みらい(新人医療事務)
「人工肛門・人工膀胱 造設術前処置加算」っていう名前を初めて知ったんですけど、これってどんな加算なんですか? うちの病院、消化器外科と泌尿器科で人工肛門・人工膀胱の造設術をやることがあるので気になります。
あおい(元・医療事務)
区分番号K939-3の加算ですね。人工肛門や人工膀胱を新しく造る手術の前に、ストーマ(排泄口)を設置する位置を決める処置を評価する加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表でも450点として設けられています。
みらい(新人医療事務)
手術そのものじゃなくて、手術の前の準備を評価してるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ただし届出が必要な施設基準もありますし、実施できる職種にも条件があります。まずはどんな加算なのか、対象や点数から一緒に整理していきましょう。
人工肛門・人工膀胱 造設術前処置加算とはどんな加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算はどんな目的で作られたんですか?
あおい(元・医療事務)
人工肛門や人工膀胱を造る手術の後に起こりやすい合併症を防ぐための加算です。厚生労働省の医科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)では、次のように定義されています。
告示の定義(令和8年度)
区分番号: K939-3 人工肛門・人工膀胱 造設術前処置加算 点数: 450点 算定要件: 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、手術の前に療養上の必要性を踏まえ、人工肛門又は人工膀胱を設置する位置を決めた場合に算定する。
みらい(新人医療事務)
「設置する位置を決める」というのが具体的に何をすることなのか、まだイメージが湧かないです。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、もう少し具体的に説明されています。術前の画像診断や触診などで腹直筋の位置を確認したうえで、適切な造設部位に術前に印をつける処置のことです。人工肛門等造設後の合併症予防が目的とされています。
みらい(新人医療事務)
なるほど、単なる目印じゃなくて、医学的な確認を伴う処置なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。しかも誰でもできる処置ではなく、実施できる人にも条件がついています。この点は後の「施設基準と実施者要件」で詳しく見ていきますね。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
この加算、うちのようなクリニックでも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の整理では、対象は病院(入院・外来)とされており、診療所(クリニック単体)は対象外という扱いになっています。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんはどんな人ですか?
あおい(元・医療事務)
告示の文言をそのまま読むと「手術の前に療養上の必要性を踏まえ、人工肛門又は人工膀胱を設置する位置を決めた場合」とあります。つまり、これから人工肛門又は人工膀胱を新しく造設する手術を予定している患者さんが対象になります。具体的にどの手術(区分番号)が対象になるかまでは、確認できた一次資料の範囲では列挙されていないため、対象手術の当てはめに迷う場合は審査支払機関への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
手術と同時に算定するものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、名前のとおり「術前処置」なので、手術そのものとは別に、術前に行った処置に対して算定するものです。次は具体的な点数を見ていきましょう。
点数とコード(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はさっき450点って言ってましたけど、区分としてはどう位置づけられているんですか?
あおい(元・医療事務)
K900番台の「手術医療機器等加算」という区分に入っています。同じ並びには超音波凝固切開装置等加算(K931)のような、手術に関連する加算が並んでいます。K939-3はその中で、人工肛門・人工膀胱の造設に関する術前処置だけを対象にした加算という位置づけです。
| 区分番号 | 加算名 | 点数 | 年度 |
|---|---|---|---|
| K939-3 | 人工肛門・人工膀胱 造設術前処置加算 | 450点 | 令和8年度 |

みらい(新人医療事務)
マスターの診療行為コードって、記事に書いても大丈夫なものですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトで確認できた資料には区分番号(K939-3)と点数(450点)は明記されていますが、医科診療行為マスターの数字コードそのものは今回確認できていません。レセプトコンピューターへの入力時は、医科診療行為マスターで区分番号から検索して確認してください。
みらい(新人医療事務)
算定の単位はどうなっていますか? 月に1回とか、そういう決まりはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこが少し注意が必要なところです。確認できた告示・留意事項通知には「手術の前に...位置を決めた場合に算定する」という記載はありますが、月何回まで、といった回数の上限が明記された文言は見当たりませんでした。対象となる手術1件につき、術前の位置決定という1つの行為に対する加算、という整理になります。回数の解釈に迷う場合は、この点も審査支払機関に確認しておくと安心です。
施設基準と実施者要件
みらい(新人医療事務)
さっき「実施できる人に条件がある」って言ってましたけど、具体的にはどんな条件ですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に、実施者の要件がはっきり書かれています。
留意事項通知に示された実施者の要件(令和8年度)
実施者: 人工肛門又は人工膀胱のケアに従事した経験を5年以上有する看護師等であって、人工肛門又は人工膀胱のケアにかかる適切な研修を修了したもの 実施方法: 手術を実施する医師とともに、術前に実施した場合に算定する 目的: 人工肛門等造設後の合併症等の予防
みらい(新人医療事務)
5年以上の経験プラス研修修了、それに加えて医師と一緒に実施することが条件なんですね。研修の中身まで具体的に確認できていますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の留意事項通知では研修の詳細な名称までは示されていません。どの研修が「適切な研修」に当たるかは、地方厚生局や審査支払機関への確認が必要な部分になります。
研修要件の解釈は個別確認が必要
「適切な研修」の具体的な講座名や時間数は、令和8年度の一次資料の範囲では確認できていません。自院の看護師が満たす研修が要件に該当するかどうかは、届出前に地方厚生局へ確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出自体は必要なんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。告示にも「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」算定する、と明記されています。届出は必須です。次で詳しく見ていきましょう。
届出の要否
みらい(新人医療事務)
届出をしていないと、この加算はまったく算定候補にならないということですか?
