深夜加算ってどんな加算ですか?
みらい(新人医療事務)
レセプトを見ていたら「深夜加算」という項目がありました。夜中に手術をしたときに付く加算ですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただし「深夜加算」という名称は初診料・再診料にも出てくるので、混同しやすい点に注意が必要です。今回お話しするのは第10部手術の通則第12号に定められた、手術に対する深夜加算です。初診料(A000注7)や再診料(A001注5)の深夜加算とは別の規定になります。
みらい(新人医療事務)
手術専用の深夜加算があるんですね。どんな場面で対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)では、「緊急のために休日に手術を行った場合」または「その開始時間が保険医療機関の表示する診療時間以外の時間若しくは深夜である手術を行った場合」に、所定点数へ加算できると定められています。このうち、開始時間が「深夜」に当たる場合が深夜加算の対象です。
みらい(新人医療事務)
予定を組んで夜間に手術した場合も対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に確認が必要なところです。留意事項通知では「手術が保険医療機関又は保険医の都合により休日又は深夜に行われた場合には算定できない」とされています。医療機関側の都合でスケジュールを深夜に組んだようなケースは、算定候補にならない可能性がある点を必ず確認してください。
深夜加算1と深夜加算2の違いは何ですか?
みらい(新人医療事務)
「深夜加算1」「深夜加算2」と数字が付いているのを見ました。何が違うんでしょう?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表(告示第69号 通則第12号)では、施設基準の届出有無によって割合が変わります。
| 区分 | 適用条件 | 加算割合 |
|---|---|---|
| 深夜加算1 | 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関 | 所定点数の100分の160 |
| 深夜加算2 | 上記届出のないその他の保険医療機関 | 所定点数の100分の80 |
あおい(元・医療事務)
ここで重要なのは、深夜加算は「固定の点数」ではなく「手術の所定点数に対する割合」で計算される点です。同じ深夜加算1でも、所定点数が高い手術ほど加算額は大きくなります。

みらい(新人医療事務)
時間外加算とも似ていますが、割合の数字が違いますね。
あおい(元・医療事務)
そうです。時間外加算は届出ありで100分の80・届出なしで100分の40ですが、深夜加算は届出ありで100分の160・届出なしで100分の80と、より高い割合が設定されています。深夜という時間帯の負担を反映した設定と考えられますが、いずれも一次資料の割合をそのまま適用したものです。
深夜加算の割合に関する確認
深夜加算1(100分の160)・深夜加算2(100分の80)は、いずれも手術の所定点数に対する割合加算です。届出の有無をまず確認したうえで、どちらの区分の算定候補になるかを判断する必要があります。
深夜は何時から何時までですか?
みらい(新人医療事務)
「深夜」って具体的に何時から何時までなんでしょう?時間外や休日と何が違いますか?
あおい(元・医療事務)
点数表の中で「深夜」は、医療機関の掲示時間に関わらない固定の時刻で定義されています。医科点数表(告示第69号)の初診料の規定に「深夜(午後10時から午前6時までの間をいう。以下この表において同じ。)」と明記されており、この定義は手術を含む点数表全体で共通して用いられます。
時間外・休日・深夜の考え方の違い(令和8年度)
- 深夜: 午後10時から午前6時までの間。時刻で固定的に決まる(医療機関の掲示時間によらない)
- 時間外: 保険医療機関が院内に掲示している診療時間以外の時間(深夜・休日を除く)。医療機関ごとに掲示時間で変わる
- 休日: 日曜日・国民の祝日等(深夜を除く)。カレンダー上の日付で決まる
みらい(新人医療事務)
「深夜」だけは医療機関の掲示時間に関係なく、時刻で一律に決まるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。手術の開始時刻(執刀した時間)が午後10時から午前6時の間にあれば、深夜加算の対象として確認する区分になります。逆に、同じ夜間でも午後10時より前に開始していれば、時間外加算の区分で確認することになります。
入院中の患者にも深夜加算はつきますか?
