みらい(新人医療事務)
先輩、レセプトの麻酔管理料のところに「周術期薬剤管理加算」ってあるんですけど、これって毎回つけていいものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。結論から言うと、毎回ではありません。周術期薬剤管理加算は、麻酔管理料(Ⅰ)または麻酔管理料(Ⅱ)を算定する場合に、一定の条件を満たしたときだけ上乗せできる加算です。令和8年度(2026年度)の点数表で見ていきましょう。
みらい(新人医療事務)
「一定の条件」というのが気になります…。まずはどんな加算なのか、全体像を教えてください。
この加算は何のための加算か
あおい(元・医療事務)
周術期薬剤管理加算は、手術前後(周術期)に専任の薬剤師が薬学的管理を行った場合に、麻酔管理料に上乗せする加算です。当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和8年度の医科点数表上、麻酔管理料(Ⅰ)の注5、麻酔管理料(Ⅱ)の注2にそれぞれ規定されています。
みらい(新人医療事務)
「薬学的管理」って、具体的には何をすることなんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「患者の負担軽減及び薬物療法の有効性、安全性の向上に資する周術期薬剤管理を、病棟等において薬剤関連業務を実施している薬剤師等と連携して実施した場合」と説明されています。つまり、麻酔を受ける患者さんの持参薬や相互作用のチェック、術前後の服薬管理などを、専任の薬剤師が病棟の薬剤師と連携しながら行う体制を評価する加算候補です。
みらい(新人医療事務)
病院だけの加算なんですか? うちは診療所なんですが…。
あおい(元・医療事務)
そうですね。全身麻酔を要するような手術の麻酔管理料そのものが病院での算定を前提にした点数なので、周術期薬剤管理加算も病院・入院患者が対象です。診療所や外来、在宅では対象になりません。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関や患者さんの条件を、もう少し詳しく知りたいです。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、麻酔管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の施設基準に適合し地方厚生局長等に届け出た保険医療機関に入院している患者が対象とされています。ポイントをまとめるとこうです。
対象の基本条件
対象医療機関: 病院(麻酔管理料の施設基準に適合し届出済み)。診療所は対象外です。 対象患者: 当該保険医療機関に入院している患者。外来患者は対象外です。 対象の麻酔: 麻酔管理料(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定する手術の麻酔。ただし、麻酔の種類によって加算の対象になるかどうかが分かれます(次の見出しで説明します)。
みらい(新人医療事務)
麻酔の種類によって分かれる、というのはどういうことですか?
算定できるのはどんな麻酔のときか(区分ごとの整理)
あおい(元・医療事務)
ここが取り違えやすいポイントです。麻酔管理料(Ⅰ)には「1」硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を行った場合と、「2」声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を行った場合の2区分があります。告示の条文では、周術期薬剤管理加算は「2について」と明記されていて、「1」の区分には規定がありません。
みらい(新人医療事務)
つまり、硬膜外麻酔や脊椎麻酔だけの場合は加算の対象外ということですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料で確認できる範囲ではそのとおりです。麻酔管理料(Ⅱ)も同様に、「2」声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を行った場合について、周術期薬剤管理加算(75点)が規定されています。表にすると次のようになります。
| 区分 | 麻酔の内容 | 所定点数 | 周術期薬剤管理加算 |
|---|---|---|---|
| 麻酔管理料(Ⅰ)「1」 | 硬膜外麻酔又は脊椎麻酔 | 250点 | 対象外(確認できる範囲) |
| 麻酔管理料(Ⅰ)「2」 | 気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔 | 1,050点 | +75点(加算候補) |
| 麻酔管理料(Ⅱ)「2」 | 気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔 | 450点 | +75点(加算候補) |

みらい(新人医療事務)
なるほど、全身麻酔のケースだけが加算候補になるんですね。整形外科の硬膜外麻酔だけのオペにはつけられない、と。
あおい(元・医療事務)
資料の範囲ではそう読み取れます。レセプトの前に、どちらの区分で麻酔管理料を算定しているかを必ず確認しておきたいところです。
点数・コード
あおい(元・医療事務)
点数は令和8年度時点で75点(1回につき)です。マスターコードは当サイトの整理では「150438070」として管理していますが、実際の請求に使うコードは必ず自院のレセコン・医科診療行為マスターで確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加算名 | 周術期薬剤管理加算 |
| 点数 | 75点 |
| 対象年度 | 令和8年度(2026年度) |
| 上乗せ先 | 麻酔管理料(Ⅰ)「2」・麻酔管理料(Ⅱ)「2」 |
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準は何を確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に沿って挙げると、次のような体制が求められています。届出そのものは麻酔管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の施設基準に含まれる形になっていて、周術期薬剤管理加算はその届出済みの保険医療機関で算定する仕組みです。
施設基準・体制のチェックポイント(留意事項通知ベース)
専任の薬剤師の配置: 周術期の薬学的管理等を担う専任の薬剤師が必要です。 病棟薬剤師等との連携: 病棟等で薬剤関連業務を行う薬剤師等(病棟薬剤師等)と連携して周術期薬剤管理を実施する体制が必要です。 時間外・休日・深夜の体制整備: 当直等の薬剤師と連携し、時間外・休日・深夜でも安全な周術期薬剤管理を提供できる体制を整えておく必要があります。 記録: タスク・シフト/シェアに基づく実施内容と、病棟薬剤師等との連携内容を診療録等に記載する必要があります。
みらい(新人医療事務)
「タスク・シフト/シェア」というのは何の話ですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について(令和3年9月30日医政発0930第16号)」の考え方に基づいて、周術期の薬学的管理等を実施することとされています。加えて「根拠に基づいた周術期患者への薬学的管理ならびに手術室における薬剤師業務のチェックリスト」(日本病院薬剤師会)などを参考にすることが望ましいとされています。自院の体制がこの内容に沿っているか、薬剤部門と一度すり合わせておくと安心です。
届出
みらい(新人医療事務)
届出は必要なんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。周術期薬剤管理加算そのものを単独で届け出るというより、麻酔管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の施設基準に適合し地方厚生局長等に届け出た保険医療機関であることが前提になります。届出済みであれば算定候補になりますが、届出内容と実際の薬剤師の配置・連携体制が一致しているかは、必ず自院で確認してください。
届出だけでは算定候補になりません
麻酔管理料の届出があっても、専任の薬剤師の配置や病棟薬剤師等との連携体制が実際に整っていなければ、周術期薬剤管理加算の算定候補にはなりません。届出内容と現場の運用体制の両方を確認する必要があります。
算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングや、他の加算との関係で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、疑義解釈では「当直の薬剤師が周術期に必要な薬学的管理を行った場合」についても、専任の薬剤師と連携した上で実施していれば算定可能とされています。専任の薬剤師本人が対応した場合だけに限られるわけではありません。
みらい(新人医療事務)
病棟薬剤業務実施加算(A244)と一緒に算定するときは何か注意がありますか?
