療所・病院のどちらも対象になっています。ただし対象手術自体が高度な手術中心のため、実施可能な医療機関かどうかは自院の体制で確認してください。
みらい(新人医療事務)
造影剤(X線用・超音波用・MRI用)を使った場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に「単にX線用、超音波用又はMRI用の造影剤を用いたのみでは算定できない」と明記されているため、算定の対象外になります。インドシアニングリーン等を用いた蛍光測定等による確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した情報の整理では、届出は不要な加算に区分されています。最終的な要否は自院の届出状況と地方厚生局への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から点数は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた令和8年度の一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からの点数・対象手術一覧の変更は確認されていません。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。似た手術加算として超音波凝固切開装置等加算や創外固定器加算もあわせて確認しておくと、手術に関わる加算の見落としを減らせます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。