みらい(新人医療事務)
深夜加算って、入院している患者さんの手術にも付くんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは時間外加算との大きな違いで、必ず確認してほしいポイントです。留意事項通知には次のように定められています。
入院中の患者に対する深夜加算の条件
「『通則12』の入院中の患者に対する手術の休日加算1及び2又は深夜加算1及び2は、病状の急変等により、休日に緊急手術を行った場合又は開始時間が深夜である緊急手術を行った場合に算定できる。ただし、手術が保険医療機関又は保険医の都合により休日又は深夜に行われた場合には算定できない。」(留意事項通知・第10部手術 通則12号より)
みらい(新人医療事務)
入院患者さんでも、病状が急変して緊急手術になった場合は算定候補になるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。ただし条件は狭く、「病状の急変等による緊急手術」であることが前提です。予定手術を都合で深夜に動かしたようなケースは対象外の可能性が高いです。
みらい(新人医療事務)
入院していない患者さんの場合はどうですか?
あおい(元・医療事務)
入院中の患者以外(外来患者)の場合は、次の条件のいずれかを満たす必要があります。留意事項通知には「『通則12』の入院中の患者以外の患者に対する手術の休日加算1及び2、時間外加算1及び2又は深夜加算1及び2は、次の場合に算定できる。ただし、手術が保険医療機関又は保険医の都合により休日、時間外又は深夜に行われた場合には算定できない。(1)休日加算、時間外加算又は深夜加算が算定できる初診又は再診に引き続き行われた緊急手術の場合」と規定されています。
みらい(新人医療事務)
「初診・再診に引き続く緊急手術」以外にも条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、初診・再診から手術開始までの時間が8時間以内であるなど、いくつかの条件が留意事項通知に定められています。いずれのケースも「緊急性」があることが前提で、医療機関や医師の都合による深夜実施は算定対象外とされていますので、自院のケースがどの条件に当てはまるかを個別に確認する必要があります。
施設基準(深夜加算1)の要件は何ですか?
みらい(新人医療事務)
深夜加算1を届け出るための施設基準って、どんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の特掲診療料の施設基準等(令和8年厚生労働省告示第71号)では、手術の休日加算1・時間外加算1・深夜加算1に共通する施設基準として、次の3点が定められています。
自院で確認する順番
- 休日、保険医療機関の表示する診療時間以外の時間及び深夜の手術に対応するための十分な体制が整備されていること
- 急性期医療に係る実績を相当程度有している病院であること
- 病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制が整備されていること
みらい(新人医療事務)
この3つを全部満たさないと深夜加算1は取れないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。しかも文言に「病院」とあるため、診療所が深夜加算1の届出対象になるかどうかは、届出様式や施設基準通知の詳細を確認する必要があります。届出をしていない場合は、深夜加算2(100分の80)が算定候補になります。
施設基準の該当確認について
深夜加算1の施設基準は「急性期医療の実績を相当程度有している病院」であることを要件に含みます。自院がこの基準に適合するかどうかは、届出状況・施設基準通知(特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて)と照らして地方厚生局に確認することをお勧めします。届出の有無の確認自体は当サイトの範囲外です。
除外される手術があると聞きましたが
みらい(新人医療事務)
「区分番号K914からK917-5までに掲げるものを除く」という文言を見かけました。これは何ですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度点数表(告示第69号 第10部手術 通則第12号)の規定では、手術全体に休日・時間外・深夜の加算が付き得ますが、「区分番号K914からK917-5までに掲げるもの」は適用対象から除外されています。この範囲は、K914(脳死臓器提供管理料)・K915(生体臓器提供管理料)・K916(体外式膜型人工肺管理料)・K917〜K917-5(体外受精・顕微授精管理料等)という、臓器提供・体外循環管理・生殖補助医療に関する管理料区分です。
みらい(新人医療事務)
手術というより「管理料」の区分なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。第10部手術の中に分類されている管理料区分ですが、通則12号の深夜加算等の対象からは除かれています。該当する管理料を算定している医療機関では、深夜加算の対象になるかどうかを区分番号から先に確認しておく必要があります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この深夜加算は何か変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬改定における手術の深夜加算について、告示第69号(通則第12号)および告示第71号(施設基準)を確認した範囲では、割合・施設基準要件・対象手術の範囲に関する構造上の見直しは、今回の改定資料(厚労省一次情報ベース・確認月: 2026年07月)では確認されていません。