あおい(元・医療事務)
資料上はそう読めます。施設基準の届出をしていない医療機関では算定候補にはなりません。届出済みであれば算定候補になる、という順序で考えるのが安全です。
届出状況は自院で必ず確認
この記事は一般的な整理であり、自院の届出が実際に受理されているかどうかまでは判断できません。届出の有無・受理状況は、必ず地方厚生局への届出書控えや自院の担当部署で確認してください。
みらい(新人医療事務)
もし届出をしていなかった場合、どうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
まずは施設基準の内容(実施者の経験年数・研修修了・体制)を満たせるかどうかを院内で確認し、満たせるようであれば地方厚生局への届出の準備を進める、という流れになります。人員体制が整うかどうかは病院ごとに異なるので、ここは自院での判断が必要な部分です。
算定タイミング・回数・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングについて、もう少し詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
「手術の前に」という言葉のとおり、対象となる手術より前に、位置決定の処置を行ったタイミングで算定候補になります。具体的に手術の何日前までなら算定できるかという期限は、確認できた資料の範囲では明記されていません。
みらい(新人医療事務)
手術自体が別の理由で算定できなかった場合、この加算だけ算定してもいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
この点について、平成24年度の疑義解釈で考え方が示されています。
参考: 平成24年度の疑義解釈(年度に注意)
質問: 手術通則の規定により人工肛門・人工膀胱造設術の請求ができない場合でも、K939-3人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算の算定要件を満たしていれば、当該加算は請求できると解してよいか。 回答: 人工肛門・人工膀胱造設の手術が算定できない場合にあっても、当該加算の算定はやむを得ない。 出典年度: 平成24年度(2012年度)の疑義解釈資料
あおい(元・医療事務)
これは平成24年度に示された考え方なので、現在の令和8年度の運用がすべて同じとは限りません。あくまで参考情報として捉え、実際の請求可否は自院のレセプト担当や審査支払機関に確認するのが確実です。
古い疑義解釈は参考情報にとどめる
上記は平成24年度(2012年度)の疑義解釈資料に基づく参考情報です。令和8年度時点でも同じ取り扱いかどうかは、当サイトで確認できた一次資料の範囲では検証できていません。断定せず、必ず最新の一次資料または審査支払機関で確認してください。
みらい(新人医療事務)
他の加算との併算定については何かわかっていますか?