あおい(元・医療事務)
そこは疑義解釈で明確に区別されています。周術期薬剤管理加算における「専任の薬剤師」が行う周術期薬剤管理の業務時間は、病棟薬剤業務実施加算の病棟薬剤業務の実施時間には含められません。一方で、周術期薬剤管理加算における「病棟薬剤師等」が行う薬剤関連業務の時間は、病棟薬剤業務実施加算の実施時間に含めることができるとされています。時間の付け替えを誤ると、どちらかの加算の要件を満たさなくなるおそれがあるので、業務記録は分けて管理することをおすすめします。
同一患者への麻酔管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の併算定はできません
留意事項通知では、同一の患者について麻酔管理料(Ⅰ)及び麻酔管理料(Ⅱ)を併算定することはできないとされています(異なる患者にそれぞれ算定することは可能)。周術期薬剤管理加算もこの区分に連動するため、どちらの麻酔管理料に上乗せしているかをレセプト上で一致させる必要があります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できる公式資料の範囲では、周術期薬剤管理加算の点数(75点)や算定区分(麻酔管理料(Ⅰ)注5・麻酔管理料(Ⅱ)注2)について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026-07)。
みらい(新人医療事務)
前からある加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。厚生労働省の疑義解釈(令和4年度公表分)の時点で、既に「L009」の注5・「L010」の注2という同じ条文番号でこの加算が扱われています。令和4年度改定で新設されて以降、令和6年度(2024年度)改定・令和8年度(2026年度)改定を通じて、区分の骨格(麻酔管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の「2」区分のみが対象になる点や、専任の薬剤師と病棟薬剤師等の連携が要件になっている点)は一次資料の範囲では継続していると読み取れます。
時系列の整理
令和4年度改定: 周術期薬剤管理加算が新設(疑義解釈でも「L009」注5・「L010」注2として言及)。 令和6年度(2024年度)改定〜令和8年度(2026年度)改定: 当サイトが確認できる範囲では、点数・対象区分に変更は確認されていません。
自院チェックリスト
みらい(新人医療事務)
最後に、自院で確認する順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい。次の順番で確認していくと、抜け漏れが少なくなります。
自院で確認する順番
- 対象の手術が、麻酔管理料(Ⅰ)「2」または麻酔管理料(Ⅱ)「2」(気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔)に該当するか確認する
- 麻酔管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の施設基準に適合し、地方厚生局長等に届出済みか確認する
- 周術期薬剤管理を担う専任の薬剤師が配置され、病棟薬剤師等と連携できる体制か確認する
- 時間外・休日・深夜でも当直等の薬剤師と連携できる体制が整っているか確認する
- タスク・シフト/シェアに基づく実施内容と連携内容を、診療録等に記載しているか確認する

みらい(新人医療事務)
この順番で確認すれば、算定候補かどうか見えてきそうです。
よくある取り漏れ
あおい(元・医療事務)
現場でよく見かける取り漏れ・誤りのパターンを挙げておきますね。
よくある取り漏れ・誤り
麻酔の区分違い: 硬膜外麻酔・脊椎麻酔だけの麻酔管理料(Ⅰ)「1」に、周術期薬剤管理加算を誤って上乗せしてしまう。 専任の薬剤師の記録漏れ: 専任の薬剤師が実施した内容や病棟薬剤師等との連携内容を、診療録等に記載し忘れる。 業務時間の按分ミス: 病棟薬剤業務実施加算(A244)の実施時間に、周術期薬剤管理加算の専任の薬剤師の業務時間を誤って含めてしまう。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
よくある質問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
外来手術でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料で確認できる範囲では、対象は入院患者です。外来で完結する手術の麻酔には算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
麻酔管理料そのものが病院を前提にした点数のため、診療所は対象外です。
みらい(新人医療事務)
当直の薬剤師が対応した場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈では、専任の薬剤師と連携した上で実施していれば算定可能とされています。当直の薬剤師が単独で判断した場合とは区別して考える必要があります。
みらい(新人医療事務)
「周術期薬剤管理に関するプロトコル」と「薬剤の安全使用に関する手順書」は別々に作らないといけませんか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈では、必要な内容(周術期薬剤管理の内容、医薬品の安全使用や重複投与・相互作用・アレルギーのリスク回避のための手順等)が盛り込まれていれば、同一の文書でも差し支えないとされています。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。あわせて、上乗せ先になる麻酔管理料や、業務時間の切り分けで混同しやすい病棟薬剤業務実施加算もあわせて確認しておくと理解が深まります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。