令和8年度の確認結果
- 加算割合(深夜加算1: 100分の160、深夜加算2: 100分の80): 前回改定(令和6年度)との変更を確認せず
- 施設基準の構成3要件(体制整備・急性期実績・勤務医負担軽減): 前回改定との変更を確認せず
- 対象除外手術(K914〜K917-5): 前回改定との変更を確認せず
- 入院中患者への適用条件(病状の急変等による緊急手術に限る): 変更を確認せず
みらい(新人医療事務)
令和6年度から基本的な仕組みは維持されているということですね。
あおい(元・医療事務)
資料の確認範囲ではそのように見えます。ただし施設基準の運用細部(当直体制の数え方など)は疑義解釈で補足されることがあるため、最新の留意事項通知・疑義解釈資料もあわせて確認することをお勧めします。
算定できる場面・できない場面を確認しましょう
みらい(新人医療事務)
結局、深夜加算の対象かどうか、どう順番に確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくと分かりやすいです。

自院で確認する順番
- 手術の開始時刻が深夜(午後10時〜午前6時)に当たるかを確認する
- 除外手術(区分番号K914〜K917-5)に該当しないかを確認する
- 入院中の患者以外か、入院中の患者かで条件が異なるため、患者区分を確認する(入院外は緊急手術等の条件、入院中は病状の急変等による緊急手術に限る)
- 医療機関または医師の都合による深夜実施でないことを確認する(都合による場合は算定対象外)
- 施設基準の届出有無を確認する(届出あり: 深夜加算1=100分の160、届出なし: 深夜加算2=100分の80)
みらい(新人医療事務)
この5つを順番に見ていけばいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。加えて、手術開始時刻の記録(執刀した時間)を診療録に残しておくと、算定根拠の確認がスムーズになります。
よくある取り漏れ・間違いはありますか?
みらい(新人医療事務)
現場でよくある取り漏れや間違いって何がありますか?
あおい(元・医療事務)
実務でよく見られるポイントをまとめます。
深夜加算でよくある確認漏れ(令和8年度)
- 入院患者への算定条件の見落とし: 入院中の患者には「病状の急変等による緊急手術」という限定条件があることを見落とし、通常の緊急手術と同列に算定してしまう
- 医療機関都合の除外: 手術予定を医療機関や医師の都合で深夜に動かしたケースに、深夜加算を算定してしまう
- 割合計算の誤り: 「所定点数×100分の160」は手術の所定点数に割合を掛けた点数であり、固定加算点数ではない点の見落とし
- 深夜加算1・2の区別: 施設基準の届出状況を確認せずにどちらかを選んでしまう
- 除外手術(K914〜K917-5)への誤適用: 対象外の手術区分に深夜加算を算定してしまう
みらい(新人医療事務)
「入院患者は条件が狭い」というのが特に見落としやすそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。時間外加算は入院患者がそもそも対象外なのに対し、深夜加算・休日加算は条件付きで入院患者も対象になり得るため、逆に混同しやすいポイントです。レセプト作成時は必ず条件を個別に確認してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
いくつか質問してもいいですか。まず、深夜加算と時間外加算は同時に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
同時算定はできません。手術の開始時刻がどの時間帯に当たるかで、休日加算・時間外加算・深夜加算のいずれか一つの区分で確認することになります。開始時刻が午後10時以降であれば、深夜加算の区分で確認します。
みらい(新人医療事務)
手術が深夜0時をまたいで長時間続いた場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
判断の基準は「開始時間」です。点数表では「その開始時間が…深夜である手術」と定められているため、執刀を開始した時刻がどの時間帯に当たるかで区分が決まります。手術が長時間に及んで時間帯をまたいでも、開始時刻を基準に確認します。
みらい(新人医療事務)
深夜加算1を届け出ていない診療所は、深夜加算がまったく算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうではありません。届出がない場合は深夜加算2(所定点数の100分の80)が算定候補になります。深夜加算1(100分の160)を取るために届出が必要というだけで、届出なしでも深夜加算2としての算定候補は残ります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちの手術が深夜加算の算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料(告示第69号・第71号、算定留意事項通知、特掲診療料の施設基準等の届出に関する通知等)・審査支払機関の判断でご確認ください。