あおい(元・医療事務)
確認できた一次資料の範囲では、この加算に固有の併算定の可否(同時算定できる・できない加算の具体名)についての明記は見当たりませんでした。断定できる情報がないため、併算定を検討する場合は個別に確認が必要な項目として扱ってください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の令和6年度改定から何か変わったりしたんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた令和8年度の一次資料(告示・留意事項通知)の範囲では、この加算そのものに対する点数や算定要件の変更点は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
みらい(新人医療事務)
ずっと同じ内容の加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
少なくとも平成24年度の疑義解釈資料の時点で、既に同種の施設基準(経験年数・研修要件)を持つ加算として運用されていたことが確認できています。ただし、令和6年度時点の告示・留意事項そのものは今回のリサーチ範囲では直接参照できていないため、「令和6年度から令和8年度にかけて一字一句変わっていない」とまでは言い切れません。あくまで「確認できた資料の範囲では変更が見当たらない」という位置づけで捉えてください。
改定年度の位置づけ(時系列)
平成24年度(2012年度): 疑義解釈で実施者要件・請求の考え方が既に示されている 令和6年度(2024年度)改定: 当サイトのリサーチ範囲では直接の一次資料を確認できていない 令和8年度(2026年度)改定: 告示・留意事項通知で450点・実施者要件(経験5年以上+研修修了)を確認
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
いろいろわかってきましたが、結局うちの病院はどこから確認を始めればいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
確認する順番を並べると、こんな流れになります。
自院で確認する順番
人工肛門又は人工膀胱を新しく造設する手術を予定している患者がいるかを確認する 施設基準の届出が済んでいるかを確認する(未届出なら地方厚生局への届出を検討する) 人工肛門又は人工膀胱のケア経験が5年以上あり、適切な研修を修了した看護師等が確保できているかを確認する 手術を実施する医師とともに、術前に位置決定の処置を実際に行ったかを記録も含めて確認する 上記が揃っていれば算定候補として扱い、最終的な可否はレセプト担当・審査支払機関に確認する

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に見ていくと、抜け漏れが減りそうです。
あおい(元・医療事務)
特に3番目の「実施者の経験・研修」は見落としやすいポイントです。次はよくある取り漏れを見てみましょう。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際の現場で、見落としやすいポイントってどんなところですか?
あおい(元・医療事務)
いくつかまとめてみました。
よくある取り漏れ
実施者の要件確認漏れ: 経験年数や研修修了の証明を院内で保管しておらず、算定時に確認が遅れる 記録の不備: 「医師とともに術前に実施した」ことを示す記録(実施日・実施者・確認内容)が診療録に残っていない 届出前の算定: 施設基準の届出が受理される前のタイミングで算定してしまう 対象手術の混同: 人工肛門・人工膀胱の造設術以外の手術で、誤って算定してしまう
みらい(新人医療事務)
記録の不備は特にありそうですね。誰が、いつ、何を確認したか、しっかり残しておく必要がありますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。留意事項通知でも「手術を実施する医師とともに、術前に実施した場合に算定する」と明記されているので、実施の事実がわかる記録は欠かせません。
人員配置の兼任に関する参考情報(平成24年度)
平成24年度の疑義解釈では、K939-3の実施者と、A236褥瘡ハイリスク患者ケア加算の専従看護師(褥瘡管理者)との兼任について、原則不可としつつ一定の条件下で兼任を認める考え方が示されています。褥瘡ケアと人工肛門・人工膀胱ケアは看護体制が重なりやすい領域のため、褥瘡関連の体制を整理する際は在宅患者訪問褥瘡管理指導料などの人員配置もあわせて確認すると全体像を把握しやすくなります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
この加算について、よく聞かれそうな質問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ、順番に答えていきますね。
みらい(新人医療事務)
Q. 診療所(クリニック)でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
A. 当サイトが確認した資料の整理では、対象は病院とされており、診療所単体は対象外です。
みらい(新人医療事務)
Q. 施設基準の届出をしていないと算定できませんか?
あおい(元・医療事務)
A. 資料上、届出済みの保険医療機関で算定する加算とされています。未届出の場合は算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
Q. 実施者は看護師でなくてもよいですか?
あおい(元・医療事務)
A. 留意事項通知では「人工肛門又は人工膀胱のケアに従事した経験を5年以上有する看護師等であって、適切な研修を修了したもの」とされています。どの職種・資格が「看護師等」に含まれるかの詳細は、確認できた資料の範囲を超えるため、地方厚生局への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
Q. 前回改定(令和6年度)から点数は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
A. 前回改定と比べても、当サイトが確認できた令和8年度の一次資料の範囲では、点数・算定要件の変更は確認されていません。ただし令和6年度時点の一次資料を直接参照できていないため、確定的な比較ではなく、あくまで確認できた範囲の情報です。
みらい(新人医療事務)
Q. 対象になる手術は具体的にどれですか?
あおい(元・医療事務)
A. 告示の文言は「人工肛門又は人工膀胱を設置する位置を決めた場合」という一般的な表現にとどまり、対象手術の区分番号までは確認できた資料の範囲では列挙されていません。個別の手術が対象になるかどうかは、審査支払機関に確認するのが確実です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や実施体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。